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高収益製造3社を有報で比較|稼ぎ方の根本的な違い

約17分で読了
#東京エレクトロン #キーエンス #村田製作所 #有価証券報告書 #企業比較 #製造業 #高収益 #就活
この記事でわかること
1. 東京エレクトロン・キーエンス・村田製作所の「稼ぎ方の根本的な違い」──有報の投資データで比較
2. R&D費・設備投資・海外比率から見える3社の「賭けの方向性」
3. 高収益製造業のキャリア選択に活かせる「合う人・合わない人」の判断基準

この記事のデータは東京エレクトロン(2025年03月期)・キーエンス(2025年03月期)・村田製作所(2025年03月期)の有価証券報告書に基づいています。 有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。

「製造業で高収益な企業に入りたい」──そう考えたとき、東京エレクトロン・キーエンス・村田製作所の3社が候補に挙がることは多いはずです。しかし有報を横断比較すると、3社は同じ「高収益製造業」でありながら、稼ぎ方が根本的に異なることがわかります。

東京エレクトロンは半導体製造装置への巨額R&D投資で技術優位を築く「技術投資型」。キーエンスは自社工場を持たず直販で粗利率83.8%を叩き出す「知識集約型」。村田製作所はMLCC世界シェア約40%の量産技術力で電子部品市場を制する「量産技術型」。この違いは、入社後のキャリアの中身を大きく左右します。

結論|3社の比較サマリー

高収益製造3社を有報データで横断比較すると、各社のビジネスモデルの違いが鮮明に浮かび上がります。まず主要指標を横並びで見てみましょう。

指標東京エレクトロンキーエンス村田製作所
売上高2兆4,315億円1兆591億円約1兆6,700億円
営業利益率28.7%51.9%約17.5%
粗利率47.1%83.8%──
R&D費2,500億円289億円約1,500億円
R&D費 売上比率10.3%2.7%約9%
設備投資5年7,000億円計画143億円約3,000億円
海外売上比率92%64.8%90%超
連結従業員数18,236人12,261人72,572人
平均年収(単体)1,354万円2,039万円約803万円
ビジネスモデル半導体装置×技術投資型ファブレス×直販×知識集約型MLCC×量産技術型

出典: 各社 有価証券報告書 2025年03月期。村田製作所の売上高はR&D費約1,500億円・売上比約9%から推計。平均年収は提出会社(単体)のみの数値であり、連結グループ全体の実態とは異なる点に留意。

3社の最大の特徴を一言で表すとこうなります。

企業高収益の源泉最大の賭け就活での位置づけ
東京エレクトロン(8035)半導体装置の技術優位(コータ/デベロッパ世界シェア約90%)R&D費5年1.5兆円で次世代半導体技術に全方位投資半導体の技術革新と命運を共にするキャリア
キーエンス(6861)ファブレス×直販で粗利率83.8%「最小の資本と人で最大の付加価値」×海外市場拡大少人数・高成果・高報酬の知識集約型キャリア
村田製作所(6981)MLCC世界シェア約40%の量産技術力自動車電動化×5G向け電子部品の大型設備投資見えない技術で世界を支えるBtoB製造キャリア

利益率ランキングで他業界と比較しても、3社はいずれも日本企業の中で突出した高収益を実現しています。しかし利益率の数字だけを見ていては、その背景にあるビジネスモデルの違い──つまりキャリアの中身の違いは見えてきません。

ビジネスモデルの違い|同じ「製造業」でも稼ぎ方が全く異なる

ビジネスモデルとは、企業が何を・誰に・どうやって売って利益を得るかの構造のことです。3社のR&D費・設備投資・粗利率を比較すると、同じ製造業でありながら稼ぎ方の構造が根本的に異なることがわかります。

東京エレクトロン|半導体装置×フィールドソリューションの「技術投資型」

東京エレクトロンは半導体製造装置の開発・製造・販売を事業とする企業です(2025年3月期 事業の内容)。売上の約78%が新規装置販売、約22%(5,383億円)がフィールドソリューション(メンテナンス・パーツ供給・アップグレード)です。

コータ/デベロッパで世界シェア約90%、エッチング装置やCVD成膜装置でも上位のポジションを持ち、R&D費2,500億円(売上比10.3%)と5年で1.5兆円の研究開発投資で技術優位を維持・拡大しています。顧客はTSMC・サムスン・インテルなど世界の半導体メーカーであり、海外売上比率は92%に達します(2025年3月期)。

