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離職率ランキング|「長く働ける企業」の見極め方

最終更新: 約14分で読了
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この記事を読むと: 平均勤続年数を「数字の長短」だけでなく、「業界標準」「平均年齢とのバランス」「持株会社か事業会社か」まで見て、自分に合う”長く働ける会社”を見極められるようになります。

「この会社は長く働けるのか」──就活生にとって切実な問いです。離職率そのものを有報に書く企業はほとんどありませんが、「従業員の状況」に必ず載る平均勤続年数を使えば、人がどれだけ長く働き続けているかは数字で読めます。主要12社を横並びにすると、平均勤続年数はデンソー23.1年からメルカリ3.8年まで6倍以上の開きがあります。コツは、この数字をそのまま順位として受け取らず、「業界」「平均年齢」「持株会社か事業会社か」の3点で補正して読むこと。それだけで、口コミの評判よりずっと確かな企業研究ができます。

あなたの志向まず見るべき企業理由
腰を据えて専門性を長く深めたいデンソー/東京ガス平均勤続年数が長く、長期育成型の組織
長く働けて、かつ若手も多い環境がいいJR東日本勤続16.6年と長いのに平均年齢39.2歳と若い
高報酬の中で長期キャリアを築きたい三菱商事商社特有の高報酬と高い定着が両立
若い会社でスピード感をもって働きたいメルカリ勤続3.8年は会社の若さの反映で、成長環境
流動性の高いIT・ゲーム業界で長く働きたい任天堂業界の中では勤続14.4年と定着が際立って高い

このデータは各社の有価証券報告書(2025年03月期・2025年06月期・EDINET)に基づいています。

本記事は、就活生の検索・比較ニーズが高い主要企業を対象にした業界横断比較です。全上場企業を網羅したランキングではありません。

有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。

主要企業の組織タイプと平均勤続年数──デンソーは新卒長期型/JR東日本は若手活力型/三菱商事は高報酬×定着/メルカリは若い成長企業/持株会社は本社スタッフの数字

平均勤続年数は、次の3段階で読むと失敗しにくくなります。

見る順番見るものわかること
1勤続年数の絶対値その会社で人がどれだけ長く働き続けているか
2業界標準との相対位置業界の流動性を補正した「定着の強さ」
3平均年齢とのバランス「新卒長期型」か「中途・若手活力型」か

平均勤続年数ランキング|長く働き続けている企業 TOP12

まず、平均勤続年数の絶対値で並べます。結論を先に言うと、上位は製造業・インフラ・商社が占め、下位にIT・ネットと持株会社が並びます。なお表の「区分」は、有報を提出しているのが事業を営む会社本体(事業会社)か、グループを束ねる持株会社かの違いです。持株会社の数字は本社スタッフだけの値になるため、この記事の後半で詳しく補正します。

順位企業名平均勤続年数平均年齢区分
1デンソー23.1年44.8歳事業会社単体
2東京ガス18.8年43.3歳事業会社単体
3三菱商事17.8年42.4歳事業会社単体
4JR東日本16.6年39.2歳事業会社単体
5東京海上ホールディングス16.2年41.7歳持株会社単体
6ソニーグループ15.8年42.5歳持株会社単体
7トヨタ自動車15.6年40.7歳事業会社単体
8任天堂14.4年40.2歳事業会社単体
9村田製作所14.1年40.1歳事業会社単体
10リクルートホールディングス8.5年40.5歳持株会社単体
11野村ホールディングス4.4年43.8歳持株会社単体
12メルカリ3.8年36.3歳事業会社単体

出典: 各社 有価証券報告書(メルカリは2025年06月期、その他は2025年03月期)。平均勤続年数・平均年齢は「従業員の状況」提出会社(単体)の数値

このランキングを「上から順に働きやすい会社」と読むと、必ず誤読する。

順位だけを見ると、デンソー23.1年が「最も長く働ける会社」で、メルカリ3.8年が「最も定着が悪い会社」のように見えます。しかし、この2社を直接比べることに意味はありません。デンソーは技術の長期蓄積が競争力になる自動車部品メーカーで、メルカリは設立2013年のネット企業です。業界の特性も会社の歴史もまったく違うものを、同じ物差しで並べているだけです。

さらに注意したいのが「区分」列です。東京海上ホールディングス・ソニーグループ・リクルートホールディングス・野村ホールディングスの4社は、有報を提出しているのが純粋持株会社で、平均勤続年数は本社スタッフのみの数値です。野村ホールディングスの4.4年は「証券会社が短命」なのではなく、提出会社が177人規模の持株会社だからです。業界補正と区分の2点を踏まえると、同じランキングでも読み取れる中身が大きく変わってきます

