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製薬 2024年03月期期

アステラス製薬の将来性|有報で見るR&D18%×Rx+戦略

約17分で読了
#製薬 #有報 #就活 #アステラス製薬 #イクスタンジ #Rx+ #細胞治療 #R&D

企業名

アステラス製薬

業種

医薬品

証券コード

4503

対象事業年度

2024年03月期

アステラス製薬の有報分析 要点: アステラス製薬は売上収益1兆6,037億円のグローバル製薬企業。R&D費売上比約18.4%(2,942億円)という高水準の研究投資、医薬品×デジタルヘルス融合の「Rx+」戦略、細胞・遺伝子治療への先行投資という3つの賭けが有報から読み取れる。(2024年3月期有報に基づく) 製薬会社の「本当の将来性」は、売上や利益だけでは測れません。その企業が売上の何%を研究開発に投じているか——この一行が、将来への本気度を示す最も正直な数字です。アステラス製薬の有報を開くと、R&D費売上比約18.4%、金額にして2,942億円という2024年3月期の数字が目に飛び込んできます。これは「次の薬を作ることに、これだけ賭けている」という経営意志の定量的な表れです。

この記事のデータはアステラス製薬株式会社の有価証券報告書(2024年3月期・EDINET)に基づいています。 有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。

アステラス製薬のビジネスの実態|何で稼いでいるのか

アステラス製薬株式会社は、がん・泌尿器・免疫・眼科・造血幹細胞移植(HSCT)の5つのFOCUS AREAに集中して研究開発を展開する日本発のグローバル製薬企業です。2005年に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して誕生し、現在は約80%の売上を海外で上げる本格的なグローバルカンパニーとなっています。

項目内容
社名アステラス製薬株式会社
証券コード4503(東証プライム)
EDINETコードE00920
決算期3月期
業種分類医薬品
売上収益(2024年3月期)1兆6,037億円(連結)
IFRS営業利益(2024年3月期)255億円(減損計上で大幅低下)
コア営業利益率(2024年3月期)約13%(非GAAP管理会計指標)
R&D費(2024年3月期)2,942億円(売上比約18.4%)
海外売上比率(2024年3月期)約80%(米国約40%・欧州約20%)
従業員数(連結)14,754名
平均年間給与(日本・単体)約1,110万円

地域別売上構成|日本より海外が圧倒的に大きい

アステラス製薬の地域別売上を有報の「セグメント情報」から確認すると、グローバル製薬企業としての実態が鮮明になります。以下は2024年3月期の数値です。

地域売上構成比(概算)主な製品・特徴
米国約40%イクスタンジ(前立腺がん)が主力。世界最大の医薬品市場
欧州約20%欧州各国に販売網。規制環境の複雑さが課題
日本約20%国内市場。薬価改定の影響を受けやすい
その他(アジア等)約20%アジア・新興国市場の開拓が進行中
海外計約80%グローバル企業としての実態を示す数値

出典: アステラス製薬株式会社 有価証券報告書(2024年3月期)地域別情報(概算値)

この表が示すように、アステラスは売上の約80%を日本国外で稼ぐ企業です。「製薬会社」というイメージから国内中心を想像する就活生も多いですが、有報を見れば実態は明確にグローバルカンパニーであることがわかります。

主力製品イクスタンジとFOCUS AREA

アステラスの売上を支える主力製品は、一般名エンザルタミドのイクスタンジです。前立腺がんの治療薬として日米欧で承認を受け、ファイザーと共同でグローバル展開する大型製品です。全売上収益の約35%を占めると試算されており、年間売上10億ドル超の大型医薬品を指す「ブロックバスター」に該当します。

研究開発の集中領域は、有報「経営方針」に明記された5つのFOCUS AREAです。

  • がん / Oncology: 血液がん・固形がんを対象とした新薬開発
  • 泌尿器科 / Urology: イクスタンジを中心とした前立腺がん・過活動膀胱等
  • 免疫 / Immunology: 自己免疫疾患の治療薬開発
  • 眼科 / Ophthalmology: 網膜疾患等の眼科領域への参入
  • 造血幹細胞移植: 血液幹細胞移植後の管理・合併症対策

この「FOCUS AREA」という言葉自体が有報の重要キーワードです。選択と集中によって研究リソースを絞り込み、深度ある研究を実現するという経営判断が背景にあります。