営業利益率28.7%は装置メーカーとしてはきわめて高い水準ですが、R&D費2,500億円・設備投資5年7,000億円という巨額投資を伴う「重い」ビジネスモデルです。東京エレクトロンの有報分析で詳細を確認できます。

キーエンス|ファブレス×直販×高付加価値の「知識集約型」

キーエンスはFA(ファクトリーオートメーション)用センサーや計測機器を開発・販売する企業です。最大の特徴は自社工場を持たないファブレス経営であり、設備投資はわずか143億円(売上比1.4%)にすぎません。

「世界初」「業界初」の商品企画力と直販モデル(代理店を使わず全て自社営業)が粗利率83.8%を支えています。有報の経営方針には「最小の資本と人で最大の付加価値を上げる」と明記されており、工場や設備ではなく「人の知恵」に賭ける戦略が徹底されています(2025年3月期 経営方針)。

営業利益率51.9%は製造業の常識を覆す異常値です。東京エレクトロンの設備投資5年7,000億円と対比すると、同じ製造業でありながらビジネスモデルが正反対であることが際立ちます。キーエンスの有報分析で収益構造の詳細を確認できます。

村田製作所|MLCC×電子部品の「量産技術型」

村田製作所はMLCC(積層セラミックコンデンサ)を中心とした電子部品の開発・製造・販売を事業とする企業です。MLCC世界シェア約40%でトップに立ち、スマートフォン1台に約1,000個、EV1台に約10,000個使われる電子部品を量産しています。

設備投資は約3,000億円で、自動車電動化に向けた高信頼性MLCCの生産能力拡大に投資を集中しています。キーエンスが工場を持たず143億円の設備投資で済むのとは対照的に、村田製作所は大規模な製造設備を自社で運営する「重厚型」の製造業です(2025年3月期 設備の状況)。

営業利益率約17.5%は一般的な製造業の水準を大きく上回りますが、キーエンスの51.9%や東京エレクトロンの28.7%と比べると低く見えます。しかし連結72,572人を擁する大規模製造業でこの利益率を維持している点は、MLCC世界首位の技術力の証明です。村田製作所の有報分析で事業構造の詳細を確認できます。

3社のビジネスモデル対比

比較軸東京エレクトロンキーエンス村田製作所
製造方式自社製造(大規模工場)ファブレス(協力工場委託)自社製造
販売方式直接+代理店直販のみ直接+代理店
顧客半導体メーカー製造業全般電子機器メーカー
製品単価数億〜数十億円/台数万〜数百万円/台数円〜数百円/個
設備投資5年7,000億円計画143億円約3,000億円
在庫リスク中(受注生産型)極小(即納・受注残ほぼゼロ)中〜高(量産型)

出典: 各社 有価証券報告書 2025年03月期

この対比が示すのは、「高収益」の達成方法に唯一の正解はないということです。東京エレクトロンは巨額の技術投資で参入障壁を築き、キーエンスは資産を極限まで軽くして付加価値に集中し、村田製作所は圧倒的な量産技術力で市場を制しています。

投資の方向性比較|「何に賭けているか」の対比

投資の方向性とは、R&D費と設備投資の額・比率から読み取れる「企業が未来のために何にお金を投じているか」の構造です。3社のR&D費・設備投資を比較すると、投資の哲学が根本的に異なることが見えてきます。

投資項目東京エレクトロンキーエンス村田製作所
R&D費2,500億円289億円約1,500億円
R&D費 売上比率10.3%2.7%約9%
設備投資5年7,000億円計画143億円約3,000億円
設備投資 売上比率──1.4%約18%
R&D+設備投資の性格次世代半導体技術+製造拠点拡大高付加価値商品の企画開発MLCC微細化+自動車向け生産能力
投資の方向「技術と設備と人」の三位一体「人の知恵」に集中「素材技術と量産力」に集中

出典: 各社 有価証券報告書 2025年03月期 研究開発活動・設備の状況

東京エレクトロン|次世代半導体への全方位投資

東京エレクトロンのR&D費2,500億円は5年で1.5兆円以上の計画の一環であり、GAA(次世代トランジスタ構造)、HBM(AI用高帯域メモリ)、先端パッケージングの3領域に全方位で投資しています。FY2026のR&D費は3,000億円とさらに加速する計画です(2025年3月期 研究開発活動・中期経営計画)。

