メインコンテンツへスキップ
就活×有報ナビ
金融 2025年03月期期

SOMPOの将来性|有報で見る海外保険利益が国内の3倍・介護事業の独自戦略

約11分で読了
#SOMPO #損保ジャパン #有価証券報告書 #有報 #就活 #企業分析 #損害保険 #介護

企業名

SOMPOホールディングス

業種

損害保険・生命保険・介護

証券コード

8630

対象事業年度

2025年03月期

SOMPOの有報分析 要点: SOMPOHDは収益5兆4,537億円のグローバル保険グループ。海外保険の利益1,777億円は国内損保583億円の約3倍。損保業界唯一の介護事業(収益1,813億円・設備投資211億円)を本業展開し、2025年4月に「SOMPOウェルビーイング」ドメインを新設。一方で3度の金融庁業務改善命令を受けた企業文化変革の途上にあります。(2025年3月期有報に基づく)

この会社が賭けているもの
1. 海外保険事業の「規律ある拡大」──利益の65%を海外が稼ぐグローバル損保
2. 「SOMPOウェルビーイング」──損保唯一の介護事業とヘルスケアの融合
3. 人材強化300億円とデジタル・データドリブン経営

この記事のデータはSOMPOホールディングスの有価証券報告書(2025年3月期)に基づいています。 有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。

SOMPOホールディングスと聞くと「損保ジャパンの自動車保険」をイメージする人が多いかもしれません。しかし有報を読むと、海外保険事業の利益1,777億円は国内損保583億円の約3倍であり、さらに損保業界で唯一、介護事業を本業として展開しているという、イメージとはまったく異なる企業の姿が数字で見えてきます(2025年3月期有報より)。

SOMPOのビジネスの実態|何で稼いでいるのか

SOMPOグループは4つのセグメントで構成されています。

セグメント外部顧客収益構成比セグメント利益利益率
国内損害保険2兆5,908億円49.4%583億円2.3%
海外保険2兆2,199億円42.3%1,777億円8.0%
国内生命保険2,547億円4.9%298億円11.7%
介護1,813億円3.5%53億円2.9%

(出典: 2025年3月期有報セグメント情報。収益は外部顧客からの収益ベース、利益はセグメント利益ベース)

利益の最大の柱は「海外保険」

就活生が最も見落としがちなポイントがこれです。収益規模では国内損保が最大ですが、利益では海外保険が圧倒的です。海外保険のセグメント利益1,777億円は、国内損保583億円の約3倍にあたります。

海外保険事業の中心はSompo International Holdings Ltd.で、米国・英国・欧州大陸・中南米・中東・アジア等でプロパティ・カジュアリティ・スペシャルティ保険および再保険を展開しています(2025年3月期有報より)。

国内損保の利益急落に注目

もう一つ見逃せないのが、国内損害保険事業の利益が前期1,924億円→当期583億円と約70%も急落していることです。インフレを背景に自動車保険金の支払単価が上昇し続けていることが影響しています(2025年3月期有報より)。国内損保の収益回復がグループ全体の業績の鍵を握っています。

全体業績の推移

項目4期前3期前2期前前期当期
収益(億円)38,46341,67445,25849,33654,537
EPS(円)132.46214.7426.14419.83436.45
ROE7.88%11.11%1.34%17.50%14.84%
自己資本比率15.39%14.71%14.25%19.23%18.94%

(出典: 2025年3月期有報。IFRS基準)

収益は5期連続で成長し、4期前の3兆8,463億円から当期5兆4,537億円へと+41.7%の増収です。ただし2期前にEPSが26円まで落ち込んだように、保険業界は年度によって業績が大きく変動する特性があります。

セグメント情報の読み方

SOMPOは何に賭けているのか|投資と戦略の方向性

有報と中期経営計画(2024〜2026年度)から読み取れるSOMPOの投資方向です。

投資分野内容読み方
海外保険の拡大Sompo International中心にグローバル展開修正利益の成長目標:1,597億円→2,030億円(+27%)
介護・ウェルビーイング設備投資211億円(セグメント別最大)損保唯一の介護事業。「未来の介護」を推進
人材・デジタル投資300億円ファンド新設生成AI・データドリブン経営の基盤構築

