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広告/メディア 2025年3月期期

博報堂DYの将来性|有報で見る生活者発想×デジタル統合の全貌

(更新: ) 約11分で読了
#博報堂DYホールディングス #有価証券報告書 #有報 #就活 #企業分析 #広告 #デジタルマーケティング #キャリアマッチ

企業名

博報堂DYホールディングス

業種

広告・マーケティング

証券コード

2433

対象事業年度

2025年3月期

博報堂DYの有報分析 要点: 売上総利益3,995億円で国内が74%を占める安定構造。Hakuhodo DY ONE設立、博報堂×DYメディアパートナーズ統合、ITコンサル新会社設立の3段階変革で「クリエイティビティ・プラットフォーム」への転換を推進。営業利益375億円は前年比+9.6%で堅調だが、のれん償却年間125億円と五輪独禁法事案が課題。(2025年3月期有報に基づく)

この記事のデータは博報堂DYホールディングスの有価証券報告書(2025年3月期)に基づいています。 有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。

博報堂DYホールディングスは、売上高1兆6,131億円・連結従業員約2.9万人を擁する国内2位の広告グループです。 しかし有報を読むと、「博報堂」単体のイメージとは異なる姿が浮かび上がります。子会社384社・関連会社64社を束ねる巨大持株会社の構造と、広告の枠を超えたテクノロジー・コンサル領域への大きな方向転換です。

博報堂DYが賭けている3つの方向性:

  • デジタル統合×フルファネル化: Hakuhodo DY ONE設立と博報堂×DYメディアパートナーズ統合
  • テクノロジー・ITコンサル領域への新規参入: HAKUHODO ITTENI・BRIDGEの営業開始
  • グローバル事業のリモデル: kyu構造改革とモダンネットワーク形成

有報のリスク情報の読み方を知っておくと、本記事の内容がより深く理解できます。

博報堂DYのビジネスの実態|何で稼いでいるのか

広告業の会計構造とは、他の業界とは異なり「売上高」と「実際に稼いだ金額」に大きな開きがある点が特徴です。博報堂DYの場合、この違いを理解することが企業分析の第一歩になります。

指標金額意味
売上高1兆6,131億円メディア仕入を含む取扱高(従来基準)
収益9,533億円収益認識基準ベースの実際の収益
売上総利益3,995億円メディア仕入を差し引いた付加価値
営業利益375億円本業の利益

出典: 2025年3月期有報。売上高は従来の会計基準ベースの自主開示

就活サイトで「売上高1.6兆円」を見て電通グループ(収益1.4兆円)より大きいと思うのは危険です。広告業の実力を比較するには売上総利益が適切な指標であり、博報堂DY(3,995億円)は電通グループ(1兆2,016億円)の約3分の1の規模です。面接で売上高を引用してしまうと、業界理解の浅さが露呈します。

売上総利益の内訳を見ると、博報堂DYの収益構造がはっきりします。

区分売上総利益構成比前年比
国内事業2,970億円74%+2.1%
海外事業1,078億円26%-0.2%

出典: 2025年3月期有報 経営者による財政状態の分析

国内事業が安定して成長している一方、海外事業は微減です。電通グループが収益の約60%を海外から得ているのとは対照的に、博報堂DYは国内基盤型のグループです。国内では得意先業種別に21業種中13業種が前年を上回り、特定業種への偏りが少ない安定した収益構造を持っています。

グループの実態としては、「博報堂」1社の会社ではありません。博報堂、大広、読売広告社、Hakuhodo DY ONE、ソウルドアウトなど個性の異なる広告事業会社を擁しています。さらに博報堂DYメディアパートナーズ(2025年4月に博報堂に統合)や海外の戦略事業組織kyuも傘下にあり、多様な事業会社の複合体です。電通グループの「One dentsu」型統合とは対照的に、各社の独自性を活かしながらグループシナジーを追求する形をとっています。

