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IT/通信 2025年06月期期

グリーの将来性|有報で見るゲーム縮小とメタバース・IP事業への転換

約9分で読了
#グリー #有価証券報告書 #IT #企業分析 #就活 #メタバース

企業名

グリーホールディングス

業種

インターネットサービス(ゲーム・メタバース)

証券コード

3632

対象事業年度

2025年06月期

グリーの有報分析 要点: 売上高571億円、営業利益48億円。ゲーム事業が売上の64.6%を占めるが、4期前の632億円から369億円へ4割縮小。一方でメタバース事業(REALITY・VTuber)が82億円に成長し黒字化を達成。ゲーム依存からの脱却を図る転換期の企業像が有報から浮かび上がる。(2025年6月期有報に基づく)

有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。

「GREE」の名前を聞いて、2010年代前半のソーシャルゲーム全盛期を思い浮かべる人は多いでしょう。しかし2025年のグリーは、ゲーム事業の縮小と向き合いながら、メタバース・IP・DXという新領域に活路を見出す「変革途上の企業」です。有報のデータが示す実態を読み解きます。

なお、グリーは6月期決算であり、本記事のデータは2025年6月期(2024年7月〜2025年6月)の有報に基づいています。

グリーの業績推移

売上高純利益ROE営業CF
4期前632億円135億円11.6%68億円
3期前749億円101億円9.6%132億円
2期前754億円92億円10.2%45億円
前期613億円46億円5.0%35億円
当期571億円11億円1.3%6.7億円

出典: グリーホールディングス 有価証券報告書 2025年6月期

売上高は4期前の632億円から当期571億円へ縮小し、純利益は135億円から11億円へ大幅に減少しています。ROEも11.6%から1.3%まで低下。営業キャッシュフローも68億円から6.7億円へ激減しており、キャッシュ創出力の低下が顕著です。

一方で自己資本比率は70.0%と財務基盤は依然健全であり、総資産1,328億円に対し自己資本約930億円の体力を維持しています。

ビジネスの実態|ゲーム縮小とメタバース台頭

セグメント売上高構成比営業利益
ゲーム369億円64.6%45.9億円
メタバース82億円14.4%6.6億円
DX67億円11.8%9.2億円
投資33億円5.9%△4.1億円
IP17億円3.0%2.8億円
その他1.4億円0.3%1.7億円

出典: グリーホールディングス 有価証券報告書 2025年6月期 セグメント情報

注: 上表の営業利益はセグメント利益であり、全社費用(△13億円)控除前の数値です。連結営業利益は48億円です。

ゲーム事業(売上369億円)

前期430億円から61億円減収、利益も65億円→45.9億円と約19億円減益です。WFSによるスマートフォンゲーム、GREE Studiosのコンシューマゲーム、プラットフォーム「GREE」の運営を行っています。有報の戦略では「既存タイトルの長期安定運用と収益性の改善」「マルチプラットフォーム展開を基本とした開発体制の強化」を掲げていますが、縮小トレンドに歯止めがかかっていない状況です。

メタバース事業(売上82億円)

前期72億円から10億円増収し、利益は2億円→6.6億円と黒字を拡大しています。スマートフォン向けメタバース「REALITY」と、VTuber事業のタレントマネジメント・プロデュースが柱です。有報では「収益力強化を一層推進し、事業の安定的な成長を目指す」「VTuber事業は、国内外でのタレント育成・発掘及びコンテンツ拡充への投資を継続」と記載されており、成長投資と収益化の両立を志向しています。

DX事業(売上67億円)

利益9.2億円と安定的な収益源になっています。マーケティング領域を中心としたクライアント企業のDX支援やSaaS展開を行い、「リカーリング型収益モデルへの転換を加速」と有報に記載されています。

IP事業(売上17億円)

2025年4月にIP事業本部を新設したばかりの最も新しいセグメントです。アニメやマンガ等のIPを獲得・創出し、マーチャンダイジング事業でIPを活用するサイクルの拡大を目指しています。