賭け1|海外保険事業の「規律ある拡大」

SOMPOの成長エンジンは海外保険事業です。Sompo International Holdings Ltd.を中心に、米国・英国・欧州大陸・中南米・中東・アジアでプロパティ・カジュアリティ・スペシャルティ保険および再保険を展開しています。

中期経営計画では海外保険事業の2025年度修正利益予想を2,030億円(2024年度実績1,597億円から+27%)と設定。有報では「グループの成長の牽引役として事業規模と収益性の両面で着実な拡大を続ける」と明記されています(2025年3月期有報より)。

設備投資の面でも海外保険事業は200億円と、国内損保の169億円を上回る投資規模です(2025年3月期有報より)。

就活ポイント: 海外保険事業の中心はSompo Internationalという海外子会社です。損保ジャパン本体からの海外赴任とは別のキャリアパスが存在する点を面接で確認するとよいでしょう。

賭け2|「SOMPOウェルビーイング」の確立

SOMPOが他の損保グループと最も明確に差別化される戦略がこれです。2025年4月にグループの事業を「SOMPO P&C(損害保険事業)」と「SOMPOウェルビーイング」の2つのビジネス領域に再編しました(2025年3月期有報より)。

SOMPOウェルビーイングは国内生命保険事業と介護事業で構成されます。

事業修正利益(2024年度実績)2025年度予想
国内生命保険570億円610億円
介護83億円100億円
ウェルビーイング合計662億円720億円

(出典: 2025年3月期有報の中期経営計画進捗。修正利益ベース)

特に注目すべきは介護事業の設備投資211億円がセグメント別で最大という点です(国内損保169億円、海外保険200億円を上回る)。損保業界で介護を本業として展開しているのはSOMPOだけであり、「未来の介護」として品質を伴う生産性向上に取り組んでいます(2025年3月期有報より)。

国内生命保険事業ではInsurhealth®(保険×ヘルスケア)という独自コンセプトで、保険本来の機能と健康応援機能を組み合わせたサービスを展開しています。

同じ損保業界でも、東京海上HDはM&A主導のスペシャルティ保険が成長の柱であるのに対し、SOMPOは介護・ヘルスケアへの多角化が特徴です。

賭け3|人材強化300億円とデジタル・データドリブン経営

SOMPOは中期経営計画で修正連結ROE 13〜15%と修正EPS成長率 年率+12%超をKPIに掲げています。2024年度実績は修正連結利益3,234億円・修正連結ROE 9.2%であり、目標に向けて途上の段階です(2025年3月期有報より)。

KPI2024年度実績2025年度予想2026年度目標
修正連結ROE9.2%10%程度13〜15%
修正EPS成長率年率+12%超

(出典: 2025年3月期有報の中期経営計画進捗)

この目標の達成に向けて、総額300億円規模のファンドを新設しグループの人材強化に投資を開始しました。さらに生成AIやデジタルを活用したデータドリブンなオペレーションの実装・拡大にも取り組んでいます(2025年3月期有報より)。

設備投資・R&D費の読み方

SOMPOが自ら語るリスクと課題|PRでは絶対に出ない情報

有報の「事業等のリスク」には、採用サイトやPRでは見えないリスクが記載されています。

リスク項目内容就活での読み方
コンプライアンス3度の金融庁業務改善命令企業文化変革の途上。当事者意識が問われる
国内損保の収益急落利益前期比約70%減回復の道筋を理解した上で志望理由を語る
自然災害・気候変動巨大風水災の激甚化保険ビジネスの根幹に関わる構造的リスク

リスク1|3度の金融庁業務改善命令

有報のリスク欄の冒頭に記載される最重要リスクです。損保ジャパンは以下の3つの問題で業務改善命令を受けています。

  • 2023年12月: 不適切な保険料調整行為(公取委からも排除措置命令・課徴金6億4,798万円)
  • 2024年1月: 自動車保険金不正請求等への対応
  • 2025年3月: 保険契約情報等の不適切な管理