平均勤続年数ランキング|業界別に見ると景色が変わる

業界別に「標準」を補正すると、ランキングの景色は大きく変わります。同じ「14年」でも、製造業なら平均よりやや短く、IT・ネットなら長い部類になります。

業界標準的な勤続年数背景
インフラ(鉄道・ガス・電力)15〜20年地域密着で転職市場が小さく、事業基盤が安定している
製造業13〜23年技術の蓄積が競争力に直結し、長期育成が前提
総合商社15〜20年高報酬で外に出る誘因が小さい。ただし激務でもある
金融(事業会社ベース)12〜16年安定しているが出向・転籍制度があり、持株会社単体の数値は実態とずれる
IT・ネット5〜15年人材流動性が高く転職がキャリア手段として一般的。会社の歴史が浅いことも多い

同じ業界でも「標準」が違う

業界の中での相対位置を見ると、各社の個性が浮かび上がります。製造業の中ではデンソー23.1年が突出して長く、村田製作所14.1年は同じ製造業でも短めです。これは村田が海外売上比率の高いグローバル企業で、人材構成が異なることが背景にあると考えられます。

IT・ネットの中では、任天堂14.4年が際立って長いことに気づきます。ゲーム業界は流動性が高いと言われますが、任天堂は少数精鋭で開発人材の定着が高い組織です。一方、同じくIT区分のメルカリ3.8年は、設立2013年という会社の歴史の短さがそのまま出た数字です。「IT=勤続が短い」と一括りにすると、任天堂のような例外を見落とします

業界をまたいで「23.1年だから安定、3.8年だから不安定」と読むのではなく、まず「その業界の標準は何年か」を押さえ、その中での相対位置を見る。これが2段階目の読み方です。

主要6社×3軸マトリクス──勤続年数最長はデンソー/若手活力型はJR東日本/持株会社単体はソニー・リクルート/組織タイプは新卒長期型〜若い成長企業まで分散

勤続年数の「中身」|数字の裏側を読む

同じ勤続年数でも、平均年齢や会社の構造が違えば、組織の中身はまったく異なります。数字の裏側を読むと、各社の組織の性格が見えてきます。

企業平均勤続年数区分数字の裏側にあるもの
デンソー23.1年事業会社単体技術の長期蓄積が競争力。新卒で入り長く勤める伝統
JR東日本16.6年事業会社単体新卒採用が厚く、長く働けるのに若手も多い
三菱商事17.8年事業会社単体高報酬で外に出る誘因が小さい商社型
ソニーグループ15.8年持株会社単体数値は本社スタッフ2,212人のみ。連結11.2万人とは別物
リクルートホールディングス8.5年持株会社単体数値は本社スタッフ116人のみ。事業会社の実態とは別
メルカリ3.8年事業会社単体設立2013年。会社の歴史の短さがそのまま出た数字

出典: 各社 有価証券報告書(メルカリは2025年06月期、その他は2025年03月期)

注目ポイント1: 平均年齢とのバランスで「組織の性格」が変わる

勤続年数が同じくらいでも、平均年齢が違えば組織の性格は別物です。デンソーは勤続23.1年・平均年齢44.8歳で、新卒で入って長く勤める「新卒長期型」。安定している一方、組織の新陳代謝はゆるやかです。対してJR東日本は勤続16.6年と十分長いのに平均年齢39.2歳と若く、新卒採用を厚く続けている「若手活力型」です。同じ「長く働ける会社」でも、若手の比率と裁量の与えられ方は大きく違います。勤続年数を見るときは、必ず平均年齢とセットで読みましょう。

注目ポイント2: 持株会社単体の数字は、事業会社とは別物

ランキング下位の野村ホールディングス4.4年やリクルートホールディングス8.5年を見て「定着が悪い会社」と判断するのは誤りです。この2社、そして東京海上ホールディングス・ソニーグループは、有報を提出しているのが純粋持株会社です。平均勤続年数は116〜2,212人規模の本社スタッフのみを反映し、その多くは中途採用や事業会社からの出向で構成されます。連結では野村ホールディングス約2万7,000人、ソニーグループ約11万2,000人を抱えており、事業会社(野村證券、ソニー本体など)の勤続年数はこの数字とは水準が異なります。「区分」が持株会社単体の企業は、勤続年数を額面通りに受け取らないのが鉄則です。

