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金融 2026年03月期期

第一生命の将来性|海外保険調整期×非保険拡大の強みとリスク

最終更新: 約25分で読了
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第一生命の将来性|海外保険調整期×非保険拡大の強みとリスク

第一生命を「生保=営業職員が売り歩く保険屋」だと思って面接に臨むと、企業研究の甘さが一目で伝わります。2026年3月期の有報を開けば、成長ドライバーが海外保険(-48.8%)からその他事業(+53.9%)へバトンタッチし、ベネフィット・ワン+英国M&G plc出資+丸紅との国内不動産事業統合+Capulaへの追加出資で非保険領域が拡張中の複合金融サービス企業に変わっています。あなたが「海外保険リバランスと非保険拡張の二正面戦略のどこに参画したいか」を語れれば、他の就活生とは明確に差がつきます。

第一生命グループ(8750/2026年4月に株式会社第一ライフグループへ商号変更、グループブランドを「Daiichi Life」に刷新)は、生保というより、国内最大級の機関投資家×グローバル保険グループ×非保険プラットフォームの複合体です。日本生命や住友生命が国内保険会社のイメージを強く残すのに対し、第一生命は北米Protective Life・豪州TAL・ベトナム子会社に加えて2025年5月から英国M&G plcにも約15%出資するグローバル保険グループであり、ベネフィット・ステーションや丸紅と統合した国内不動産事業まで抱える複合金融サービス企業だと理解するのが出発点です。

この会社が賭けているもの──1.ベネフィット・ワン+M&G+Capula+丸紅不動産の非保険拡張(その他事業+53.9%・3,402億円)、2.海外保険リバランス(Challenger 19.9%取得・Portfolio Holding買収決定・M&G plc英国出資)、3.資本循環経営(ESR 220%・国内株式1.2兆円削減・グループ配当5,500億円)

この記事のデータは株式会社第一ライフグループ(旧・第一生命ホールディングス)の有価証券報告書(2026年03月期)に基づいています。 有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。

純利益(2026年3月期) 4,366億円 前期比-4.7%・過去最高圏を維持
その他事業セグメント利益 +53.9% 海外保険(-48.8%)から成長ドライバー交代
総資産/ESR 74.2兆円/220% 国内最大級・財務健全性トップティア

出典: 株式会社第一ライフグループ 有価証券報告書 2026年03月期 主要な経営指標等の推移

第一生命のビジネスの実態|何で稼いでいるのか

結論を先に示すと、第一生命グループは「国内保険事業」「海外保険事業」「その他事業」の3セグメント体制で、2026年3月期は国内保険6,762億円(利益構成比60%)が最大の柱です。ただし、その他事業(ベネフィット・ワン+アセマネ+不動産)3,402億円(30%)が海外保険1,126億円(10%)を大きく上回り、前期からの成長ドライバー交代がセグメント情報にくっきり現れています(セグメント情報の読み方ガイドも併読すると理解が深まります)。

第一生命グループの2026年3月期セグメント別利益構成──国内保険6,762億円60%、海外保険1,126億円10%、その他事業3,402億円30%

セグメント経常収益セグメント利益利益構成比前期比
国内保険事業8兆6,696億円6,762億円60%+15.7%
海外保険事業3兆5,594億円1,126億円10%-48.8%
その他事業4,715億円3,402億円30%+53.9%

出典: 株式会社第一ライフグループ 有価証券報告書 2026年03月期 セグメント情報。利益構成比は調整前セグメント利益計1兆1,291億円ベース。前期数値は会計方針変更の遡及適用後。

pie title セグメント別利益構成(2026年3月期・調整前)
    "国内保険事業" : 6762
    "海外保険事業" : 1126
    "その他事業" : 3402

国内保険が利益の60%を占める柱です。前期比+15.7%と堅調に増益しました。一方で、海外保険は前期2,198億円→当期1,126億円と-48.8%まで減益し、代わりにその他事業(ベネフィット・ワン+アセマネ+不動産)3,402億円が海外保険を大きく上回るという構造変化が起きました。前年度までの「海外保険が最大の成長ドライバー」というストーリーは、直近1年では機能しなくなっています。

