| この会社が賭けているもの |
|---|
| 1. 機能性表示食品・植物性食品による健康価値転換(腸活・免疫・血圧) |
| 2. 米国カゴメを核とするグローバルトマト加工原料B2B事業 |
| 3. 農業テクノロジー(植物工場・スマート農業)による垂直統合深化 |
この記事のデータはカゴメ株式会社の有価証券報告書(2024年12月期)および公開IRプレスリリースに基づいています。 有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。
カゴメは、「トマトジュース・野菜ジュースの会社」として知られる食品メーカーです。しかし有報を読むと、農業生産から加工・販売まで垂直統合した「アグリフード企業」の姿が浮かび上がります。
売上の約30%は海外事業(米国・欧州・豪州)が占め、農業法人まで保有するカゴメは、就活サイトのイメージとは全く異なる企業です。その実態を有報データから読み解きます。
カゴメのビジネスの実態|何で稼いでいるのか
カゴメの事業構造とは、国内飲料事業を基盤に、海外B2B・農業テクノロジーを組み合わせた垂直統合型のアグリフードビジネスです。
まず会社の基本情報を確認します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | カゴメ株式会社 |
| 証券コード | 2811(東証プライム) |
| EDINETコード | E00419 |
| 決算期 | 12月期 |
| 業種分類 | 食料品 |
| 主要事業 | 国内飲料、国内農事業、海外 |
有報のセグメント情報を見ると、カゴメの事業はIFRS(国際財務報告基準)に基づく3セグメントで構成されています(2024年12月期確定値)。
| セグメント | 売上収益(億円) | 構成比 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 国内加工食品事業 | 約1,507 | 約49% | 飲料・調味料・通販等のコア事業 |
| 国際事業 | 約1,561 | 約51% | インゴマー(米)・米国カゴメ・欧州・豪州 |
| 国内農事業 | (上記内数) | — | KAGOME農場・生鮮トマト等 |
| 合計(売上収益) | 3,069 | 100% | |
| 事業利益(IFRS) | 271 | 8.8% | 経常的な収益力の指標 |
| 営業利益 | 362 | 11.8% | インゴマー取得益93億円等含む |
出典: 有価証券報告書(第81期・2024年12月期)確定値。IFRS適用。
この表が示す最大のポイントは、売上の約50%が国際事業という事実です。これは2024年1月にインゴマー・パッキング(米国最大のトマト加工メーカー)を完全子会社化した結果です。国際事業売上は852億円(2023年)から1,561億円(2024年)へ+83%急増しました。就活生がイメージする「トマトジュース・ケチャップのカゴメ」は国内加工食品事業(約49%)に相当しますが、実態はグローバルB2Bを主軸とするアグリフード企業です。
有報で見えるカゴメには、もう一つの顔があります。
海外事業の中核は「米国カゴメ」です。米国カゴメは北米の業務用食品市場で、トマトペースト・トマトピューレなどのB2B(企業向け)トマト加工原料を提供しています。ファストフードチェーンや食品メーカーへの業務用供給が主力で、消費者向けブランドとは異なるB2Bビジネスです。
また国内農事業(約10%)は、農業法人KAGOME農場を中核とした農業生産事業です。スマート農業・植物工場への先行投資を含む、食品メーカーとしては異色のアグリテクノロジー事業でもあります。
就活ポイント: 「カゴメ=国内コンシューマー食品」というイメージで就職活動をすると、配属後の実態とのギャップが生じる可能性があります。海外B2B事業や農業テクノロジー部門への関与を視野に入れた企業研究が重要です。
→ 食品業界の有報比較でカゴメの業界内ポジションも確認できます。
カゴメは何に賭けているのか|投資と研究開発の方向性
カゴメの投資方向性とは、中期経営計画「KAGOME Growth Plan 2025」に基づく「トマトの会社」から「野菜の会社」への事業ドメイン拡張戦略です。有報の設備投資・R&D費のデータから、賭けている3つの分野が浮かび上がります。
設備投資・R&D費の重点分野
2024年12月期の有報で確認できる投資の概要です。
| 投資分野 | 金額(推計) | 投資の意味 |
|---|---|---|
| 国内製造設備更新・省エネ | 約50億円 | 国内飲料事業の収益基盤を守る守りの投資 |
| 海外現地法人(米国・ポルトガル) | 約45億円 | グローバル展開の加速。設備投資の38%を海外に投下 |