セグメント情報の読み方については有報のセグメント情報の読み方で詳しく解説しています。

アステラス製薬は何に賭けているのか|投資と研究開発の方向性

「何に賭けているか」とは、資本・人材・時間といった有限のリソースをどこに集中しているかを指します。有報の「研究開発活動」「設備投資の状況」「経営方針・経営環境及び対処すべき課題等」を分析すると、アステラスが賭けている3つの方向性が浮かび上がります。

賭け1: R&D費売上比約18.4%|高水準の研究投資でイクスタンジ依存を脱却

アステラスが最も深く賭けているのが、売上の約18.4%をR&Dに投じるという意志です。 2024年3月期のR&D費は2,942億円。これは製薬業界の中でも高い水準です。

主要国内製薬会社のR&D費比率を比較すると、アステラスの研究投資姿勢が数字で確認できます。

企業R&D費(概算)売上に対する比率(概算)特徴
アステラス製薬2,942億円約18.4%FOCUS AREA集中投資
武田薬品工業7,299億円約17.1%売上規模が大きい。M&A後の統合コスト影響あり
第一三共3,652億円約22.8%ADC(抗体薬物複合体)集中で急成長中
大塚HD約2,000億円前後約10〜13%前後CNS(中枢神経系)領域に特化

出典: 各社有価証券報告書(各社2024年3月期または直近期)概算値。比較目的での参考値

なぜR&D比率約18.4%という高水準が必要なのか。理由は明確です。イクスタンジ一製品が全売上の約35%を担う現状では、この製品に特許切れ・競合薬登場・副作用報告等のリスクが発生すれば、企業業績に深刻な影響が生じます。新薬候補をパイプラインに充実させることは、この集中リスクへの最重要対策です。

製薬の新薬開発は「10年間・1,000億円・成功率1%未満」とも言われる長期高リスクの事業です。だからこそ、アステラスは5つのFOCUS AREAに絞り込んで研究を深化させることで、限られた研究リソースの効率を最大化しようとしています。

就活ポイント: 「R&D費売上比約18.4%という数字を有報で確認しました。これはパイプライン多様化への本気度を示す数字です」という発言が面接で効果的です。数字で経営意思を読み取る姿勢が、他の就活生との差別化になります。

設備投資・R&D費の読み方については設備投資・R&D費の読み方をご参照ください。

賭け2: 「Rx+」戦略|医薬品×デジタルヘルスの融合で患者アウトカムを最大化

アステラスの第二の賭けは、製薬業界で最も独自性の高いコンセプトのひとつ「Rx+」戦略です。

「Rx+」を一言で説明すれば、「薬だけでなく、薬の外側にある体験まで設計する」という考え方です。従来の製薬会社は「いかに優れた薬=Rxを作るか」を追求してきました。アステラスはそこに「+」を加え、ウェアラブルデバイス・スマートフォンアプリ・データ解析・服薬指導サービスを組み合わせて、患者が治療効果を最大限に発揮できる環境全体を提供しようとしています。

この戦略が特筆すべき理由は3つあります。

第一に、競合との明確な差別化。武田薬品が大型M&Aで製品ポートフォリオを拡充し、第一三共がADCという先端モダリティで世界的な注目を集める中、アステラスは「デジタルヘルスとの融合」という独自軸を打ち立てています。有報の「経営方針・経営環境及び対処すべき課題等」セクションにRx+の詳細が記述されており、面接で「有報を読んで御社のRx+戦略を確認しました」と語れる就活生は极めて少数です。

第二に、事業モデルの進化可能性。薬そのものは特許切れで競争激化しますが、患者との継続的なデジタル接点を通じたサービスは、薬の特許に依存しない長期的な関係を生む可能性があります。従来の「薬を売って終わり」から「患者の治療プロセスに伴走し続ける」モデルへの転換です。

第三に、キャリアのヒント。医薬品×IT×データ分析という複合領域に携わりたい理工系・データサイエンス系の就活生にとって、アステラスのRx+部門は数少ない就職先のひとつになり得ます。製薬のMRや研究職だけでなく、デジタルヘルスのプロダクト開発・データサイエンスという役割でも製薬の価値創造に貢献できる環境です。