(出典: 2025年3月期有報「事業等のリスク」)

有報では「問題を二度と起こさないために、業務改善計画を着実かつスピード感をもって実行し、全てのステークホルダーの皆さまからの信頼を1日も早く取り戻せるよう、取り組んでまいります」と記載されています。

就活ポイント: このリスクを知った上で志望する姿勢が重要です。「変革期の当事者として企業文化の再構築に貢献したい」というメッセージは、問題を避けるよりも評価される可能性が高いといえます。

リスク2|国内損保事業の収益急落

国内損害保険のセグメント利益は前期1,924億円→当期583億円と約70%減少しています。インフレを背景に自動車保険金の支払単価が上昇し続けていることが主因です(2025年3月期有報より)。

業務の健全性回復と収益力再構築を同時に進める「二正面作戦」の状況にあり、この国内損保の回復がグループ全体の業績を左右します。

リスク3|自然災害・気候変動リスク

気候変動による想定を超える巨大風水災の発生や発生頻度の上昇による保険引受収支への影響が有報に記載されています。再保険マーケットのハード化により、再保険キャパシティが大幅に減少するリスクも指摘されています(2025年3月期有報より)。

これは損保ビジネスの根幹に関わる構造的リスクであり、SOMPOに限らず保険業界全体の課題です。

事業等のリスクの読み方

あなたのキャリアとマッチするか

SOMPOの方向性に合う人・合わない人

合う人合わない人
海外保険ビジネスでグローバルキャリアを積みたい人安定した国内損保だけに携わりたい人
介護×テクノロジーの社会課題解決に関わりたい人コンプライアンスリスクを避けたい人
DX・生成AIの金融活用に取り組みたい人専門外への異動を望まない人
企業文化の変革期に当事者として関わりたい人

従業員データ

項目データ(2025年3月期)読み方
従業員数(連結)54,106名グローバル保険グループとして大規模
従業員数(HD単体)467名持株会社のため少人数
平均年齢43.8歳金融業として標準的
平均勤続年数13.5年安定的な就業環境
平均年間給与約1,218万円(HD)持株会社のためHD単体は高水準

(出典: 2025年3月期有報「従業員の状況」)

就活ポイント: 平均給与1,218万円(年収ベース)はHD単体(467名)の数値です。実際の事業会社である損保ジャパンやSOMPOひまわり生命の給与水準は異なります。持株会社の年収は参考値として見てください。

社風や職場の雰囲気、上司との関係性は有報ではわかりません。OpenWork等の口コミサイトやOB/OG訪問を併用して、実際の職場環境を多角的に確認することをお勧めします。

有報で年収を読み解く方法

有報データから逆算して今から学ぶべき分野

分野根拠(有報)具体的アクション
グローバル保険ビジネス海外保険利益が国内の3倍、収益の42%が海外(2025年3月期)英語力強化、保険・リスクマネジメントの基礎知識
介護・ヘルスケア介護設備投資211億円がセグメント最大。ウェルビーイングドメイン新設(2025年3月期)高齢社会の基礎知識、介護ビジネスの動向理解
データサイエンス・AI生成AI・データドリブン経営を有報で明記。人材投資300億円(2025年3月期)Python基礎、統計学入門、金融データ分析の基礎

面接で使える有報ポイント

志望動機での活用

「御社の有報で、海外保険事業のセグメント利益が1,777億円と国内損保の約3倍であることを確認しました。Sompo Internationalを中心としたグローバル保険ビジネスの成長と、損保業界で唯一の介護事業展開による『SOMPOウェルビーイング』の構想に、保険の枠を超えた御社の方向性に共感し志望いたしました。」