主要顧客構造

顧客売上高
Apple Inc.134億円
Google Inc.124億円

出典: グリーホールディングス 有価証券報告書 2025年6月期 関連情報

AppleとGoogleへの売上合計258億円は、ゲーム・メタバース事業のプラットフォーム経由の課金売上です。有料課金収入408億円、その他163億円という収益構造で、課金収入への依存度が高いことがわかります。

グリーは何に賭けているのか|メタバース・IP・DXの三本矢

有報の経営課題として「新たな収益源の確保を重要課題」と明記されています。具体的には以下の方向性が示されています。

1. メタバース事業の成長投資

REALITYの収益力強化に加え、VTuber事業では国内外でのタレント育成・発掘とコンテンツ拡充への投資を継続。メタバース事業が82億円で黒字化を達成したことは、ゲーム縮小の中での明るい材料です。

2. IP事業の収益サイクル構築

2025年4月にIP事業本部を新設し、「長年にわたる実績を有するアニメ事業等でIPを獲得・創出し、マーチャンダイジング事業等の新規事業においてIPを活用するサイクルを拡大」する戦略です。アニメ制作→IP獲得→グッズ展開という収益循環の構築を目指しています。

3. DX事業のリカーリング型転換

DXソリューション事業とDXコンサルティング事業の2軸で、一回限りの案件型からリカーリング(継続課金)型への転換を加速。ゲーム事業の変動に左右されない安定収益基盤を構築する狙いです。

設備投資・R&Dから見る成長戦略

設備投資:わずか5百万円

有報によると、当期の設備投資はわずか5百万円(0.05億円)です。主な内容はオフィス設備費用と備品購入費用で、工場や大型設備を持たない超アセットライトモデルの典型です。

出典: グリーホールディングス 有価証券報告書 2025年6月期 設備投資等の概要

R&D費:10.8億円

R&D費はゲーム事業に10.8億円を計上。スマートフォン向けゲームコンテンツの開発が中心です。有報の市場データによると、国内ゲームコンテンツの市場規模は2兆3,961億円(前年比3.4%増)と依然として巨大な市場ですが、その中でグリーのゲーム事業は縮小しているのが現状です。

出典: グリーホールディングス 有価証券報告書 2025年6月期 研究開発活動

有報のリスク記載では、「生成AIを含む人工知能技術や大規模言語モデル、機械学習、クラウドコンピューティング、量子技術など、新たな技術潮流が事業環境や競争構造を急速に変化させている」と記載されており、技術革新への対応が重要課題として認識されています。

R&D費や設備投資の読み方をもっと詳しく知りたい方は設備投資・R&Dの読み方ガイドをご覧ください。

有報から見えるリスク要因

リスク1: ゲーム事業の構造的縮小

ゲーム事業の売上は4期前の632億円から当期369億円へ約4割縮小しています。有報には「スマートフォンゲームの高機能化、多機能化による質の向上に伴う開発難易度の上昇により開発期間が長期化し、開発費が高騰する傾向にある」と記載されており、ゲーム事業の収益構造は厳しさを増しています。

リスク2: 有料課金(ガチャ)収入への依存

有料課金収入408億円がグリーの主要収益源です。有報では「業界団体が定めるガイドライン等を遵守」しているとしつつも、今後の規制強化リスクは排除できません。

リスク3: 創業者への経営依存

有報には「代表取締役会長兼社長である田中良和は、創業者であると同時に創業以来当社グループの事業推進、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を担ってまいりました」と記載されており、「同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めている」としながらも、特定人物への依存リスクを認めています。

リスク4: メタバース市場の不確実性

メタバース事業は黒字化を達成しましたが、有報では「見通しとは異なる状況が発生するなどにより事業の展開が計画どおりに進まない場合」のリスクを指摘しています。

有報のリスク情報の読み方は事業リスクの読み方ガイドで詳しく解説しています。

あなたのキャリアとマッチするか

従業員データ

指標数値読み方
連結従業員数1,489人コンパクトなIT企業
単体従業員数123人持株会社は極めて少数。事業は子会社で実行
平均年齢40.2歳IT企業としてはやや高め
平均勤続年数6.9年中程度の定着率
平均年間給与865万円IT業界でも高水準

