リクルートの有報分析 要点: リクルートは売上約3.6兆円のうちIndeed中心のHRテクノロジー事業が約60%を占めるグローバルHRテック企業。SaaS「Airビジネスツールズ」約1,200億円も次の成長柱。(2025年3月期有報に基づく)
この記事のデータはリクルートホールディングスの有価証券報告書(2025年03月期)に基づいています。 有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。
リクルートは、就活生にとって「就活サービスを提供する会社」として最も身近な企業の一つです。 しかし有報を読むと、連結売上高約3.6兆円のうち、すでに売上の過半がIndeedを中心とするグローバルHRテクノロジー事業であり、国内人材サービス会社からの大変貌を遂げている実態が浮かび上がります。
この変化は、IT業界全体の有報比較で見ても特異なもので、製造業のソニーやゲーム主体の任天堂とは全く異なる「人材×テクノロジー」特化型のビジネスモデルを確立しています。
リクルートのビジネスの実態|何で稼いでいるのか
セグメント情報を見ると、リクルートは3つのセグメントで構成されています。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益率 | 主な事業 |
|---|---|---|---|---|
| HRテクノロジー | 約2.1兆円 | 約60% | 約15% | Indeed、Glassdoor |
| マッチング&ソリューション | 約9,000億円 | 約27% | 約25% | リクナビ、SUUMO、ホットペッパー、Airツールズ |
| 人材派遣 | 約4,500億円 | 約13% | 約5% | 国内外の人材派遣 |
出典: リクルートホールディングス 有価証券報告書 2025年03月期(連結売上高: 3兆5,575億円)
発見1: IndeedがリクルートのNo.1事業
売上の約60%がHRテクノロジー(Indeed中心)です。リクルートは「リクナビの会社」ではなく「Indeedの会社」になっています。
2012年にIndeedを約1,000億円で買収し、その後グローバルに拡大。現在は世界60カ国以上でサービスを展開し、月間ユニークビジター数は3億人を超えます。前期比での売上成長率は約4%(為替影響除く)と、巨大プラットフォームでありながら引き続き成長を維持しています。
この海外展開度は、ソニーの有報分析で見られる製造業型のグローバル展開とは異なり、プラットフォーム型で初期投資が少なく高い利益率を実現できる点が特徴です。
発見2: 国内マッチング事業の収益力が圧倒的
マッチング&ソリューションの営業利益率は約25%と極めて高水準です。リクナビ、SUUMO、ホットペッパービューティーなど、各分野でNo.1プラットフォームを持つため、強い価格設定力があります。
発見3: SaaS(Airビジネスツールズ)が次の柱
中小企業向けSaaSプラットフォーム「Airビジネスツールズ」(Airレジ、Airペイ等)が成長中です。決済・予約・会計をワンストップで提供し、中小企業の経営データを蓄積することで、マッチング精度の向上につなげる戦略です。
マッチング&ソリューションセグメント内でのAirビジネスツールズの売上高は約1,200億円規模(2025年3月期)で、前期比約10%成長と、国内市場でも高い成長率を維持しています。この戦略は、サイバーエージェントの有報分析で見られるメディア×広告プラットフォームとは異なり、「マッチング×決済データ」の融合で独自のエコシステムを構築しています。
リクルートは何に賭けているのか|投資と研究開発の方向性
リクルートの投資は、製造業のような設備投資ではなく、テクノロジー投資(開発・M&A)が中心です。
| 投資先 | 内容 | 戦略的意義 |
|---|---|---|
| Indeed/Glassdoorの機能強化 | AI/MLによるマッチング精度向上 | HR Techプラットフォームの競争力維持 |
| Airビジネスツールズ | SaaS機能の拡充 | 国内中小企業の経営インフラに |
| M&A | HR Tech関連の技術・サービス買収 | 機能補完とグローバル展開の加速 |
R&D費の特徴
リクルートのR&D費は連結で数百億円規模ですが、Indeedの開発人員への投資が実質的な「研究開発投資」として機能しています。ソフトウェア企業のため、設備投資よりも人材投資が成長の源泉です。
リクルートが自ら語るリスクと課題|PRでは絶対に出ない情報
有報のリスクセクションから、リクルート固有の重要リスクを3つ選びます。
| リスク | 内容 | 就活への影響 |
|---|---|---|
| Indeed依存リスク | 売上の60%がIndeedに集中。Indeedの成長鈍化が全社業績に直結 | Indeed関連ポジションの重要性が高い |
| 景気連動リスク | 求人広告は景気に敏感。不況時に企業の採用抑制→広告収入減 | 景気変動で事業環境が変わりやすい |
| 規制・プライバシーリスク | 個人情報・AI利用に関する各国規制の強化 | コンプライアンス・法務の重要性が増す |
出典: リクルートホールディングス 有価証券報告書 2025年03月期 「事業等のリスク」
リスクと投資の整合性
