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製造業 2025年03月期期

三菱電機の将来性|有報で見る5.5兆円企業の構造転換と成長戦略

約15分で読了
#三菱電機 #有価証券報告書 #有報 #就活 #企業分析 #総合電機 #パワー半導体 #FA

企業名

三菱電機

業種

総合電機

証券コード

6503

対象事業年度

2025年03月期

三菱電機の有報分析 要点: 三菱電機は売上5兆5,217億円・営業利益3,919億円で過去最高を更新した総合電機メーカー。しかし営業利益率7.1%は中期計画目標の10%に未達。8,000億円規模の事業撤退判断、パワー半導体SiC新工場への1,000億円投資、防衛・宇宙事業の売上4倍成長計画を同時並行で推進する構造転換期にある。(2025年3月期有報に基づく)

三菱電機が賭けているもの有報の根拠
事業ポートフォリオ改革(重点4事業への集中投資)8,000億円規模の事業撤退判断を2025年度中に実施。成長投資枠2.8兆円・M&A枠1兆円(2025年3月期)
パワー半導体(SiC)への大型投資熊本新工場に約1,000億円投資。8インチウエハー生産能力5倍。2030年度SiC比率30%以上(2025年3月期)
防衛・宇宙事業の急拡大現在売上1,359億円から2030年度に6,000億円以上・営業利益率10%以上を目標(2025年3月期)

この記事のデータは三菱電機の有価証券報告書(2025年03月期・第154期)に基づいています。 有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。

三菱電機は、ファクトリーオートメーションを意味するFA・空調・ビルシステム・パワー半導体・防衛宇宙と多岐にわたる事業を展開する総合電機メーカーです。 しかし有報を読むと、「安定した巨大企業」というイメージだけでは見えない姿が浮かびます。売上5兆5,217億円で過去最高を更新しながらも、営業利益率は7.1%。品質不正問題からのガバナンス改革、8,000億円規模の事業撤退判断、パワー半導体と防衛への大型投資——「何でも作れる三菱電機」が「勝てる領域で勝つ三菱電機」へと自らを作り変えようとしている、構造転換期の企業の実態です。

三菱電機のビジネスの実態|何で稼いでいるのか

セグメント情報とは、企業の事業部門ごとの売上高や利益を分けて示したものです。三菱電機は4つの事業セグメントに加え、セミコンダクター・デバイスを含む構成で開示しています。就活生が驚く事実は、「重電メーカー」のイメージが強い三菱電機の最大セグメントが実は空調・ビルシステムを中心とする「ライフ」であるということです。

指標金額前年比
売上高5兆5,217億円+5.0%
営業利益3,919億円+19.3%
当期純利益3,241億円+13.7%
営業利益率7.1%+0.9pt

出典: 三菱電機 有価証券報告書 2025年03月期 連結損益計算書(IFRS)

売上高・営業利益ともに過去最高を更新しましたが、営業利益率7.1%は製造業全体の中では突出して高いわけではありません。同じ総合電機の日立製作所の営業利益率約10.5%、あるいはキーエンスの51.9%と比較すると、「売上規模は大きいが収益性に課題がある」という総合電機の構造的な特徴が浮かびます。日本企業の利益率ランキングでも確認できます。

セグメント別の実態|「空調とビルの会社」という意外な横顔

セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
ライフ2兆1,851億円40%1,572億円7.2%
インダストリー・モビリティ(FA・自動車)1兆6,448億円30%826億円5.0%
インフラ(社会・電力・防衛宇宙)1兆2,249億円22%894億円7.3%
BP/セミコンダクター・デバイス1,468億円3%108億円7.4%

出典: 三菱電機 有価証券報告書 2025年03月期 セグメント情報

三菱電機の最大セグメントは「ライフ」です。売上の40%を占め、ルームエアコン「霧ヶ峰」を含む空調事業の約7,800億円と、エレベーター・ビル管理を中心とするビルシステム事業の約3,200億円で構成されています。「重電メーカー」のイメージとは裏腹に、実は三菱電機の稼ぎ頭は私たちの日常生活に密接なインフラです。

