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コンサルとSIerの違い|8社の有報データで見る稼ぎ方と将来性

約12分で読了
#コンサル #SIer #企業比較 #NRI #ベイカレント #TIS #SCSK #就活
この記事でわかること
1. コンサルとSIerの「ビジネスモデル構造」の違い
2. 8社の有報データで見る利益率・年収・勤続年数の差
3. コンサル型とSIer型、自分に合うのはどちらかの判断軸

「コンサルとSIerって何が違うの?」「どっちが自分に向いているの?」──就活で必ず出てくる疑問です。就活メディアでは年収や口コミの比較が中心ですが、有報を読むと、両者の違いは「何を売っているか」という根本的なビジネスモデルの構造にあることがわかります。

この記事では、コンサル型3社(ベイカレント・日本M&Aセンター・NRI)とSIer型5社(TIS・SCSK・BIPROGY・大塚商会・電通総研)の有報データを横断比較し、キャリア選択に役立つ構造的な違いを解説します。

この記事のデータは各社の有価証券報告書に基づいています。有報の読み方全体を押さえたい方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。

結論|コンサルとSIerの本質的な違いは「何を売っているか」

コンサルとSIerの違いを一言でいえば、コンサル型は「知見・助言」を売り、SIer型は「システム構築・運用」を売るビジネスです。有報の利益率を見ると、この違いが数字に明確に表れています。

分類企業名売上高当期純利益連結従業員数平均年収(単体)平均勤続年数
コンサル型ベイカレント1,161億円308億円5,467名約1,350万円4.0年
コンサル型日本M&Aセンター441億円110億円1,086名
コンサル/SIer融合NRI7,648億円938億円16,679名約1,322万円13.9年
SIer型TIS5,490億円489億円21,972名約803万円14.5年
SIer型SCSK5,961億円450億円20,252名約788万円17.2年
SIer型BIPROGY4,040億円270億円8,362名約846万円20.8年
SIer型大塚商会11,077億円535億円9,680名約993万円17.2年
SIer型電通総研1,526億円151億円4,413名約1,123万円10.8年

出典: 各社 有価証券報告書 NRI・ベイカレント・SCSK・日本M&Aセンター 2025年3月期、BIPROGY 2025年3月期、TIS 2024年3月期、電通総研・大塚商会 2024年12月期。日本M&Aセンターはホールディングス体制のため単体従業員データなし

この表から2つの構造差が見えます。1つ目は利益率の差です。ベイカレントの当期純利益率は約26.5%、日本M&Aセンターの経常利益率は約38.4%(2025年3月期)と高水準です。一方、SIer型のTISは当期純利益率約8.9%、SCSKは約7.6%です。2つ目は組織規模と勤続年数の差です。SIer型は2万人超の大組織で勤続15年超が多いのに対し、コンサル型のベイカレントは5,467名で勤続4.0年です。

この構造差は「何を売っているか」の違いから生まれます。コンサル型は個人の知見を高単価で提供するため少数精鋭になり、SIer型はシステム構築・運用に多くの人員が必要なため大規模組織になります。

有報データで見る「コンサル型」の稼ぎ方

コンサル型とは、クライアント企業の経営課題に対して「助言・知見・戦略」を提供するビジネスモデルです。有報データから、コンサル型3社の特徴を見ていきます。

ベイカレント|DXコンサル特化で急成長

ベイカレントは、DX戦略コンサルティングに特化した企業です。有報で注目すべきは成長スピードです。売上高は4期前の約429億円から当期の約1,161億円へ、4年間で約2.7倍に拡大しています(2025年3月期)。当期純利益も約100億円から約308億円へと3倍以上に成長しています。

連結従業員5,467名に対して単体従業員593名という構造は、プロジェクトごとにグループ内で人員を柔軟に配置していることを示唆しています。平均年齢31.2歳・平均勤続年数4.0年は、若い組織で人材の流動性が高いことを表しています。