博報堂DYは何に賭けているのか|投資と研究開発の方向性

賭け1: マーケティングビジネスの3段階構造変革

博報堂DYの最大の賭けは、マーケティングビジネスの構造変革です。有報に明記された3段階の変革を時系列で整理します。

時期施策目的
2024年4月Hakuhodo DY ONE設立グループのデジタルマーケティングリソースとノウハウを集約
2025年4月博報堂×DYメディアパートナーズ統合フルファネルマーケティングの高度化
進行中統合マーケティングプラットフォーム開発生活者データドリブンの効率化・高度化

出典: 2025年3月期有報 経営方針

さらに、AI研究拠点「Human-Centered AI Institute」の成果を統合マーケティングプラットフォームに組み込み、「生活者データドリブン」のフルファネルマーケティングを実現する計画です。

ポイントとしては、デジタルマーケティング×データ分析のスキルが最も直接的に評価される環境になりつつあるということです。統合直後の組織では若手でも主体的に関われる機会が生まれやすく、立ち上げ期のプロジェクトに参加できる可能性があります。

賭け2: テクノロジー・ITコンサル領域への新規参入

中期経営計画では、マーケティングに加え「コンサルティング」「テクノロジー」「コンテンツ」「インキュベーション」「グローバル」を含む6つの事業領域を確立する長期ビジョンを掲げています。

具体的には、2025年4月にHAKUHODO ITTENI(デマンドチェーン革新)とHAKUHODO BRIDGE(デジタルサービス開発・実装)の2社が営業を開始しました。コマース領域を起点にシステム・アプリ開発体制を強化し、ITコンサルティング領域への本格参入を目指しています。従来型のコンサル・SIer企業との違いはコンサル・SIer業界の有報比較で確認できます。

設備投資は166億円で、営業支援・経営管理機能の充実が目的です。R&D費は有報上の該当記載がありません。広告業は製造業やIT企業のような大規模な技術研究投資はおこなわず、人的資本への投資が中心です。

中期経営目標は以下の通りです。

指標目標
調整後のれん償却前営業利益 年平均成長率+10%以上
調整後売上総利益 年平均成長率+5%以上
調整後のれん償却前オペレーティング・マージン13%以上
のれん償却前ROE10%以上

出典: 2025年3月期有報 経営方針。2025年3月期〜2027年3月期の3カ年計画

初年度の実績では営業利益成長率が目標を上回り、OMも目標水準に近づいています。新領域はまだ立ち上げ期ですが、国内事業の安定した収益基盤を背景にした攻めの投資と言えます。

賭け3: グローバル事業のリモデル

海外事業は戦略事業組織kyuを核に展開しています。kyuは、IDEO(デザインシンキング)、Sid Lee(クリエイティブ)、Kepler Group(デジタルマーケティング)など専門性の高い企業を傘下に持つユニークな組織です。

2025年3月期を通じてkyuの構造改革に取り組み、機能の統廃合と固定費削減で一定の成果が出始めています。新たに「kyu Pulse」を組成し、マーケティングビジネスでのシームレスなソリューション提供体制を構築しました。有報ではM&Aによる非連続な成長機会の探索を継続する方針も明記されています。

電通グループのような地域統合型のグローバル展開ではなく、個性ある専門企業の連合体という独自のアプローチです。ただし、海外売上総利益は前年比-0.2%と低迷しており、北米と中国での回復が課題です。

博報堂DYが自ら語るリスクと課題|PRでは絶対に出ない情報

有報のリスク欄には、企業のPRでは語られない課題が記載されています。博報堂DYの有報から、就活生が特に注目すべき3つのリスクを選びました。

リスク1: マスメディア広告への依存とデジタルシフトの成否

有報には、マスメディア広告(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)が国内売上高の31%を占めると記載されています。インターネット広告は成長しているものの、プラットフォーマー(Google・Meta等)やデジタル専業代理店との競争も激化しています。

2024年4月のHakuhodo DY ONE設立はこの課題への対応ですが、効果が十分に出るかは不確定です。有報には「インターネットメディアの拡大に対して当社グループが適切に対応できない場合には経営成績に悪影響を与える可能性」と率直に記されています。

ポイントとしては、マスメディア広告部門は今後も縮小傾向が続く可能性があるということです。デジタル領域のスキルなしにこの業界に入ると、配属先によってはキャリアの成長機会が限定されるリスクがあります。