一方、三菱電機のブランドイメージの核であるFAシステム事業は、営業利益率が前期から約5ポイント低下して5.0%にまで落ち込みました。中国のリチウムイオンバッテリー関連投資の減退が直撃し、売上7,256億円で前年比408億円減、営業利益467億円で前年比411億円減と減収減益です。FAシステムの受注はAI関連やスマートフォン向けで回復傾向にあるものの、中国の設備投資動向に左右される構造は変わりません。

防衛・宇宙システムは、インフラセグメント内で売上1,359億円・営業利益率4.0%と現時点では小規模です。しかし2030年度に売上6,000億円以上・営業利益率10%以上という野心的な成長計画を掲げており、三菱電機の中で最も急成長が期待される領域です。

海外売上比率51%|北米好調、中国・アジアは減速

地域動向
国内2兆7,235億円(+6%)
海外合計2兆7,981億円(+4%)
北米+15%と好調
中国・アジア・欧州前年度を下回る

出典: 三菱電機 有価証券報告書 2025年03月期 セグメント情報(地域別)

海外売上比率は51%。海外売上比率92%の東京エレクトロンと比較すると国内比率が高い構造ですが、空調・FAシステムを中心に海外展開を加速しています。特に電力システム事業は海外売上比率50%を目指し、欧米で関連企業の買収を推進しています。

5年間の業績推移|利益率改善の途上

売上高営業利益営業利益率
2021年3月期4兆1,914億円1,607億円3.8%
2022年3月期4兆4,768億円2,521億円5.6%
2023年3月期5兆37億円2,624億円5.2%
2024年3月期5兆2,579億円3,285億円6.2%
2025年3月期5兆5,217億円3,919億円7.1%

出典: 三菱電機 有価証券報告書 2025年03月期 主要な経営指標等の推移

5年間で売上は約32%成長し、営業利益率は3.8%から7.1%へ改善しています。しかし中期経営計画の目標である営業利益率10%にはまだ届いていません。日立が「IT×社会インフラ」への選択と集中で10%超を達成しているのに対し、三菱電機は事業の幅が広い分だけ利益率の引き上げに時間がかかっています。

三菱電機は「過去最高更新」の好調企業に見えますが、利益率では同業他社に後れを取っており、構造改革の途上にある企業として理解すべきです。

三菱電機は何に賭けているのか|投資と研究開発の方向性

設備投資とは、企業が未来のためにお金を投じる先のことです。三菱電機は、事業ポートフォリオ改革・パワー半導体・防衛宇宙の3つに大きく賭けています。これは「何でも手広くやる」従来の路線から「選択と集中」へ舵を切る構造転換を意味します。

賭け1: 事業ポートフォリオ改革|8,000億円規模の事業選別

三菱電機は2025年度中に、売上高で計8,000億円規模の事業について撤退も視野に継続を判断すると経営戦略説明会で発表しました。営業利益率5.0%のFAシステムと営業利益率3.9%の自動車機器を含む低収益事業を見極め、FAシステム・空調・ビルシステム・パワー半導体の重点成長4事業に経営資源を集中する方針です。

投資計画金額
成長投資枠(5年間)2兆8,000億円(前5年比+40%)
M&A投資枠(3年間)1兆円
営業利益率目標10%

出典: 三菱電機 経営戦略説明会資料・有価証券報告書 2025年03月期 経営方針

この「選択と集中」の方針は、三菱電機にとって歴史的な転換です。従来は多くの事業を幅広く手がける「総合力」が強みでしたが、営業利益率の低さが株式市場からも課題視されていました。成長投資枠2兆8,000億円とM&A枠1兆円を重点成長4事業に集中投下し、利益率10%への道筋をつける戦略です。

重要な点として、入社後のキャリアは、配属された事業が「重点成長事業」か「撤退・縮小対象事業」かで大きく変わる可能性があります。志望する事業領域が成長投資の対象に含まれるかどうかを面接で必ず確認しましょう。

