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IT/通信 2025年12月期期

楽天グループの将来性|モバイル1000万回線×経済圏の強みとリスク

最終更新: 約12分で読了
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楽天グループの将来性|モバイル1000万回線×経済圏の強みとリスク

「ECの会社」のつもりで入ると面食らう。利益の柱は金融、最大の賭けはモバイル、社内公用語は英語──この3つを知らずに面接に臨むと、志望動機がズレます。あなたが楽天のどの軸でキャリアを張るのか、この記事を押さえれば根拠を持って語れるようになります。

楽天グループ株式会社は、売上高2兆4,966億円・連結従業員約29,400名の日本最大級のインターネットサービス企業です。「楽天市場で買い物をしたことがある」という就活生は多いでしょう。しかし有報を読むと、ECの会社と思われがちな楽天が、実は通信キャリア事業に累計1兆円超を投じ、70以上のサービスを束ねた「唯一無二の経済圏企業」を目指している姿が数字で浮かび上がります。2025年12月期、Non-GAAP営業利益は前年比15倍の1,063億円に急伸。エコシステム全体の収益力がいよいよ形になり始めています。

この会社が賭けているもの──1.楽天モバイル(1,000万回線・EBITDA黒字化)、2.フィンテック(利益1,999億円)、3.楽天エコシステム(70超サービス)

この記事のデータは楽天グループ株式会社(証券コード: 4755)の有価証券報告書(2025年12月期・IFRS)に基づいています。 有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。

IT業界全体の動向と比較すると、他のIT企業がAI・DXに投資を集中させる中で、楽天は自前の通信インフラに賭けるという異色の戦略を取っていることがわかります。

売上収益(2025年12月期) 2兆4,966億円 前期比+9.5%
Non-GAAP営業利益 1,063億円 前年比15倍(7,048→106,277百万円)
フィンテック利益 1,999億円 利益率20.5%・前年比+30.3%

楽天グループのビジネスの実態|何で稼いでいるのか

楽天グループは「インターネットサービス」「フィンテック」「モバイル」の3セグメントで事業を展開しています。

楽天グループの売上構成──インターネットサービス1兆3,697億円(54.9%)、フィンテック9,759億円(39.1%)、モバイル4,828億円(19.3%)

出典: 楽天グループ有価証券報告書(2025年12月期)。利益はNon-GAAPセグメント利益ベース。セグメント間取引があるため構成比合計は100%を超える。

就活ポイント: 売上の柱はインターネットサービス(EC等)ですが、利益の柱はフィンテックです。楽天カード・楽天銀行・楽天証券などの金融サービスが、利益率20.5%という高い収益性でグループ全体を支えています。モバイルは△1,618億円の赤字が続いていますが、前年から471億円改善し、EBITDA黒字化も達成しました。

全社業績の推移|Non-GAAP営業利益が前年比15倍

楽天グループの連結業績推移を見ると、モバイル参入による赤字からの回復軌道が鮮明です。

売上収益IFRS営業利益Non-GAAP営業利益備考
2021年12月期1兆6,818億円△1,947億円モバイル赤字拡大
2022年12月期1兆9,209億円△3,684億円赤字ピーク
2023年12月期2兆0,713億円△2,129億円赤字縮小開始
2024年12月期2兆2,792億円530億円70億円5年ぶりIFRS黒字
2025年12月期2兆4,966億円144億円1,063億円Non-GAAP利益15倍

出典: 楽天グループ有価証券報告書(2025年12月期)

2025年12月期のIFRS営業利益が144億円にとどまったのは、前年のAST SpaceMobile再測定益1,069億円の反動と、ネットスーパー・ロジスティクス・楽天シンフォニーなど計584億円の減損処理を計上したためです。これらの一時要因を除いたNon-GAAP営業利益は1,063億円と、実質的な収益力は大幅に改善しています。

ただし、親会社帰属の当期純損失は△1,779億円と赤字が継続しています。金融事業の特性(銀行の資金調達コスト等)を含む構造的な要因も影響しています。

メルカリの有報分析でも赤字期からの回復事例が見られますが、楽天のモバイル投資は規模が桁違いです。

セグメント情報の詳しい読み方はセグメント情報の読み方で解説しています。

楽天グループは何に賭けているのか|投資と研究開発の方向性

この会社が賭けているもの──1.楽天モバイル(1,000万回線・EBITDA黒字化)、2.フィンテック(利益1,999億円)、3.楽天エコシステム(70超サービス)