ここからは3つのセグメントを順に深掘りします。

Segment 01 / 国内保険事業 経常収益8兆6,696億円・セグメント利益6,762億円(+15.7%)・利益構成比60%

国内保険事業|営業職員チャネルが核・堅調増益

国内保険事業は経常収益8兆6,696億円・セグメント利益6,762億円で、前期比+15.7%と堅調に増益しました。第一生命保険株式会社の営業職員チャネル(生涯設計デザイナー)が中核で、第一フロンティア生命保険株式会社が銀行窓販の貯蓄型保険、第一ネオ生命保険株式会社(2026年4月にネオファースト生命から商号変更)が来店型保険ショップ経由の医療保険を担当する役割分担があります。第一生命の生涯設計デザイナーがベネフィット・ステーションや第一アイペット損害保険株式会社(2026年4月にアイペットから商号変更)のペット保険提案も担う「グループシナジー」型の営業モデルが定着してきました。設備投資1,679億円のうち1,623億円(97%)がこの国内保険事業に集中しており、投資用不動産・営業用不動産・システム開発が中心です。金利上昇による運用利回りの改善が利益を押し上げた1年でした。

Segment 02 / 海外保険事業 経常収益3兆5,594億円・セグメント利益1,126億円(-48.8%)

海外保険事業|調整期+Challenger/Portfolio Holding/M&Gで再加速準備

海外保険事業は経常収益3兆5,594億円・セグメント利益1,126億円で、前期2,198億円から-48.8%と大幅減益しました(前期数値は会計方針変更の遡及適用後)。要因は3つ重なっています。第一に、豪州のTAL Daiichi Life Australiaで高度障害・所得補償の支払増を受け業界全体で契約条件・商品設計を見直す局面にあり、対象契約の改善に向けた取組みを実施しました。第二に、海外保険事業ののれん償却額が91億円→116億円へ増加しました。第三に、為替・運用環境の変動が加わりました。

ただし、成長基盤としての新規案件は積み増しています。2025年8月にTALがChallenger Limited株式19.9%の取得を完了し、豪州で拡大が期待されるリタイアメント市場へ参入しました。2025年11月にはProtective Life CorporationがPortfolio Holding, Inc.(アセットプロテクション事業)の買収を決定し、キャピタルライトな新規領域への進出を検討しています。さらに2025年5月には英国M&G plcと生命保険分野・資産運用分野における長期的な戦略的パートナーシップを締結し、同社株式約15%の取得を進めることで英国・欧州保険市場へ初進出しました。海外保険事業ののれん残高は1,246億円で、次期中期経営計画での再加速に向けた投資を続けています。

Segment 03 / その他事業 セグメント利益3,402億円(+53.9%)・利益構成比30%・のれん1,655億円

その他事業|ベネフィット・ワン+アセマネ+不動産で非保険変革

その他事業はセグメント利益3,402億円で、海外保険事業(1,126億円)を大きく上回るグループ最大の利益成長ドライバーになりました。前期比+53.9%という増益率で、内訳は5つの要素が同時進行しています。第一に、ベネフィット・ワン(福利厚生プラットフォーム「ベネフィット・ステーション」運営)の取り込み効果が通期で反映されました。第二に、2025年5月に英国Capula Investment Managementへの追加出資を決定し、オルタナ運用を強化しました。第三に、2025年7月に丸紅株式会社との国内不動産事業の統合が完了し、不動産バリューチェーンを強化しました。第四に、2025年10月にウェルス・マネジメント株式会社と資本業務提携を締結し、ホテル関連領域へ展開しました。第五に、ベネフィット・ステーションを企業間取引のデジタル化サービスを提供する株式会社インフォマートとの資本業務提携で財務・経理領域まで拡張しました。

経営方針では「保険業を超えた保険サービス業への変革」を明言しており、このセグメントが変革を牽引しています。当期のセグメント利益3,402億円という規模は、非保険領域が第一生命グループの利益成長を牽引するフェーズに入ったことを数字で裏付けています。

海外保険-48.8%と国内保険+15.7%はコインの裏表。海外保険の減益は一時費用(TAL契約条件見直し・のれん償却増)が重なった調整期であり、Challenger/Portfolio Holding/M&G plcの新規案件を次期中期経営計画で刈り取る前段階です。一方で国内保険+15.7%は金利上昇による運用利回り改善が追い風になった好業績で、これも金利環境が反転すれば圧迫される表裏の関係にあります。「海外保険が調整期だから避ける」「国内が伸びているから安泰」のどちらも一面的な見方で、両セグメントの構造的な連動を理解した上でキャリア選択する必要があります。

