メルカリの有報分析 要点: メルカリは売上1,926億円・当期利益261億円(前期比94.0%増)と収益性が劇的に改善。国内フリマの高収益を基盤にFinTech(メルペイ・メルカード)と米国展開に重点投資。(2025年6月期有報に基づく) メルカリは誰もが使ったことがあるフリマアプリ──だからこそ、面接で「ユーザー目線」だけでは差がつきません。有報を読むと、メルカリが赤字期を経て収益性を劇的に改善し、「国内フリマで稼ぎ、FinTechと米国に賭ける」成長企業であることが数字で見えてきます。2025年06月期の当期利益は261億円と前期比94.0%増を記録し、事業構造の転換が明確に表れています。
有報の読み方は有価証券報告書の読み方完全ガイドで押さえてからこの記事を読むと効果的です。
メルカリのビジネスの実態|何で稼いでいるのか
メルカリの事業は主に3つの領域で構成されています(2025年06月期)。
| 事業領域 | 概要 | 特徴 |
|---|---|---|
| メルカリ(国内) | フリマアプリ「メルカリ」 | 利益の柱。高い収益性 |
| メルペイ/メルカード | 決済・FinTech事業 | 成長フェーズ。メルカード発行加速 |
| Mercari(米国) | 米国向けフリマアプリ | 先行投資フェーズ。損失縮小中 |
全社業績の推移|赤字からの回復
メルカリの5年間の業績推移(IFRS基準、百万円単位)を見ると、収益構造の大きな転換が見えてきます。
| 期 | 売上収益 | 当期利益 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 4期前 | 1,061億円 | 57億円 | - |
| 3期前 | 1,470億円 | -76億円 | 赤字転落 |
| 2期前 | 1,720億円 | 131億円 | 黒字回復 |
| 前期 | 1,874億円 | 135億円 | - |
| 当期 | 1,926億円 | 261億円 | 前期比94.0%増 |
(出典: 有価証券報告書 2025年06月期)
就活ポイント: 3期前の赤字期を経て、メルカリは収益性重視の経営へ転換しました。当期利益が前期比94.0%増という劇的な改善は、単なる売上拡大ではなく、事業構造の質的な変化(ユニットエコノミクスの改善、コスト効率化)を示しています。この回復ストーリーは、面接で「メルカリの成長戦略の理解」を示す格好の材料です。
サイバーエージェントの有報分析でも同様の赤字期からの回復事例が見られます。IT企業が新規事業に投資する際の典型的なパターンです。
国内フリマ事業|圧倒的な収益力
メルカリの国内マーケットプレイス事業は、月間利用者数2,000万人超を誇るプラットフォームです。出品者と購入者の取引額(GMV)に対する手数料(10%)が主な収益源です。
| 指標 | 読み方 |
|---|---|
| GMV(流通取引総額) | プラットフォームの規模を示す |
| テイクレート(手数料率) | 収益の効率性を示す(メルカリは10%) |
| 営業利益率 | プラットフォーム型ビジネスの高い利益率 |
就活ポイント: 国内フリマ事業は、プラットフォーム型ビジネスの典型的な強みを持っています。一度プラットフォームが確立されると、追加コストなしで取引が増える「ネットワーク効果」が効きます。全社の当期利益261億円の大部分は、この国内フリマ事業の高い収益性から生み出されています。
リクルートの有報分析でも同様のプラットフォーム型ビジネスモデルが確認できます。マッチングプラットフォームの収益構造を比較すると、メルカリの独自性がより明確になります。
FinTech事業(メルペイ/メルカード)|次の柱
メルペイ(決済)とメルカード(クレジットカード)は、メルカリのプラットフォーム上に金融機能を構築する戦略です。
メルカリが賭けているのは「フリマ × 金融の融合」です。メルカリの売上金をそのまま決済に使える仕組みは、既存の金融サービスにはない独自の強みです。メルカードは発行枚数を急速に伸ばしており、与信モデルにはメルカリの利用データを活用しています。
FinTechの独自性:
- 従来の金融機関の与信モデル: 勤務先、年収、信用情報がベース
- メルカリの与信モデル: フリマでの取引実績、出品・購入パターン、評価などの行動データを活用