就活ポイント: 「有報の経営方針でRx+戦略を確認しました。医薬品に留まらず患者のアウトカム全体を設計するという姿勢に、製薬の次の姿を感じました。文系・理系を問わず、デジタルと医薬品を組み合わせる仕事に携わりたいと考えています」という発言が効果的です。他社との比較優位を踏まえた志望動機になります。

賭け3: 細胞・遺伝子治療への先行投資|次世代モダリティで競争優位を確立

アステラスの第三の賭けは、ATT——アウレリス・セラピューティクスの買収に代表される細胞・遺伝子治療プラットフォームへの投資です。

製薬の歴史は、創薬技術を意味する「モダリティ」の進化とともにあります。

  • 第一世代: アスピリン・降圧薬等の低分子化合物——化学合成で作る小さな分子
  • 第二世代: モノクローナル抗体等の抗体医薬品——タンパク質が病気の原因分子に結合して作用
  • 第三世代・現在進行形: 細胞治療・遺伝子治療——患者の細胞を改変・利用して根治を目指す

第三世代は、難治性がんや遺伝子疾患など既存のモダリティでは治療が難しかった疾患への画期的な治療法になる可能性を持ちます。しかし開発には高度な技術・設備・規制対応が求められ、先行投資がなければ後から参入することが困難な領域でもあります。

アステラスはこの波に早期から乗るために、細胞療法プラットフォームの技術力を持つATTを買収しました。また、造血幹細胞移植をFOCUS AREAのひとつとして位置づけることで、細胞治療と親和性の高い領域での臨床ノウハウも蓄積しています。

有報の「研究開発活動」セクションには、先端モダリティへの投資・提携状況が記載されており、アステラスが「次の製薬の主戦場」をどこと見ているかが読み取れます。

就活ポイント: 「有報で造血幹細胞移植がFOCUS AREAに明記され、細胞療法プラットフォームへの投資が進んでいることを確認しました。次世代モダリティの最前線で研究に携わりたい理系就活生にとって、非常に魅力的なフィールドだと感じています」という発言が面接で刺さります。

財務実態|イクスタンジ依存リスクと対策

財務実態とは、有報の財務諸表と事業等のリスク情報から読み解く、企業の「本当の課題と対策」のことです。

コア営業利益率約13%の意味

アステラスの全体コア営業利益率は2024年3月期で約13%、非GAAP管理会計指標による数値です。なお、IFRS営業利益は255億円、売上比約1.6%と大幅に低く、これは大規模な減損損失の計上によるものです。一般事業会社に比べれば十分な水準ですが、製薬業界内での位置づけはどうでしょうか。

製薬会社の利益率は「R&D費をどれだけかけるか」と密接に関係します。R&D比率が高ければ高いほど、現在の利益率は圧縮されます。アステラスが約18.4%のR&D比率を維持しながら約13%のコア利益率を確保しているのは、イクスタンジという高収益な大型製品の存在が大きい点は否定できません。

逆に言えば、特許切れや競合薬登場等によりイクスタンジの収益貢献が将来的に縮小した際、現在の利益率水準を維持できるかどうかは、パイプラインの充実度にかかっています。ここがR&D費約18.4%への本気の投資が不可欠な理由です。

他業界との利益率比較については営業利益率ランキング——有報データで確認できます。

イクスタンジ依存リスク|有報のリスク情報が語ること

アステラスの有報「事業等のリスク」セクションには、特定製品への依存リスクが明記されています。イクスタンジは前立腺がんという罹患者数が多く市場規模も大きい領域での主力製品として、グローバルに売上を上げています。

しかし一製品が全売上の約35%を占める構造は、製薬ビジネスとして二重のリスクを内包します。

特許リスク: 特許の存続期間が終わると、ジェネリック医薬品と呼ばれる後発品が参入して急激に価格・売上が低下します。製薬企業において「特許の崖」——パテントクリフと呼ばれる現象です。

競合リスク: 同じ疾患領域に別の製薬会社が新薬を開発・上市すると、既存薬のシェアが侵食されます。前立腺がん領域は複数の有力製薬会社が参入している競争領域です。

これらのリスクへの対策が、(1)R&D費の高水準維持によるパイプライン充実、(2)FOCUS AREAの5領域への分散、(3)Rx+戦略による薬以外の付加価値創出、という3本柱です。有報を読むと、アステラスがリスクを認識した上で具体的な対策を打っていることが確認できます。