では、この国内60%+海外10%+その他30%という構造は、第一生命が次の3年で何に賭けることで作られていくのか。続く章で投資と成長戦略の中身を見ていきます。

第一生命は何に賭けているのか|投資と成長戦略の方向性

設備投資・事業投資とは、企業が「未来の何に資金を投じているか」を示す情報です。生命保険業の場合は工場ではなく、海外保険会社の買収(M&A)や非保険事業のプラットフォーム取得という形で資金が動く点に注意してください(投資セクションの読み方ガイド)。第一生命の中期経営計画(2024-2026年度)は「日本の保険業界の未来を先導する存在になること」と「グローバルトップティアに伍する保険グループになること」の2つのビジョンを掲げ、2026年3月期は主要な財務目標を2年目で概ね達成・前倒しで達成しました。以下3つの賭けとして定量データに現れています。

この会社が賭けているもの──1.ベネフィット・ワン+M&G+Capula+丸紅不動産の非保険拡張(その他事業+53.9%・3,402億円)、2.海外保険リバランス(Challenger 19.9%取得・Portfolio Holding買収決定・M&G plc英国出資)、3.資本循環経営(ESR 220%・国内株式1.2兆円削減・グループ配当5,500億円)

賭けの領域定量的根拠(2026年3月期)期間全社利益への寄与
ベネフィット・ワン+非保険領域の拡張その他事業セグメント利益3,402億円(前期2,210億円・+53.9%)/のれん残高1,655億円中期経営計画期間最終年度+次期中計へ継承セグメント利益の30%・最大の増益ドライバー
海外保険事業のリバランス海外保険セグメント利益1,126億円(前期2,198億円・-48.8%)/のれん残高1,246億円中期経営計画期間+次期中計での再加速セグメント利益の10%(前期21%から半減)
資本循環経営と市場リスク削減ESR 220%/国内株式3年で1.2兆円削減/グループ会社配当5,500億円見込中期経営計画期間(2024-2026年度)最終年度ROE 11.1%維持、修正ROE 10%超で資本コスト9%上回る

出典: 株式会社第一ライフグループ 有価証券報告書 2026年03月期 経営方針・セグメント情報・財務資本政策

Betting 01 / 非保険領域の拡張 その他事業利益3,402億円・前期比+53.9%/のれん1,655億円

賭け1: ベネフィット・ワン+M&G+Capula+丸紅不動産による非保険領域の拡張

その他事業セグメント利益3,402億円(+53.9%)は、単なるベネフィット・ワン取り込み効果だけではありません。ベネフィット・ステーションを株式会社インフォマートとの資本業務提携で財務・経理領域まで拡張し、法人向けの価値提供基盤を強化しました。2025年5月には英国Capula Investment Managementへの追加出資を決定してオルタナティブ運用を強化し、2025年7月には丸紅株式会社との国内不動産事業の統合を完了して不動産バリューチェーンを厚くしました。2025年10月にはウェルス・マネジメント株式会社と資本業務提携し、ホテル関連領域へも進出しました。第一生命の営業チャネルを通じたベネフィット・ステーションの法人提案活動と組み合わさることで、「保険を売って終わり」のビジネスから、「会員プラットフォームを通じた継続的サービス提供」へのモデルチェンジが進んでいます。

プラットフォーム・アセマネ志望での行動 → ベネフィット・ワン×インフォマート・Capula・丸紅不動産統合のシナジー設計を逆質問のテーマにできます。有報のM&A情報の読み方で関連用語を整理しておくと、面接で具体的な質問ができます。

Betting 02 / 海外保険リバランス 海外利益1,126億円・前期比-48.8%(調整期)/Challenger・Portfolio Holding・M&G plcで再加速準備

賭け2: 海外保険事業のリバランス

海外保険セグメント利益1,126億円・前期比-48.8%という数字は、単に減益ではなく「リバランスの調整期」と読むべき局面です。TAL豪州の契約条件・商品設計見直し、海外事業のれん償却額の増加(91億円→116億円)、為替・運用環境変動が重なった一方で、次期中期経営計画に向けた案件を積み増しました。2025年8月にTALがChallenger Limited株式19.9%を取得(豪州リタイアメント市場参入)、2025年11月にProtective LifeがPortfolio Holding, Inc.買収を決定(アセットプロテクション事業)、2025年5月にM&G plcと戦略的パートナーシップ締結して株式約15%を取得(英国・欧州初進出)。海外保険事業ののれん残高は1,246億円です。

