「コンサル志望です」と言ったとき、ベイカレントとNTTデータでは入社後の仕事がまったく違います。ベイカレントは少数精鋭で経営戦略を練る仕事、NTTデータは19万人の組織でシステムを作る仕事。どちらも「コンサル・IT」のくくりですが、働き方・給与・キャリアパスが根本的に違います。
この記事では、戦略コンサル・総研系・中堅SI・M&Aアドバイザリーを代表する8社を有価証券報告書で横断比較します。読み終わる頃には「コンサル・SIは4つの稼ぎ方に分かれる」「外資コンサルと日系コンサルで何が違うか」がわかる状態になります。なお、マッキンゼーやBCGなど外資系は非上場で有報がないため、ここでは上場プレイヤーに絞っています。
| あなたの状態 | おすすめの読み方 |
|---|---|
| まず業界全体を俯瞰したい | この記事を順に読む |
| 個社を深掘りたい | NRI・ベイカレント・SCSK |
| SI業界を比較したい | TIS・BIPROGY・大塚商会 |
| 面接が近い | NRI面接対策 |
有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。記事中の専門用語は用語集で確認できます。

コンサル・SI業界とは|数字で見る業界の全体像
コンサル・SI業界は戦略コンサル・総研系SI・中堅SI・M&Aアドバイザリーの4サブセグメントから成る業界です。当サイトでは8社の個別有報分析記事を公開しており、代表7社の数字で業界規模を概観します。

かつてのコンサル・SI業界は「人月ビジネス」(エンジニアの数×時間で稼ぐ)が中心でしたが、今は状況が分かれています。ベイカレントやM&Aセンターは少数精鋭で利益率37-38%を出す一方、大塚商会は1万人規模で中小企業のIT需要を取り込む。稼ぎ方が根本的に違う会社が「同じ業界」として括られています。
面接で使うなら: 「コンサルって、ベイカレントみたいに少数で経営戦略をやる会社と、NTTデータみたいに大人数でシステムを作る会社があって、働き方が全然違いますよね。自分は〇〇なので御社です」──こう言えると、「コンサル志望」の一言で終わる就活生と差がつきます。
コンサル・SIは何で稼いでいるか|業界共通の4つのビジネスモデル
コンサル・SI業界の稼ぎ方は、有報を読むと大きく4つに分類できます。会社がどのモデルに属するかで、人材像・利益率・キャリア環境が大きく変わります。

モデル1|戦略コンサル特化型
経営戦略・新規事業立案などの高単価案件に特化。少数精鋭で1人当たり売上を最大化する純粋コンサルモデルです。代表はベイカレント(売上1,167億・営業利益率36.7%・連結5,467人)と外資系(マッキンゼー・BCG等は非上場)です。
営業利益率37%は業界トップクラス。少数精鋭×高単価で、入社後は早期からクライアント現場の意思決定に関わるキャリアになります。
サイトで読む場合: ベイカレントの戦略・成長モデルはベイカレントの有報分析で深掘りしています。
モデル2|総研系(コンサル+SI+運用の3層)
経営コンサル・システム開発・運用保守を一気通貫で提供する3層モデルです。ストック型の運用収益が利益安定の土台で、代表はNRI(売上7,562億・連結16,679人)、BIPROGY(4,038億・連結8,362人)です。
ストック型収益が高く景気変動に強い構造で、入社後はコンサルからSI・運用まで幅広い経験を積めるキャリア環境があります。
サイトで読む場合: NRIの3層モデルとストック型戦略はNRIの有報分析、BIPROGYの金融・公共向け事業はBIPROGYの有報分析で詳述しています。
モデル3|中堅SI・業界特化型
特定業界(金融・流通・製造)に強みを持つSI・受託開発モデルです。人月ビジネスから DX/クラウド/SaaS 領域へシフト中で、代表はSCSK(売上6,003億・利益率11.0%・連結20,252人)、TIS(5,667億/12.3%/21,765人)、電通総研(1,556億/14.3%/4,618人)、大塚商会(1.32兆/6.9%/10,079人)です。
規模・安定性で就職人気が高い領域。利益率は7-14%とミドルレンジで、クライアント常駐型の働き方が中心です。
サイトで読む場合: SCSK・TISの業界特化戦略はSCSKの有報分析・TISの有報分析、大塚商会の中小企業向けITは大塚商会の有報分析で確認できます。
モデル4|M&Aアドバイザリー・専門サービス型