賭け2: パワー半導体(SiC)|熊本新工場に1,000億円

三菱電機はパワー半導体事業を次の成長ドライバーに位置づけ、熊本県菊池市に炭化ケイ素を素材とするSiCパワー半導体の新工場棟を約1,000億円で建設しました。2025年11月に稼働を開始し、8インチウエハーの生産能力を従来比5倍に拡大します。

パワー半導体投資内容
新工場所在地熊本県菊池市
投資額約1,000億円
稼働開始2025年11月
生産能力8インチウエハー対応、従来比5倍
2030年度SiC比率目標30%以上

出典: 三菱電機 有価証券報告書 2025年03月期 設備の状況・IR Day資料

SiCパワー半導体とは、従来のシリコン製パワー半導体に比べて電力変換効率が格段に高い次世代デバイスです。電気自動車のモーター制御、再生可能エネルギーのパワーコンディショナー、データセンターの電源装置など、電力を効率的に変換・制御する場面で需要が急増しています。三菱電機はAIを活用した歩留まり改善にも取り組み、SiCパワー半導体の生産コスト低減を図っています。

就活生にとって、パワー半導体は三菱電機の中で最もテクノロジードリブンな成長領域です。半導体プロセス技術やパワーエレクトロニクスのバックグラウンドが直接活きる事業であり、熊本新工場の立ち上げ期に関われることはキャリアの転機になりえます。

賭け3: 防衛・宇宙事業|1,359億円から6,000億円超へ

防衛・宇宙システム事業は、2025年3月期の売上が1,359億円と三菱電機全体の中では小規模です。しかし日本の防衛費をGDP比2%へ引き上げる方針を追い風に、2030年度に売上6,000億円以上・営業利益率10%以上という野心的な成長目標を掲げています。現在の売上から4倍以上の成長を計画する、三菱電機の中で最も急成長を見込む領域です。

防衛・宇宙事業現在2030年度目標
売上高1,359億円6,000億円以上
営業利益率4.0%10%以上

出典: 三菱電機 有価証券報告書 2025年03月期 セグメント情報・防衛事業説明会資料

三菱電機の防衛技術はレーダー・ミサイル誘導・衛星通信が主力です。これらは三菱電機が長年培ってきた電子技術・通信技術の延長線上にあり、民生品で鍛えた技術を安全保障分野に応用するビジネスモデルです。

ポイントは2つあります。第1に、安全保障に技術で貢献したいという志向の学生にとって、売上4倍計画は門戸が大きく開かれるチャンスです。第2に、防衛事業は機密性が高く、他産業へのキャリアの汎用性は相対的に低くなる点も理解しておくべきです。

三菱電機が自ら語るリスクと課題|PRでは絶対に出ない情報

「事業等のリスク」とは、企業が法律に基づいて自社の経営リスクを開示するセクションです。有報の中で最も「会社の本音」に近い部分であり、PRでは絶対に出てこない情報の宝庫です。有報のリスク情報の読み方も合わせて確認すると、より深い理解が得られます。

  1. 品質不正問題・ガバナンスリスク(注目度:最高)

三菱電機固有の最も重大なリスクです。2021年以降、全社22製作所で合計197件の品質不適切行為が発覚しました。従業員55,302名を対象とした回答率93%のアンケートから2,362件の要調査事項が抽出され、調査委員会が全拠点の調査を完了しています。不正の背景には、各製作所が高い独立性を持つ三菱電機特有の「製作所制」が本社との断絶を生んだことが指摘されています。

現在は1,034枚の現場提言を基にした「言える化」推進や、ガバナンス体制の刷新に取り組んでいますが、長年の組織風土を変える改革は道半ばです。就活生にとって品質不正問題は「過去の問題」ではなく「改革の途上にある現在進行形の課題」として認識すべきです。一方で、ガバナンス改革・組織風土変革の実践経験を積めるチャンスでもあります。面接では品質問題を「知っている」だけでなく「改革の方向性を理解し、当事者として貢献したい」と語れることが重要です。