設備投資約800億円/年の使途

2024年3月期の年間約800億円の設備投資は、主に以下に向かっています。

  • 国内・海外研究拠点における研究・開発施設の整備と拡充
  • GMP対応やバイオ製剤製造能力向上に向けた製造設備への投資
  • Rx+戦略の基盤構築を目的としたデジタルインフラへの投資

製薬業界の特性として、R&D費が約800億円の設備投資をはるかに上回る点が他業種との大きな違いです。工場や機械よりも「人と研究の知識」が競争力の源泉である製薬ビジネスの構造を、有報の数字が示しています。

R&D費の読み方についてはR&D費ランキングで業界比較が確認できます。

従業員データ

従業員データとは、有報の「従業員の状況」から読み取れる雇用規模・年収・国際化度等の定量情報です。

項目データ(2024年3月期)読み方
従業員数(連結)14,754名グローバル全拠点を含む規模
従業員数非開示(一部)本社・研究所・MR等を含む
海外従業員比率相当程度(売上比80%に対応)グローバル組織の実態を示す
平均年間給与約1,110万円製薬業界内で高水準
R&D費(連結)2,942億円従業員1人当たり約2,000万円規模のR&D投資

武田薬品との比較: 武田薬品の連結従業員数は約49,281名で、アステラスの約3.3倍規模です。この数字は組織文化・仕事の裁量・意思決定スピードの違いにも影響します。武田薬品型の「大規模グローバル組織の中でのキャリア」か、アステラス型の「相対的にコンパクトで機動的なグローバル組織」か、という視点で就活生が選択することになります。

一人当たりR&D費の大きさ: 連結従業員14,754名で2,942億円のR&D費を投じるということは、社員一人当たり約2,000万円規模のR&D投資になります。研究開発に関わる社員は相当な裁量と責任を持って仕事に取り組める環境であることを示しています。

年収約1,110万円の位置づけ: 日本の製薬業界は、同規模の一般事業会社に比べて高い年収水準が特徴です。アステラスの約1,110万円は日本・単体ベースで2024年3月期の数値であり、業界内でもトップクラスの水準にあります。

年収の業界内比較については平均年収ランキングで詳細に確認できます。

有報では読み取れないこと: 社風・職場の人間関係・チームの雰囲気・外資系製薬との社内文化の違い・MRと研究職のキャリアパスの具体的な違いなどは、有報からは把握できません。これらはOB/OG訪問やOpenWork等の就職口コミサイトで補完することを強く推奨します。有報は「会社が何に賭けているか・財務的な実態」を知るためのデータ源であり、職場環境の全体像を示すものではありません。

あなたのキャリアとマッチするか

キャリアマッチとは、企業の投資方向性・事業構造・組織規模と、就活生の志向性・価値観の合致度を判断する軸です。有報から読み取れるアステラスの特性と、就活生の志向性を照らし合わせてみましょう。

アステラス製薬に合うと考えられる人

志向性アステラスとの対応
グローバル製薬で世界規模の医薬品開発に携わりたい海外売上比率約80%。米国・欧州を中心に世界規模で新薬を届ける仕事
医薬品×デジタルヘルスの交差点で働きたいRx+戦略により、IT・データ分析スキルを製薬で活かせる独自のフィールド
最先端の細胞・遺伝子治療に関与したい(理系)ATT買収・HSCT領域で次世代モダリティ開発の機会あり
R&D投資の厚い研究重視の環境を求める人売上比約18.4%のR&D投資が示す研究への本気度
相対的にコンパクトなグローバル組織で責任ある仕事がしたい14,754名(武田の約3分の1)で早期から責任ある役割に就ける可能性

アステラス製薬に合わないと考えられる人

志向性理由
短期間で成果を出したい・スタートアップ的裁量を求める人製薬の新薬開発は10〜15年単位のプロジェクト。短サイクルの成果実感には向かない
特定製品の特許リスクを懸念する人イクスタンジ依存が続く限り、特許切れ後の業績影響は避けられないリスク
国内志向が強く英語・グローバル環境に抵抗がある人海外売上80%・グローバル組織である以上、英語・国際業務は避けられない
製造・IT・金融等の異業界志望者製薬特有の薬事規制・GCP・GMP等の専門知識習得が前提となる

面接で使える有報データ

志望動機での活用例:

