NTTを「電話の会社」だと思って面接に臨むと、企業研究の甘さが一目で伝わります。有報を開けば、外部営業収益14兆4,091億円のうち地域通信事業の比率は17.7%に過ぎず、一方でグローバル・ソリューション事業(NTTデータ中心)がセグメント利益+50.8%・利益率10.3%と急成長し、2026年5月には中期経営戦略の名称が「powered by IOWN」から「powered by AIOWN」へと抜本改訂され、2026年7月には決済・銀行・投資・融資・保険まで扱うNTTドコモ・フィナンシャルグループが事業開始する予定である──こうした激しい変化が読み取れます。あなたが「NTTグループのどの事業会社で、3つの賭けのどこに関わりたいか」を語れれば、他の就活生とは明確に差がつきます。
NTT(9432)は、NTTドコモ・NTT東西・NTTデータ・NTTコミュニケーションズ等の事業会社を束ねる連結営業収益14兆4,091億円・連結従業員34.4万人の持株会社グループです。NTTドコモを含む総合ICTが国内最大級のモバイル契約数で稼ぐ「規模型」、ソフトバンクがPayPayやLY Corporationのデジタルエコシステムで稼ぐ「エコシステム型」(他社の事業構造はNTT有報外の各社IRに基づく)と並べると、NTTは持株会社が中期戦略を描き、AIOWN関連の基盤研究を担い、4セグメントの事業会社にキャッシュを循環させる「司令塔型」の持株会社です。就活生が入社するのは持株会社(単体2,606名)ではなく、ほぼすべて事業会社の側になります。

この記事のデータは日本電信電話株式会社の有価証券報告書(2026年3月期)に基づいています。 有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。
出典: 日本電信電話株式会社 有価証券報告書 2026年3月期 主要な経営指標等の推移/セグメント情報/従業員の状況
NTTのビジネスの実態|何で稼いでいるのか
結論を先に示すと、NTTは4セグメント体制で総合ICT事業(NTTドコモ等)が利益の約54%を稼ぎ、グローバル・ソリューション事業(NTTデータ等)が利益+50.8%と急伸してグループの成長を牽引、地域通信事業(NTT東西)が前期の-32.5%から+4.0%へ反発、その他(不動産・エネルギー・研究所)が赤字転落、という構造です。「NTT=電話の会社」という古いイメージとは大きく異なる姿が、2026年3月期のセグメント情報から読み取れます(セグメント情報の読み方ガイドも併読すると理解が深まります)。

| セグメント | 外部営業収益 | 構成比 | セグメント利益 | 利益率 | 前年比(利益) |
|---|---|---|---|---|---|
| 総合ICT事業(NTTドコモ等) | 6兆1,462億円 | 42.7% | 9,421億円 | 15.3% | -7.7% |
| グローバル・ソリューション事業(NTTデータ等) | 4兆7,547億円 | 33.0% | 4,882億円 | 10.3% | +50.8% |
| 地域通信事業(NTT東西) | 2兆5,552億円 | 17.7% | 3,074億円 | 12.0% | +4.0% |
| その他(不動産・エネルギー等) | 9,530億円 | 6.6% | -16億円 | -0.2% | 赤字転落 |
出典: 日本電信電話株式会社 有価証券報告書 2026年3月期 セグメント情報(連結営業利益はセグメント合計1兆7,361億円からセグメント間取引消去-299億円を差し引いた1兆7,062億円)
pie title セグメント別外部売上構成(2026年3月期)
"総合ICT事業" : 6146232
"グローバル・ソリューション事業" : 4754653
"地域通信事業" : 2555241
"その他" : 952995