| 農業テクノロジー | 約15億円 | アグリテクノロジー事業化への先行投資 |
| IT・DX投資 | 約10億円 | 業務効率化・マーケティングDX |
| 設備投資合計 | 約120億円 |
出典: 有価証券報告書(2024年12月期)に基づく推計
R&D費は50.9億円(売上比約1.7%)で、重点分野は以下の2つです。
- 機能性表示食品のエビデンス研究
カゴメは消費者庁の機能性表示食品制度を活用し、トマトの機能性成分(リコピン・GABA等)の科学的エビデンス取得に積極的です。すでに腸内環境・免疫・血圧に関する機能性表示食品を複数展開しており、「健康食品」ではなく「科学的に立証した食品」というポジションを確立しようとしています。
国内の機能性表示食品市場は推計1兆円超まで成長しており、カゴメにとって成熟した国内飲料市場から健康価値市場への移行が戦略の核心です。
- 農業テクノロジーの研究開発(品種改良・スマート農業)
農業生産の安定化と高付加価値化のため、トマト品種改良・IoT活用のスマート農業システム・植物工場技術の研究開発を継続しています。農業生産コストの削減と供給安定化が目的です。
米国カゴメのB2B事業|グローバルトマト加工原料の実態
設備投資117.9億円のうち相当割合が海外現地法人に投下されており、カゴメのグローバル戦略の中核はインゴマー+米国カゴメの二本立てです。
2024年1月の戦略的転換点:インゴマー完全子会社化
インゴマー・パッキング(Ingomar Packing Company)は米国カリフォルニア州に本拠を置く北米最大のトマト加工原料メーカーです。トマトペースト・ピューレ等の業務用原料をファストフードチェーン・食品加工メーカーに供給するB2B事業者で、インゴマー単独の売上寄与は577億円。この一社の連結化で、カゴメの国際事業は売上ベースで約2倍に拡大しました。
米国カゴメはすでに北米のB2Bトマト加工原料市場に展開しており、インゴマーとの統合で北米トマト加工原料市場での圧倒的な規模を確立しました。ポルトガルにも現地法人(欧州飲料事業)があり、欧州市場でも展開しています。
就活ポイント: インゴマー連結化で売上の50%が海外B2B事業になったという事実は、就活サイトにはほぼ情報がありません。有報で確認した「インゴマー取得→北米トマト加工原料の規模拡大→国際事業50%」という戦略の流れを志望動機で語ることで、他の就活生との差別化が可能です。
農業テクノロジー|食品メーカーが農業を「事業」として持つ意味
カゴメの農業テクノロジー投資は、業界でも珍しい「食品メーカーが農業生産を自社事業として持つ」構造を支えています。
| 農業テクノロジーの要素 | 内容 |
|---|---|
| KAGOME農場(農業法人) | 国内各地でトマト・野菜を生産。供給安定化の核 |
| 植物工場 | 気候変動リスクを遮断した安定生産。新しい生産モデル |
| スマート農業 | IoTセンサー・AIによる生育管理・収量最適化 |
| 品種改良研究 | 機能性成分含有量が高い独自品種の開発 |
設備投資の約12%(約15億円)を農業テクノロジーに配分する理由は、農業を「コストセンター」ではなく「競争優位の源泉」として位置づけているためです。
「有報の読み方を学ぶ→設備投資の内訳を確認する」という流れは、企業の戦略方向性を把握するための王道アプローチです。設備投資・R&D費の読み方で実践的な読み方を確認できます。
中期経営計画が描く「野菜の会社」への転換
カゴメの中期経営計画「KAGOME Growth Plan 2025」の核心を一言で表すと、「畑から食卓まで、野菜のバリューチェーンを丸ごと持つ会社を目指す」です。
| 成長の柱 | 内容 | 有報での確認方法 |
|---|---|---|
| 健康価値の拡張 | 機能性表示食品・植物性食品による新市場開拓 | R&D費の重点分野 |
| グローバル展開 | 米国・欧州でのB2B×B2C拡大 | セグメント別投資額 |
| 農業テクノロジー | 垂直統合深化と農業DX | 設備投資の農業分野 |
この3方向への同時進行が、有報から読み解けるカゴメの戦略全体像です。
従業員・給与データ|有報で確認できる人的資本情報
| 項目 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 連結従業員数 | 3,184名 | 有価証券報告書(2024年12月期) |
| 単体従業員数 | 1,635名(臨時604名) | 同上 |
| 平均年間給与(単体) | 892万円(平均年齢42.1歳・平均勤続17.7年) | 同上 |
| 会計基準 | IFRS | 同上 |
出典: 有価証券報告書確定値
