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広告業界を有報で比較|電通×博報堂DYの収益構造と戦略の違い

約8分で読了
#広告業界 #電通 #博報堂 #有報 #就活 #業界比較 #企業研究
この記事でわかること
1. 電通グループ×博報堂DYの収益構造の違い(売上総利益で比較する理由)
2. グローバル展開の差──海外GP比率60% vs 海外売上比率27%
3. 2社の戦略フェーズの違いと就活でのキャリアマッチ

「電通と博報堂、何が違うの?」──就活生からよく聞かれる質問ですが、有報を読むと2社は全く異なるフェーズにあることがわかります。

電通グループは売上総利益1.20兆円の約60%を海外で稼ぐグローバル企業でありながら、のれん減損2,353億円で最終赤字に転落し再建フェーズにあります。博報堂DYホールディングスは売上総利益3,996億円の国内基盤を持ち、デジタル統合とITコンサル参入による構造変革フェーズにあります。

有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。

結論|2社は「規模」も「フェーズ」も異なる

比較項目電通グループ博報堂DYホールディングス
売上総利益1兆2,016億円3,996億円
営業利益-1,250億円(IFRS)376億円
調整後営業利益1,762億円―(日本基準)
最終損益-1,922億円108億円
海外比率GP約60%売上約27%
連結従業員数67,667人29,386人
会計基準IFRS(12月決算)日本基準(3月決算)
戦略フェーズグローバル再建国内構造変革

出典: 電通グループ 有価証券報告書 2024年12月期 / 博報堂DYHD 有価証券報告書 2025年3月期

電通のIFRS営業利益-1,250億円は、のれん減損2,353億円や構造改革費用107億円などの一時的要因を含んだ数値です。これらを除いた調整後営業利益は1,762億円で、事業としての収益力は維持されています。

収益構造の比較|売上総利益で読む2社の実力

広告業界の有報を読む際、最も重要な指標は売上総利益(Gross Profit)です。売上高にはメディア費用のパススルー(広告主から預かったメディア枠の代金)が含まれるため、売上高の比較では2社の実力差を正しく反映できません。

指標電通グループ博報堂DYHD
売上高1兆4,110億円9,533億円
売上総利益1兆2,016億円3,996億円
営業利益-1,250億円376億円
調整後OP / GP14.7%―(参考: OP/GP 9.4%)
自己資本比率19.9%37.2%

出典: 各社 有価証券報告書

売上総利益ベースでは電通が博報堂DYの約3倍の規模です。ただし、電通はIFRS適用であるのに対し博報堂DYは日本基準を採用しており、収益の認識方法が異なるため、この比率は概算として捉える必要があります。

電通の調整後営業利益マージン(売上総利益に対する比率)は14.7%です。日本事業に限ると調整後営業利益1,142億円に対しGP 4,667億円でマージン24.5%と高水準ですが、海外事業、特にAPACの調整後営業利益率が0.9%と低迷しており、全社マージンを押し下げています。

博報堂DYは営業利益376億円に対しGP 3,996億円でマージン9.4%です。中期目標として調整後のれん償却前オペレーティング・マージン13%以上を掲げています。

グローバル展開の比較|4リージョン体制 vs 国内中心

2社のグローバル展開には大きな差があります。

電通グループ|売上総利益の約60%が海外

電通は日本・Americas・EMEA・APACの4地域セグメントで事業を展開しています(2024年12月期有報)。

リージョン売上総利益調整後OPマージン
日本4,667億円1,142億円24.5%
Americas3,346億円752億円22.5%
EMEA2,693億円385億円14.3%
APAC1,164億円11億円0.9%

出典: 電通グループ 有価証券報告書 2024年12月期 セグメント情報

日本事業のマージンが24.5%と突出して高く、海外事業のマージン改善が全社業績の鍵です。APAC地域ではのれん減損144億円を計上しており、立て直しが急務となっています。

博報堂DYホールディングス|国内売上比率73%

博報堂DYは単一セグメント報告ですが、地域別売上高が開示されています(2025年3月期有報)。

地域売上高構成比
日本6,954億円72.9%
海外2,579億円27.1%

出典: 博報堂DYHD 有価証券報告書 2025年3月期

海外事業は戦略事業組織kyuを中心に展開していますが、kyu構造改革として機能の統廃合と固定費削減に取り組んでいる段階です。マーケティング領域でのグローバル連携を強化するkyu Pulseを組成し、競争力の再構築を図っています。

戦略の方向性|再建フェーズ vs 構造変革フェーズ

電通グループ|M&A偏重からの転換

電通は新中期経営計画(2025-2027年)で、過去のM&A偏重の成長戦略を明確に転換しました(2024年12月期有報「経営方針」)。

  • 不振ビジネスの立て直し: 2026年度中に赤字マーケットをなくす目標
  • コスト削減: 2027年度に最大年間500億円規模の効果見込み(本部機能統合・AI活用)
  • 定量目標: オーガニック成長率4%、マージン16-17%、ROE10%台中盤(2027年度)
  • 事業フォーカス: IGS(マーケティング×テクノロジー×コンサルティング)とスポーツ&エンタメのグローバル展開

電通グループの有報分析で個社の詳細を解説しています

博報堂DYホールディングス|広告会社からクリエイティビティ・プラットフォームへ

博報堂DYはグローバルパーパス「Aspirations Unleashed」のもと、6つの事業領域(マーケティング・コンサルティング・テクノロジー・コンテンツ・インキュベーション・グローバル)への展開を進めています(2025年3月期有報「経営方針」)。