- 結果: 従来の金融サービスでは与信が難しかった層(フリーランス、主婦など)にもカードを発行可能
この戦略は、メルカリが蓄積した膨大な取引データを金融領域に転用する「データドリブンな事業拡張」の好例です。
米国事業|最大の挑戦
米国Mercari事業は、メルカリにとって最大の成長機会であり最大のリスクでもあります。有報によると、米国事業は売上を伸ばしているものの営業損失を計上しています。
| 項目 | 読み方 |
|---|---|
| 売上高の成長率 | 市場浸透の速度 |
| 営業損失の推移 | 損失が縮小しているかが重要 |
| マーケティング費用 | ユーザー獲得への投資強度 |
就活ポイント: メルカリは国内フリマ事業の高い収益性を背景に、米国事業への先行投資を継続しています。この「稼ぎ頭で投資余力を作り、新市場・新事業に賭ける」構造は、成長企業の典型的な戦略です。ソニーの有報分析のように多角化で複数の柱を持つ企業と比較すると、メルカリの「集中戦略」の強みとリスクが浮き彫りになります。
セグメント情報の詳しい読み方はセグメント情報の読み方で解説しています。
メルカリは何に賭けているのか|投資と研究開発の方向性
有報から読み取れるメルカリの投資の方向性です。
| 投資分野 | 内容 | 読み方 |
|---|---|---|
| FinTech | メルカード発行拡大、与信モデル強化 | フリマ→金融への事業拡張 |
| 米国展開 | マーケティング投資、プロダクト改善 | グローバル展開への意志 |
| AI/ML | 出品・検索・不正検知の高度化 | プラットフォーム品質向上 |
| ESG(循環型社会) | リユース促進、環境負荷低減 | 社会的意義のブランディング |
注目: メルカリは「循環型社会の実現」をミッションに掲げています。これは単なるCSR活動ではなく、フリマ事業そのものが循環型社会のインフラであるという戦略的なポジショニングです。
メルカリの賭け方|3つの軸
有報とIR資料から読み取れるメルカリの成長戦略は、以下の3軸に集約されます。
- 収益性の追求: 3期前の赤字期を経て、ユニットエコノミクスを重視した経営に転換。当期利益94.0%増(2025年06月期)はその成果。
- FinTech領域への拡張: メルカリの取引データを活用した独自の与信モデルで、既存金融機関との差別化を図る。
- 米国市場への挑戦: 国内で確立したビジネスモデルをグローバル展開。短期的には損失を計上するが、長期的な成長余地を見据えた投資。
この「稼いで投資する」好循環は、プラットフォーム企業として健全な成長戦略です。
メルカリが自ら語るリスクと課題|PRでは絶対に出ない情報
有報の「事業等のリスク」から、メルカリの主要リスクを確認します。
| リスク項目 | 内容 | 就活での読み方 |
|---|---|---|
| 米国事業の収益化 | 競合(eBay、Poshmark等)との競争 | 差別化戦略の進捗を確認 |
| FinTech事業の与信リスク | メルカード等の貸倒リスク | 独自与信モデルの精度が鍵 |
| 法規制リスク | 決済・金融規制への対応 | 規制対応力を確認 |
| 不正取引対策 | プラットフォーム上の不正利用 | AI活用での検知精度を確認 |
あなたのキャリアとマッチするか
従業員データ
| 項目 | データ | 読み方 |
|---|---|---|
| 従業員数(連結) | 2,159名 | プラットフォーム型で少数精鋭 |
| 平均年齢 | 36.3歳 | IT企業として標準的 |
| 平均勤続年数 | 3.8年 | ベンチャー気質。人材流動性が高い |
| 平均年間給与 | 1,176.3万円 | IT業界で競争力のある水準 |
(出典: 有価証券報告書 2025年06月期 従業員の状況)
就活ポイント: 平均年齢36.3歳、平均勤続年数3.8年という数字は、急成長フェーズの企業特有の高い人材流動性を示しています。短期間で多様な経験を積める環境を求める人に向く一方で、腰を据えて長く働くイメージとは異なる可能性があります。
平均年間給与1,176.3万円は、IT企業として競争力のある水準です。グローバル人材市場で優秀なエンジニア・プロダクトマネージャーを獲得するための成果主義の報酬体系が背景にあります。
業界比較(IT企業の平均年収)