  1. 事業ポートフォリオ改革の実行リスク(注目度:高)

8,000億円規模の事業撤退判断は経営の英断ですが、15万人の巨大組織で実行するハードルは高いです。特に営業利益率5.0%に低下したFAシステムと自動車機器の収益性改善が進まなければ、事業規模縮小という困難な決断を迫られます。三菱電機には強力な労働組合があり、人員再配置や事業撤退に伴う調整には時間がかかる可能性があります。

ポイントとしては、配属された事業の将来が不透明になりうるリスクです。重点成長4事業に配属されれば投資拡大の恩恵を受けますが、撤退対象事業では転籍・配置転換の可能性もゼロではありません。入社時に「どの事業を志望するか」が例年以上に重要な選択になります。

  1. FA市場の景気循環リスク(注目度:中〜高)

FAシステム事業の営業利益率が前期から約5ポイント低下して5.0%になったことは、景気循環リスクの顕在化を示しています。中国のリチウムイオンバッテリー関連投資の減退が主因で、受注はAI関連やスマートフォン向けで回復傾向にあるものの、中国の設備投資動向への依存度は依然として高い状況です。2026年3月期の見通しでは、FA事業は売上7,200億円と減収ながら営業利益560億円と増益を見込んでいます。

FA事業は三菱電機のブランドイメージの核ですが、有報データは「花形事業」の利益率が大きく変動する現実を示しています。

あなたのキャリアとマッチするか

キャリアマッチとは、企業の方向性と自分の志向・スキルの相性のことです。三菱電機の経営方針と有報データから逆算すると、以下のような傾向が見えてきます。

三菱電機の方向性に合う人合わない可能性がある人
幅広い事業領域で専門性を深めたい理工系高い営業利益率・高報酬を最重視する人
日本のインフラ・安全保障に技術で貢献したい人配属事業の自由度を重視する人
大企業の変革期に当事者として関わりたい人スピード感のある意思決定を求める人
安定した経営基盤の上で成長機会を求める人事業の急激な成長カーブを求める人

従業員データを見ると、連結で149,914人、提出会社単体で31,213人の巨大組織です。平均年齢41.3歳、平均勤続年数16.3年は、組織としての安定性を示しています。なお、前年度比で単体従業員が5,307人減少していますが、これは自動車機器事業の三菱電機モビリティへの分社化が主因であり、実質的なリストラではありません。

平均年間給与は869万5,126円で、約909万円のパナソニックとほぼ同水準です。2,039万円の[キーエンス]や1,354万円の[東京エレクトロン]と比較すると見劣りしますが、大手[製造業]としては標準的な水準です。有報の平均年収は提出会社単体の31,213人のみの数字であり、約15万人を擁する連結グループ全体の実態とは異なる点に注意が必要です。

三菱電機の特徴は事業領域の広さです。FA・空調・ビルシステム・パワー半導体・防衛宇宙・電力・社会インフラ・IT——電気・電子・機械・情報工学のほぼすべての専門分野が活きる環境です。ただし裏を返せば「配属ガチャ」の振れ幅が非常に大きく、FAエンジニアと防衛システムの技術者ではキャリアが全く異なります。

投資方針から逆算した「今から学ぶべき分野」

学ぶべき分野根拠(有報データ)具体的アクション
パワーエレクトロニクスの基礎SiCパワー半導体に約1,000億円投資。2030年度SiC比率30%以上目標(2025年3月期)パワー半導体の原理(SiC/GaN/Si)、電力変換回路の基礎
FA・制御工学の基礎FAシステムは重点成長事業。サーボ・シーケンサ・CNCが主力製品(2025年3月期)PLCプログラミング、制御理論、産業用ロボットの基礎
社会インフラ・防衛技術の理解防衛・宇宙が2030年度6,000億円超を目標。レーダー・衛星通信が主力技術(2025年3月期)電波工学・通信工学の基礎、防衛白書の概読
空調・ヒートポンプ技術空調は約7,800億円で全社最大級の事業。欧州での脱炭素需要(2025年3月期)熱力学の基礎、ヒートポンプの動作原理、省エネ技術