総合ICT事業の利益シェアは約54%(9,421億円÷セグメント利益合計1兆7,361億円)で全社の主柱ですが、その利益は前年比-7.7%と減益基調にあります。一方、グローバル・ソリューション事業はセグメント利益+50.8%・利益率10.3%と急成長し、前期の+4.6%から一気に加速しました。地域通信事業は前期のメタルIP電話移行コスト増が剥落し利益+4.0%と反発、その他セグメントはIOWN・AIOWN関連研究開発費や減損損失計上等で赤字転落──「牽引するグローバル」「反発する地域」「先行投資に沈むその他」が同時進行する非対称な構造が鮮明です。
ここからは利益シェア上位3つのセグメントを深掘りします。
総合ICT事業|NTTドコモ中核のグループ最大利益源と金融拡張
総合ICT事業は、NTTドコモ・NTTコミュニケーションズ等が中核を担うセグメントで、モバイル通信・スマートライフ・法人事業などを提供しています。セグメント利益9,421億円はグループ最大の利益源ですが、前年比は-7.7%と減益でした。特筆すべきはセグメント資産が11兆3,910億円→26兆1,077億円へ+129%増加した点で、これは2026年7月事業開始予定のNTTドコモ・フィナンシャルグループ立ち上げに向けた金融関連事業の統合・拡張が背景と考えられます。新戦略『powered by AIOWN』では「金融を中心としたパーソナルビジネスでは、2026年7月に事業開始予定の『NTTドコモ・フィナンシャルグループ』を中核に、決済や銀行サービスを起点とした金融顧客基盤の拡大を図る」と明記されています。
グローバル・ソリューション事業|NTTデータ中心の急成長エンジン
グローバル・ソリューション事業はNTTデータグループが中核を担うセグメントで、システムインテグレーション・コンサルティング・データセンター・マネージドサービスを国内外で展開しています。2024年4月から北米・EMEA/中南米・APACの3 Regional Unitsと2 Global Unitsの計5Units体制で本格稼働、当期は本格稼働2年目に入り、外部営業収益+7.4%・セグメント利益+50.8%の急伸を実現しました。利益率は前期7.3%→当期10.3%へ3ポイント改善し、中期目標として掲げていた海外営業利益率10%水準に到達した形です。設備投資は当セグメントだけで6,358億円と、データセンター拡充が引き続き中心。新戦略のバリュー分野では「海外事業ではAIとデータセンターを成長ドライバーとしたフルスタックサービスにより成長を加速」「ITサービス事業ではAIネイティブなビジネス創出とM&A等を通じたケイパビリティの拡張」が明記されています。
地域通信事業|NTT東西のAIOWN転換と自治体DX
地域通信事業はNTT東日本・NTT西日本が中核で、光サービス・法人事業・固定電話等を地域密着で提供しています。セグメント利益は前期のメタルIP電話移行完了(2025年1月)に伴う一過性コスト増が剥落し、前年比+4.0%と反発しました。ただし従来型サービスの減収は構造的トレンドで、新戦略には「地域通信事業では、従来型サービスの減少を見据え、オペレーションの変革と光ビジネス・法人ビジネス・新規事業領域の拡大により、収益基盤の安定を図ります」と明記されています。設備投資は5,266億円(+7.2%)と増加基調にあり、自治体DX・スマートシティといった新領域への転換が進行中です。
5期間の推移を見ると、連結営業収益は12兆1,564億円(4期前)→13兆1,362億円→13兆3,746億円→13兆7,047億円(前期)→14兆4,091億円(当期)と拡大基調、連結営業利益は前期1兆6,496億円→当期1兆7,062億円と+3.4%回復。連結総資産は前期30兆624億円→当期46兆7,212億円と+55.4%大きく増加し、自己資本比率は前期34.0%→当期20.8%へ低下しました。金融事業拡大を含む戦略転換の途上で、貸借対照表の構造も大きく変わりつつあります。
成長・反発・赤字転落の同時進行はトレードオフ。連結34.4万人・連結営業収益14.4兆円という規模が生む安定性の裏側で、利益率は総合ICT 15.3%・地域通信 12.0%・グローバル 10.3%・その他 -0.2%と大きくばらつき、グローバル+50.8%と地域通信+4.0%の反発の一方で、その他セグメントはAIOWN先行投資と減損損失で赤字転落しました。NTTグループは「全体として大きく稼ぐ」会社ですが、内訳は「牽引・反発・先行投資」が同時進行しています。あなたがどのセグメントの事業会社に入るかで、見える景色は5年単位で大きく違ってきます。