逆質問での活用

「海外保険事業の利益が国内の3倍と有報で確認しましたが、入社後に海外保険事業に関わるキャリアパスはどのようなものがありますか?」

「有報に記載の『SOMPOウェルビーイング』について、介護事業の『未来の介護』では具体的にどのようなテクノロジーを活用していますか?」

「人材強化の300億円ファンドについて、新卒社員にはどのような育成プログラムが用意されていますか?」

同業比較のポイント

比較軸SOMPO東京海上
海外利益の位置づけ国内損保の約3倍(2025年3月期有報)各社有報を参照
独自戦略介護・ヘルスケア多角化M&A主導・スペシャルティ保険
注目リスク業務改善命令(3回)自然災害リスク

損保各社はそれぞれ異なる成長戦略を採っています。同じ金融業界の東京海上HDの有報分析と比較すると、各社の戦略の違いが明確になります。

金融業界の有報比較

まとめ

項目SOMPOの特徴
最大の強み海外保険利益が国内の3倍。グローバル保険グループの実態
最大の賭け介護・ヘルスケアの「SOMPOウェルビーイング」ドメイン
成長ドライバー海外保険の規律ある拡大 + ウェルビーイング事業の成長
最大の課題3度の業務改善命令。ガバナンス再構築と企業文化変革

SOMPOは「損保ジャパンの自動車保険」のイメージとは大きく異なるグローバル保険グループです。有報で海外利益構造と介護事業の実態を理解した上で志望理由を語ることで、保険業界への理解の深さを示せます。

業務改善命令という逆風の中で、海外保険の拡大・介護ヘルスケアへの多角化・人材投資300億円という変革を同時に進めている点が、SOMPOのキャリアとしての特徴です。「変革期の当事者」として何を成し遂げたいかを語れるかが、面接での差別化のポイントになります。

本記事のデータは有価証券報告書(EDINET)に基づいています。投資判断を目的としたものではありません。

よくある質問

SOMPOホールディングスの有報で最も注目すべきポイントは?

セグメント利益の構造です。海外保険事業の利益1,777億円は国内損害保険事業583億円の約3倍であり、「国内損保会社」というイメージとは大きく異なるグローバル保険グループの実態が読み取れます(2025年3月期有報)。

SOMPOと東京海上の違いは有報から分かる?

SOMPOは介護事業(収益1,813億円・設備投資211億円)を本業として展開している点が最大の差別化ポイントです。2025年4月には「SOMPOウェルビーイング」ドメインを設立し、保険だけでない事業構造を志向しています。東京海上はM&A主導の北米スペシャルティ保険が強みです。

損保ジャパンの業務改善命令は就活に影響する?

有報のリスク欄冒頭に記載される最重要リスクです。2023年〜2025年に3度の業務改善命令を受けており、企業文化変革の途上にあります。面接では「変革期の当事者として貢献したい」という姿勢で語るのが有効です。

SOMPOの介護事業は成長しているの?

介護事業の収益は1,813億円、セグメント利益53億円で、設備投資は211億円(セグメント別最大)です。「未来の介護」として品質と生産性の向上に取り組んでおり、成長投資フェーズにあります(2025年3月期有報)。

SOMPOの将来性は?今後どうなる?

中期経営計画(2024〜2026年度)で修正連結ROE13〜15%、修正EPS年率+12%超を目標に掲げています。2024年度実績は修正連結利益3,234億円。海外保険の拡大とウェルビーイング事業の成長加速が戦略の柱です。

SOMPOの面接で有報の知識はどう活かせる?

海外保険利益が国内の3倍という利益構造、損保唯一の介護事業、業務改善命令後の企業文化変革の3点を押さえると、他の就活生との差別化が可能です。特に「SOMPOウェルビーイング」ドメインに言及できると理解の深さを示せます。

SOMPOの強みと課題は?

強みは海外保険事業の利益貢献の大きさ(全体の65%)と、損保業界唯一の介護事業展開です。課題は3度の業務改善命令で示されたガバナンス問題と、国内損保の収益急落(前期比約70%減)からの回復です(2025年3月期有報)。

SOMPOの企業研究で見るべきポイントは?

有報のセグメント利益構成(海外が国内の3倍)、介護事業の設備投資(211億円でセグメント最大)、事業リスク欄の業務改善命令の記載の3つが就活での重要ポイントです。

金融の他社分析

金融の全記事を見る →

関連記事

次に読む