日本M&Aセンター|M&Aコンサル特化で高利益率

日本M&Aセンターは、中堅中小企業のM&A仲介に特化した企業です。売上高は約441億円と規模は大きくありませんが、経常利益約169億円、経常利益率約38.4%と極めて高い収益性を持ちます(2025年3月期)。ROEも24.1%と高水準です。

M&Aコンサルティング事業の単一セグメントで、成功報酬型のビジネスモデルです。従業員1,086名(連結)という少数精鋭の組織で、1人あたりの売上高が非常に高い構造になっています。事業承継問題を背景に、当期の譲渡案件の新規受託件数は1,398件と過去最高を記録しています。

NRI|コンサルとSIの融合で年収1,322万円

NRI(野村総合研究所)は、コンサルティングとシステムインテグレーション、さらに運用サービスまでを一気通貫で提供する企業です。売上高は約7,648億円、当期純利益は約938億円(2025年3月期)と、コンサル型のなかでは圧倒的な規模を誇ります。

NRIの特徴は、コンサルとSIerの「両方の顔」を持っていることです。平均年収約1,322万円・平均勤続年数13.9年という数字は、コンサル型の高付加価値とSIer型の安定性を両立している証拠です。4期前の売上高約5,503億円から当期約7,648億円まで着実に成長しており、安定成長型のコンサル企業といえます。

有報データで見る「SIer型」の稼ぎ方

SIer型とは、クライアント企業の情報システムの「設計・構築・運用」を提供するビジネスモデルです。コンサル型と比較して、大規模な組織体制と多様なセグメントを持つのが特徴です。

TIS|5セグメント×グローバルの総合IT企業

TISは、TISインテックグループの中核企業で、売上高約5,490億円(2024年3月期)を誇ります。5つのセグメント(オファリングサービス・BPM・金融IT・産業IT・広域ITソリューション)で構成されています。なかでも産業IT(売上約1,213億円)と広域ITソリューション(売上約1,648億円)が二大柱です。

連結従業員21,972名・単体5,834名という大組織で、平均勤続年数14.5年・平均年収約803万円です。中期経営計画では「DXコンサルタント」や「高度営業人材」の育成を掲げており、SIerからコンサル機能を取り込む方向に動いています。研究開発費は約30億円(2024年3月期)で、量子コンピューティングやXRなど先端技術にも投資しています。

SCSK|住友商事系の安定基盤と長期勤続

SCSKは、住友商事グループのITサービス企業で、売上高約5,961億円(2025年3月期)です。産業IT(売上約1,957億円)とITプラットフォーム(売上約1,758億円)が主力セグメントです。2024年12月にネットワンシステムズを連結子会社化し、セキュリティ・クラウド領域を大幅に強化しました。

連結従業員20,252名・単体8,360名で、平均勤続年数17.2年・平均年齢42.9歳・平均年収約788万円です。「グランドデザイン2030」で掲げる「売上高1兆円への挑戦」は、コア事業の強化とネットワンシステムズ統合による成長を見込んでいます。研究開発費は約24億円(2025年3月期)で、自動車業界向けSDMやAI駆動型開発に注力しています。

BIPROGY・大塚商会・電通総研|それぞれ異なるSIerの形

BIPROGY(旧日本ユニシス)は、売上高約4,040億円(2025年3月期)で、「Vision2030」のもとICTサービスから社会的価値創出企業への変革を掲げています。連結従業員8,362名・平均勤続年数20.8年と長期勤続が特徴です。研究開発費約52億円は8社中で有数の規模で、量子コンピュータ・デジタルツイン・AI応用など幅広い先端技術に投資しています。

大塚商会は、売上高約11,077億円(2024年12月期)と8社中最大の売上規模を持ちます。「システムインテグレーション事業」と「サービス&サポート事業」の2セグメントで、中堅中小企業のIT化を「オフィスまるごと」サポートするモデルです。連結従業員9,680名・平均年収約993万円・平均勤続年数17.2年と安定しています。