注目ポイント3: 勤続年数の短さは「ブラック」を意味しない

メルカリの3.8年は、12社で最も短い数字です。しかしこれは、設立2013年という会社の歴史そのものの短さを映しています。10年強の歴史しかない会社で「平均勤続20年」になることは物理的にあり得ません。勤続年数が短くなる理由は、「会社の歴史が浅い」「中途採用比率が高い」「業界の流動性が高い」など複数あり、それぞれ意味がまったく違います。これらを切り分けずに「勤続が短い=定着が悪い=ブラック」と読むのは、有報の数字の誤読です。短い数字を見たら、まず「なぜ短いのか」を考えることが、3段階目の読み方になります。

勤続年数 vs 平均年齢|「組織の安定」と「組織の若さ」を同時に読む

平均勤続年数だけでは「組織の安定」しかわかりません。平均年齢を重ねると「組織の若さ」も同時に読めます。2つを組み合わせると、組織のタイプが4象限で整理できます。

企業平均勤続年数平均年齢組織タイプ
デンソー23.1年44.8歳新卒長期・成熟型(安定だが新陳代謝はゆるやか)
東京ガス18.8年43.3歳新卒長期・成熟型(インフラの安定基盤)
JR東日本16.6年39.2歳若手活力・事業会社型(長く働けて若手も多い)
トヨタ自動車15.6年40.7歳大規模・バランス型(7万人規模の事業会社単体)
野村ホールディングス4.4年43.8歳持株会社・中途/出向型(本社スタッフの構成)
メルカリ3.8年36.3歳若い会社・成長型(設立2013年の歴史の反映)

出典: 各社 有価証券報告書(メルカリは2025年06月期、その他は2025年03月期)

勤続年数が短くても、平均年齢が高ければ「中途・出向中心」、低ければ「若い会社」。理由が正反対になる。

野村ホールディングスとメルカリは、どちらも勤続年数が4年前後と短いですが、中身は正反対です。野村ホールディングスは平均年齢43.8歳と高く、持株会社の本社に中途・出向のベテランが集まる構成。メルカリは平均年齢36.3歳と若く、会社自体が若いから勤続も短い。同じ「短い」でも、片方はベテランの集まり、もう片方は若い組織です。勤続年数と平均年齢を必ずセットで見るべき理由が、ここにあります。

キャリア志向から逆算する「長く働ける会社」選び──専門性志向はデンソー/若手活力志向はJR東日本/高報酬×定着志向は三菱商事/成長環境志向はメルカリ

勤続年数データの就活への活かし方

ESの志望動機に使う

平均勤続年数のデータは、「なぜこの会社で長く働きたいのか」を数値根拠つきで語る材料になります。志望企業ごとの使い方を整理しました。

志望企業ESで使うなら面接で聞くなら
デンソー勤続23.1年という長期育成の環境で技術を腰を据えて深めたい長く活躍する技術者のキャリアパスにはどんな型があるか
JR東日本勤続16.6年と長いのに平均年齢39.2歳と若い組織構成に惹かれた若手が早期に裁量を持てる仕組みはどう設計されているか
三菱商事高報酬と勤続17.8年という定着の両立に、働き続けられる環境を感じた長期で活躍する商社パーソンに共通する経験の積み方は何か
メルカリ設立2013年の若い組織で、事業を一緒に育てる側に回りたい急成長フェーズで若手が任される役割はどう広がっていくか

詳細例(デンソーの場合):

「御社の有報で平均勤続年数が23.1年と、比較した主要12社の中で最も長いことを知りました。技術を長期的に深め、腰を据えてものづくりに向き合える環境だと理解しています。大学で材料工学を研究してきた私は、御社で専門性を長く磨き、自動車部品の進化に貢献したいと考えています。」

面接の逆質問に使う

平均勤続年数の数値を起点にすると、企業ごとに踏み込んだ問いが立てられます。志望度の高さと事前準備の深さが同時に伝わります。

デンソーの面接──「なぜ他の自動車部品メーカーではなくデンソーか」と聞かれたとき

「有報で平均勤続年数が23.1年と、長期育成を前提にした組織だと理解しています。技術を長く深められる環境に魅力を感じる一方で、長く活躍されている技術者の方は、どのようなタイミングで専門領域を広げたり、マネジメントに移ったりすることが多いのでしょうか?」

JR東日本の面接──「なぜインフラ業界で当社か」と聞かれたとき

「有報で平均勤続年数16.6年に対し平均年齢が39.2歳と、長く働ける一方で若手の比率も高い組織だと理解しています。新卒採用を厚く続けている御社で、入社3〜5年目の若手はどのような裁量を持って仕事に関わることが多いのでしょうか?」

