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小売/流通 2025年03月期期

丸井グループの将来性|有報で見るフィンテック×売らない店の融合モデル

約12分で読了
#小売業界 #有報 #就活 #丸井グループ #エポスカード #フィンテック #LTV経営 #売らない店

企業名

丸井グループ

業種

小売業

証券コード

8252

対象事業年度

2025年03月期

丸井グループの有報分析 要点: 丸井グループは売上収益2,544億円の小売・フィンテック企業。「ファッションビル」のイメージとは異なり、フィンテック(エポスカード)が売上の70%・セグメント利益の約84%を占める。5期で純利益が23億円から266億円へ11.7倍、ROE10.6%は34年ぶりの10%超え。店舗は非物販テナント65%の「売らない店」へ転換済み。(2025年3月期有報に基づく)

マルイ=若者向けファッションビル。そのイメージは、もはや実態から大きく離れています。有報を開くと、丸井グループは「小売業の顔をした金融企業」であり、利益の約84%がフィンテック事業(エポスカード等)から生まれていることがわかります。

この記事のデータは株式会社丸井グループの有価証券報告書(2025年3月期・EDINET)に基づいています。 有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。

この会社が賭けているもの数値的根拠(2025年3月期有報)就活での注目点
フィンテック(エポスカード)売上構成比70%・セグメント利益441億円(利益の約84%)、カード取扱高4.5兆円金融×小売の融合モデルで独自のカードマーケティングを経験できる
「売らない店」への転換非物販テナント面積構成65%、小売セグメント4期連続増益体験型商業施設のプロデュースというユニークなキャリア
「好き」を応援するカード×共創投資LTVが一般カードの2〜7倍、会員111万人(前年差+21万人)、投資有価証券取得68億円アニメ・ゲームコラボ115企画など独自のカード企画に関われる

丸井グループのビジネスの実態|何で稼いでいるのか

株式会社丸井グループは、エポスカードを軸としたフィンテック事業と、マルイ・モディ店舗の商業施設運営を行う企業です。

項目内容
社名株式会社丸井グループ
証券コード8252(東証プライム)
EDINETコードE03040
決算期3月期
業種分類小売業
主要事業フィンテック(エポスカード)・商業施設運営
売上収益(2025年3月期)2,544億円(連結)
従業員数(連結)4,051名

セグメント別の構造|利益の84%はフィンテックから

丸井グループの事業は「小売」と「フィンテック」の2セグメントで構成されています(2025年3月期有報セグメント情報より)。

セグメント売上収益売上構成比セグメント利益利益構成比主要事業
小売756億円29.7%86億円16.3%商業施設の賃貸・運営管理、EC事業
フィンテック1,788億円70.3%441億円83.7%エポスカード、家賃保証、投資信託
合計(調整後)2,544億円100%445億円

出典: 株式会社丸井グループ 有価証券報告書(2025年3月期)セグメント情報

注目すべきは、フィンテックが売上の70%を占めるだけでなく、セグメント利益でも約84%を担っている点です。これはイオンの金融セグメント(利益構成比約25%)をはるかに上回る金融依存度であり、丸井グループが実質的に「金融企業」であることを示しています。

セグメント情報の読み方については有報のセグメント情報の読み方で詳しく解説しています。

業績推移|5期で純利益11.7倍

期間売上収益当期純利益EPSROE自己資本比率
4期前2,062億円23億円10.58円0.8%32.1%
3期前2,093億円178億円85.81円6.5%28.4%
2期前2,179億円215億円109.37円8.5%25.6%
前期2,352億円247億円130.70円9.9%25.2%
当期2,544億円266億円143.24円10.6%23.4%

出典: 株式会社丸井グループ 有価証券報告書(2025年3月期)主要な経営指標等の推移

4期連続の増収増益を達成し、当期のEPS143.24円は過去最高です。ROE10.6%は株主資本コスト(6.7%)を上回り、有報には「34年ぶりに10%を超えた」と記載されています。ROIC3.8%もWACC(3.0%)を超えており、資本効率の改善が進んでいます。

グループ総取扱高は4兆9,269億円(前年比+10%)で過去最高。フィンテックのカードクレジット取扱高がこの数字をけん引しています。

丸井グループは何に賭けているのか|投資と研究開発の方向性

「何に賭けているか」を読み解くため、有報の経営成績の分析、設備投資、事業リスクの記述を確認します。丸井グループの賭けは3つに集約されます。なお、研究開発費は有報に記載がないため(2025年3月期)、設備投資と戦略の記述から方向性を分析します。