北米ではキャピタルライトな新規領域への進出を検討し、オセアニアではリタイアメント事業へ展開する等、各地域の市場特性に応じた戦略を進めています。「海外40%目標」は依然掲げられており、当期の利益構成比10%はその足元の到達点です。海外配属を志望するなら、当期の実態(-48.8%)と次期中計での再加速シナリオの両方を語れることが差別化条件になります。

グローバル・M&A志望での行動 → 北米・豪州・英国・ベトナム4拠点の役割分担と、Challenger/Portfolio Holding/M&G plcのPMI(統合)進捗を1つはエピソードとして語れるようにしましょう。生保・損保のキャリア比較を読むと、第一生命の海外戦略の独自性がより鮮明になります。

Betting 03 / 資本循環経営 国内株式1.2兆円削減(3年)/ESR 220%/グループ配当5,500億円

賭け3: 資本循環経営と市場リスク削減

中期経営計画では、第一生命保険株式会社の保有国内株式を2025年3月期から2027年3月期の3年間で1.2兆円削減する計画が織り込まれています。株式リスクを削減し、保険リスク中心のリスクプロファイルにシフトする方針で、これは「金利のある世界」に適応した運用設計の見直しです。2026年3月末の内部ESR(経済価値ベース資本充足率)は220%で、基本水準170%を大きく上回る余裕を確保しました。株式売却による市場リスク削減で、前期210%からさらに10ポイント上昇しています。

連結ROEは11.1%で、修正ROE 10%超で想定資本コスト9%を上回る資本効率が定着してきました。2026年3月期グループ修正利益をベースとしたグループ会社からの配当は、前期を上回る約5,500億円の見通しと有報に明記されており、株主還元原資と次の成長投資原資が同時に厚くなる資本循環経営の好循環が回り始めた1年です。総資産74.2兆円という国内最大級の運用ポートフォリオを再設計するこの動きは、ALM(資産負債管理)・ERM(統合リスク管理)の専門人材にとって最大の活躍機会です。

運用・数理志望での行動 → ESR 220%と国内株式1.2兆円削減計画の関係を整理し、「金利のある世界」での資産配分の論点を語れるようにしましょう。アクチュアリー・クオンツ志望者にとっては、保有資産の最適配分を設計する高度な専門職のフィールドが広がっています。

ただし、非保険拡張と海外保険リバランスの裏側にもリスクがあります。次章では第一生命自身が有報で開示しているリスクを見ていきます。

第一生命が自ら語るリスクと課題|PRでは絶対に出ない情報

事業等のリスクとは、企業自身が「経営上の脅威」として認識している項目を有報に開示するセクションです。第一生命が開示している多数のリスクの中から、就活生のキャリア選択に直結する3つを抽出します。

第一生命グループが有報で開示する3つのリスク──海外保険事業の一時費用・のれん償却(当期-48.8%)、コンダクトリスク(2024年8月+2025年9月代理店出向者事案)、国内市場縮小(少子高齢化・営業職員採用)

Risk 01 / 海外保険調整 海外利益-48.8%/TAL契約見直し/のれん償却増(91億円→116億円)

リスク1: 海外保険事業の一時費用・のれん償却リスク

海外保険セグメント利益が前期2,198億円→当期1,126億円へ-48.8%減益した実績が、そのままリスクの実例です。TAL豪州の高度障害・所得補償の支払増を受けた契約条件・商品設計見直しは業界全体で進んでいる調整で、当期の対象契約改善に向けた取組みが利益を圧迫しました。海外事業ののれん償却額は91億円→116億円へ増加しました。Challenger(19.9%取得)・Portfolio Holding(買収決定)・M&G plc(英国15%出資)の新規案件は次期中計以降のリターン資産である一方、統合コスト・現地環境変化・のれん減損の可能性は継続的なリスクとして残ります。海外配属を志望する学生は、この調整局面を直接体験することを織り込む必要があります。

Risk 02 / コンダクトリスク 2024年8月・2025年9月代理店出向者情報事案/2020-2023元従業員金銭不正

リスク2: コンダクトリスク(代理店出向者情報事案の連鎖)