賭け1: 楽天モバイル|1,000万回線突破・EBITDA黒字化

楽天モバイルへの投資は、日本のIT企業が行った新規事業投資として最大級の規模です。2025年12月期に2つの大きなマイルストンを達成しました。

指標2024年12月期2025年12月期変化
全契約回線数800万回線超1,000万回線超200万回線増
セグメント損失△2,089億円△1,618億円471億円改善
EBITDA月次黒字化(12月)通期黒字化達成年間での黒字化
売上収益4,407億円4,828億円+9.6%
設備投資930億円2026年計画: 2,000億円強

なぜ楽天はこれほどの投資を行うのか。有報を読むと、モバイルはエコシステム全体の「接着剤」であることが見えてきます。

楽天モバイル契約者は、非契約者と比べて楽天市場での流通総額が約1.5倍高い。モバイル単体の黒字化だけでなく、EC・フィンテック全体の成長エンジンになっている。

ソフトバンクの有報分析と比較すると、ソフトバンクは既存の通信インフラからAI・DXに投資を振り向けているのに対し、楽天はゼロから通信インフラを構築した後発組です。完全仮想化(クラウドネイティブ)ネットワークという最新技術を採用している点が楽天モバイルの独自性です。

ただし、楽天シンフォニーのOpen RAN事業で205億円の減損を計上しており、通信技術の海外展開には課題も見えています。

賭け2: フィンテック|利益1,999億円のグループ最大利益源

フィンテックの急成長が2025年12月期の最大のハイライトです。

フィンテック事業主な指標
セグメント売上9,759億円(前年比19.0%増)
セグメント利益1,999億円(前年比30.3%増)
利益率20.5%(前年の18.7%から改善)
楽天銀行政策金利引き上げで金利収益が大幅拡大
楽天カード会員基盤・ショッピング取扱高の継続拡大

出典: 楽天グループ有価証券報告書(2025年12月期)

楽天銀行は政策金利の引き上げを追い風に金利収益が大幅拡大し、フィンテック全体の利益成長を牽引しました。楽天カードは会員基盤・ショッピング取扱高の継続拡大で増収。利益率はインターネットサービスの6.5%を大きく上回る20.5%です。

賭け3: 楽天エコシステム|70超サービスの経済圏

楽天の本質的な強みは、個々のサービスではなくエコシステム全体にあります。

指標規模
楽天会員大規模な会員基盤
サービス数70超
R&D費219億円(AI・AR/VR/MR・5G/Open RAN関連)

楽天ポイントを軸に、EC・旅行・カード・銀行・証券・モバイルを相互に送客する仕組みが「楽天経済圏」です。この経済圏の深さは、サイバーエージェントの有報分析で見られる広告×メディア型とは全く異なるビジネスモデルです。

R&D費219億円はAI関連技術、ユーザーインタラクション(AR/VR/MR)、移動通信システム関連技術及びIoT技術の3領域に投じられています。

一方、ネットスーパー事業で279億円、ロジスティクス事業で100億円の減損を計上しており、エコシステム拡張の中で「選択と集中」が進んでいます。

設備投資・R&D費の読み方

楽天グループが自ら語るリスクと課題|PRでは絶対に出ない情報

楽天グループの主要リスク──モバイル赤字(△1,618億円・自己資本比率3.4%)、新規事業の減損(計584億円)、通信市場の競争、EC市場の競合

就活ポイント: 自己資本比率3.4%は上場企業としては極めて低い水準です。これはモバイル事業への巨額投資の結果であり、楽天が取っているリスクの大きさを端的に示しています。「安定した大企業」を求める方は、この財務状況を十分に理解した上で判断すべきです。一方で、Non-GAAP営業利益が前年比15倍の1,063億円に急伸しているように、エコシステム全体の収益力は急改善しています。

事業等のリスクの読み方

あなたのキャリアとマッチするか

合う人

  • EC・フィンテック・モバイルなど複数事業を横断して経験を積みたい
  • 1,000万回線の会員データを使ったデータ駆動型の仕事がしたい
  • 大企業でありながらスタートアップ的な挑戦(モバイル事業)を経験したい
  • 英語を日常的に使う環境で働きたい(社内公用語が英語)
  • 金融×テクノロジーの領域に関心がある(フィンテック利益1,999億円)