メルカリの給与水準を、他のIT企業と比較してみましょう。
| 企業 | 平均年間給与 | 備考 |
|---|---|---|
| メルカリ | 1,176.3万円 | プラットフォーム×FinTech |
| リクルート | 約960万円(※) | HRTech・人材プラットフォーム |
| サイバーエージェント | 約770万円(※) | 広告×メディア |
| ソニー | 約1,080万円(※) | 多角化コングロマリット |
(※)各社の有報データより。事業年度が異なる場合があります。
メルカリの高い給与水準は、FinTech領域でのエンジニア・金融人材の獲得競争の激しさを反映しています。詳しくは人的資本ランキングで横断比較しています。
面接で使える有報ポイント
志望動機での活用
「御社の有報で、3期前の赤字期を経て当期利益が前期比94.0%増と劇的に改善した点に注目しました。国内フリマ事業の高い収益力を背景に、その利益をFinTechと米国展開に再投資する成長戦略は、プラットフォーム企業として”稼いで投資する”好循環を築いています。この事業構造の転換期に参画し、収益性とチャレンジのバランスが取れた環境で成長したいと考えています。」
逆質問での活用
「有報でメルカードの成長が目立ちますが、メルカリの利用データを活用した与信モデルは従来の金融機関と何が違うのですか?」
「米国事業の損失が縮小傾向にあることを有報で確認しました。米国市場で日本のメルカリと最も異なるユーザー行動は何ですか?」
同業比較のポイント
メルカリの事業戦略を、他のIT企業と比較すると独自性がより明確になります。
| 比較軸 | メルカリ | リクルート | サイバーエージェント |
|---|---|---|---|
| 事業モデル | CtoC特化のマーケットプレイス | HRTech・人材プラットフォーム | 広告×メディア(多角化) |
| FinTech展開 | フリマ×金融の独自モデル | 人材×HR-SaaSへの拡張 | 金融サービスは限定的 |
| グローバル展開 | 日米2拠点に集中 | グローバル展開(60カ国超) | 国内中心(AbemaTVなど) |
| 収益構造 | プラットフォーム手数料(テイクレート) | 求人広告・紹介手数料 | 広告収入・ゲーム課金 |
(出典: 各社有価証券報告書)
メルカリは「CtoC × FinTech」という独自のポジショニングで、他のIT企業とは異なる成長戦略を取っています。詳しくはIT業界の有報比較で横断分析しています。
有報データから逆算して今から学ぶべき分野
| 分野 | 根拠(有報) | 具体的アクション |
|---|---|---|
| FinTech・決済技術 | メルペイ・メルカードがFinTech事業の成長ドライバー(2024年6月期) | 金融工学入門、決済システムの仕組み理解 |
| プロダクト開発・UX | マーケットプレイスのUI/UX改善が事業の根幹(2024年6月期) | UI/UXデザイン入門、プロトタイピングツール(Figma等) |
| 英語力・グローバル | 米国マーケットプレイス拡大を推進、多国籍エンジニア組織(2024年6月期) | TOEIC860点以上、英語での技術コミュニケーション |
| 機械学習・レコメンド | マッチング精度向上にAI/ML活用(2024年6月期) | Python/TensorFlow基礎、推薦システム入門 |
まとめ
| 項目 | メルカリの特徴 |
|---|---|
| 財務状況 | 売上1,926億円、当期利益261億円(前期比94.0%増、2025年06月期) |
| 稼ぎ頭 | 国内フリマ事業(高い収益性のプラットフォーム型) |
| 次の柱 | FinTech(メルペイ/メルカード、独自の与信モデル) |
| 最大の挑戦 | 米国マーケットプレイス展開(先行投資フェーズ) |
| 独自性 | 「循環型社会」をミッションに据えた事業戦略 |
| 成長戦略 | 赤字期からの回復→収益性重視の経営へ転換 |
メルカリは「使ったことがある」だけでは差がつかない企業です。有報で事業構造と投資戦略を理解し、「ユーザーとしてではなく事業を理解した上での志望」を示しましょう。
本記事のデータは有価証券報告書(EDINET)に基づいています。投資判断を目的としたものではありません。