では、この4セグメントが次の5年で何に賭けて成長を作っていくのか。続く章で投資の中身を見ていきます。
NTTは何に賭けているのか|投資と研究開発の方向性
設備投資・事業投資・研究開発とは、企業が「未来の何に資金を投じているか」を示す情報です。通信会社の場合は通信ネットワーク・データセンターの設備投資と、IOWN/AIOWN等の研究開発が主軸となります(投資セクションの読み方ガイド)。NTTが2026年5月に公表した新中期経営戦略「New value creation & Sustainability 2030 powered by AIOWN」は、以下3つの賭けとして定量データに現れています。2030年度EBITDA 4兆円・ROIC 5.5%(金融事業除き)という新財務目標が全体の羅針盤です。

| 賭けの領域 | 定量的根拠(2026年3月期) | 期間 | 全社財務インパクト |
|---|---|---|---|
| AIOWN構想(AI×IOWN) | 連結R&D 2,786億円+サービス開発 3,603億円=合計6,389億円/基盤的R&D 1,306億円(+3.7%)/IOWN 3.0 2028年商用サンプル/光量子2030年100万量子ビット目標 | 中長期(新戦略『powered by AIOWN』 2026-2030/IOWN 2030年実現目標) | 「その他」セグメント研究開発費1,500億円級が利益を圧迫(赤字転落の一因)、将来の差別化要因 |
| AI×データセンター×グローバル | 外部売上4兆7,547億円(前年比+7.4%)/セグメント利益4,882億円(+50.8%)/利益率10.3%達成/設備投資6,358億円 | 中長期(2024年4月開始の5Units体制が本格稼働2年目、バリュー分野の主軸) | セグメント利益+50.8%で全社+3.4%の伸びを牽引 |
| NTTドコモ・フィナンシャルグループ | 2026年7月事業開始/総合ICT事業のセグメント資産11.4兆→26.1兆円(+129%)/連結総資産30.1兆→46.7兆円(+55.4%) | 中期(2026年7月開業) | 決済・銀行・投資・融資・保険を扱う金融パーソナルビジネス立ち上げ |
出典: 日本電信電話株式会社 有価証券報告書 2026年3月期 セグメント情報・設備投資等の概要・研究開発活動・経営方針
賭け1: AIOWN構想で通信の物理層とAIインフラを革新する
AIOWN構想は、従来のIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)にAIを組み合わせた次世代インフラです。2026年5月に中期経営戦略の名称が「powered by IOWN」から「powered by AIOWN」へ改訂され、経営の中核に位置づけられ続けています。新戦略は「GPU・ネットワーク・電力等のリソースを最適化したAIネイティブな次世代インフラ『AIOWN』への転換を進めます」と明記しました。
数字で見ると、連結研究開発費は2,786億円、サービス開発投資が3,603億円、合計6,389億円という規模です。このうち基盤的研究開発費だけで1,306億円(前期比+3.7%)が計上されており、長期視点の基礎研究に充てられる原資です。具体的な研究テーマは、IOWN 3.0(2028年商用サンプル提供開始)に向けた光電融合デバイス「PEC-3」の開発、光量子コンピュータ(2025年11月にOptQC株式会社と連携協定を締結し、2027年に1万量子ビット・2030年に100万量子ビット目標)、宇宙ビジネスブランド「NTT C89」(1,000億円規模の事業成長を早期に目指す)、水素配管技術など多岐にわたります。
研究志望での行動 → AIOWN・IOWN 3.0・光電融合デバイス・光量子コンピュータといったキーワードを技術記事レベルで理解しておきましょう。通信業界他社のR&D投資額は各社の公開IR資料を併読することで規模感が把握でき、R&D費ランキングも参考になります。
