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インフラ 2025年03月期期

関西電力の将来性|有報で見る原発と非電力多角化の二刀流

約10分で読了
#関西電力 #有価証券報告書 #有報 #就活 #企業分析 #電力 #原子力 #キャリアマッチ

企業名

関西電力

業種

電力・エネルギー

証券コード

9503

対象事業年度

2025年03月期

関西電力の有報分析 要点: 関西電力は連結売上高約4兆3,371億円の総合エネルギー企業。国内最多級の原子力7基稼働で経常利益5,316億円を確保しつつ、情報通信(オプテージ・利益率21%)とデータセンター事業で非電力収益の多角化を推進中。(2025年3月期有報に基づく)

この記事のデータは関西電力の有価証券報告書(2025年3月期)に基づいています。 有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。

電力会社=安定のインフラ企業。その認識は関西電力の半面しか捉えていません。有報を読むと、原子力の稼働率で利益が数千億円単位で振れるダイナミックな事業構造と、電力以外の分野で着実に育つ新たな収益の柱が見えてきます。

東京ガスが脱炭素技術で事業転換を進め、JR東日本が鉄道×不動産の二刀流で稼ぐ中、関西電力は「原子力」と「非電力多角化」の組み合わせで独自のポジションを築いています(2025年3月期有報)。

関西電力のビジネスの実態|何で稼いでいるのか

関西電力の事業は4つのセグメントで構成されています(2025年3月期有報セグメント情報より)。

セグメント売上高構成比経常利益利益率
エネルギー事業3兆5,407億円81.6%4,113億円11.6%
送配電事業3,891億円9.0%557億円14.3%
情報通信事業2,235億円5.2%469億円21.0%
生活・ビジネスソリューション事業1,836億円4.2%262億円14.3%

(出典: 2025年3月期有報セグメント情報。売上高は外部顧客向け、経常利益はセグメント利益。単位: 百万円を億円に換算)

売上の8割超はエネルギー事業ですが、注目すべきは残り2割の構成です。情報通信事業は利益率21.0%と全セグメントで最高水準です。生活・ビジネスソリューション事業は売上前年比+17.4%・利益前年比+17.1%と最も高い成長率を記録しています(2025年3月期有報)。

エネルギー事業|原子力7基が利益の柱

関西電力最大のセグメントであるエネルギー事業の核心は、国内最多級となる原子力発電所7基の稼働です。

発電所基数状況
高浜発電所4基全基稼働中
大飯発電所2基稼働中
美浜発電所1基40年超運転延長で稼働

(出典: 2025年3月期有報)

原子力発電は建設費が巨額ですが、稼働後の燃料費は火力発電と比べて圧倒的に低コストです。有報には「原子力利用率が1%悪化すると費用が53億円増加する」と明記されています(2025年3月期有報 事業等のリスク)。原子力の稼働率がそのまま利益に直結する構造です。

ただし前期(2024年3月期)の経常利益5,838億円から今期は4,113億円へ29.5%減益しています。これは前期に燃料費調整の時間差効果で利益が膨らんだ反動であり、絶対額としては依然として高水準です。

情報通信事業|オプテージの利益率21%

子会社オプテージが展開する「eo光」は関西圏で高いシェアを持つ光回線サービスです。売上高2,235億円に対して経常利益469億円、利益率21.0%です(2025年3月期有報)。この収益力は「電力会社の子会社」のイメージを覆します。

電力インフラ(電柱・管路)を活用して通信網を構築しているため、通信専業会社とは異なるコスト構造を持っています。中期経営計画では2025年度の経常利益目標を450億円以上としていますが、既にこの目標を上回っています。

生活・ビジネスソリューション事業|データセンターが急成長

関電不動産開発やハイパースケールデータセンターを含むこのセグメントは、売上高前年比+17.4%、経常利益前年比+17.1%と4セグメント中で最も高い成長率です(2025年3月期有報)。

AI需要の拡大に伴うデータセンター需要の急増は、大規模な電力供給インフラを持つ関西電力にとって追い風です。電力会社だからこそ提供できる安定電源とデータセンターの組み合わせは、今後の成長ドライバーとして注目に値します。