賭け1: フィンテック(エポスカード)|カード取扱高4.5兆円の成長エンジン

丸井グループの利益構造を支える最大の柱がエポスカードです(2025年3月期有報)。

カードクレジット取扱高は4兆5,305億円(前年比+10%)と過去最高を記録しました。有報によると、「家計シェア最大化」戦略として、家賃払い・EC利用・公共料金などの定期払いの拡大を進めています。これにより、分割・リボ取扱高は4,321億円(前年比+10%)、分割・リボ払い残高は4,693億円(前年比+8%)に拡大しています。

エポスカードの期末会員数は790万人(前年差+31万人)で過去最高を更新。新規会員数は82万人(前年差+1万人)です。

ビジネスモデル上の特徴は、リカーリングレベニュー(継続的収入)の厚さです。有報によると、売上総利益ベースのリカーリングレベニューは1,515億円(前年比+8%)、売上総利益に占める割合は66.8%。成約済み繰延収益は3,984億円(前年比+5%)と、当期の売上総利益の約1.8倍の将来収益が既に見込まれています。

就活ポイント: エポスカードは単なるクレジットカードではなく、家賃保証・投資信託販売・少額短期保険業まで展開する金融プラットフォームです。金融業界を志望する人にとって、小売業との融合という他社にないビジネスモデルを経験できる環境です。

賭け2: 「売らない店」への転換|非物販テナント65%の体験型店舗

丸井グループの小売戦略は「売ること」を目的としない方向に大きく舵を切っています。

有報によると、マルイ・モディ店舗における非物販テナントの面積構成は65%(前年差+4%)に達しました(2025年3月期)。体験型テナント、スクール、飲食・サービスなど、従来の「モノを売る場所」とは異なるテナントが店舗の主役です。

出店サービス「OMEMIE(おめみえ)」は、全国のマルイ・モディの出店スペースの検索から契約までをオンラインで完結するサービスで、D2Cブランドや個人事業主など従来マルイに出店がなかった新規テナントの導入につながっています。この施策により、小売セグメントの営業利益は86億円(前年比+24%)と4期連続の増益を達成しました。

EC取扱高も過去最高の243億円を記録しています(2025年3月期有報)。

有報には「店舗は新しい顧客獲得の重要なタッチポイントであり、エポスカードの発行拠点としてフィンテックセグメント利益にも貢献しています」との記載があり、店舗がカード事業の入口として位置づけられていることが明確です。

設備投資は総額145億円(2025年3月期有報)。内訳は小売セグメント113億円、フィンテックセグメント60億円です(調整額△27億円)。店舗の売場改装やシステム投資が主な用途となっています。

賭け3: 「好き」を応援するカード×共創投資|LTV経営の進化

丸井グループが成長戦略の鍵として推進しているのが、「好き」を応援するカードと共創投資です(2025年3月期有報)。

「好き」を応援するカードとは、アニメ・ゲーム・エンターテインメントとコラボレーションしたエポスカードのことです。有報によると以下の特徴があります。

  • 企画数は全115企画に拡大
  • 新規会員数は34万人、期末会員数は111万人(前年差+21万人)
  • 一般カードに比べてLTV(生涯利益)が2〜7倍
  • 若者の保有比率が高く、SNSを通じた認知拡散に強い

有報では「店舗では『好き』を応援するカードと連動したイベントなど、リアルでの体験の場を提供したり、ECではコラボグッズを開発・販売するなど、カード・店舗・ECを持つ当社グループならではの取り組みを行うことで、独自の体験価値を提供しています」と説明されています。つまり、カード・店舗・ECの三位一体が丸井グループの独自性です。

共創投資については、有報によると投資有価証券の取得に68億円を投じています。2024年3月期より投資方針を見直し、初回投資は少額にとどめ、協業成果による上場可能性が高まった場合に追加投資する方針に変更しました。

丸井グループが自ら語るリスクと課題|PRでは絶対に出ない情報

有報の「事業等のリスク」には、企業が自ら認識するリスクが法的義務として記載されます。丸井グループのリスク情報から、就活生が知るべき3つのリスクを抽出します。

リスク1: フィンテック1セグメントへの利益集中

フィンテックセグメントのセグメント利益441億円は、調整前ベースで全セグメント利益の約84%に相当します(2025年3月期有報)。この1セグメントへの利益集中は、エポスカードの事業環境が変化した場合に、グループ全体の業績に直結するリスクを意味します。

