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コンサル/SIer 2025年03月期期

SCSKの将来性|有報で見るネットワン買収×売上6千億円時代の住商系SIer

(更新: ) 約11分で読了
#SCSK #有価証券報告書 #有報 #就活 #企業分析 #SIer #住友商事 #ネットワンシステムズ

企業名

SCSK

業種

IT・SIer

証券コード

9719

対象事業年度

2025年03月期

SCSKの有報分析 要点: SCSKは売上高5,960億円、営業利益661億円(利益率11.1%)の住友商事系SIer。2024年12月にネットワンシステムズを子会社化し、連結従業員20,252名へ拡大。産業IT(32.8%)とITプラットフォーム(29.5%)が二大収益柱。「売上高1兆円への挑戦」を掲げる。(2025年3月期有報に基づく)

IT業界の企業研究で、NRI(野村総研)ベイカレントは調べたけれど、SCSKはよく知らない──そんな就活生は少なくありません。しかし有報(2025年3月期)を開くと、SCSKは住友商事系SIerとしてネットワンシステムズの大型買収を実行し、売上高を前期比24%増の5,960億円へ押し上げた「攻めのSIer」であることがわかります。

NRIが「コンサル×SIの二刀流」、ベイカレントが「コンサル特化の高利益率」なら、SCSKは「商社系の顧客基盤×M&Aによる規模拡大」で1兆円を目指すSIerです。この三角形を理解することが、IT業界の企業研究の第一歩になります。

有報の読み方は有価証券報告書の読み方完全ガイドで押さえてからこの記事を読むと効果的です。

SCSKのビジネスの実態|何で稼いでいるのか

SCSKの事業は6つのセグメントで構成されています(2025年3月期有報セグメント情報より)。IFRSを適用しており、売上高は外部顧客への売上高を使用しています。

セグメント外部売上高(百万円)売上構成比営業利益(百万円)利益率
産業IT195,65432.8%28,95714.8%
金融IT65,16310.9%8,94813.7%
ITソリューション58,9059.9%-1,931赤字
ITプラットフォーム175,75229.5%21,70612.3%
ITマネジメント71,77912.0%11,30215.7%
その他28,8074.8%1,9386.7%

出典: 2025年3月期有報 セグメント情報。営業利益は調整前のセグメント損益。利益率はセグメント営業利益/外部売上高で算出

セグメント情報の詳しい読み方は有報のセグメント情報の読み方で解説しています。

産業IT|最大セグメント、売上構成比32.8%

産業ITは製造、通信、エネルギー、流通、サービス、メディア等の顧客に対して、基幹系システムやSCM、CRM等のシステム開発・保守・運用を提供するセグメントです(2025年3月期有報)。住友商事グループの産業ネットワークを活用した幅広い顧客基盤が特徴で、利益率14.8%と安定した収益性を誇ります。

自動車業界向けの組み込みソフトウェア開発も含まれており、ECU(電子制御ユニット)向けのモデルベース開発や自社製ミドルウェア「QINeS-BSW」の提供をグローバル規模でおこなっています。

ITプラットフォーム|ネットワン効果で29.5%に急拡大

ITプラットフォームは当期の最大の注目セグメントです。前期の外部売上高885億円から当期は1,757億円へと約2倍に拡大しました(2025年3月期有報)。この急拡大の主因は、2024年12月25日付でネットワンシステムズを連結子会社化し、同セグメントに加えたことです。

ネットワンシステムズはネットワークインフラの構築・運用に強みを持つ企業であり、SCSKのITプラットフォーム事業と組み合わせることで、ネットワーク・セキュリティ・クラウドからアプリケーション提供までを一体化したデジタルサービスが実現可能になります。

ITソリューション|6セグメント中唯一の赤字

ITソリューションは自社開発ERPパッケージ「PROACTIVE」やBPOサービスを提供するセグメントですが、当期は19億円の営業損失を計上しています(2025年3月期有報)。6セグメント中で唯一の赤字であり、事業再構築の渦中にあります。

就活ポイント: 赤字セグメントの存在は企業のPR資料には出てきません。有報だからこそ確認できる情報であり、面接で「ITソリューション事業の収益改善をどのように進めていますか」と逆質問すれば、有報を読み込んでいることが伝わります。