関西電力は何に賭けているのか|投資と研究開発の方向性

設備投資5,130億円|電力インフラの維持に巨額が必要

関西電力の設備投資総額は5,130億円です(2025年3月期有報)。

セグメント設備投資額構成比
エネルギー事業2,556億円49.8%
送配電事業1,622億円31.6%
生活・ビジネスソリューション事業722億円14.1%
情報通信事業446億円8.7%

(出典: 2025年3月期有報 設備投資等の概要。調整額-217億円を含む合計が5,130億円)

エネルギー事業と送配電事業で全体の8割超を占めています。電力インフラの維持・更新に巨額の投資が必要な装置産業の特徴がはっきりと表れています。他社と比較すると、設備投資ランキングで業界全体の投資動向が確認できます。

注目すべきは生活・ビジネスソリューション事業の722億円です。売上構成比4.2%のセグメントに設備投資の14.1%を振り向けています。データセンターや不動産への成長投資が加速している証拠です。

研究開発費118億円|3つの変革軸

研究開発費は118億円で前年比+21.5%増加しています(2025年3月期有報)。売上比0.3%と低く見えますが、電力業界としては標準的な水準です。研究開発の方向性は中期経営計画の3本柱に沿っています。

変革軸内容就活視点
EX(ゼロカーボンへの挑戦)原子力安全性向上、水素・再エネ活用脱炭素が事業の前提条件になる
VX(サービス・プロバイダーへの転換)EVバス運行管理、VPP、蓄電池電力の「売り方」が変わる
BX(強靭な企業体質への改革)設備レジリエンス、発電効率向上DX推進でコスト構造を改革

(出典: 2025年3月期有報 研究開発活動)

「ゼロカーボンビジョン2050」では、2050年までにCO2排出量を全体としてゼロにすることを宣言しています。原子力はCO2を排出しないため、脱炭素と原発の両立が関西電力の経営の核心です。

2024年4月にはロードマップを改定し、Scope3を含むGHG排出量目標を新たに設定しました(2025年3月期有報 経営方針)。

中期経営計画の財務目標

指標2025年度目標2025年3月期実績
経常利益3,600億円以上5,316億円
自己資本比率28%以上31.8%
ROA4.4%以上
ROIC4.3%以上

(出典: 2025年3月期有報 経営方針。実績値は有報連結財務データ)

経常利益・自己資本比率ともに中期経営計画の目標を既に上回っています。財務基盤が大きく改善したことで、次の中期経営計画ではより積極的な成長投資に踏み込む余地が生まれています。

設備投資・R&D費の読み方ガイドで投資データの読み方を詳しく解説しています。

関西電力が自ら語るリスクと課題|PRでは絶対に出ない情報

関西電力の有報には8つのリスクカテゴリが記載されています(2025年3月期有報 事業等のリスク)。特に就活生が注目すべき4つを取り上げます。

リスク項目影響度就活での読み方
原子力関連リスク7基全てが福井県に集中立地。局所災害で複数同時停止の可能性
ガバナンス・コンプライアンスリスク金品受取り・独禁法違反・顧客情報不適切取扱いが相次いで発生
気候変動リスク脱炭素規制の強化と分散型電源の普及が系統電力需要を減少させる
法規制・規制政策変更リスクカーボンプライシング導入で火力発電に追加費用負担

(出典: 2025年3月期有報 事業等のリスク)

原子力リスク|有報で最も紙幅が割かれるテーマ

関西電力の有報で最も詳細に記載されているのが原子力リスクです。重大事故時は「長期的な環境汚染・社会的信用失墜で存続可能性に疑義が生じうる」と記載されており、経営の存続に関わるリスクとして認識されています。

さらに注目すべきは、7基全てが福井県に集中立地しているという地理的リスクです。広域災害が発生した場合、複数基が同時に停止する可能性があります。原子力利用率1%の悪化で53億円のコスト増です(2025年3月期有報)。稼働率のわずかな変動が業績に直結する構造といえます。

コンプライアンスリスク|過去の不祥事と改革

金品受取り問題(2019年)、独占禁止法違反、新電力顧客情報の不適切取扱い、子会社での不正。関西電力は複数のコンプライアンス問題が有報に記載されています(2025年3月期有報)。