電通総研は、売上高約1,526億円(2024年12月期)で、金融ソリューション・ビジネスソリューション・製造ソリューション・コミュニケーションITの4セグメントを展開しています。SIer型のなかではコンサルティング色が強く、2024年12月期のコンサルティングサービス売上は約105億円で前年の約86億円から伸長しています。平均年収約1,123万円はSIer型のなかで高水準で、「Vision 2030」で2030年に売上高3,000億円・営業利益率20%を目指しています。研究開発費は約19億円(2024年12月期)です。

投資方向性で見る「コンサル型 vs SIer型」の今後

コンサルとSIerのどちらを選ぶかを考えるうえで、各社が何に投資しているかは重要な手がかりです。

分類企業名研究開発費注力領域(有報の経営方針より)
コンサル型ベイカレントDX戦略コンサルティングの拡大
コンサル型日本M&Aセンター地方創生×M&A、ミッドキャップ案件の強化
融合型NRIコンサル→SI→運用の三層構造の深化
SIer型TIS約30億円量子コンピューティング、XR、生成AI
SIer型SCSK約24億円SDM(自動車ソフトウェア)、AI駆動型開発
SIer型BIPROGY約52億円量子コンピュータ、デジタルツイン、社会DX
SIer型大塚商会約23億円AI画像解析、生成AIサービス開発
SIer型電通総研約19億円SAP/ERP、製造ソリューション、デジタルアイデンティティ

出典: 各社 有価証券報告書 TIS 2024年3月期、SCSK 2025年3月期、BIPROGY 2025年3月期、大塚商会 2024年12月期、電通総研 2024年12月期。ベイカレント・日本M&Aセンター・NRIは有報に研究開発費の記載なし

SIer型5社は合計で約148億円の研究開発費を投じています。重要な点は、SIer型各社が「コンサル機能の強化」を戦略に明記していることです。TISは「DXコンサルタントの育成」、SCSKは「コンサルティング機能拡充」、電通総研は「X Innovator(変革を実現する存在)」を掲げています。つまり、SIerは「SIerのまま」ではなく、コンサル領域へと事業を拡張しつつあります。

一方、コンサル型のベイカレントはDXの「戦略から実行まで」をカバーすることでSIer的な実装能力も取り込んでいます。業界全体として「コンサル×SIer」の融合が進んでいるといえます。

キャリアマッチ|コンサル型とSIer型、あなたに向いているのは

有報データから見えてくるキャリアの違いを、志向別に整理します。

あなたの志向向いている分類代表企業根拠となる有報データ
高い報酬×成長スピードコンサル型ベイカレント年収約1,350万円、売上4年で2.7倍成長
専門性×社会的インパクトコンサル型日本M&AセンターM&A特化、事業承継で地方創生に貢献
コンサル×安定の両立融合型NRI年収約1,322万円×勤続13.9年
大規模プロジェクト×長期キャリアSIer型TIS・SCSK従業員2万人超×勤続14-17年
先端技術×研究開発志向SIer型BIPROGYR&D約52億円、量子コンピュータ等に投資
中小企業支援×安定基盤SIer型大塚商会売上1兆円超、中堅中小企業のIT化支援
コンサル寄りSIer×専門領域SIer型電通総研年収約1,123万円、SAP/製造ソリューション

今から準備できること

コンサル型を目指す場合は、特定の業界知識やビジネスフレームワークの習得が有効です。ベイカレントのようなDXコンサルでは、デジタル戦略の理解が求められます。日本M&Aセンターであれば、財務分析やバリュエーションの基礎知識が強みになります。

SIer型を目指す場合は、ITスキルに加えて業界知識の掛け合わせが差別化になります。TISやSCSKでは金融IT・産業ITなどセグメントが分かれているため、志望するセグメントに関連する業界理解が面接での具体的なアピールにつながります。BIPROGYの量子コンピュータ研究やSCSKのAI駆動型開発に興味があるなら、関連する技術の基礎を学んでおくことも有効です。