リスク2: 東京五輪独禁法違反事案

就活生が見落としがちなのは、東京オリンピック関連の独禁法違反で被告となっているのは電通だけではないという事実です。博報堂も起訴されており、2024年7月に有罪判決を受けました。控訴棄却後、2025年5月に最高裁へ上告しています。

有報の経営方針には「特別検証委員会からの提言も踏まえ、再発防止策の実施を徹底」「ビジネス意識・行動改革委員会を設置」と記載されており、改革への取り組みは進行中です。ただし最高裁での係争が継続しており、企業イメージへの影響は残っています。

リスク3: 海外事業の収益性とのれん減損リスク

海外事業の売上総利益は前年比-0.2%で微減です。特に北米と中国での厳しい状況が続いています。博報堂DYはJ-GAAP(日本基準)を適用しているため、のれんは毎期償却されます。年間のれん償却額は125億円で、営業利益375億円に対して33%を占める大きな負担です。さらに当期は47億円の減損損失も計上しています(2025年3月期有報)。

電通グループ(IFRS)ではのれんを償却せず減損テストで一括計上する方式であり、同じ「のれん」の影響でも財務諸表への表れ方が異なる点は理解しておく必要があります。

あなたのキャリアとマッチするか

合う人合わない人
「生活者発想」のマーケティングに共感するグローバルキャリアを最優先にしたい
デジタルマーケ×データ分析に興味がある安定した収益構造を重視する
多様な子会社文化の中で個性を活かしたいR&D・技術研究を軸にキャリアを築きたい
ITコンサル×広告の掛け算に魅力を感じる組織統合の不確実性を避けたい

電通グループとの選び分けのポイントは、「国内基盤×生活者発想×多様な子会社文化」(博報堂DY)と「グローバル展開×統合ソリューション×変革期のダイナミズム」(電通)のどちらが自分のキャリア志向に合うかです。電通グループの詳細は電通グループの有報分析記事で確認できます。

従業員データ

項目数値
連結従業員数29,386名
持株会社単体174名
平均年齢41.4歳
平均勤続年数12.8年
平均年間給与約1,092万円

出典: 2025年3月期有報。平均年齢・勤続年数・給与は博報堂DYホールディングス(持株会社、174名)の数値。中核子会社の博報堂(単体)は別途開示

電通グループの持株会社(131名・約1,508万円)との単純比較は意味がありません。いずれも持株会社の少数精鋭データであり、実際に就活生が入社する事業会社の待遇とは異なります。有報だけでは社内の雰囲気や働き方は分かりません。OpenWorkや就活会議等の口コミサイトも併用して総合的に判断しましょう。

グループの主要子会社は以下の通りです。博報堂(広告事業の中核)、大広(関西基盤)、読売広告社(読売系列)、Hakuhodo DY ONE(デジタルマーケティング)、ソウルドアウト(地方・中小企業向け)、kyu傘下のIDEO・Sid Lee等(海外クリエイティブ)。各社の事業領域や文化が異なるため、グループ内でのキャリアの選択肢は広い反面、どの会社に配属されるかで業務内容は大きく変わります。

今から学ぶべき分野

博報堂DYの投資方針から逆算すると、以下の3つのスキルが市場価値を高めます。

  1. デジタルマーケティングの基礎。博報堂DYが最優先で進めるデジタル統合に直結するスキルです。Google AnalyticsやSEO/SEM、SNS広告運用の基本を押さえておくと、Hakuhodo DY ONEの事業内容を具体的に語れるようになります
  2. データ分析の基礎。「統合マーケティングプラットフォーム」が生活者データを核にすることが有報に明記されています。PythonやSQLの基礎、統計検定の学習は、データドリブンマーケティングへの理解を示すアピール材料になります
  3. 広告業界の会計構造の理解。売上高と売上総利益の違い、のれんの概念を知っておくと面接での議論に深みが出ます。「博報堂DYの売上高は1.6兆円だから電通より大きい」と言ってしまうのはよくある誤解です