有報には「キャッシュレス化の推進にともなう決済手段の多様化などテクノロジーの進化や、人口動態変化による価値観の多様化・消費者行動の変化等により、クレジットカードの市場環境が変動し、競合他社との競争が激化することによって、顧客の減少や手数料収入の減少が予想されます」と記載されています。

リスク2: 営業債権拡大に伴う資金調達リスク

営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)は6,298億円(前年差+396億円)、有利子負債は6,365億円(前年差+421億円)です(2025年3月期有報)。自己資本比率は23.4%(前年差-1.8%)と低下傾向にあります。

有報では「金融市場に混乱が発生した場合には資金調達に制約を受ける可能性があります」「当社グループの業績が著しく悪化したり信用力が急激に低下した場合には、金融機関からの借入が困難となり社債発行にも支障をきたすなどの状況が想定されます」と明記されています。

対応策として、有利子負債は営業債権の9割程度を維持する方針、調達手段の多様化(間接調達・直接調達・債権流動化)、固定金利比率の一定維持が挙げられています。

リスク3: 個人消費の低迷とEC競合

有報では「景気変動、物価高や金利上昇による経済状況の変化、人口減少等、個人消費の低迷をもたらす市場の変化をはじめ、競合の発生、EC市場の拡大」が小売・フィンテック両セグメントの業績に影響する可能性があると記載されています。

加えて、個人情報漏洩リスクについても「エポスカードの会員情報をはじめとする多数のお客さまやステークホルダーの皆さまの個人情報を保有しており、万が一、情報の漏洩や不正利用等の事態が生じた場合においては、当社グループの社会的な信用の失墜や損害賠償責任が発生するリスク」と、金融企業としてのサイバーセキュリティリスクを認識しています。

リスク情報の読み方について詳しくは有報のリスク情報の読み方をご覧ください。

あなたのキャリアとマッチするか

従業員データ

項目データ(2025年3月期有報)読み方
従業員数(連結)4,051名小売業としてはコンパクトな組織
従業員数(単体・持株会社)270名持株会社のため単体は少数
平均年齢39.8歳
平均勤続年数16年
平均年間給与約682万円持株会社単体270名の平均

出典: 株式会社丸井グループ 有価証券報告書(2025年3月期)従業員の状況

連結4,051名は、イオン(163,584名)やセブン&アイと比較すると規模が小さく、一人ひとりの業務範囲が広い組織です。有報によると2024年にデジタル人材の採用を目的とした株式会社マルイユナイトを設立し、UI/UXやWeb系システム人材の採用を推進しています。

業界の年収水準との比較は平均年収ランキング(有報データ)で確認できます。

丸井グループに合うと考えられる人

志向性丸井グループとの対応
フィンテック×小売の融合に関わりたいエポスカード790万人会員を基盤とした金融×小売の独自モデルを経験できる
カードマーケティング・企画に携わりたい「好き」を応援するカード115企画など、アニメ・ゲームコラボを含む独自のカード企画に関われる
体験型商業施設の企画・運営に関心がある非物販テナント65%の「売らない店」を企画するキャリアが得られる
スタートアップとの協業に興味がある共創投資を通じた未上場企業との協業、OMEMIE等の新規事業に携われる
LTV経営・サブスク型ビジネスを学びたいリカーリングレベニュー66.8%の事業構造で長期視点の経営を体験できる

丸井グループに合わないと考えられる人

志向性理由
大規模組織でスケールの大きい仕事をしたい連結4,051名はイオンの約40分の1。小売業の中ではコンパクトな組織
海外勤務を希望する売上の90%超が国内。有報に海外事業の記載はない
高年収を最優先する持株会社単体の平均年間給与は約682万円(2025年3月期有報)
モノづくりに関わりたい製造業ではなくプラットフォーム事業。メーカー志向の人には不向き

有報では読み取れないこと: 社風・職場の人間関係・配属先の実態は有報では把握できません。ただし有報には「すべての社員が自ら手を挙げてチャレンジできる風土」「グループ公認プロジェクト」「次世代経営者育成プログラム(CMA)」などの人材育成方針が記載されています。実際の職場環境はOB/OG訪問で補完することを推奨します。