賭け2: AI×データセンター×グローバル・ソリューション(NTTデータ中心のバリュー分野主軸)
新戦略のバリュー分野の主軸に位置づけられているのがグローバル・ソリューション事業です。NTTデータグループが中核となり、2024年4月から北米・EMEA/中南米・APACの3 Regional Unitsと2 Global Unitsの計5Units体制でグローバルSI・コンサルティング・データセンター・マネージドサービスを展開しています。2026年3月期はセグメント利益+50.8%・利益率10.3%と急成長し、5Units体制の本格稼働2年目で運営効率と収益力が一気に高まりました。
新戦略には「海外事業では、AIとデータセンターを成長ドライバーとしたフルスタックサービスにより成長を加速していきます。具体的には、ITサービス事業ではAIネイティブなビジネス創出とM&A等を通じたケイパビリティの拡張を進め、データセンター事業では旺盛な需要を踏まえ、第三者資本を活用しつつ成長投資を継続します」と明記されており、AIとデータセンターがバリュー分野の主戦場です。
グローバル志望での行動 → グローバル・ソリューション事業の詳細はNTTデータの有報分析で深掘りしています。「NTTの有報でグループ全体を俯瞰→NTTデータの有報で事業の実態を深掘り」の2段階の読み方が効果的です。
賭け3: NTTドコモ・フィナンシャルグループで金融パーソナルビジネスへ踏み出す
3つ目の賭けは、2026年7月に事業開始が予定されているNTTドコモ・フィナンシャルグループです。新戦略のバリュー分野には「金融を中心としたパーソナルビジネスでは、2026年7月に事業開始予定の『NTTドコモ・フィナンシャルグループ』を中核に、決済や銀行サービスを起点とした金融顧客基盤の拡大を図るとともに、投資・融資・保険サービスの利用促進により収益機会の拡大をめざします」と明記されています。
この動きは貸借対照表にも表れています。総合ICT事業のセグメント資産は前期の11兆3,910億円から当期26兆1,077億円へ+129%増加し、連結総資産も30兆624億円→46兆7,212億円へ+55.4%増加、自己資本比率は34.0%→20.8%へ低下しました。金融事業を独立管理するため、新中期財務目標「ROIC 5.5%(金融事業除き)」も「金融事業」を明示的に分離する体系となっています。
金融×通信志向での行動 → 決済・銀行・投資・融資・保険というフルラインの金融ビジネスに関わりたい人にとって、ドコモ・フィナンシャルグループは新たなキャリアの舞台です。通信3社の有報データ比較で、KDDI・ソフトバンクの金融ビジネス展開状況と並べて確認するとNTTグループの位置づけがより立体的に見えます。
ただし、これらの賭けには裏側のリスクもあります。次章ではNTT自身が有報で開示しているリスクを見ていきます。
NTTが自ら語るリスクと課題|PRでは絶対に出ない情報
事業等のリスクとは、企業自身が「経営上の脅威」として認識している項目を有報に開示するセクションです。NTTが開示している多数のリスクの中から、就活生のキャリア選択に直結する3つを抽出します。

リスク1: AIOWNロードマップ遅延・AI事業拡大の不発リスク
NTTの有報は「AIの急速な進化に対して社内実装に向けた体制整備の遅れ、導入に係るコスト負担の増加、市場やニーズの急速な変化に対して、モデル開発の遅れ、エコシステム形成に向けたパートナー等との連携の遅れ、法規制や社会的受容性への対応の遅れ等により、当該ビジネスが想定どおりに拡大しない場合には、競争力の低下やサービス品質維持に伴うコスト増、成長機会の逸失を招き、結果としてNTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります」と明記しています。加えて「IOWNについては、そのロードマップが計画どおりに進展しないことや、市場の競合他社における技術開発・ビジネス展開が加速することにより、当社の技術革新によるビジネスが拡大しない」ことも同時に記載しました。研究開発・サービス開発合計6,389億円という巨額投資の回収見通しは不確実で、AIOWN構想は2030年実現目標の超長期プロジェクトです。