  • デジタル統合: 2024年4月にHakuhodo DY ONE設立(デジタルマーケティング集約)
  • フルファネル化: 博報堂×博報堂DYメディアパートナーズを2025年4月に統合
  • ITコンサル参入: HAKUHODO ITTENI(デマンドチェーン)、HAKUHODO BRIDGE(デジタルサービス)を2025年4月設立
  • 中期目標: 調整後のれん償却前OP成長率+10%/年、GP成長率+5%/年、マージン13%以上

博報堂DYの有報分析で個社の詳細を解説しています

リスクの比較|共通リスクと固有リスク

共通リスク:東京五輪独禁法事案

2社に共通する経営リスクとして、東京2020オリンピック・パラリンピックに関する独占禁止法違反事案があります。電通・博報堂ともに有罪判決を受け控訴中です(各社有報「事業等のリスク」)。両社とも再発防止策の完了を報告していますが、コンプライアンス改革の定着が引き続き経営課題です。

各社固有のリスク

項目電通グループ博報堂DYHD
財務リスク自己資本比率19.9%と低水準。のれん減損が業績を大きく振らす構造自己資本比率37.2%と安定。ただしROE 2.8%と資本効率が低い
競合リスクテック・コンサル企業のAI投資による競争激化を有報で明記プラットフォーマーとコンサル企業の参入を有報で明記
人材リスク海外67,667人の大組織。One dentsuモデルの浸透が課題取引慣行上、正式契約書を締結しないことが多いと有報で開示
構造リスク海外事業のマージン改善失敗リスクkyu構造改革の成否。新設3社の立ち上がりリスク

出典: 各社 有価証券報告書「事業等のリスク」

就活での活用法|キャリアマッチと面接ポイント

キャリアマッチの判断基準

志向マッチする企業有報データに基づく理由
グローバルで働きたい電通グループ海外GP比率約60%。Americas・EMEA・APACの4リージョン体制
国内で基盤を築きたい博報堂DY国内売上比率73%。博報堂の生活者発想が事業の根幹
テクノロジー領域に興味両社電通はIGS戦略、博報堂DYはHakuhodo DY ONE・ITコンサル新設
安定した財務基盤を重視博報堂DY自己資本比率37.2%。電通の19.9%と差がある
大きな変革に関わりたい電通グループグローバル再建フェーズ。コスト500億円削減と事業立て直しの渦中

面接での活用例

電通グループの面接で「なぜ電通か」と聞かれたとき:

「有報を拝見し、日本事業の調整後営業利益マージン24.5%という高い収益力に対し、海外APAC地域のマージンが0.9%と改善余地が大きい点に注目しました。中計で掲げる2027年度マージン16-17%の達成には海外事業の立て直しが不可欠であり、そのプロセスに関わりたいと考えています。」

博報堂DYの面接で「博報堂のどこに魅力を感じたか」と聞かれたとき:

「有報で、2024年4月のHakuhodo DY ONE設立に続き、2025年4月にはITコンサル領域への本格参入としてHAKUHODO ITTENIとHAKUHODO BRIDGEを設立された点に注目しました。広告会社から6つの事業領域を持つクリエイティビティ・プラットフォームへの転換という戦略に共感しています。」

有報データの面接活用テクニックでさらに詳しい活用法を解説しています

まとめ

電通グループと博報堂DYは、同じ広告業界でありながら規模・グローバル展開・戦略フェーズが大きく異なります。

観点電通グループ博報堂DYHD
収益規模(GP)1兆2,016億円3,996億円
海外展開GP約60%が海外売上約27%が海外
業績局面減損で最終赤字黒字維持
戦略の核グローバル再建×IGS構造変革×6事業領域
財務安定性自己資本比率19.9%自己資本比率37.2%

就活において重要なのは、どちらの企業が「良い」かではなく、自分のキャリア志向とどちらの戦略フェーズがマッチするかです。

各社の個別分析記事でさらに深掘りしてください。

本記事のデータは各社の有価証券報告書(EDINET)に基づいています。電通グループはIFRS・2024年12月期、博報堂DYは日本基準・2025年3月期のため、会計基準と決算期の違いにより単純比較には限界があります。投資判断を目的としたものではなく、就職活動の参考情報として提供しています。

よくある質問

電通と博報堂DYの最大の違いは何ですか?

有報から読み取れる最大の違いはグローバル展開の規模です。電通グループは売上総利益の約60%が海外(Americas・EMEA・APAC)で、4地域セグメント体制のグローバル企業です。一方、博報堂DYは売上高の約73%が国内で、海外事業はkyuを中心に拡大途上です(各社有報より)。

広告業界の有報で特に見るべき指標は何ですか?

売上総利益(Gross Profit)が最も重要です。広告業界の売上高にはメディア費用のパススルーが含まれるため、売上高での比較は実力を反映しません。電通は売上総利益1.20兆円、博報堂DYは3,996億円が実態ベースの収益力です(各社有報より)。

電通と博報堂DYの年収はどのくらい違いますか?

有報の平均年間給与は電通グループ約1,508万円、博報堂DY約1,092万円ですが、両社とも純粋持株会社であり本社社員数は電通131人・博報堂DY174人と極めて少数です。この数値は広告会社の一般社員の年収を示すものではない点に注意が必要です。

広告業界は今後も成長しますか?

日本の広告費全体は成長していますが、デジタルシフトが急速に進んでいます。博報堂DYの有報では、マスメディア広告が売上の約31%を占める一方、インターネット広告が成長を続けています。電通は中計でオーガニック成長率4%、マージン16-17%を2027年目標に掲げています。

広告業界の面接で有報データをどう活かせますか?

電通なら『海外売上総利益比率60%のグローバル展開と再建戦略』、博報堂DYなら『6事業領域への構造変革とITコンサル参入』など、有報の戦略データで志望理由に定量的な根拠を持たせられます。両社の東京五輪事案への対応状況も把握しておくべきポイントです。

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