投資・研究開発の読み方ガイドと合わせて、三菱電機の投資戦略を深く読み解いてみてください。

なお、社風や職場の雰囲気、上司との関係性といった情報は有報ではわかりません。特に22の製作所はそれぞれが独自の組織文化を持っており、「三菱電機に入社する」というよりも「特定の製作所に配属される」という感覚に近い面があります。品質不正問題の背景にもなった製作所間の文化の違いは、OB/OG訪問で具体的な配属先の雰囲気を確認すべきポイントです。OpenWork等の口コミサイトも活用して、志望する事業部門の具体的な働き方を把握しましょう。有報×OB訪問の質問術も参考になります。

面接で使える有報ポイント

有報の情報を面接で活用するとは、企業の公式データを自分の言葉で語ることです。ほとんどの就活生は有報を読んでいないため、具体的なデータに触れるだけで企業研究の深さをアピールできます。有報を面接で活用する方法を押さえておくと、以下の発言例がより説得力を持ちます。

有報の情報を面接で語る例

「御社の有報で5年間の営業利益率の推移を分析しました。3.8%から7.1%へ着実に改善されている一方、中期計画の目標10%にはまだ届いていない点にも注目しています。8,000億円規模の事業ポートフォリオ見直しで選択と集中を進める方針に、変革への本気度を感じました。」

「熊本のSiCパワー半導体新工場に約1,000億円を投じ、8インチウエハーの生産能力を5倍に拡大されることに注目しています。EV・再エネ・データセンター向けの需要拡大を捉えるこの投資が、御社の次の成長エンジンになると考えています。」

「防衛・宇宙事業が現在の売上1,359億円から2030年度に6,000億円以上を目指すという計画に強く共感しています。日本の安全保障環境が変化する中で、レーダーや衛星通信の技術で国の防衛に貢献できる点に使命感を感じています。」

逆質問で使えるネタ

  • 「有報で8,000億円規模の事業撤退判断が進行中とありましたが、重点成長4事業への経営資源の集中は現場ではどのように受け止められていますか?」
  • 「品質不正問題からの改革で「言える化」を推進されていますが、製作所の現場で最も変化を実感されている点は何ですか?」
  • 「パワー半導体の熊本新工場が間もなく稼働しますが、新卒エンジニアにはどのような役割が期待されていますか?」
  • 「防衛・宇宙事業が2030年度に売上6,000億円を目指す中で、人材採用・育成面で最も注力されていることは何ですか?」

有報の記述を引用しつつ、現場のリアルを引き出す逆質問は、面接官に「よく調べている学生だ」という印象を与えます。特に品質不正問題への言及は、「問題を知っている」だけでなく「改革の方向性を理解し、自分も貢献したい」という前向きな姿勢で語ることが重要です。

まとめ

三菱電機の有報から読み取れるのは、「事業ポートフォリオ改革による選択と集中」「パワー半導体SiCへの大型投資」「防衛・宇宙事業の急拡大」という3つの賭けです。

三菱電機の将来性を有報から考えると、売上5兆5,217億円・営業利益3,919億円で過去最高を更新した「今」は堅調です。しかし営業利益率7.1%は中期計画目標の10%に届かず、FAシステムの利益率低下や品質不正からのガバナンス改革など、構造的な課題を抱えています。SiCパワー半導体の熊本新工場に約1,000億円を投じ、防衛・宇宙事業は2030年度に6,000億円超を計画するなど、次の成長ドライバーを育てながら、8,000億円規模の事業撤退判断で収益構造の転換を図る——「何でも作れる三菱電機」から「勝てる領域で勝つ三菱電機」への脱皮が進行中です。