5期分の業績推移|ネットワン効果で売上24%増

期間売上高(百万円)純利益(百万円)EPS(円)ROE
4期前396,85333,435107.0915.7%
3期前414,15033,470107.2014.1%
2期前445,91237,301119.4414.4%
前期480,30740,461129.5114.1%
当期(2025年3月期)596,06545,035144.1015.2%

出典: 2025年3月期有報 主要な経営指標等の推移(IFRS)

当期の売上高5,960億円は前期の4,803億円から24.1%の大幅増収です。純利益も450億円と着実に拡大し、ROEは15.2%に回復しています。ネットワンシステムズの連結化が寄与した面が大きいですが、既存事業も堅調に推移しています。

SCSKは何に賭けているのか|投資と研究開発の方向性

SCSKの設備投資額は358億円(2025年3月期有報「設備投資等の概要」より)。前期の147億円から大幅に増加しており、ネットワンシステムズの連結化に加え、データセンター設備の増強投資が含まれています。研究開発費は23億円です(2025年3月期有報「研究開発活動」より)。

投資項目金額(百万円)内容
設備投資35,890netXDCデータセンター増強等
研究開発費2,395AI駆動型開発、モビリティSDM、脱炭素ZEBiT等

出典: 2025年3月期有報「設備投資等の概要」「研究開発活動」

ネットワンシステムズ子会社化|「1兆円への挑戦」の布石

有報の経営方針では、グランドデザイン2030として「2030年共創ITカンパニー」の実現を掲げ、「売上高1兆円への挑戦」を明記しています(2025年3月期有報)。ネットワンシステムズの子会社化は、この目標に向けた最大の戦略的アクションです。

中期経営計画(FY2023-FY2025)では3年間で1,000億円規模の成長投資を実行する方針を掲げており、基本戦略として3つのシフトを断行しています。

基本戦略内容
顧客市場シフト成長力ある事業領域(製造、モビリティ、セキュリティ等)へ要員を移動
提供価値シフトシステム開発の上流工程へのシフト、単価の適正化
事業モデルシフト生成AI活用による開発生産性向上、高生産性モデルへの転換

出典: 2025年3月期有報「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」

AI駆動型開発|生成AIで開発プロセスを変革

研究開発費23億円の中で注目すべきは、AI駆動型開発プラットフォームの構築です(2025年3月期有報「研究開発活動」より)。プロンプト実行機能、生成機能、成果物格納機能の3つを組み合わせ、生成AIが開発工程全体で情報の整合性を担保する仕組みを目指しています。

また、自律型マルチAIエージェントの研究開発も推進しており、「人とAIが協調するオフィス」という次世代の働き方を実現する構想が有報に記載されています。

モビリティ事業|自動車のソフトウェア化に対応

研究開発のもう一つの柱がモビリティ分野です。自動車業界のソフトウェア化(SDM: Software Defined Mobility)に対応し、グローバルな技術動向を見極めながら、自動運転や電動化、車室内空間のSDM関連技術の開発を進めています(2025年3月期有報)。

設備投資・R&Dの読み方は設備投資・R&D費の読み方で解説しています。

SCSKが自ら語るリスクと課題|PRでは絶対に出ない情報

有報の「事業等のリスク」には、SCSKが認識する経営課題が率直に記載されています(2025年3月期)。

リスク項目内容就活での読み方
事業環境リスクAI技術の急速な拡大、IT人材不足、顧客企業の内製化加速DX時代のSIerの存在意義を問う課題
システム開発リスク大型・複雑化するシステムの品質確保・コスト管理プロジェクトマネジメント力が試される
技術革新リスク既存技術の陳腐化、競争優位性の喪失継続的な学習意欲が求められる環境
情報セキュリティリスクサイバー攻撃、機密情報の漏えい・改ざんセキュリティ人材の重要性が増大
コンプライアンスリスクネットワンシステムズの過去の不祥事を踏まえた再発防止策買収後のガバナンス統合が課題

出典: 2025年3月期有報「事業等のリスク」

ネットワンシステムズのコンプライアンス|有報が語る率直な課題

特に注目すべきは、ネットワンシステムズの過去の不祥事に関するリスク記載です。有報では「過去に発生した不祥事をふまえ、二度と起こさないための『不適切行為にかかる再発防止策』を策定」し、企業文化の抜本的改革やコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでいることが明記されています(2025年3月期有報)。