M&A仲介・財務アドバイザリー等の専門サービスで高単価成功報酬を稼ぐモデルです。代表は日本M&Aセンター(売上404億・営業利益率38.4%・連結1,086人)です。
営業利益率38%は業界最高水準。少数精鋭で1人当たり収益が極めて高い構造で、専門性の高い人材育成が事業の軸になります。
サイトで読む場合: 日本M&Aセンターの仲介ビジネスモデルは日本M&Aセンターの有報分析で深掘りしています。
主要プレイヤーマップ|業界内の代表企業の立ち位置
コンサル・SI業界の上場プレイヤーは8社と限定的です。各社の詳細な比較・財務指標は別記事に集約していますので、ここでは1社ずつ「立ち位置を一言」で押さえます。
戦略コンサル・M&A|少数精鋭高単価モデル
ベイカレント(売上1,167億・営業利益率36.7%)は戦略コンサル特化の高利益率モデル。少数精鋭・高単価で日本発の戦略コンサルとして急成長しました。
日本M&Aセンター(売上404億・営業利益率38.4%)はM&A仲介専業。1,086人で売上404億の高生産性、中堅・中小企業のM&A需要を取り込みます。
総研系|コンサル+SI+運用の3層モデル
NRI(売上7,562億)は総研系最大手。コンサル+SI+運用のストック型で安定成長、業界横断的な事業展開が特徴です。
BIPROGY(売上4,038億)は旧日本ユニシス。金融・公共向け基幹システムに強みを持ち、SI+運用のストック型収益が土台です。
中堅SI・業界特化|業界別ドメイン専門
SCSK(売上6,003億・利益率11.0%)は住友商事系SI。安定した中堅SIで20,252人規模、商社系のクライアント基盤が強み。
TIS(売上5,667億・利益率12.3%)は金融系SI。金融業界に強みを持つ中堅SI、21,765人規模で着実な成長を続けます。
電通総研(売上1,556億・利益率14.3%)は電通系DX/業務SI。電通グループのDX・業務システム部門としての立ち位置です。
大塚商会(売上1.32兆・利益率6.9%)は中小企業向けIT総合。中小企業のIT・OA機器需要を取り込む規模の経済モデルです。
サイトで読む場合: 上記8社の詳細は各個別記事で。サブセグメント別比較はコンサルカテゴリ一覧から検索してください。
業界共通のリスク|有報が語る業界全体の課題
コンサル・SI業界の有報「事業等のリスク」を業界横断で読むと、4つの共通課題に整理できます。
リスク1|人材確保競争(コンサルタント・エンジニア争奪)
外資系コンサル・GAFAM・スタートアップとの人材争奪戦で給与水準が上昇。コンサル・SI業界は『人が資本』のビジネスのため、人材流出が直接業績を直撃する構造です。
リスク2|AI/生成AIによる代替リスク
コーディング・調査分析・基本設計など、従来のコンサル・SI業務の一部がAIで代替されるリスク。特に下流工程の人月ビジネスは影響大です。
ただし、AI活用支援・AI実装案件などの新規需要も急拡大。各社とも自社AI事業(NRIのNRI Digital等)を立ち上げて機会に転換中で、AIは脅威と機会のセットで捉えるべき要素です。
リスク3|クライアント業界の景気変動
金融・製造・流通など、クライアント業界の業績悪化でIT投資・コンサル需要が縮小するリスク。特定業界依存度が高い会社ほど影響大です。
リスク4|プロジェクト失敗・係争リスク
大規模システム開発の失敗で多額の損失発生・係争に発展するリスク。みずほMINORI・BIPROGY大型案件など、業界全体で過去の失敗事例も多くあります。
失敗リスクは大きいですが、それを乗り越えた経験値は他社にない競争優位でもあります。経験ある会社は新規案件で選ばれやすい構造もあるのが業界特性です。
面接で使うなら: 「コンサル・SI業界の4大リスク(人材・AI・景気・失敗)はサブセグメントごとに『追い風』と『逆風』が分かれる構造を理解しています」と語れば、ネガティブ情報を構造的に把握していることを示せます。
キャリア選びの3つの軸|業界内で会社をどう絞り込むか
業界全体を俯瞰した上で「自分はどの会社に向いているか」を考えるとき、有報データから3つの軸が浮かびます。

軸1|戦略コンサル vs 業務系SI
最も大きな軸は「少数精鋭高単価」か「規模・安定」かです。ベイカレント・M&Aセンターの戦略コンサル/M&A型は、少数精鋭で営業利益率37-38%。一方、SCSK・TIS・BIPROGY・大塚商会の業務SI型は、規模と安定性で勝負します。