加えて、設備投資5年7,000億円で宮城・熊本・岩手の生産拠点を拡大し、連結従業員を1.8万人から2.5万人へ6割増員する計画です。「R&D費1.5兆円+設備投資7,000億円+人材増員7,000人」という三位一体の投資が東京エレクトロンの成長戦略です。R&D投資ランキングでも日本企業トップクラスの研究開発投資です。

キーエンス|最小の投資で最大の付加価値

キーエンスのR&D費289億円(売上比2.7%)は金額だけ見れば3社中最少ですが、少ない投資で「世界初」「業界初」の高付加価値製品を生み出す効率の高さが本質です。設備投資143億円はファブレス経営の結果であり、固定費を極限まで抑えた構造が粗利率83.8%・営業利益率51.9%を支えています(2025年3月期 研究開発活動・対処すべき課題)。

キーエンスの「投資」は、数字に表れにくい人材の知恵に向かっています。直販の営業社員が顧客の潜在ニーズを直接つかみ、開発部門にフィードバックするサイクルこそがキーエンスの真の投資対象です。さらに有報ではM&Aにも言及しており、手元資金4,518億円+有価証券約2.2兆円の財務余力で成長戦略の転換を示唆しています。

村田製作所|素材技術と量産力への大型投資

村田製作所のR&D費約1,500億円(売上比約9%)はMLCCの「小型化」「大容量化」「高信頼性化」に集中しています。特に自動車向けの高温・高電圧環境に耐える高信頼性MLCCの開発が重点領域です(2025年3月期 研究開発活動)。

設備投資約3,000億円は自動車電動化に向けた生産能力拡大が中心で、EV1台あたりの電子部品搭載数がガソリン車の数倍に増加するという構造変化を先取りした投資です。キーエンスの143億円の約21倍という設備投資額が、村田製作所の「量産技術型」ビジネスモデルを象徴しています。

東京エレクトロンでは半導体技術の最前線で巨額投資の一端を担い、キーエンスでは少人数で高付加価値な商品企画・提案に携わり、村田製作所では素材技術の研究開発や量産プロセスの最適化に取り組むことになります。同じ「製造業の技術者」でも、日々の仕事の中身は全く異なります。

リスク構造の違い|有報が語る3社の課題

事業等のリスクとは、企業自身が認識している経営上の脅威を開示するセクションです。3社のリスク項目を比較すると、ビジネスモデルの違いに応じた課題が浮かび上がります。

リスク項目東京エレクトロンキーエンス村田製作所
景気循環(シクリカル)高(半導体サイクルで±30%変動)低(安定成長)中(スマホ・自動車市場に連動)
地政学リスク高(中国向け42%・米中規制)低〜中高(中国向け比率が高い)
為替変動低(円建て輸出中心)中(海外64.8%・年170億円スイング)高(海外90%超)
技術革新リスク中(次世代技術への対応)低(多品種×高付加価値)中〜高(代替技術の出現可能性)
人材確保高(6割増員計画・業界全体で人材争奪)低〜中
品質リスク中〜高(ファブレス固有の課題)
スマートフォン市場成熟高(通信向け売上約35%)

出典: 各社 有価証券報告書 2025年03月期 事業等のリスク

東京エレクトロン|半導体サイクルの波

東京エレクトロン最大のリスクは半導体設備投資サイクルの変動です。5年間の売上推移(+43%→+10%→▲17%→+33%)が示す通り、業績の振れ幅が極めて大きい企業です。加えて、中国向け売上が42%と最大顧客地域でありながら、米中半導体規制により先端装置の輸出が制限されるジレンマを抱えています(2025年3月期 事業等のリスク)。

入社すると「半導体サイクルの波」と「国際政治と技術の交差点」で仕事をすることになります。毎年安定した業績を期待する人には向かない環境ですが、長期的な半導体需要の構造成長を信じて波を乗りこなす覚悟があるなら、成長と高報酬の機会は大きい企業です。

キーエンス|ファブレスの見えにくさ

キーエンスのリスクは従来型の景気循環よりも、ファブレスモデル固有の品質管理リスクと、為替変動の影響です。2024年3月期の為替差益128億円から2025年3月期の為替差損42億円へ、わずか1年で約170億円のスイングが発生しています(2025年3月期 損益計算書)。

もう一つの特殊なリスクは「開示の少なさ」です。製品別・事業部別の売上内訳がなく(単一セグメント)、公式な業績目標も設定されていません。この「見えにくさ」は就活生にとっても「入社後にどの事業がどう成長しているのか外からは判断しにくい」ことを意味します。