顧客のIT内製化|SIerの構造的課題

もう一つの重要リスクは顧客企業のIT内製化です。DX推進に伴い顧客企業が自社でIT人材を抱える動きが加速しており、従来型のシステム受託開発の需要が変化する可能性があります。SCSKはこれに対し、上流工程へのシフトと高付加価値サービスへの転換で対応する方針です(2025年3月期有報)。

あなたのキャリアとマッチするか

従業員データ

項目データ読み方
従業員数(連結)20,252名ネットワン合流で2万人超のIT企業グループに
従業員数(単体)8,360名単体はコンパクト、グループ経営が基本
平均年齢42.9歳長期就業の組織
平均勤続年数17.2年SIer業界でも長い定着率
平均年間給与788万円NRIの1,322万円との差は事業モデルの違い

出典: 2025年3月期有報「従業員の状況」

平均勤続年数17.2年はIT業界では非常に長い数字です。SCSKは2013年から経営主導で働き方改革を推進してきた企業として知られており、定着率の高さにその成果が表れています。

一方、平均年間給与788万円はNRIの1,322万円と比べると差があります。NRIはコンサルティング事業を持つ高付加価値モデル、SCSKはSI・運用中心の事業構造という違いが給与水準に反映されています。ただし、平均勤続17.2年という環境で長期的にキャリアを積める点は、年収だけでは測れない価値です。

キャリア適性

合う人合わない人
大規模ITグループで幅広い業界のシステムに携わりたいコンサルティングの上流だけに特化したい
住友商事グループの産業ネットワークを活かしたい短期で高年収を目指したい
長期的にスキルを磨ける安定した環境を求めるスタートアップ的な環境で挑戦したい
ネットワーク・セキュリティ・クラウドの技術に関心がある金融ITに特化したい(NRIが適する)

面接で使える有報ポイント

志望動機での活用

「御社の有報(2025年3月期)で、ネットワンシステムズの子会社化によりITプラットフォーム事業が売上構成比29.5%に拡大し、ネットワーク・セキュリティからアプリケーションまで一体化したサービス提供が可能になったことを確認しました。『売上高1兆円への挑戦』に向けた事業再構築の過程で、住友商事グループの産業基盤とITの融合に携わりたいと考えています。」

逆質問で使えるネタ

ネットワン統合について:

「有報でネットワンシステムズの子会社化がITプラットフォームセグメントに含まれていますが、統合後のシナジー創出はどの分野で最も進んでいますか?」

事業課題について:

「有報でITソリューション事業が営業損失を計上されていますが、PROACTIVEのモダナイズなど、収益改善に向けた取り組みの進捗を教えてください。」

NRI・ベイカレント・SCSK 3社比較

比較軸NRIベイカレントSCSK
事業モデルコンサル+SI+運用コンサル特化商社系SIer+M&A
売上高7,648億円1,161億円5,960億円
営業利益率約17.5%約37%11.1%
従業員数(連結)16,679名約5,500名20,252名
平均年間給与1,322万円1,117万円788万円
平均勤続年数13.9年約4年17.2年
最大セグメント金融IT(約40%)単一セグメント産業IT(32.8%)
成長戦略DXコンサル深化人員拡大ネットワン統合+1兆円挑戦

出典: 各社2025年3月期(ベイカレントは2025年2月期)有報

この3社比較が面接で効果的な理由は、就活サイトの「年収ランキング」では見えない事業モデルの構造的な違いを語れるからです。

  • 高収益×コンサル特化なら → ベイカレント(営業利益率37%、急成長)
  • 高年収×一気通貫なら → NRI(三層構造、金融IT)
  • 大規模×安定×M&A成長なら → SCSK(20,252名、売上1兆円挑戦)

コンサル・SIer業界全体の比較はコンサル・SIer業界の有報比較で確認できます。

まとめ

項目SCSKの特徴
事業の本質住友商事系SIerとしてM&Aで規模拡大を推進する成長企業
最大の強み産業IT(32.8%)+ITプラットフォーム(29.5%)の二大収益柱
最大の賭けネットワンシステムズ子会社化による「売上高1兆円への挑戦」
注目リスクITソリューション赤字(-19億円)、ネットワンのコンプライアンス統合
働き方の特徴平均年収788万円、平均勤続17.2年、平均年齢42.9歳の安定環境
財務指標売上高5,960億円、営業利益率11.1%、ROE 15.2%、自己資本比率32.9%