平均年収892万円は食品業界の中では高水準です。連結従業員3,184名はインゴマー連結後の数値で、国際事業の従業員を含みます。単体1,635名のみを考えると、一人ひとりの貢献が業績に直結しやすい規模感です。
就活ポイント: 「平均年収約720万円」という数字が一部のサイトで流通していますが、有報の確定値は892万円です。面接で正確な数字を使うと企業研究の深さが伝わります。
カゴメが自ら語るリスクと課題|PRでは絶対に出ない情報
カゴメのリスクとは、農業ビジネス特有の供給不安定性、国内市場成熟、海外事業の為替リスクという3つの構造的課題のことです。有報の「事業等のリスク」セクションから、就活に直結するリスクを3つ選別します。
| リスク項目 | 内容 | 就活での読み方 |
|---|---|---|
| 農業特有の供給リスク | 天候・気候変動でトマト・野菜の収穫量が変動 | 農業のリスクを「許容できるか」が入社後のキャリアに直結 |
| 国内市場の成熟 | トマトジュース市場は成熟期。数量成長が期待しにくい | 機能性食品への転換スピードが業績を左右する |
| 海外B2Bの為替リスク | 米国カゴメはドル建て。為替変動が業績に影響 | グローバル展開の裏側にある変動リスクを理解する |
農業特有のリスクをキャリア視点で読む: 農業は天候・病害・虫害など「数字で管理しにくいリスク」を内包しています。これは食品メーカー一般の「原材料調達リスク」とは本質的に異なります。契約農業・自社農場でリスクヘッジをしているカゴメですが、異常気象が頻発する近年は農業リスクの管理がより重要になっています。このリスクを「面白い課題」と感じるか、「不確実すぎる」と感じるかは、カゴメとのキャリアマッチを判断する重要な視点です。
国内市場成熟のリスクをキャリア視点で読む: 国内飲料事業(売上約50%)が成熟市場にある以上、カゴメでは「新市場の開拓」を担う人材が求められています。機能性表示食品の届出・マーケティング・R&Dを横断するキャリアを描ける人に向く環境です。
事業等のリスクの読み方では、有報のリスク情報を就活で活かす実践的な読み方を解説しています。
あなたのキャリアとマッチするか
カゴメのキャリアマッチとは、食品×農業×ヘルスケアという珍しい三領域と、B2B・B2Cの両方を経験できる環境が刺さる人かどうかで判断できます。
カゴメの方向性に合う人・合わない人
| 合う人 | 合わない人 |
|---|---|
| 「農業×食品×ヘルスケア」の三領域に関心がある | 純粋なデジタル・ITビジネスをやりたい |
| B2B(業務用食品)とB2C(消費者向け)の両方を経験したい | 海外売上比率60%以上のグローバル展開を志向する |
| 米国・欧州での事業に英語を活かして関わりたい | 短期間に高い業績を求める(食品業界標準の安定的な成長) |
| 農業DX・スマート農業でイノベーションを起こしたい | 将来明確に医薬品・医療機器開発をしたい |
| 科学エビデンスを活かした機能性食品マーケティングをしたい | 「トマト・野菜」という具体的なドメインに絞られることに不満を感じる |
| 「野菜で世界中の人を健康にしたい」という具体的ビジョンがある | 農業特有の不確実性(天候リスク等)を許容できない |
「合う人」の背景にある投資方針との論理: 機能性表示食品のR&D投資は「食品×科学エビデンス」人材を必要とし、農業テクノロジー投資は「農業×IT×食品」人材を必要とします。有報の投資方針から逆算した「合う人」の像がここに凝縮されています。
入社後に求められるスキル・姿勢
有報の投資方針から逆算すると、カゴメが必要とする人材スキルが浮かび上がります。
| 投資分野 | 求められるスキル・姿勢 |
|---|---|
| 機能性表示食品 | 科学エビデンスへの理解、消費者庁規制への対応力、マーケティング力 |
| 農業テクノロジー | 農学・生命科学の基礎知識 or IoT・データ分析の技術力 |
| 海外B2B事業 | ビジネス英語、B2B営業力、異文化対応力 |
| 消費者向けブランド事業 | 食品ブランドマーケティング、顧客インサイト理解 |
今から勉強しておくと強い分野
カゴメの3つの投資方向性から逆算した、具体的な学習提案です。
-
機能性表示食品の制度(消費者庁ガイドライン): 機能性表示の届出プロセスや科学的根拠の要件を理解すると、カゴメのR&D・マーケ職での議論に初日から参加できます。文系でも読める行政資料が公開されています。
-
農業DX・スマート農業の基礎: 農業IoT・植物工場・精密農業の概要を理解しておくと、農業テクノロジー事業への投資方針の意味が具体的にわかります。農研機構のレポートや農業DX関連の書籍が入門として最適です。
-
ビジネス英語(B2B交渉・資料作成): 米国カゴメや欧州事業への関与を目指すなら、会話英語より「英語での契約交渉・提案書作成」のスキルが現場では求められます。TOEICスコアより実践力を高める学習を優先しましょう。