村田製作所|スマホ成熟×EV依存のジレンマ

村田製作所のリスクは、通信向け売上(約35%)の成長源であるスマートフォン市場の成熟と、成長の柱である自動車電動化の進行ペースの不確実性です。また海外売上比率90%超のため、為替変動の影響がきわめて大きい構造です。

さらに、中国向け売上比率が高い点は地政学リスクを伴います。MLCC世界首位の技術力は参入障壁が高いものの、代替技術(新しいコンデンサ技術やデバイスの統合化)のリスクも長期的には認識されています。

キャリアのヒント: 東京エレクトロンでは半導体サイクルの波と地政学リスクを受け入れる覚悟が、キーエンスでは成果主義の透明性の低い環境で自律的に動く力が、村田製作所ではスマホ市場の成熟とEV市場の不確実性の中で技術革新を推進する力が求められます。

キャリアマッチ|合う人・合わない人

キャリアマッチとは、企業の経営方針・事業構造と自分の志向・強みとの相性のことです。有報のデータから逆算した3社の「合う人・合わない人」を整理します。

東京エレクトロンに合う人(有報の根拠)

合いそうな人合わないかもしれない人
半導体技術の最前線で開発・製造に携わりたい理工系
→コータ/デベロッパ世界シェア約90%、R&D費2,500億円(2025年3月期)
業績の安定性を最重視する人
→売上が前年▲17%→当年+33%と大きく変動(2025年3月期)
海外で働きたい人
→海外売上92%・世界18カ国85拠点(2025年3月期)
国内完結の仕事を望む人
→日本の売上は全体の8%のみ
景気変動を受け入れて高成長・高処遇を求める人
→平均年収1,354万円・6割増員計画(2025年3月期)
技術への深い理解なしで活躍したい人
→営業職でも半導体プロセスの技術理解が必須

キーエンスに合う人

合いそうな人合わないかもしれない人
顧客課題の発見と解決提案が好きな人
→直販モデルの核心は顧客の潜在ニーズ捕捉(2025年3月期)
ルーティン業務で安定した毎日を求める人
→「最小の資本と人で最大の付加価値」が原則
少人数で大きな成果を出す働き方が好きな人
→連結12,261人で売上1兆591億円(2025年3月期)
大人数チームでじっくり取り組みたい人
→一人あたり売上高が極めて高い組織
数字で成果を測られることに抵抗がない人
→営業利益率51.9%の裏にある成果主義文化
プロセスや努力を評価してほしい人
→結果重視の企業文化

村田製作所に合う人

合いそうな人合わないかもしれない人
素材技術や製造プロセスに興味がある理工系
→MLCC世界シェア約40%の微細化技術(2025年3月期)
短期で大きな裁量を持ちたい人
→連結72,572人の大組織
EV・5Gなど成長市場で安定的に働きたい人
→自動車向け売上約25%が急成長(2025年3月期)
個人の成果で高報酬を求める人
→平均年収約803万円は大手製造業の上位だが突出はしない
BtoB企業で「見えない技術」に価値を感じる人
→スマートフォン1台に約1,000個のMLCC搭載(2025年3月期)
消費者に直接届く製品に関わりたい人
→BtoB型で一般消費者には馴染みが薄い

3社の待遇・組織文化の比較

比較軸東京エレクトロンキーエンス村田製作所
平均年収(単体)1,354万円2,039万円約803万円
平均年齢43.5歳34.8歳40.1歳
平均勤続年数14.9年11.1年14.1年
連結従業員数18,236人12,261人72,572人
組織の特徴技術者集団・増員拡大中フラット・成果主義・役職呼称なし大規模製造業・長期雇用

出典: 各社 有価証券報告書 2025年03月期 従業員の状況。平均年収は提出会社(単体)の数値。

キーエンスの平均年齢34.8歳は3社で最も若く、フラットな組織文化(役職呼称廃止・接待禁止・縁故採用禁止)と合わせて、成果主義が徹底された環境です。東京エレクトロンは6割増員計画で門戸が広がっている時期であり、村田製作所は連結72,572人の大規模組織で安定的なキャリア形成が可能です。