出典: グリーホールディングス 有価証券報告書 2025年6月期 従業員の状況

持株会社123名に対し連結1,489名。WFS(ゲーム開発)、REALITY(メタバース)等の事業子会社に配属される形が基本です。平均年収865万円は業界高水準であり、少数精鋭で高報酬の組織文化がうかがえます。

海外売上は73億円(12.9%)で、国内売上497億円が中心です。ただしREALITYやVTuber事業では海外ユーザーの獲得も進めています。

グリーが合う人

志向有報の根拠
メタバース・VTuber領域で働きたいメタバース事業82億円で黒字化達成、VTuber事業の成長投資継続(2025年6月期)
新領域の事業立ち上げに携わりたいIP事業本部新設(2025年4月)、DXリカーリング型転換推進中(2025年6月期)
高い年収水準を求める平均年収865万円(2025年6月期)

グリーが合わないかもしれない人

志向理由
急成長企業で働きたい売上5期連続縮小(632億→571億円)、純利益135億→11億円(2025年6月期)
安定した業績を重視するゲーム事業の縮小トレンドが継続中(2025年6月期)
大組織の中でキャリアを積みたい連結1,489名とコンパクト(2025年6月期)

面接で使える有報ポイント

志望動機で使える例

「御社の有報で、メタバース事業(REALITY)が売上82億円で黒字化を達成された点に注目しました。ゲーム事業の縮小という課題に正面から向き合い、メタバース・IP・DXという新領域で収益の多角化を進める御社の戦略は、まさに変革の実行力を問われる局面だと感じています。」

逆質問で使える例

「有報に2025年4月のIP事業本部新設が記載されていますが、アニメIPの獲得からマーチャンダイジングへの展開において、どのような規模感と時間軸を想定されていますか?」

他社比較で使える例

「御社のDX事業は売上67億円・利益9.2億円とゲーム事業の変動に左右されない安定収益源になっています。リカーリング型収益モデルへの転換を有報で方針として掲げている点は、ゲーム事業依存のリスクを経営レベルで認識していることの表れだと理解しています。」

まとめ

項目内容
勝ちパターンメタバース事業の黒字化×DX事業の安定収益×IP事業の新設による多角化
未来の賭けREALITY・VTuber事業の成長×IP事業のサイクル構築×DXリカーリング型転換
最大のリスクゲーム事業の4割縮小トレンド×有料課金依存×創業者への経営依存
合う人材像メタバース・IP等のエンタメ新領域に挑戦し、変革期の企業で力を発揮したい人

グリーの有報が映し出すのは、「ソーシャルゲーム時代の成功体験」からの脱却を進める企業の姿です。売上は5期で632億円から571億円に縮小し、純利益は135億円から11億円まで落ちました。しかし、メタバース事業の黒字化、IP事業本部の新設、DXのリカーリング型転換と、次の成長のための種まきは着実に進んでいます。この「変革の途中」に身を置くことを前向きに捉えられるかどうかが、グリーとの相性を分けるポイントです。

本記事のデータは有価証券報告書(2025年6月期・EDINET)に基づいています。投資判断を目的としたものではなく、企業の将来の業績を保証するものではありません。最新情報はグリーホールディングスの公式IR資料をご確認ください。

よくある質問

グリーは何で稼いでいますか?

2025年6月期の有報によると、ゲーム事業(WFS・GREE Studios等によるスマホゲーム・コンシューマゲーム開発)が売上369億円(64.6%)で最大。メタバース事業(REALITY・VTuber)が82億円(14.4%)、DX事業が67億円(11.8%)、投資事業が33億円、IP事業が17億円です。

グリーの将来性は?

有報からは、ゲーム事業の縮小トレンド(4期前632億円→当期369億円)の中で、メタバース事業(REALITY)が黒字化を達成し新たな成長エンジンになりつつあることが読み取れます。2025年4月にはIP事業本部を新設し、アニメ→マーチャンダイジングの収益サイクル構築にも着手しています。

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