2024年8月に保険代理店へ出向していた社員による顧客個人情報漏洩事案が判明し、続いて2025年9月には別の出向者が代理店内部情報を代理店の了承を得ずに取得していた事案が判明しました。前段の2020-2023年の元従業員による金銭不正取得事案と合わせて、コンダクトリスクは複数年にわたる継続課題です。有報では2026年3月期にも全容調査を実施した旨と再発防止策の実行を明記していますが、企業文化・風土の改革は道半ばであることが文面から読み取れます(=再発防止と信頼回復は継続課題)。生命保険ビジネスは「信頼」が最大の資産であり、この種のリスクは契約継続率や新契約獲得に直接的な影響を与え得ます。営業・商品企画・代理店企画の配属では、コンダクトリスク管理下の業務設計を体感することになります。

Risk 03 / 国内市場縮小 合計特殊出生率低下/営業職員採用環境熾烈化

リスク3: 国内人口減少・営業職員採用環境の熾烈化

日本の合計特殊出生率は近年再び低下傾向にあり、人口減少で生命保険の需要が構造的に減少する可能性が有報で明記されています。営業職員(生涯設計デザイナー)の採用環境も熾烈化しており、想定の採用数を確保できずに在籍数が大幅に減少するリスクが指摘されています。海外保険事業の利益構成比40%目標や、非保険領域(ベネフィット・ワン+アセマネ+不動産)への拡張は、この国内構造課題への対応策でもあります。国内保険事業は当期+15.7%増益と足元は堅調である一方、中長期の販売基盤には構造的な下押しが残ります。国内営業を志望する学生は、対面営業モデルからリアル+デジタル融合モデルへの転換をどう担うかを面接で言語化しておく必要があります。

リスクの活用 → リスクを「ネガティブ情報」として避けるのではなく、面接で「なぜそのリスクを受け入れた上で志望するのか」を語れる材料に変えてください。有報のリスク欄の読み方ガイドで、リスク開示の構造を理解しておくと、面接での返答に厚みが出ます。

ここまでの内容を踏まえて、第一生命があなたのキャリアにマッチするかを次章で確認します。

あなたのキャリアとマッチするか

本章では、ここまで見てきた第一生命の戦略・投資・リスクをあなた自身のキャリア志向と照らし合わせ、噛み合うかを判断します。まず、志向別にどの情報を見るべきかをナビゲーション表で整理します。

あなたの志向該当する第一生命の特徴詳しく見る
アセマネ・オルタナ運用志向その他事業+53.9%・M&G plc/Capula/丸紅不動産の非保険拡張→ 本記事の賭け1
資産運用・機関投資家志向総資産74.2兆円・国内最大級/国内株式1.2兆円削減→ 本記事の賭け3
海外M&A・PMI志向Challenger 19.9%/Portfolio Holding/M&G plc約15%の海外案件→ 本記事の賭け2
アクチュアリー・数理志向長寿リスク/金利リスク管理/保険リスク中心シフト→ 本記事の賭け3
プラットフォーム・DX志向ベネフィット・ステーション+インフォマート提携+インドGCC設立→ 本記事の賭け1

合いそうな人

  • 総資産74.2兆円の運用ポートフォリオに関わりたい人(証券アナリスト・ALM・ERM志望)
  • 海外M&A・PMI実務を経験したい人(Challenger/Portfolio Holding/M&Gの統合案件)
  • アクチュアリー試験・統計学の数理素養があり、長寿・金利リスクの数理管理に興味がある人
  • ベネフィット・ワン×インフォマート/Capula/丸紅不動産のアセマネ・プラットフォーム拡張でDX企画に関心がある人

合わないかもしれない人

  • テックファーストの開発組織で働きたい人 → 金融機関のため開発は外部委託中心が続く
  • 短期で成果が可視化される仕事を求める人 → 保険は長期契約ビジネスで成果に時間がかかる
  • 損害保険のリスク引受や事故対応のキャリアを描きたい人 → 東京海上の有報分析
  • 営業を絶対に避けたい人(総合職の場合) → 生涯設計デザイナーの統括・管理も総合職の重要業務

従業員データ

第一生命グループの従業員データも判断材料になります。連結従業員は60,138名、HD単体(持株会社)は702名で、平均年齢39.1歳、平均勤続年数10.9年、平均年間給与1,142.6万円(2026年3月期・HD単体)です。マイクロソフトとの戦略パートナーシップに加えて、2025年5月にはインドに「グローバル・ケイパビリティ・センター(GCC)」を設立し、データ・AI・サイバーセキュリティ・先進的なソフトウェア開発でグローバルDX加速を進めています。すべてのCXOに「Group」を付し、グローバル視点でグループ経営を強化しました。