今から学ぶべき分野テーブル

有報が示す投資方向性から逆算した、各社で活躍するための学習テーマです。

志望企業学ぶべき分野根拠(有報データ)
東京エレクトロン半導体プロセス技術(フォトリソ・エッチング・成膜)R&D費2,500億円が次世代半導体技術に集中(2025年3月期)
東京エレクトロン英語力(技術英語含む)海外売上92%、世界18カ国85拠点(2025年3月期)
キーエンスFA・製造業の課題解決力直販モデルの核心は顧客の潜在ニーズ捕捉(2025年3月期)
キーエンスAI・データ分析の基礎AI搭載画像センサーが最新R&D成果(2025年3月期)
村田製作所セラミック材料・電子部品技術MLCC世界シェア約40%、R&D費約1,500億円(2025年3月期)
村田製作所自動車電動化の構造理解xEV向け電子部品が売上約25%で急成長(2025年3月期)
3社共通英語力(TOEIC800点以上)東京エレクトロン92%・村田90%超・キーエンス64.8%(各社2025年3月期)

有報でわからないこと

社風・職場の雰囲気・上司との関係性といった情報は有報からは読み取れません。特にキーエンスは成果主義の厳しさについて口コミサイトでの評判が目立ちますが、有報には「最小の資本と人で最大の付加価値を上げる」という経営哲学しか記されていません。東京エレクトロンのフィールドエンジニアのシフト制勤務やクリーンルーム作業の実態、村田製作所の工場配属の具体的な環境も有報では見えません。OpenWork等の口コミサイトやOB/OG訪問を併用して、自分に合う環境かどうかを多角的に判断しましょう。有報×OB訪問の質問術も参考になります。

面接で使える比較ポイント

3社の有報を横断して読んでいる就活生はほぼいません。比較視点を面接で使うだけで、企業研究の深さが際立ちます。

横断比較の数字で語るトーキングポイント

東京エレクトロンの面接で

「3社の有報を比較して印象的だったのは、御社のR&D費2,500億円がキーエンスの約9倍という数字です。キーエンスがファブレスで『人の知恵』に賭けるのに対し、御社はR&D費5年1.5兆円・設備投資5年7,000億円で『技術と設備と人』の三位一体に賭けている。この投資の本気度に惹かれ、半導体技術の最前線に身を置きたいと考えています。」

キーエンスの面接で

「御社の設備投資143億円は東京エレクトロンの5年計画7,000億円の約50分の1、村田製作所の約3,000億円の約20分の1です。しかし営業利益率は51.9%で3社中最高。『最小の資本と人で最大の付加価値を上げる』という経営方針が設備投資の数字にそのまま表れていることに、有報を読んで強く感銘を受けました。」

村田製作所の面接で

「3社の有報を比較して、御社の連結72,572人という従業員規模が最も印象に残りました。キーエンスの12,261人の約6倍。これはMLCC世界シェア約40%を支える量産技術力には大規模な製造体制が不可欠であることを意味しており、“見えない部品で世界を支える”規模感に魅力を感じています。」

面接の逆質問で使える例

  • 「東京エレクトロンのR&D費2,500億円はキーエンスの約9倍ですが、これだけの研究開発投資を管理する中で、新卒の技術者が自分の研究テーマを持てるようになるまでのキャリアパスを教えていただけますか?」
  • 「キーエンスの設備投資143億円は村田製作所の約20分の1ですが、ファブレスモデルを維持しながら品質を担保する仕組みとして、協力工場との関係性をどのように構築・管理されていますか?」
  • 「村田製作所の自動車向け売上構成比約25%が急拡大していますが、自動車メーカーとの共同開発で若手技術者が関わる具体的な機会はどのようなものですか?」

有報の記述を引用しつつ、他社との比較視点で逆質問を組み立てると、面接官に「3社を本気で比較検討した上で志望している」という印象を与えることができます。

まとめ

高収益製造3社(東京エレクトロン・キーエンス・村田製作所)の有報横断比較から見えてくる核心は、「同じ高収益製造業でも、稼ぎ方の構造が根本的に異なる」ということです。

  • 東京エレクトロン: R&D費2,500億円・設備投資5年7,000億円・6割増員計画という「技術と設備と人の三位一体投資」で、コータ/デベロッパ世界シェア約90%の技術優位を維持・拡大。半導体サイクルの波(前年▲17%→当年+33%)を乗りこなしながら過去最高売上2.43兆円を更新(2025年3月期)
  • キーエンス: 設備投資143億円のファブレスモデルで粗利率83.8%・営業利益率51.9%という「最小の資本と人で最大の付加価値」を実現。海外売上比率64.8%でなお「大きな成長余地がある」と経営陣が明言し、M&Aにも言及(2025年3月期)
  • 村田製作所: MLCC世界シェア約40%の量産技術力と設備投資約3,000億円・R&D費約1,500億円で、自動車電動化(売上約25%)と5G向け部品を成長ドライバーに。連結72,572人のグローバル製造業(2025年3月期)