報酬・働き方・スピード感が大きく違います。戦略型は早期から経営層との議論、業務SI型は長期プロジェクトでの企業基盤構築が中心です。
面接で使うなら: 「早期から経営層と議論する高密度の仕事と、企業の業務基盤を長期で育てる仕事のどちらに興味があるか」を整理しておくと、志望理由のロジックが明確になります。
軸2|プロジェクト型 vs ストック型
プロジェクトごとに新しい課題に挑む仕事か、長期運用・改善を継続する仕事かです。プロジェクト型はベイカレント・M&Aセンター、ストック型はNRI・SCSK・大塚商会です。
スキルの蓄積方向が違います。プロジェクト型は完遂体験が達成感の源泉、ストック型は長期改善でサービスを育てる達成感が中心です。
面接で使うなら: 「プロジェクトの完遂を達成感の源泉とするか、長期改善でサービスを育てる達成感を求めるか」が分岐点です。
軸3|クライアント業界の幅
幅広い業界に触れて多様な課題解決経験を積みたいか、特定業界のドメイン専門家になりたいかです。横断はベイカレント・大塚商会、特化はTIS(金融)・電通総研(DX)です。
面接で使うなら: 「多業界経験で抽象化能力を磨きたいか、特定業界のプロフェッショナルになりたいか」を業界比較データで補強できると差がつきます。
面接で使える業界知識|業界全体を語れるフレーズ集
面接で「コンサル業界をどう見ていますか?」と聞かれたら、以下のような話ができると差がつきます。
話題1|ビジネスモデルの4分類を語る
「コンサル・SI業界は大きく4タイプに分かれると理解しています。ベイカレント・コンサルティングのような戦略特化型、野村総合研究所のようなコンサル+SI+運用の3層型、SCSKのような業界特化SI型、日本M&Aセンターのような専門サービス型。同じコンサル志望でも、仕事内容が大きく異なります。自分は〇〇な仕事に関心があり、御社を志望しています」
話題2|利益率の違いを構造で説明する
「ベイカレント・コンサルティングの営業利益率37%と大塚商会の7%を比べると、ベイカレントが優れているように見えますが、そうではなく、稼ぎ方の構造が違うと考えています。少数精鋭で高単価を追求するモデルと、規模で安定的に稼ぐモデルの違いです。自分は〇〇な働き方を志向しており、御社の事業構造に惹かれました」
話題3|外資と日系の違いを語る
「マッキンゼーやBCGは知名度が高いですが、非上場のため有価証券報告書がなく、具体的な財務数値を確認できません。ベイカレント・コンサルティングや野村総合研究所は有報で経営戦略を確認できます。自分は〇〇を重視しているので、数字で判断できる御社を選びました」
サイトで読む場合: 個社別の「なぜ御社か」フレーズと面接質問への準備は、各社の個別有報分析記事と面接対策記事で網羅しています。
まとめ|次のアクション
コンサル・SI業界を有報データで俯瞰すると、「同じコンサル」でも稼ぎ方・利益率・キャリア環境が大きく違うことが見えてきます。
- 営業利益率7〜38%の5倍超、売上0.04〜1.32兆円の30倍超の構造差──業界一括りでは見えない4つのビジネスモデルがある
- 稼ぎ方は4タイプ(戦略コンサル特化・総研系3層・中堅SI業界特化・M&Aアドバイザリー)──少数精鋭高単価か規模安定かで会社の性格が決まる
- 会社選びは『戦略 vs 業務SI × プロジェクト型 vs ストック型 × 業界横断 vs 業界特化』の3軸──業界俯瞰→サブセグメント代表→比較→面接の順で進める
業界全体の俯瞰ができたら、次は自分のフェーズに合わせて深掘りに進んでください。
| あなたの今の状態 | 次のアクション |
|---|---|
| 志望企業がほぼ決まっている | 個社の有報分析: NRI ・ ベイカレント ・ SCSK ・ TIS ・ BIPROGY ・ 電通総研 ・ 大塚商会 ・ 日本M&Aセンター など8社の個別分析 |
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コンサル業界は「外資系コンサル」のイメージで語られがちですが、有報を読むと国内上場8社それぞれが異なるビジネスモデルとキャリア環境を持っていることがわかります。イメージではなく事実で会社を選ぶ──そのための入口として本記事を使ってください。
本記事のデータは各社の有価証券報告書(2025年3月期等・EDINET)に基づいています。投資判断を目的としたものではなく、就職活動の参考情報として提供しています。意思決定は必ずご自身の判断で行ってください。