-
食品マーケティングの基礎: B2Cブランド事業(トマトジュース・ケチャップ等)と機能性食品のマーケティングは、食品業界特有のブランド管理・価格戦略・チャネル管理の理解が必要です。
有報でわからないことについて: 社内文化・働きやすさ・上司との関係性は有報には記載されていません。OpenWork・就活会議等の口コミサイトや、OB/OG訪問を通じて補完することをお勧めします。
面接で使える有報ポイント
有報の情報を面接でどう語るか
「御社の有報で設備投資の内訳を確認したところ、農業テクノロジーに約15億円を投下していることを確認しました。農業生産から加工・販売まで垂直統合している食品メーカーは御社ならではのポジションだと感じており、このアグリフードビジネスのどこかに貢献したいと考えています。」
「御社の有報を読み、米国カゴメという業務用トマト加工原料のB2B事業が海外売上の主力であることを確認しました。消費者向けブランドとは異なるB2Bビジネスの両方を持つ御社で、グローバルなバリューチェーンに携わりたいと考えています。」
「有報のR&D費の重点分野として機能性表示食品が挙げられており、トマト・野菜の健康価値を科学的に立証しようとする御社の方向性に共感しています。」
逆質問で使えるネタ
「有報で農業テクノロジー(植物工場・KAGOME農場)への設備投資を確認しましたが、スマート農業事業に関わる新卒社員はどのようなキャリアパスが想定されていますか?」
「機能性表示食品の研究開発にR&D部門が注力されていると有報に記載がありましたが、文系出身の新卒社員が科学エビデンスを活かした商品企画・マーケティングに関わるケースはありますか?」
「米国カゴメのB2B事業に中長期で関与したい場合、新卒からどのようなキャリアを積むことが想定されますか?語学力以外に必要なスキルはありますか?」
有報を面接でどう活かすかの実践的なアドバイスは有報を使った面接対策も参考にしてください。
有報データから逆算して今から学ぶべき分野
| 分野 | 根拠(有報) | 具体的アクション |
|---|---|---|
| 機能性表示食品制度・食品規制 | R&D費50.9億円(売上比1.7%)の重点が機能性表示食品のエビデンス研究(2024年12月期) | 消費者庁の「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」を通読。届出データベースでカゴメの届出事例を確認 |
| 農業DX・スマート農業 | 設備投資117.9億円のうち約15億円を農業テクノロジーに配分(2024年12月期) | 農研機構のスマート農業レポートを読む。書籍『スマート農業のすべて』で精密農業・IoT活用の基礎を学ぶ |
| B2Bビジネス英語・国際交渉 | インゴマー連結化で国際事業が売上の約51%(1,561億円)に急拡大、米国カゴメが北米B2Bの中核(2024年12月期) | TOEIC 800点以上を目標設定。英語での契約書・提案書作成スキルをビジネス英語教材で実践的に訓練 |
| 食品サプライチェーン・垂直統合 | KAGOME農場保有、農業生産から加工・販売まで垂直統合したアグリフードビジネス(2024年12月期) | 書籍『サプライチェーン・マネジメント概論』で食品SCMの基礎を学ぶ。農業法人の事業モデルをケーススタディで研究 |
まとめ
| 項目 | カゴメの特徴 |
|---|---|
| 最大の意外性 | 売上の約50%が国際事業(インゴマー連結化)。売上3,069億円の半分が海外B2B |
| 最大の賭け | 機能性表示食品(腸活・免疫)への健康価値転換 |
| グローバルの核心 | 米国カゴメのB2Bトマト加工原料事業(消費者向けとは別次元) |
| 業界で異色の特徴 | 農業法人KAGOME農場保有。食品メーカーが農業テクノロジーに先行投資 |
| キャリアの幅 | 農業生産→加工→国内B2C→グローバルB2Bまで一社でカバー |
| 向いている人 | 農業×食品×ヘルスケアの三領域、B2B&B2C両方、科学エビデンスに興味がある人 |
カゴメは「トマトジュースの会社」ではなく、「野菜のバリューチェーンを垂直統合するアグリフード企業」です。この認識を有報の数字で語れれば、面接で圧倒的な差がつきます。
- 食品業界全体の比較 → [食品業界の有報比較]
- 味の素との比較 → 味の素の有報分析
- 海外展開の詳細比較 → 食品メーカーのグローバル展開比較
- 有報の読み方 → [有価証券報告書の読み方完全ガイド]
本記事のデータは有価証券報告書(EDINET)および公開IRプレスリリース等に基づいています。投資判断を目的としたものではありません。