合わない人

  • 財務的に安定した企業環境を最優先する → ソフトバンクNTTデータ
  • 1つの事業領域で深い専門性を長期間磨きたい → メルカリ(CtoC特化)
  • ゆっくりとした意思決定プロセスを好む → NTT

従業員データ

項目データ(2025年12月期)読み方
従業員数(単体)9,989名前年比104名増
従業員数(連結)29,419名前年比約85名増。安定化フェーズ
平均年齢36.0歳IT企業として標準的
平均勤続年数6.3年前年5.8年から上昇。定着率改善
平均年間給与851万円前年820万円から上昇
女性管理職比率33.5%IT業界で高い水準

出典: 楽天グループ有価証券報告書(2025年12月期)

就活ポイント: 平均勤続年数が5.8年→6.3年に上昇しており、組織の定着率が改善傾向にあります。社内公用語が英語(Englishnization)であること、女性管理職比率33.5%という多様性の高さも特徴です。業界の年収比較は平均年収ランキングで確認できます。

有報データから逆算して今から学ぶべき分野

分野根拠(有報)具体的アクション
データサイエンス・ML楽天エコシステムの大規模会員データが最大の資産Python・SQL・統計学入門。Kaggle等でデータ分析経験を積む
フィンテック・決済の基礎フィンテックセグメントが利益の柱(利益率20.5%・前年比30.3%増)クレジットカードビジネスモデル・銀行業務の基礎理解
英語力(ビジネスレベル)社内公用語英語化・外国籍社員多数在籍TOEIC 800点以上を目標に。英語プレゼン力の強化

面接で使える有報ポイント

志望動機での活用

「御社をECの会社としてではなく、フィンテックが利益の柱で、モバイルが経済圏の接着剤になっている複合プラットフォーム企業として捉えています。EC・金融・通信という3つの軸が相互に送客し合う構造は他社にないもので、私はその中でもフィンテック領域のデータ活用に携わりたいと考えています。モバイルのEBITDA黒字化によってエコシステム全体の収益力が急改善しているタイミングで参画し、データ駆動型の事業成長に貢献したいです。」(2025年12月期有報)

逆質問での活用

「有報でモバイル事業のEBITDA黒字化が達成され、全契約回線数が1,000万を超えたと確認しました。通期セグメント黒字化に向けた最大の課題はネットワーク品質の向上と契約者獲得のどちらですか?」

「フィンテックセグメントの利益が前年比30.3%増の1,999億円と急成長していますが、楽天銀行の金利収益拡大以外に、今後特に成長を見込んでいる金融サービスはどの領域ですか?」

「有報でネットスーパー事業やロジスティクス事業の減損を計上されていましたが、EC物流の楽天最強配送戦略は今後どのように進化しますか?」

同業比較のポイント

比較軸楽天グループメルカリソフトバンク
事業モデルEC×フィンテック×モバイルの経済圏CtoC特化のマーケットプレイス通信インフラ×AI・DX
利益の柱フィンテック(利益率20.5%)国内フリマ事業コンシューマ通信
最大の賭けモバイル(EBITDA黒字化達成)米国展開生成AI法人DX
従業員数(連結)約29,400名約2,200名約49,500名
平均年間給与851万円約1,176万円約916万円

出典: 各社有価証券報告書

楽天の独自性は「エコシステム」にあります。70以上のサービスを束ねた経済圏全体で勝負する戦略は、メルカリのマーケットプレイス特化やソフトバンクの通信×AI戦略とは根本的に異なります。詳しくはIT業界の有報比較で横断分析しています。

AI・DX投資ランキングでは、IT各社の投資方針の違いをさらに詳しく比較しています。

まとめ

項目楽天グループの特徴
財務状況売上2兆4,966億円・Non-GAAP営業利益1,063億円(前年比15倍)(2025年12月期)
稼ぎ頭フィンテック(利益1,999億円・利益率20.5%・前年比30.3%増)
最大の賭け楽天モバイル(1,000万回線突破・EBITDA黒字化達成・セグメント損失△1,618億円)
独自性70超サービスの楽天エコシステム。EC×フィンテック×モバイルの三位一体
最大のリスク自己資本比率3.4%・減損計584億円(ネットスーパー・ロジスティクス・楽天シンフォニー)
注目指標英語公用語・平均勤続6.3年(上昇傾向)・平均年収851万円・女性管理職33.5%