面接で使える有報ポイント

NG例とOK例

NG: 「マルイの店舗が好きなので志望しました」

OK: 「有報でフィンテックセグメントが利益の約84%を占め、店舗は『売らない場所』に転換しエポスカード会員獲得の入口として機能していることを確認しました。金融×小売の融合モデルに強く惹かれ、『好き』を応援するカード(LTV2〜7倍)の企画拡大に携わりたいです」

逆質問で使えるネタ

  • 有報でフィンテックセグメントが利益の約84%を担う構造は把握していますが、小売セグメントの収益性をさらに高めるために、今後注力する施策はどのような領域ですか?
  • 「好き」を応援するカードが115企画まで拡大していますが、今後コラボレーションを強化したい領域や、目標とする会員数の水準について教えてください。
  • 有報でマルイユナイトによるデジタル人材の採用強化が記載されていましたが、既存社員のデジタルスキル育成とどのように棲み分けていますか?新卒にはどのようなスキルを期待していますか?

有報を面接で活用する方法については有報を面接で活用する方法で詳しく解説しています。

まとめ

視点丸井グループの特徴
事業の核心フィンテック(エポスカード)が利益の約84%を稼ぐ「金融企業」(2025年3月期)
成長の方向カード取扱高4.5兆円・会員790万人の拡大、「好き」を応援するカード(LTV2〜7倍)
店舗戦略非物販テナント65%の「売らない店」で体験価値を提供し、カード会員獲得の入口に
財務推移5期で純利益23億円→266億円(11.7倍)。ROE10.6%は34年ぶりの10%超え
雇用規模連結4,051名。コンパクトだが一人あたりの業務範囲は広い

丸井グループは「ファッションビル」ではなく「フィンテック×体験型店舗の融合企業」です。この認識を有報のセグメント利益構造で語れれば、面接での差別化は明確です。

同じ小売業界でもイオンは金融セグメントの利益構成比が約25%、丸井グループは約84%と、金融依存度には大きな差があります。ECプラットフォーム型のZOZOの有報分析やBtoB特化のMonotaROの有報分析と比較すると、小売業界の多様なビジネスモデルが見えてきます。小売業界の有報比較も合わせて確認し、業界内での各社のポジションを把握しておくと、企業研究の精度が上がります。

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本記事のデータは株式会社丸井グループの有価証券報告書(EDINET)に基づいています。投資判断を目的としたものではありません。

よくある質問

丸井グループの有価証券報告書で最も注目すべきポイントは?

フィンテックセグメント(エポスカード等)が売上構成比70%・セグメント利益の約84%を占める点です。「ファッションビル」ではなく実質的に「金融企業」であることが有報の数字から読み取れます。ROE10.6%は34年ぶりの10%超え、5期で当期純利益が23億円から266億円へ11.7倍に拡大しています(2025年3月期有報)。

丸井グループとは何の会社ですか?

エポスカード(クレジットカード)を軸としたフィンテック事業と、マルイ・モディ店舗の商業施設運営を行う企業です。売上収益2,544億円、連結従業員4,051名(2025年3月期)。店舗を「売らない場所」に転換し、エポスカード会員獲得の入口として機能させるビジネスモデルが特徴です。

丸井グループの将来性は?

5期連続で増収増益を達成し、ROE10.6%は株主資本コスト(6.7%)を上回っています。カードクレジット取扱高4兆5,305億円、エポスカード会員790万人を基盤としたLTV(生涯利益)経営と、LTVが一般カードの2〜7倍の「好き」を応援するカード(111万人)の拡大が成長ドライバーです(2025年3月期有報)。ただしフィンテックへの利益集中や資金調達リスクには留意が必要です。

丸井グループの年収水準は?

有報によると単体の平均年間給与は約682万円(270名、平均年齢39.8歳、平均勤続16年)です。ただしこれは丸井グループ(持株会社)単体の数値であり、事業会社ごとの水準は異なる場合があります(2025年3月期有報)。

丸井の「売らない店」とは何ですか?

マルイ・モディ店舗において「売ること」を目的としない体験型テナント・スクール・飲食サービスの導入を進め、非物販テナントの面積構成が65%に達しています。出店サービス「OMEMIE(おめみえ)」でD2Cブランドや個人事業主の新規テナント導入を推進し、店舗はエポスカードの会員獲得の入口として再定義されています(2025年3月期有報)。

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