キャリア選択の軸は「どの高収益モデルで自分が輝けるか」です。半導体の技術革新と命運を共にしたいなら東京エレクトロン、少人数・高成果・高報酬の知識集約型で働きたいならキーエンス、素材技術を軸にEV・5Gの成長市場で世界を支えたいなら村田製作所。有報の投資データはその判断基準を客観的な数字で提供してくれます。

各社の詳細な有報分析は以下からご覧ください。

  • [東京エレクトロンの有報分析──半導体装置の世界シェアと成長戦略]
  • [キーエンスの有報分析──驚異の営業利益率と海外戦略]
  • [村田製作所の有報分析──EV×5G向け電子部品の強み]
  • [利益率ランキング]で収益力を業界横断比較
  • [R&D費ランキング]で技術投資の姿勢を比較
  • 製造業の業界概要で製造業全体の動向を確認

本記事のデータは東京エレクトロン(2025年03月期)・キーエンス(2025年03月期)・村田製作所(2025年03月期)の有価証券報告書(EDINET)に基づいています。3社とも同一決算期ですが、セグメント区分・事業構造が異なるため数値の単純比較には限界があります。投資判断を目的としたものではありません。企業の将来の業績を保証するものではなく、最新情報は各社の公式IR資料をご確認ください。

よくある質問

東京エレクトロン・キーエンス・村田製作所で就活するならどの企業が向いていますか?

有報データで比較すると、半導体技術の最前線でグローバルに働きたいなら東京エレクトロン(海外売上92%・R&D費2,500億円)、少人数で高付加価値を追求し成果主義の環境を求めるならキーエンス(営業利益率51.9%・平均年収2,039万円)、素材技術を軸にEV・5Gの成長市場で安定的に働きたいなら村田製作所(MLCC世界シェア約40%・連結72,572人)が軸になります。

3社のR&D費はどれくらい違いますか?

東京エレクトロン2,500億円(売上比10.3%)、キーエンス289億円(同2.7%)、村田製作所約1,500億円(同約9%)です(いずれも2025年3月期)。東京エレクトロンは次世代半導体技術への全方位投資、キーエンスはファブレスで少額ながら高効率なR&D、村田製作所はMLCCの微細化・高容量化技術への継続投資と、投資の性格が根本的に異なります。

3社の営業利益率がこれほど違うのはなぜですか?

キーエンス51.9%はファブレス×直販×高付加価値製品の三位一体モデル。東京エレクトロン28.7%は大規模なR&D・設備投資を行いながらも技術優位で高マージンを維持。村田製作所約17.5%は設備投資約3,000億円の重厚型製造業ながらMLCC世界首位の技術力で業界平均を大きく上回っています。ビジネスモデルの違いが利益率の違いに直結しています。

高収益製造業の有報でどこを重点的に読むべきですか?

就活目的であれば、(1)セグメント情報(何で稼いでいるかの構造)、(2)研究開発活動(R&D費の金額と投資先)、(3)設備投資(工場型かファブレスか)、(4)事業等のリスク(景気循環・地政学・技術革新リスク)の4点が重要です。特に設備投資額の違いはビジネスモデルの本質を映しており、有報を読まないと見えません。

3社の面接で有報の比較データはどう使えますか?

3社の有報を横断比較している就活生はほぼいません。『キーエンスの設備投資143億円は東京エレクトロンの5年計画7,000億円の約50分の1』『村田製作所のMLCC世界シェア約40%はキーエンスのファブレスとは真逆の量産技術力』など、横比較の数字で語ると面接官に深い企業研究を印象づけられます。

3社の海外売上比率はどれくらい違いますか?

東京エレクトロン92%、村田製作所90%超、キーエンス64.8%です(いずれも2025年3月期)。3社ともグローバル企業ですが、東京エレクトロンと村田製作所は売上の9割以上が海外であり、キーエンスは国内35.2%を維持しつつ海外に「大きな成長余地がある」と経営陣が明言しています。

3社の平均年収の違いは何を意味していますか?

キーエンス2,039万円・東京エレクトロン1,354万円・村田製作所約803万円です(いずれも2025年3月期・提出会社単体)。キーエンスの突出した水準はファブレスモデルで人件費に利益を集中配分できる構造の反映です。東京エレクトロンは半導体装置の高収益性、村田製作所は連結72,572人の大規模製造業としては上位水準です。

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