AIOWN/AI事業が計画通りに進まなくても、既存の通信インフラ事業は安定しているため会社が傾くリスクは低いと読めます。ただし、「AIOWNの成果が出るまでは既存事業の運用が中心になる」というキャリア面での影響が大きい点は認識すべきです。AIやAIOWNに関わりたいと考えて入社しても、商用化遅延で従来業務が中心になる可能性があります。
リスク2: NTT法改正・政府株35.83%保有・株式売却議論
有報は「政府は現在当社の自己株式を除き発行済株式の35.83%(議決権比率35.83%)を保有しています」「2023年8月以降、総務省情報通信審議会において、『日本電信電話株式会社等に関する法律』に関する議論が行われ、2025年5月に公布されたNTT法の改正法の附則には、引き続き、NTT法の改廃を含め検討を行い、必要な措置を講じる旨が規定されています」「将来的に、仮にNTT法が廃止され、NTT法第4条に規定される政府株式保有義務(当社株式の三分の一以上の保有義務)も同時に効力を失った場合、政府が当社株式を売却する可能性も想定されます」と明記しています。自由民主党政務調査会が2023年12月に「仮に株式を売却する場合には、市場に与える影響を勘案した手法を選択すべき」と提言しており、市場影響を最小化する対応が求められている構図です。
就活生にとっては、NTT東西の業務範囲拡大はキャリアの選択肢を広げる方向に作用する可能性があります。一方、政府株売却が実現すれば経営の自由度が高まる反面、「半官半民」の安定性が変化する可能性もあります。NTT東西・持株会社を志望する就活生は特にこの動向を注視すべきです。
リスク3: 金融ビジネスの規制対応・専門人材確保リスク
有報は「NTTグループが、金融ビジネスの事業展開を一層推し進めるにあたり、政府等が行う規制や金融ビジネス特有のリスク等に対し必要な対応が行えず、当局による業務の停止等が発生し、社会的な批判、お客さまからの信頼の喪失等により事業成長に影響を与える可能性があります」「このようなリスクを踏まえ、NTTグループでは、規制対応や金融ビジネス特有のリスク等に適した管理体制構築や、金融ビジネスの専門人材の確保・育成に努めています」と明記しました。2026年7月事業開始予定のNTTドコモ・フィナンシャルグループを中核に、決済・銀行・投資・融資・保険まで扱う金融パーソナルビジネスに大きく踏み出すため、規制対応や金融専門人材の確保・育成が明示的な経営課題として掲げられています。
リスクの活用 → リスクを「ネガティブ情報」として避けるのではなく、面接で「なぜそのリスクを受け入れた上で志望するのか」を語れる材料に変えてください。有報のリスク欄の読み方ガイドで、リスク開示の構造を理解しておくと、面接での返答に厚みが出ます。
ここまでの内容を踏まえて、NTTグループがあなたのキャリアにマッチするかを次章で確認します。
あなたのキャリアとマッチするか
本章では、ここまで見てきたNTTの戦略・投資・リスクをあなた自身のキャリア志向と照らし合わせ、噛み合うかを判断します。NTTグループは「どの事業会社を選ぶか」でキャリアの景色が大きく変わるため、まず志向別にどの情報を見るべきかを整理します。
| あなたの志向 | 該当するNTTの特徴 | 詳しく見る |
|---|---|---|
| 最先端基礎研究志向(光・量子・6G・宇宙) | AIOWN構想・基盤的研究開発費1,306億円・光量子2030年100万量子ビット目標 | → 本記事の賭け1 |
| グローバルIT・SI・AI・DC志向 | グローバル・ソリューション利益+50.8%・利益率10.3%・5Units体制 | → 本記事の賭け2 |
| 金融×通信志向 | NTTドコモ・フィナンシャルグループ2026年7月事業開始・総合ICT資産+129%増 | → 本記事の賭け3 |
| 地方創生・公共DX志向 | NTT東西の自治体DX・地域通信+4.0%反発・全国拠点 | → 本記事のSegment 03 |
合いそうな人
- 社会インフラを支える使命感を持ちつつ、AI・グローバル・金融の成長領域にも関わりたい人