HD単体年収1,142.6万円と従業員702名の裏側はGroup CXO・事業オーナー体制の拡充。1,142.6万円という数字は持株会社(HD)単体702名の平均で、グループ全体平均(連結60,138名)ではありません。HDには経営管理・財務・リスク管理などの本社機能が集中しているため平均年収が高く出ます。当期はGroup CXO(機能別責任者)・事業オーナー(事業別責任者)によるマトリクス型経営管理体制の実効性を高めるため、国内3社への財務・コンプライアンス・IT CXO任命や外部人財登用を積極化しており、持株会社の役割が拡張している最中です。ジョブ型人事制度で職務記述書ベースの評価が前提となり、配属と専門性の選択次第で同じ会社内でもキャリアが大きく分岐する設計です。

今から学ぶべき分野

有報が示す投資方針から、第一生命で活躍するために今から学ぶべきことを整理しました。

投資方針今から学ぶべきこと具体的なアクション
その他事業+53.9%(アセマネ・不動産・非保険)アセマネ・オルタナ投資・不動産金融の基礎証券アナリスト試験(CMA)一次レベル、REIT・PEの基礎書、M&G/Capula/Challengerの英語IR資料を1本読む
総資産74.2兆円の運用と国内株式1.2兆円削減資産運用・ALM・ERMの基礎債券・株式・オルタナ運用の基礎書、FP2級取得、金利リスク管理の入門
アクチュアリー専門職保険数理・統計学・金利モデルアクチュアリー試験の数学科目(確率・統計)、生保数理の入門書、Excel/Pythonでの計算
海外保険事業40%目標・M&A案件のPMI英語力・グローバル財務TOEIC 800点以上、英語での財務データ読解、ProtectiveのIR資料を英語で1本読む
インドGCC×MS提携でのDXデータサイエンス・プラットフォーム企画Python基礎、Google Analytics無料講座、Azure基礎、AIガバナンスの入門、有報の人的資本データの読み方

最後に、ここまでの分析を面接で実際に語れる形に落とし込みます。

面接で使える有報ポイント

ここまでの分析を面接の場で実際に使えるフレーズに変換します。「有報を読みました」と伝えるだけでも企業研究の深さは伝わります。さらに、具体的な数値とストーリーを結びつけることで面接官の印象に残るレベルになります。

第一生命の面接── 「なぜ第一生命か」と聞かれたとき

有報のセグメント情報を拝見し、2026年3月期はその他事業の利益が前年比+53.9%(3,402億円)と、海外保険(1,126億円・-48.8%)を大きく上回る構造になったと理解しました。成長ドライバーが海外保険から非保険×アセマネ領域へバトンタッチした転換期に、ベネフィット・ワン+M&G+Capula+丸紅不動産といった非保険拡張を担う立場でキャリアを築きたいと考えています。単なる保険会社ではなく、複合金融サービス企業への変革フェーズに新卒として参画できる点に共感しました。

第一生命の面接── 「海外保険が調整期でも御社を志望する理由は?」と聞かれたとき

海外保険セグメント利益が-48.8%となった要因として、TAL豪州の契約条件見直しと海外事業のれん償却増があると有報で確認しました。ただしこれは調整期の一時費用であり、2025年8月のChallenger Limited 19.9%取得完了、2025年11月のPortfolio Holding, Inc.買収決定、2025年5月のM&G plc株式約15%取得と、次期中期経営計画での再加速に向けた案件を積み増している段階だと理解しています。むしろ再加速フェーズの立ち上がりに関わるほうが、海外M&A実務とPMIの経験を早く積める環境だと感じており、海外配属志望として魅力を感じています。

面接で伝えるべき3つの軸

  • 成長ドライバー交代を数字で語る。その他事業+53.9%(3,402億円)と海外保険-48.8%(1,126億円)を並べ、非保険×アセマネへのシフトを理解している姿勢を示す
  • 社名変更(→株式会社第一ライフグループ・グループブランドをDaiichi Lifeへ刷新)に触れる。2026年4月の刷新は変革の象徴で、変革期に参画したい意欲を語りやすい素材
  • コンダクトリスクの連鎖と国内市場縮小にも触れる。2024年8月と2025年9月の代理店出向者事案、営業職員採用環境の厳しさを同時に語ることで、PRに依存しない判断ができる姿勢を示す