三菱商事の面接──「なぜ商社、なかでも当社か」と聞かれたとき

「有報で平均勤続年数が17.8年と、高報酬でありながら人が長く定着している点に、働き続けられる環境を感じました。長期で活躍されている商社パーソンの方に共通する、若手時代の経験の積み方があれば伺いたいです。」

メルカリの面接──「なぜ大手ではなくメルカリか」と聞かれたとき

「有報で平均勤続年数が3.8年と、設立2013年の若い組織であることが数字に表れていると理解しています。会社の歴史をこれから一緒に作る側に回れる点に魅力を感じていますが、急成長フェーズの中で若手が任される役割は、入社後どのように広がっていくのでしょうか?」

企業比較のフレームワークとして使う

平均勤続年数を「絶対値」「業界標準との相対位置」「平均年齢とのバランス」の3軸で見ると、企業の組織の性格が明確になります。

比較軸わかること
勤続年数の絶対値定着の「長さ」──ただし業界・会社の歴史で水準が変わる
業界標準との相対位置業界の流動性を補正した「定着の強さ」
平均年齢とのバランス組織の「性格」──新卒長期型か若手活力型か

まとめ

離職率ランキングは、口コミの評判ではなく有報の数字で「長く働ける会社か」を見極めるためのツールです。ただし、数字をそのまま順位として読むのではなく、業界・会社の構造で補正して読む必要があります。

企業平均勤続年数区分組織の性格
デンソー23.1年事業会社単体新卒長期型の製造業
三菱商事17.8年事業会社単体高報酬×定着の商社
JR東日本16.6年事業会社単体若手活力型のインフラ
ソニーグループ15.8年持株会社単体本社スタッフの数値
野村ホールディングス4.4年持株会社単体持株会社の本社構成
メルカリ3.8年事業会社単体若い成長企業

出典: 各社 有価証券報告書(メルカリは2025年06月期、その他は2025年03月期)

自分の志望企業を見るときは、まず同じ業界の標準と照らし、提出会社が事業会社か持株会社かを確認したうえで、勤続年数と平均年齢のバランスを読む。この順で見れば、「長く働けるか」は口コミに頼らず自分で判断できます。同業他社より勤続年数が長ければ、それは「長く働ける環境」の確かな裏付けになります。

なお、平均勤続年数は有報の「従業員の状況」に必ず開示されますが、これは提出会社(単体)の数値であり、連結ベースの平均勤続年数は開示されません。純粋持株会社が提出会社の場合、数値は本社スタッフのみを反映します。また、離職率の直接的な数値は開示義務がなく、本記事では具体数値を扱っていません。勤続年数はあくまで定着の「代理指標」であり、実際の働きやすさは採用ページやOB・OG訪問など、有報以外の情報源と組み合わせて判断してください。

この記事のポイント

  • 平均勤続年数は業界で「標準」が全く違う。インフラ・製造・商社は15〜23年、IT・ネットは5〜15年。同業界内の相対位置で読む
  • 東京海上HD・ソニーグループ・リクルートHD・野村HDは提出会社が持株会社で、勤続年数は本社スタッフのみを反映する。事業会社の実態とは別物
  • 勤続年数の短さは「ブラック」を意味しない。メルカリ3.8年は会社の若さの反映で、短さの理由を切り分けて読む

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よくある質問

離職率は有報に書いてありますか?

離職率そのものの開示は義務ではなく、多くの企業は有報に数値を記載していません。代わりに使えるのが「従業員の状況」に必ず載っている平均勤続年数です。平均勤続年数が長い企業は一般的に離職率が低い傾向にあるため、定着の代理指標として読み解けます。

平均勤続年数が長い企業は本当に働きやすいですか?

平均勤続年数は働きやすさの一つの目安ですが、それだけでは判断できません。中途採用が多い企業や会社の歴史が浅い企業は平均勤続年数が短くなりますし、業界の流動性によっても水準が変わります。業界の特性と平均年齢とのバランスをあわせて解釈する必要があります。

IT企業の平均勤続年数が短いのは問題ですか?

IT・ネット業界は人材の流動性が高く、転職がキャリアアップの手段として一般的です。平均勤続年数が短いのは必ずしも問題ではなく、業界の特性や会社の若さの反映であることが多いです。製造業やインフラ業と同じ基準で比較するのは適切ではありません。

持株会社の平均勤続年数が短いのはなぜですか?

純粋持株会社が有報を提出している場合、平均勤続年数は数百〜数千人規模の本社スタッフのみを反映します。中途採用や事業会社からの出向で構成されることが多く、連結数万人の事業会社の実態とは水準が異なります。野村ホールディングスやソニーグループの数値はこのパターンです。

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