これらの問題を受け、関西電力は指名委員会等設置会社に移行し、CCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を設置しました。経営理念も2021年3月に刷新し、「公正」「誠実」「共感」「挑戦」を価値観として掲げています。面接でこの点に触れる場合は、「問題そのもの」ではなく「その後の改革の取り組み」に焦点を当てましょう。

有報でのリスク記載の読み方は事業等のリスクの読み方で解説しています。

あなたのキャリアとマッチするか

関西電力の方向性は「原子力を基盤とした安定収益+非電力事業の成長」です。この方向性に合う人・合わない人を整理します。

合う人合わない人
社会インフラを支える使命感がある短期間で事業を変える環境を求める
長期的なキャリア形成を志向するスピード重視のベンチャー志向
原子力・脱炭素など技術領域に関心がある規制産業の意思決定速度に馴染めない
関西圏で働くことに抵抗がない首都圏中心のキャリアを希望する

従業員データ

項目データ(2025年3月期)読み方
従業員数(連結)31,428名前年とほぼ横ばい。大規模インフラ企業
従業員数(単体)8,258名全員エネルギー事業セグメントに所属
平均年齢42.6歳インフラ企業として標準的
平均勤続年数19.8年業界トップクラスの定着率
平均年間給与973万円インフラ業界で高水準

(出典: 2025年3月期有報 従業員の状況。給与は単体ベース)

平均年間給与973万円はインフラ業界でも高水準です。平均勤続年数19.8年は長期的なキャリア形成が可能な環境を示しています。2025年度からは定年が65歳に延長され、賃金改定・初任給引き上げも実施されました(2025年3月期有報)。

セグメント別の従業員配置を見ると、エネルギー事業13,132名、送配電事業10,519名と、この2事業で全体の75%を占めています。一方、情報通信事業4,167名、生活・ビジネスソリューション事業3,610名です。非電力事業にも相応の人材が配置されています。

離職率ランキングでインフラ企業の定着率を比較できます。

今から学ぶべき分野

分野根拠(有報)具体的アクション
原子力・エネルギー工学原子力7基が収益基盤(2025年3月期)エネルギー工学の基礎、電気主任技術者の学習
脱炭素・水素技術ゼロカーボンビジョン2050を推進(2025年3月期)カーボンニュートラル技術の動向、水素エネルギーの基礎
情報通信・ITオプテージが利益率21%の高収益事業(2025年3月期)ネットワーク技術の基礎、基本情報技術者試験
コンプライアンス・ガバナンス指名委員会等設置会社へ移行(2025年3月期)企業法務の基礎、コーポレートガバナンスの知識

面接で使える有報ポイント

志望動機での活用

「御社の有報で、原子力7基の安定稼働を基盤としつつ、ゼロカーボンビジョン2050で脱炭素との両立を目指していることを確認しました。原子力というCO2を排出しない電源を最大限活用しながら、水素や再エネにも投資する御社の戦略は、エネルギー転換期において現実的かつ意欲的だと考えています。」

逆質問での活用

「有報で生活・ビジネスソリューション事業が売上+17.4%と最も高い成長率でしたが、データセンター事業の拡大に向けた人材配置はどのように計画されていますか?」

「中期経営計画のVX(サービス・プロバイダーへの転換)でEVバス運行管理やVPPが挙げられていますが、新卒にはどのようなキャリアパスが想定されていますか?」

「有報のリスク欄で原子力発電所7基が福井県に集中立地していると記載されていますが、発電所の地理的分散について検討されていますか?」

インフラ業界内での比較

比較軸関西電力東京ガスJR東日本
事業の本質発電(原子力中心)+送配電都市ガス+脱炭素技術鉄道+不動産
多角化の方向情報通信・データセンター水素・メタネーションSuica経済圏・まちづくり
規制の影響極めて高い(原子力規制)中程度中程度
設備投資規模5,130億円
平均勤続年数19.8年

(出典: 各社2025年3月期有報)