- 最先端の基礎研究に関わりたい理系人材(光電融合・量子・6G・宇宙)
- 大企業の安定基盤の中でAI・DX・SI・金融ITのスキルを磨きたい人
- 金融×通信の新事業に関わりたい人(NTTドコモ・フィナンシャルグループ)
- 地方創生・公共DXに関心がある人(NTT東西配属)
合わないかもしれない人
- スピード感のあるスタートアップ的な環境を求める人(連結34.4万人・多階層の意思決定)
- 入社直後からグローバルに活躍したい人(NTTデータ以外を志望する場合)→ KDDIの有報分析
- 通信・IT・金融以外の業界で専門性を磨きたい人(メーカー・商社等)
- 純粋な実力主義評価を強く求める人(34.4万人規模で人事制度変革には時間がかかる)
従業員データ
NTTの従業員データも判断材料になります。連結従業員344,196人のうち持株会社単体は2,606人と、事業会社・海外子会社の比重が圧倒的です。持株会社の平均年齢41.4歳、平均勤続年数15.6年、平均年間給与10,562,434円(約1,056万円)は研究所機能を含む2,606名の数値であり、新卒の多くが入社する事業会社(NTTドコモ・NTT東西・NTTデータ等)はそれぞれ別途有報を開示しています。
持株会社の平均年収1,056万円は『NTTの年収』ではない。この数値はAIOWN等の研究所機能を含む2,606名の数値であり、新卒が実際に入社するNTTドコモ・NTT東西・NTTデータ等の事業会社の年収とは別物です。持株会社の高水準を「NTTの年収」と思い込んで入社すると、配属先での給与水準とのギャップで早期に消耗するリスクがあります。一方で、持株会社の平均勤続15.6年・平均年齢41.4歳は長期就業の傾向を示し、AIOWNなど超長期プロジェクトを担う組織文化として整合的です。「どの事業会社の有報を読むか」を決めて確認することが、入社後の納得感を作る前提条件です。
グループ内の選び分け視点
| 事業会社 | 主な事業 | 成長フェーズ | グローバル度 | 注目点 |
|---|---|---|---|---|
| NTTドコモ | モバイル通信×スマートライフ×金融パーソナル | 成熟・利益率15.3%だが減益 | 低 | 2026年7月ドコモ・フィナンシャルグループ開業 |
| NTT東日本・NTT西日本 | 地域密着ICT・光サービス・法人 | 反発・利益+4.0% | なし | 自治体DX・NTT法改正で事業範囲変化 |
| NTTデータ | グローバルSI・AI・データセンター | 急成長・利益+50.8%・利益率10.3% | 高 | 5Units体制本格稼働2年目・海外キャリア最大 |
| NTTアーバンソリューションズ | 都市開発・スマートシティ | その他セグメントは赤字転落 | 低 | 通信とは異なるキャリアパス |
| NTTアノードエナジー | 再エネ×ICT | その他セグメントは赤字転落 | 低 | 環境分野のキャリアパス |
出典: 日本電信電話株式会社 有価証券報告書 2026年3月期 セグメント情報・従業員の状況をもとに整理
今から学ぶべき分野
有報が示す投資方針から、NTTグループで活躍するために今から学ぶべきことを整理しました。
| 投資方針 | 今から学ぶべきこと | 具体的なアクション |
|---|---|---|
| AIOWN・基盤研究 | 光技術・量子コンピューティング・6G・AI基礎の概念理解 | 「光電融合デバイス」「光量子もつれ」「AIネイティブインフラ」を技術記事レベルで把握。NTT R&Dフォーラムの公開資料を1本読む |
| グローバル・ソリューション拡大 | クラウド・SI・AI・コンサルティングの基礎 | AWS Cloud Practitioner / Azure Fundamentals取得。5Units体制(北米・EMEA/中南米・APAC+2 Global Units)の運営構造を有報で理解 |
| NTTドコモ・フィナンシャルグループ | 決済・銀行・投資・保険の金融基礎と規制対応 | 金融検定・銀行業務検定などの基礎、決済ビジネスの構造を1冊読む |