「有報で研究開発費売上比約18.4%という数字を確認しました。これは御社がイクスタンジに依存する現状を自覚しながら、次世代パイプライン構築に本気で投資している意志の表れだと受け取りました。また有報の経営方針でRx+戦略の詳細も読み、薬を超えた患者アウトカムの設計という発想に強く共感しました。この会社なら医薬品×デジタルの両方にまたがる仕事に携われると確信して志望しています。」

逆質問での活用例:

「有報でイクスタンジが売上の約35%を担っていることを確認しました。パイプライン多様化に向けたR&D費約18.4%という高水準投資の中で、現在最も手応えを感じている候補化合物やFOCUS AREAの方向性についてお聞きできますか?」

「有報のRx+戦略を拝読しましたが、実際にデジタルヘルス部門ではどのような職種・スキルを持つ人材が活躍していますか?文系・理系それぞれの関わり方を教えていただけますか?」

有報データを使った逆質問は、採用担当者が「ここまで調べてきた就活生は珍しい」と感じる効果があります。就活サイトや企業説明会の情報とは異なる、法定開示データという「嘘のつけない公式情報」を根拠にした質問は、知的誠実さと企業研究の深さを同時に示します。

有報データから逆算して今から学ぶべき分野

分野根拠(有報)具体的アクション
創薬科学・バイオテクノロジーR&D費2,942億円でパイプライン多様化を推進(2024年3月期)分子生物学・薬理学の基礎、治験プロセスの理解
デジタルヘルスRx+戦略で医薬品×デジタルヘルス融合を推進(2024年3月期)ヘルスケアIT、デジタルセラピューティクスの基礎
細胞・遺伝子治療ATT買収等で次世代モダリティに先行投資(2024年3月期)再生医療・遺伝子治療の基礎知識
英語力海外売上比率約80%、グローバル研究開発体制(2024年3月期)TOEIC800点以上、科学論文の英語読解力

面接で使える有報ポイント

志望動機での活用

アステラス製薬を志望する際、有報で確認できる具体的な数字を根拠として使うと、他の就活生との差別化になります。最も説得力があるのは、R&D費売上比約18.4%(2,942億円・2024年3月期)という数字です。この数字はイクスタンジが全売上の約35%を担う現状に対して、アステラスが意図的に次世代パイプラインへ本気の投資を続けていることを示しています。

また、有報の「経営方針・経営環境及び対処すべき課題等」に明記されたRx+戦略は、薬そのものにとどまらず患者の治療プロセス全体をデジタルヘルスで支えるという、競合他社にはない独自のビジョンです。この戦略を面接で言及できる就活生は極めて少なく、有報を実際に読んだ証拠として機能します。

さらに、ATT買収に代表される細胞・遺伝子治療プラットフォームへの先行投資と、FOCUS AREAとして位置づけられる造血幹細胞移植(HSCT)領域は、製薬の次世代モダリティ戦争において先手を打つアステラスの賭けを具体的に示しています。海外売上比率約80%(米国約40%)という数字と合わせて語ることで、グローバル製薬企業としての実態を数字で表現できます。

「御社の2024年3月期有報を拝見し、R&D費が売上収益の約18.4%にあたる2,942億円であることを確認しました。イクスタンジ一製品が売上の約35%を担う現状で、これほど高水準の研究投資を維持し続けているのは、次世代パイプラインへの本気度を示していると受け取りました。また、有報の経営方針でRx+戦略の詳細を読み、医薬品の外側にある患者体験まで設計するという発想に強く共感しました。このような会社なら、医薬品とデジタルヘルスの両方にまたがる仕事に携われると確信して志望しています。」

逆質問で使えるネタ

  • 「有報でイクスタンジが売上収益の約35%を担っていることを確認しました。R&D費約18.4%(2,942億円)の高水準投資の中で、現在パイプラインとして最も手応えを感じているFOCUS AREAと候補化合物の方向性についてお聞きできますか?(2024年3月期有報)」
  • 「有報の経営方針にRx+戦略が詳述されていましたが、実際にデジタルヘルス部門ではどのような職種・スキルを持つ人材が活躍していますか?文系・理系それぞれの関わり方を教えていただけますか?」
  • 「有報でATT買収等による細胞・遺伝子治療プラットフォームへの投資が記載されていました。この次世代モダリティ分野で若手社員がキャリアを積むためには、どのような入口や経験が必要とされますか?」