関西電力の特徴は、規制の影響度が他のインフラ企業と比べて極めて高いことです。原子力規制委員会の判断ひとつで稼働率が大きく変わるため、規制当局との関係構築が事業の根幹に関わります。一方、オプテージやデータセンターといった非規制事業の育成で、規制リスクの分散を図っています。

インフラ業界の有報比較で業界全体の構造を確認できます。

まとめ

項目関西電力の特徴
事業の本質原子力発電を中心とした総合エネルギー企業
最大の強み国内最多級の原発7基稼働による低コスト発電
隠れた収益源オプテージ(利益率21%)とデータセンター事業
最大のリスク原子力安全リスクとコンプライアンス問題
会社が賭けているもの原子力×脱炭素の両立と非電力事業の成長
働き方の特徴平均給与973万円・勤続19.8年。長期安定型

関西電力は「安定の電力会社」と「変革を求められるエネルギー企業」という二つの顔を持っています。原子力7基という他社にない武器を収益の柱としながら、データセンターや情報通信で非電力収益を育てています。脱炭素時代の電力会社像を再定義しようとしている企業です。この構造を有報の数字で理解した上で志望理由を語ることが、面接での差別化につながります。

本記事のデータは有価証券報告書(EDINET)に基づいています。投資判断を目的としたものではありません。

よくある質問

関西電力の有価証券報告書はどこで読めますか?

EDINET(金融庁の電子開示システム)または関西電力公式IRサイトで無料公開されています。EDINETでは「E04499」で検索すると最新の有報にアクセスできます。

関西電力の有報から就活に使える情報は何がわかりますか?

セグメント別の収益構成(エネルギー・送配電・情報通信・生活ソリューションの4事業)、原子力発電所7基の稼働状況と収益への影響、設備投資5,130億円の内訳の3つが特に就活に直結します。

関西電力の原発は何基稼働していますか?

有報によると、高浜発電所4基、大飯発電所2基、美浜発電所1基の計7基が稼働しており、国内電力会社で最多級の稼働実績です。原子力利用率1%の悪化で費用が53億円増加すると有報に記載されています。

関西電力の面接で有報の知識はどう活かせますか?

原子力7基稼働による収益構造、オプテージ(利益率21%)やデータセンター事業の非電力多角化、コンプライアンス改革(指名委員会等設置会社への移行)に触れると、電力業界の構造変化を理解した志望動機になります。

関西電力の将来性は?今後どうなる?

2025年3月期有報によると、原子力7基の安定稼働で経常利益5,316億円を確保しつつ、脱炭素(ゼロカーボンビジョン2050)と非電力事業(データセンター・情報通信)の成長で収益基盤の多角化を進めています。

関西電力の強みと課題は?

強みは国内最多級の原発稼働実績による低コスト発電と、オプテージ・データセンターによる非電力収益です。課題は有報リスク欄に記載の原子力安全リスク(7基全てが福井県に集中立地)と、過去のコンプライアンス問題からのガバナンス再構築です。

関西電力の企業研究で見るべきポイントは?

有報の4セグメント別収益構成、設備投資5,130億円の配分、原子力リスクとコンプライアンスリスクの記載、中期経営計画の3本柱(EX・VX・BX)の4つが重要です。

オプテージ(eo光)とは何ですか?

関西電力の子会社で情報通信事業を担う企業です。関西圏で光回線「eo光」を提供し、有報によると売上高2,235億円・利益率21%と高収益事業です。電力インフラ(電柱・管路)を活用した通信網が強みです。

関西電力と東京ガス、JR東日本の違いは?

関西電力は原子力を軸にした発電事業が中核で規制の影響が極めて大きい企業です。東京ガスは都市ガス+脱炭素技術、JR東日本は鉄道+不動産のハイブリッドモデル。多角化の方向性が三社三様で、有報のセグメント情報を比較すると違いが明確になります。

関西電力の志望動機で他の就活生と差をつけるには?

有報の設備投資5,130億円の配分やゼロカーボンビジョン2050の3本柱(EX・VX・BX)を引用し、原子力と脱炭素の両立という経営課題に具体的に触れると差別化できます。コンプライアンス改革への言及も効果的です。

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