逆質問の例

  • 「その他事業セグメント利益+53.9%はベネフィット・ワンとアセマネの取り込みが大きいと有報で拝見しましたが、M&G plcやCapulaへの出資は今後どのような形でアセマネ事業の柱に育てていく想定でしょうか?」
  • 「海外保険セグメント利益が-48.8%となった要因として、TAL豪州の契約条件見直しがあると有報で確認しました。次期中期経営計画では、Challenger買収やPortfolio Holding買収を通じてどのように海外事業の再加速を図る想定ですか?」
  • 「2025年5月にインドにGlobal Capability Center(GCC)を設立されたと拝見しました。データ・AI・サイバーセキュリティ領域の内製化について、新卒総合職/技術職からのキャリアパスの想定はありますか?」

避けるべきこと: 「年収が高い」「待遇がよい」など、有報の給与データだけに言及する志望理由です。1,142.6万円はHD単体702名の数値であり、グループ全体平均ではありません。有報の本質は企業の戦略とリスクの開示であり、就活生が読むべきはその会社が何に賭けているかです。

面接での有報活用法の詳細は有報を面接で活かす方法、ESで使える具体的なフレーズは有報データをESに落とし込む技術もあわせてご覧ください。

まとめ

この記事のポイント3選

  • 第一生命グループは国内保険60%+海外保険10%+その他事業30%の3セグメント構造。前期からその他事業+53.9%(3,402億円)と海外保険-48.8%(1,126億円)で成長ドライバーが交代し、「保険業から保険サービス業への変革」を数字で実証
  • 海外保険は調整期だがChallenger(19.9%取得完了)・Portfolio Holding(買収決定)・M&G plc(英国15%出資)で次期中期経営計画での再加速資産を積み増し、非保険領域はベネフィット・ワン+Capula+丸紅不動産+インフォマート提携で拡張
  • 強みの裏側には3つのリスク──海外保険調整(TAL契約見直し・のれん償却増)、2024年8月+2025年9月の代理店出向者情報事案の連鎖、国内人口減少と営業職員採用環境の厳しさ。強みとリスクをセットで理解して志望する姿勢が面接で評価される

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本記事は有価証券報告書(2026年03月期)に基づく企業分析であり、投資判断を目的としたものではありません。就活におけるキャリアマッチの判断材料としてご活用ください。

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よくある質問

第一生命の将来性は?今後どうなる?

その他事業(ベネフィット・ワン+アセマネ+不動産)が+53.9%・3,402億円と最大成長ドライバー化しました。海外保険は調整期で-48.8%ですがChallenger 19.9%取得やPortfolio Holding買収決定、M&G plc英国出資で次期中期経営計画での再加速を準備しています。ESR 220%(前期210%)で財務健全性は業界トップティア水準です。

第一生命の強みと課題は?

強みは総資産74.2兆円の機関投資家機能と、グループ会社配当5,500億円まで拡大した資本循環経営です。課題は海外保険の一時調整(TAL豪州の契約条件見直しと海外事業のれん償却額増加)と、2024年8月・2025年9月の代理店出向者情報事案に代表されるコンダクトリスクの連鎖です。

第一生命は何で稼いでいますか?

2026年3月期の有報によると、国内保険事業のセグメント利益6,762億円(60%)が最大です。ただしその他事業(ベネフィット・ワン+アセマネ+不動産)3,402億円(30%)が海外保険事業1,126億円(10%)を大きく上回っており、前期からその他事業+53.9%/海外保険-48.8%で成長ドライバーが交代しました。

第一生命の面接で有報の知識はどう活かせますか?

社名変更(第一生命ホールディングス→株式会社第一ライフグループ、グループブランドをDaiichi Lifeへ刷新)、セグメント利益構成の交代(海外保険→その他事業)、グループ会社配当が前期を上回る約5,500億円見通しに拡大した点の3点を語ると、変革期を理解している就活生と映ります。単に『機関投資家』と言うだけの回答から一歩踏み込めます。

第一生命は生保業界でどんな立ち位置ですか?

総資産74.2兆円で国内最大級、ROE 11.1%を維持しつつ非保険領域(ベネフィット・ワン+M&G+Capula+丸紅不動産)の拡張で、日本生命や住友生命と異なる複合金融サービス企業のポジションを鮮明化しています。中期経営計画のKPIを2年目で前倒し達成した点も、生保業界での資本効率のリーダー的位置づけを示しています。

企業名

第一ライフグループ

業種

生命保険

証券コード

8750

対象事業年度

2026年03月期

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