楽天グループは「楽天市場のEC企業」というイメージで片付けてはもったいない企業です。有報を読むと、フィンテックで稼ぎ、モバイルで経済圏の接着剤を作り、Non-GAAP営業利益を前年比15倍に伸ばした──その構造が見えてきます。モバイルEBITDA黒字化を達成し、通期セグメント黒字化が視野に入った今、有報のデータで事業構造を理解した上で、自分のキャリアとのマッチを判断しましょう。

次のアクション: まずは有価証券報告書の読み方完全ガイドで有報の基本を押さえ、IT業界の有報比較で楽天の立ち位置を業界全体の中で確認してみてください。面接準備には楽天グループの面接対策が役立ちます。

本記事のデータは楽天グループ株式会社の有価証券報告書(2025年12月期・EDINET)に基づいています。投資判断を目的としたものではありません。

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よくある質問

楽天グループの有価証券報告書はどこで読めますか?

EDINET(金融庁の電子開示システム)で「E05080」と検索するか、楽天グループ公式IRサイトから無料で閲覧できます。証券コードは4755で、会計基準はIFRSを採用。2025年12月期(第29期)が最新です。2026年3月26日に提出されています。

楽天モバイルの赤字はどのくらいですか?

2025年12月期のモバイルセグメント損失は約1,618億円で、前年の約2,089億円から471億円改善しました。EBITDA(償却前利益)は通期で黒字化を達成し、全契約回線数は1,000万回線を突破しています。ただしセグメント損益はまだ赤字です。(2025年12月期有報)

楽天は何で稼いでいますか?

利益の柱はフィンテック(楽天カード・楽天銀行等)でセグメント利益1,999億円・利益率20.5%です。インターネットサービス(EC等)が売上の55%(1兆3,697億円)を占めますが、利益はフィンテックが圧倒的です。楽天銀行は政策金利引き上げで金利収益が大幅拡大しています。(2025年12月期有報)

楽天の将来性は?今後どうなる?

2025年12月期はNon-GAAP営業利益が1,063億円(前年比15倍)と急改善。モバイルEBITDA黒字化、フィンテック利益30%増が要因です。ただしIFRS営業利益は144億円にとどまり(前年のAST SpaceMobile再測定益の反動)、ネットスーパー・ロジスティクス・楽天シンフォニーで計584億円の減損を計上。自己資本比率は3.4%と依然厳しい財務状況です。(2025年12月期有報)

楽天の面接で有報の知識はどう活かせますか?

数字を並べるより、まず「楽天はECの会社ではなく、フィンテックが利益の柱で、モバイルで経済圏を完成させようとしている複合プラットフォーム企業」という構造理解を自分の言葉で語ることが重要です。深掘りされたときに「フィンテック利益率20.5%」「モバイルEBITDA黒字化」といった数字を根拠として出せると、理解の深さが伝わります。(2025年12月期有報)

楽天は英語が必要ですか?

楽天は2012年に社内公用語を英語化(Englishnization)しており、会議やドキュメントが英語で行われる場面が多いです。有報の従業員データからも外国籍社員が多く在籍していることが読み取れます。新卒でもビジネスレベルの英語力が求められます。

楽天の強みと課題は?

強みは70超のサービスを束ねた楽天エコシステムと、フィンテックの高い収益力(利益1,999億円・利益率20.5%)です。課題はモバイル事業のセグメント赤字△1,618億円と自己資本比率3.4%の財務リスク、ネットスーパー・ロジスティクスの減損など新規事業の収益化です。(2025年12月期有報)

楽天グループとメルカリ・ソフトバンクの違いは?

楽天はEC×フィンテック×モバイルの三位一体エコシステム型、メルカリはCtoC特化のマーケットプレイス×FinTech型、ソフトバンクは通信インフラ×AI・DX型です。事業の幅の広さとエコシステムの相互送客戦略が楽天の最大の特徴です。

楽天の企業研究で見るべきポイントは?

有報のセグメント情報(ECではなくフィンテックが利益の柱である構造)、モバイルEBITDA黒字化と1,000万回線突破のトレンド、Non-GAAP営業利益1,063億円への急改善、従業員データ(平均年収851万円・社内公用語英語)の4つが重要です。(2025年12月期有報)

企業名

楽天グループ

業種

インターネット・フィンテック

証券コード

4755

対象事業年度

2025年12月期

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