SCSKは「住友商事の産業ネットワーク×ネットワン買収によるインフラ基盤強化×売上高1兆円への挑戦」を軸に変革期を迎えた企業です。有報の数字を押さえた上で、NRIやベイカレントとの違いを構造的に説明できれば、面接での説得力は大きく高まります。

本記事のデータは有価証券報告書(EDINET)に基づいています。投資判断を目的としたものではありません。

よくある質問

SCSKの有価証券報告書はどこで読めますか?

EDINET(金融庁の電子開示システム)またはSCSK公式IRサイトで無料公開されています。EDINETでは「E04830」で検索すると最新の有報にアクセスできます。

SCSKの将来性は?今後どうなる?

SCSKは2024年12月にネットワンシステムズを子会社化し、売上高5,960億円・連結従業員20,252名の規模へ成長しました。「売上高1兆円への挑戦」を掲げ、ネットワーク・セキュリティからアプリケーションまで一体化したデジタルサービスの提供を目指しています。(2025年3月期有報に基づく)

SCSKとNRI(野村総研)の違いは?

SCSKは住友商事系SIerで売上高5,960億円・営業利益率11.1%、産業ITが最大セグメント(32.8%)です。NRIはコンサル+SI+運用の三層構造で売上高7,648億円・営業利益率約17.5%、金融ITが最大セグメントです。SCSKは商社系の顧客基盤とM&Aによる規模拡大、NRIはコンサルからの一気通貫モデルが特徴です。(2025年3月期有報に基づく)

SCSKとベイカレントの違いは?

SCSKは連結従業員20,252名の大規模SIerで営業利益率11.1%、平均勤続17.2年の安定型です。ベイカレントは従業員約5,500名のコンサル特化型で営業利益率約37%、平均勤続約4年の急成長型です。安定基盤×大規模組織のSCSKか、高成長×高利益率のベイカレントかという選択です。(2025年3月期有報に基づく)

SCSKと住友商事の関係は?

住友商事はSCSKの親会社です。住友商事グループの幅広い産業ネットワークがSCSKの顧客基盤の強みとなっています。有報では「2030年共創ITカンパニー」を目指すグランドデザイン2030を掲げ、親会社の枠を超えた独自の成長戦略を推進しています。

SCSKがネットワンシステムズを買収した理由は?

有報によると、セキュリティ・データインテグレーション・クラウドインテグレーション領域の事業推進・強化が目的です。ネットワーク・セキュリティ・クラウドからデータ活用等のアプリケーション提供までを一体化したデジタルサービスの実現を目指しています。(2025年3月期有報に基づく)

SCSKの面接で有報の知識はどう活かせますか?

ネットワンシステムズ子会社化による売上24%増の構造変化、産業ITが売上の32.8%を占める事業構造、「売上高1兆円への挑戦」という中期目標に触れると、就活サイトでは得られない深い企業理解をアピールできます。

SCSKの強みと課題は?

強みは住友商事グループの顧客基盤、ネットワン買収によるネットワーク・セキュリティ領域の強化、6セグメントの事業分散です。課題はITソリューション事業の赤字(-19億円)、IT人材獲得競争、ネットワンの過去の不祥事に関するコンプライアンス強化が有報に記載されています。(2025年3月期有報に基づく)

SCSKの企業研究で見るべきポイントは?

有報の6セグメント構成(産業IT・金融IT・ITソリューション・ITプラットフォーム・ITマネジメント・その他)の売上・利益バランス、ネットワンシステムズ子会社化の影響(ITプラットフォームが29.5%に急拡大)、設備投資358億円の内訳の3つが重要です。(2025年3月期有報に基づく)

SCSKの志望動機で他の就活生と差をつけるには?

有報の産業IT売上1,956億円(構成比32.8%)やネットワン買収によるITプラットフォーム急拡大を引用し、「売上高1兆円への挑戦」に向けた成長ストーリーを語ると効果的です。ITソリューションの赤字にも触れつつ、課題認識を示すと企業理解の深さが伝わります。(2025年3月期有報に基づく)

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