有報ではわからないこと

有報は企業の財務データや経営方針を客観的に把握できる一次情報ですが、社風や職場の雰囲気、実際の残業時間、プロジェクトごとの働き方の違いまではわかりません。有報での企業研究に加えて、OB/OG訪問やOpenWork等の口コミサイトも併用することをおすすめします。

面接で使える有報のポイント

有報データを面接で活用する具体例を紹介します。

  • コンサル型志望の場合: 「御社の有報で当期純利益率が約26.5%と確認しました。コンサル特化で高付加価値を追求するモデルに共感し、自分の成長環境として最適だと考えています」
  • SIer型志望の場合: 「御社の有報で研究開発費約52億円を量子コンピュータやデジタルツインに投資していることを確認しました。先端技術を社会実装する御社の方向性に、大学で学んだ〇〇の知見を活かしたいと考えています」
  • 融合型志望の場合: 「御社はコンサルからSI、運用まで一気通貫で提供する三層構造を持っています。戦略を考えるだけでなく実装まで関われる点が、自分のキャリア志向と合致します」

4社比較の詳細はコンサル・SIer4社比較もあわせてご覧ください。コンサル・SIer業界全体の構造はコンサル・SIer業界ガイドで解説しています。

まとめ

コンサルとSIerの違いは、「何を売っているか」というビジネスモデルの構造差に帰結します。8社の有報データからわかったポイントを整理します。

  • コンサル型(ベイカレント・日本M&Aセンター)は知見・助言を高単価で提供し、少数精鋭×高利益率が特徴です
  • SIer型(TIS・SCSK・BIPROGY・大塚商会・電通総研)はシステム構築・運用を大規模組織で提供し、安定収益×長期キャリアが特徴です
  • NRIはコンサル×SI×運用の融合モデルで、両方の特徴を持つ企業です
  • SIer各社がコンサル機能を強化し、コンサル各社が実装力を取り込むなど、業界全体で融合のトレンドが進んでいます

「コンサルかSIerか」という二者択一ではなく、「どの稼ぎ方が自分のキャリア志向に合うか」で選ぶことが、有報データに基づく本質的な企業選びです。各社の個別分析はNRIベイカレントTISSCSKBIPROGY大塚商会電通総研日本M&Aセンターの記事をご覧ください。

よくある質問

コンサルとSIerの年収差はどのくらいですか?

有報データでは、コンサル型のNRI約1,322万円・ベイカレント約1,350万円に対し、SIer型のTIS約803万円・SCSK約788万円・BIPROGY約846万円と差があります。ただし年収だけで判断するのではなく、平均勤続年数(ベイカレント4.0年 vs SCSK17.2年)や働き方も含めた総合判断が重要です。

SIerは将来なくなりますか?

有報を見る限り、TIS・SCSK・BIPROGYいずれも売上は成長トレンドにあり、DX需要が追い風です。各社ともコンサル機能の強化を中期経営計画に掲げており、単純なシステム受託から付加価値型ビジネスへの転換を進めています。「なくなる」のではなく「変わっていく」という見方が適切です。

コンサルとSIerの併願は可能ですか?

可能です。NRIのようにコンサルとSIerの両面を持つ企業もあります。有報で各社の事業構造を理解すれば、面接で『なぜこの会社か』を具体的に説明でき、併願でも説得力のある志望動機が作れます。

コンサルは激務と聞きますが、有報でわかりますか?

有報には直接的な労働時間データがない企業もありますが、平均勤続年数が手がかりになります。ベイカレント4.0年・NRI13.9年・SCSK17.2年・BIPROGY20.8年と差が大きく、働き方の傾向が読み取れます。ただし勤続年数が短い理由は激務とは限らず、転職市場での人材流動性の高さという側面もあります。

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