Indeed依存リスクに対しては、Airビジネスツールズの拡大による収益源の多様化で対応しています。また景気連動リスクに対しては、Indeed Hiring Platform(有料求人掲載)のストック型モデル化で収益の安定性を高めようとしています。リスク認識と投資の方向性は整合的です。
5年後の姿|経営方針から読むキャリアパス
リクルートの中長期ビジョンは「HRテクノロジーのグローバルリーダー」です。
| 方向性 | 具体策 | 求める人材 |
|---|---|---|
| Indeedの進化 | AI/MLでマッチング精度を極限まで高める | データサイエンティスト、MLエンジニア |
| SaaS事業の成長 | Airツールズを国内SMBの経営インフラに | プロダクトマネージャー、SaaSセールス |
| グローバル展開 | Indeed以外の国でもHRテクノロジーサービスを拡大 | グローバル人材、マーケター |
新卒のキャリアパス
リクルートは持株会社体制のため、実際の勤務先は以下の子会社になります。
- 株式会社リクルート: 国内マッチング事業(リクナビ、SUUMO、ホットペッパー、Airツールズ等)
- 株式会社リクルートテクノロジーズ: テクノロジー開発・システム基盤
- Indeed Japan: Indeedの日本事業
- 海外子会社: Indeed本体(米国)、Glassdoor等のグローバル事業
新卒配属は希望と適性により決まりますが、国内マッチング事業への配属が多く、その後のキャリアでIndeed関連やSaaS事業へ異動する道も開かれています。
あなたのキャリアとマッチするか
| あなたの志向 | リクルートとの相性 |
|---|---|
| グローバルなテクノロジー企業で働きたい | ◎ |
| データとAIで社会課題を解決したい | ◎ |
| 国内のプラットフォームビジネスに関わりたい | ○ |
| ゼロからプロダクトを立ち上げたい | ○ |
| 安定した大企業でじっくりキャリアを積みたい | △(変化が速い環境) |
組織規模・職場環境
リクルートの組織規模と職場環境は、有報から以下の情報が得られます。
| 項目 | データ |
|---|---|
| 連結従業員数 | 約49,480人 |
| 持株会社(単体)従業員数 | 116人 |
| 平均年齢 | 40.5歳 |
| 平均勤続年数 | 8.5年 |
| 平均年間給与 | 約1,145万円(持株会社) |
| 業界 | 人材サービス・テクノロジー |
出典: リクルートホールディングス 有価証券報告書 2025年03月期
重要: リクルートホールディングスは持株会社であり、上記の平均年間給与は持株会社の116人(主に経営企画・IR等のコーポレート部門)のデータです。新卒で入社する場合は、子会社(株式会社リクルート、リクルートテクノロジーズ等)への配属となり、給与体系は各社で異なります。
詳しい人的資本情報の読み方については、有報の人的資本の読み方をご覧ください。
面接で使える有報ポイント
志望動機テンプレート
「御社の有価証券報告書でHRテクノロジー事業が売上の約60%を占め、Indeedが月間3億人のユーザーにリーチしていることを知りました。国内人材サービス企業がグローバルHRテクノロジープラットフォームへ変貌した過程に強い関心を持っています。大学で{自分の経験}に取り組んだ経験から、{マッチング精度向上/SaaS拡大}に貢献したいです。」
逆質問テンプレート
「有報でIndeedの売上構成比が過半を占めていますが、新卒入社後にIndeed関連のプロジェクトに関われる機会はどのような形がありますか?」
「AirビジネスツールズがSMB向けに拡大していますが、この事業の今後の成長戦略について教えてください。」
有報データから逆算して今から学ぶべき分野
| 分野 | 根拠(有報) | 具体的アクション |
|---|---|---|
| HRテクノロジー・マッチングアルゴリズム | Indeed/GlassdoorがHRテクノロジーの中核(2025年3月期) | 推薦システム入門、検索エンジンの仕組み理解 |
| SaaS・プロダクトマネジメント | Airビジネスツールズ(SaaS)が成長領域(2025年3月期) | SaaSビジネスモデル入門、PM入門書 |
| データサイエンス・AI | マッチング精度向上にAI/ML活用を推進(2025年3月期) | Python/SQL基礎、機械学習入門、A/Bテスト手法 |
| 英語力 | Indeed(米国)が売上の過半、グローバル事業拡大中(2025年3月期) | TOEIC860点以上、英語でのプレゼン力強化 |
まとめ
| 視点 | 発見 |
|---|---|
| 何で稼いでいるか | Indeed(売上の60%)。もはや「リクナビの会社」ではない |
| 何に賭けているか | AI/MLによるマッチング精度向上とSaaS(Airツールズ)の拡大 |
| PRでは見えないリスク | Indeed依存、景気連動、プライバシー規制 |
| 5年後の姿 | HR TechのグローバルNo.1プラットフォーム |
リクルートは「就活サービスの会社」から「グローバルHRテクノロジー企業」へ変貌しています。この変化を有報の数字で理解できていること自体が、面接での差別化につながります。
本記事のデータは有価証券報告書(EDINET)に基づいています。投資判断を目的としたものではありません。