「安定した大企業」を求めるだけなら、三菱電機は表面的にはその条件を満たします。しかし有報が語るのは、15万人の巨大組織が品質不正問題を契機に自らの事業構造を根本から見直し、変わろうとしている企業の姿です。この変革期に「改革の当事者」として飛び込むか——それが三菱電機へのキャリア判断の核心です。

製造業全体の中で三菱電機の位置づけを理解したい方は[製造業の業界概要]をご覧ください。同じ総合電機メーカーとの比較では[日立製作所の有報分析]や[パナソニックの有報分析]で、事業構造の違いと戦略の差を確認できます。利益率の観点では[利益率ランキング]、同じ製造業でもビジネスモデルが全く異なる企業と比較したい方は[キーエンスの有報分析]も参考になります。

本記事のデータは三菱電機の有価証券報告書(2025年03月期・第154期・EDINET・IFRS)に基づいています。セグメント内訳の一部は決算説明会資料・IR Day資料・防衛事業説明会資料に基づく数値を含みます。投資判断を目的としたものではなく、企業の将来の業績を保証するものではありません。最新情報は企業の公式IR資料をご確認ください。

よくある質問

三菱電機の有価証券報告書はどこで読めますか?

EDINET(金融庁の電子開示システム)または三菱電機公式IRサイトで無料公開されています。EDINETでは「E01739」で検索すると最新の有報にアクセスできます。

三菱電機の有報から就活に使える情報は何がわかりますか?

セグメント別業績(ライフが売上の40%で最大という意外な事実)、8,000億円規模の事業撤退判断、パワー半導体の1,000億円投資、防衛事業の4倍成長計画など、就活サイトでは得られない経営の方向性がわかります。

三菱電機の将来性は?今後どうなる?

三菱電機は売上5.52兆円で過去最高ですが、営業利益率7.1%は中期計画目標10%に未達。パワー半導体(SiC)と防衛・宇宙事業が成長ドライバーで、8,000億円規模の低収益事業の選別を通じて収益構造の転換を目指しています。品質不正からのガバナンス改革も含め、変革期にある企業です。

三菱電機の平均年収はいくらですか?

有報によると、2025年3月期の提出会社の平均年間給与は約870万円(869万5,126円)です。平均年齢41.3歳、平均勤続年数16.3年。基準外賃金及び賞与を含む金額で、提出会社単体の数字であり連結グループ全体(約15万人)の実態とは異なります。

三菱電機の面接で有報の知識はどう活かせますか?

事業ポートフォリオ改革の具体的数字(8,000億円規模の事業判断)、パワー半導体への1,000億円投資、防衛事業の6,000億円目標に触れると、他の就活生との差別化ができます。品質不正問題への理解と改革への共感を示すことも重要です。

三菱電機の強みと課題は?

強みはFA・空調・パワー半導体・防衛と多様な事業領域を持つ総合力と、売上5.5兆円・従業員15万人の経営基盤。課題は営業利益率7.1%(日立の約10.5%に対し低い)と品質不正からのガバナンス改革の完遂です。

三菱電機の品質不正問題は就活にどう影響しますか?

品質不正問題は2021年以降に22製作所で197件が発覚しました。現在はガバナンス改革・組織風土変革の途上にあり、面接では問題を認識した上で改革への理解と共感を示すことが重要です。改革途上の企業で組織変革に携わりたいという前向きな姿勢が好印象につながります。

三菱電機で働くならどの事業がおすすめですか?

有報の投資方針から逆算すると、重点成長4事業(FAシステム・空調・ビルシステム・パワー半導体)と防衛・宇宙事業が成長投資の中心です。特にパワー半導体と防衛は売上の大幅成長を計画しており、若手が活躍する余地が大きい領域です。

三菱電機の企業研究で見るべきポイントは?

有報のセグメント別業績(4セグメントの利益率格差)、事業ポートフォリオ改革の方針、パワー半導体と防衛の成長投資計画の3つが重要です。特に営業利益率が事業ごとに5.0%から7.4%まで開きがある点は、配属先の将来性を判断する材料になります。

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