まとめ

視点アステラス製薬の特徴
事業の核心FOCUS AREAの5領域(がん・泌尿器・免疫・眼科・HSCT)に集中した研究開発(2024年3月期)
最大の賭けR&D費売上比約18.4%——高水準の研究投資でイクスタンジ依存からの脱却を図る
独自戦略Rx+——医薬品×デジタルヘルス融合の「患者アウトカム設計」は製薬業界での独自ポジション
次の賭けATT買収等による細胞・遺伝子治療(次世代モダリティ)への先行投資
財務実態コア営業利益率約13%(非GAAP)・IFRS営業利益255億円・海外売上比率約80%・R&D費2,942億円(2024年3月期)
雇用・年収連結14,754名・日本単体平均年収約1,110万円。製薬業界トップクラス

アステラス製薬を一言で表すなら、「まだ見ぬ薬のために今の利益を惜しまない」製薬会社です。R&D費売上比約18.4%という数字は、その意志を定量的に示しています。Rx+戦略という独自コンセプトは、薬という枠を超えた患者体験の設計者になるという宣言です。細胞・遺伝子治療への先行投資は、次の製薬の主戦場で勝つための布石です。これらの「賭け」の論理と数字を有報で理解した上で面接に臨むことが、就活でのリアルな差別化になります。

関連記事:

  • 有報の読み方を基礎から → [有価証券報告書の読み方完全ガイド]
  • 設備投資・R&D費の見方 → [設備投資・R&D費の読み方]
  • R&D費の業界比較 → [R&D費ランキング]
  • 利益率の業界比較 → [営業利益率ランキング]
  • 年収の業界比較 → [平均年収ランキング]

本記事のデータはアステラス製薬株式会社の有価証券報告書(EDINET)に基づいています。投資判断を目的としたものではありません。

よくある質問

アステラス製薬の有価証券報告書はどこで読めますか?

金融庁の電子開示システムEDINETまたはアステラス製薬IRページで無料公開されています。EDINETでは「E00920」で検索すると最新の有報にアクセスできます。「研究開発活動」「経営方針」「従業員の状況」のセクションが就活生に特に有用です。

アステラス製薬のR&D費が売上比約18.4%というのは業界でどの程度の水準ですか?

国内主要製薬会社と比較すると高い水準です。武田薬品が約17.1%、第一三共が約22.8%(いずれも2024年3月期・概算)という中、アステラスの約18.4%(2024年3月期)はイクスタンジ依存脱却と新薬パイプライン充実への強い意志を示しています。グローバル製薬大手(ロシュ・J&J等)と比較しても遜色のない研究投資姿勢です。

アステラス製薬の「Rx+」戦略とは何ですか?面接でどう使えますか?

Rx+(アールエックスプラス)とは、医薬品(Rx)にデジタルヘルス・ウェアラブルデバイス・データ解析を組み合わせ、患者が治療効果を最大限に得られる環境を提供するアステラス独自の戦略概念です。有報の「経営方針・経営環境及び対処すべき課題等」に詳述されています。面接では「有報でRx+戦略を確認し、薬を超えた患者アウトカムの改善という視点に強く共感しました」という発言が他の就活生との差別化になります。

アステラス製薬のイクスタンジ依存リスクとは何ですか?

イクスタンジ(前立腺がん治療薬)はアステラス製薬の全売上収益の約35%を占めるブロックバスター(大型製品)です(試算・2024年3月期)。一製品への高い依存は、特許切れや競合薬の登場による売上急減リスクを意味します。有報の「事業等のリスク」セクションにも記載されています。この課題への対策がR&D費約18.4%(2,942億円)という高い研究投資比率とFOCUS AREA集中戦略です。

アステラス製薬と武田薬品の違いは何ですか?

最大の違いは規模と成長戦略の方向性です。武田薬品は売上約4兆2,638億円(アステラスの約2.7倍)で、シャイアー買収に代表される大型M&A中心の成長を選択しました。対してアステラスは約1兆6,037億円と小回りが利く規模感を保ちながら、内部R&D(売上比約18.4%)とFOCUS AREA集中による質の高い研究を優先しています。Rx+というデジタルヘルス融合コンセプトもアステラス独自の差別化です。

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