面接で使える有報ポイント

面接で有報を活用する方法と合わせて、博報堂DY固有のポイントを紹介します。

志望動機での活用

「御社の有報を拝見し、2024年4月のHakuhodo DY ONE設立と2025年4月の博報堂×DYメディアパートナーズ統合という2段階の構造改革に注目しました。生活者データドリブンのフルファネルマーケティングを実現しようとしている方向性に共感し、志望いたしました。」

「中期経営計画で6つの事業領域を掲げ、テクノロジー・コンサルティング領域への本格参入を宣言されている点が印象的でした。広告の枠を超えたクリエイティビティ・プラットフォームという構想に貢献したいと考えています。」

逆質問で使えるネタ

「有報で調整後のれん償却前オペレーティング・マージン13%以上を目標に掲げ、初年度から目標水準に近い実績を出されていますが、次のステップとしてどのような取り組みを検討されていますか?」

「HAKUHODO ITTENIやHAKUHODO BRIDGEなど新会社が営業を開始されましたが、新卒社員がテクノロジー領域に配属される可能性や求められるスキルについて教えてください。」

「博報堂様とDYメディアパートナーズ様の統合が実施されましたが、フルファネルマーケティングの現場ではどのような変化が起きていますか?」

有報のデータを引用して質問するだけで、企業研究の深さが伝わります。特に広告業の会計構造を正しく理解した上で経営戦略を語れる就活生は少なく、面接官の印象に残ります。海外売上比率ランキングも確認しておくと、業界横断的な視点でアピールできます。

まとめ

博報堂DYの有報を読むと、「博報堂」ブランドのイメージの裏に、広告の枠を超えた「クリエイティビティ・プラットフォーム」への大きな構造転換が進行していることがわかります。国内事業は売上総利益+2.1%と安定成長を続けており、その安定基盤を背景にデジタル統合・ITコンサル参入・グローバル事業再編という攻めの中期計画を推進しています。電通グループが海外事業の立て直しという守りの改革に取り組む中、博報堂DYは「生活者発想」を軸にした新領域への拡張を進めています。この戦略の違いは、広告業界でのキャリア選択を考える際の重要な判断材料です。

よくある質問

博報堂DYホールディングスの有価証券報告書はどこで読めますか?

EDINET(金融庁の電子開示システム)で「E05410」と検索するか、公式IRサイトで無料閲覧できます。最新は2025年3月期(第22期)です。

博報堂DYの売上高1.6兆円は電通グループより大きいのですか?

広告業では売上高と実力指標に大きな乖離があります。実力を示す売上総利益は博報堂DYが3,995億円、電通グループが1兆2,016億円で、売上総利益ベースでは電通の約3分の1の規模です。

博報堂と博報堂DYホールディングスの違いは何ですか?

博報堂DYホールディングス(証券コード2433)は純粋持株会社で従業員174名です。博報堂はその中核子会社で広告事業を担います。他に大広・読売広告社・Hakuhodo DY ONEなどを傘下に持ちます。

博報堂DYの将来性は?

中期経営計画で広告会社から「クリエイティビティ・プラットフォーム」への変革を掲げ、2032年までに6つの事業領域を確立する方針です。ITコンサル参入やデジタル統合が成長の鍵です。

博報堂DYも東京五輪の独禁法違反に関わっていますか?

はい。子会社の博報堂が起訴され、2024年7月に有罪判決。控訴棄却後2025年5月に最高裁へ上告中です。有報の経営方針に事実として明記されています。

博報堂DYと電通グループの一番の違いは?

有報から読み取れる最大の違いは戦略フェーズです。博報堂DYは国内基盤の安定を背景にITコンサルやデジタル新会社への攻めの拡張。電通はのれん減損2,101億円後の海外事業立て直しという守りの改革です。

博報堂DYの面接で有報の知識はどう活かせますか?

Hakuhodo DY ONE設立や博報堂統合の構造改革の意味、売上総利益ベースの正確な規模感、6つの事業領域への拡張方針を語れると他の就活生と差がつきます。

博報堂DYの企業研究で見るべきポイントは?

有報の経営方針に書かれた3段階構造変革(Hakuhodo DY ONE設立→博報堂統合→ITコンサル参入)、売上高と売上総利益の乖離構造、東京五輪関連の独禁法事案の3つが重要です。

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