| NTTグループ事業構造の理解 | 持株会社と事業会社の違い・4セグメントの特徴 | セグメント情報の読み方ガイドを実践し、4セグメントの利益・成長率を1分で説明できるようにする |
最後に、ここまでの分析を面接で実際に語れる形に落とし込みます。
面接で使える有報ポイント
ここまでの分析を面接の場で実際に使えるフレーズに変換します。「有報を読みました」と伝えるだけでも企業研究の深さは伝わります。さらに、具体的な数値とストーリーを結びつけることで面接官の印象に残るレベルになります。NTTの面接では「NTTに入りたい」ではなく「なぜその事業会社なのか」を有報のセグメントデータに基づいて語ることが最大のポイントです。
NTTグループの面接── 「なぜドコモ・NTTデータではなく、NTT持株会社の戦略から語るのか」と聞かれたとき
持株会社の有報を拝見し、新中期経営戦略『powered by AIOWN』が経営の中核で、AIOWN・グローバルAI×DC・金融パーソナルの3本柱で成長する設計だと理解しました。研究開発・サービス開発合計6,389億円がその本気度を裏付けています。私が志望するNTTデータの5Units体制もこの戦略の一部として位置づけて初めて意味が見えたため、持株会社→NTTデータの順で企業研究を進めました。
NTTグループの面接── 「NTTグループが今後どこに賭けているか」と聞かれたとき
有報を拝見し、NTTグループは3つの賭けで設計されていると読みました。1つ目はAIOWN構想でIOWN 3.0の2028年商用サンプルが目標です。2つ目はグローバル・ソリューション事業で、セグメント利益+50.8%・利益率10.3%達成という最強の成長エンジンです。3つ目は2026年7月事業開始予定のドコモ・フィナンシャルグループで、金融パーソナル拡張がセグメント資産+129%増の背景です。
面接で伝えるべき3つの軸
- 志望分野とNTTのセグメント実績を1対1で結びつける。AIOWN/グローバルAI×DC/ドコモ・フィナンシャルグループのどの軸を選んだかを、有報の数値(6,389億円・+50.8%・+55.4%資産増)で裏付けて語る
- 「powered by AIOWN」を2030年度EBITDA 4兆円・ROIC 5.5%で裏付ける。抽象的なスローガンではなく新中期財務目標と対応させると説得力が出る
- その他セグメント赤字転落・総合ICT減益にも触れる。強みだけでなく先行投資と成熟事業の縮小を同時に語ることで、PRに依存しない判断ができる姿勢を示す
逆質問の例
- 「IOWN 3.0の2028年商用サンプル提供開始と、AI×IOWN=AIOWNへの転換が明記されていました。AIOWN商用化後にどのようなインパクトをグループの事業にもたらすとお考えですか。新卒社員がAIOWN関連プロジェクトに関わる機会はありますか」
- 「グローバル・ソリューション事業の利益率が前期7.3%から当期10.3%へ3ポイント改善しました。5Units体制での統合運営の成果と、次の利益率向上の打ち手について教えていただけますか」
- 「2026年7月事業開始予定のNTTドコモ・フィナンシャルグループでは、決済・銀行・投資・融資・保険まで扱う金融ビジネスに大きく踏み出されます。金融ビジネスの規制対応や専門人材確保が課題として明記されていますが、新卒社員がこの立ち上げフェーズに関与する道はありますか」
避けるべきこと: 「年収が高い」「公共インフラだから安定している」など、有報の数値や戦略を引かない志望理由です。有報の本質は企業の戦略とリスクの開示であり、就活生が読むべきはその会社が何に賭けているかです。
面接での有報活用法の詳細は有報を面接で活かす方法、ESで使える具体的なフレーズは有報データをESに落とし込む技術もあわせてご覧ください。
まとめ
この記事のポイント3選
- NTTは4セグメント体制で、総合ICT 15.3%・地域通信 12.0%・グローバル 10.3%・その他 -0.2%と利益率が大きくばらつき、グローバル+50.8%と地域通信+4.0%の反発の一方で、その他セグメントはAIOWN先行投資と減損損失で赤字転落した非対称な構造。「電話の会社」の実態は外部営業収益17.7%の地域通信のみで、グループの主力はモバイル中心の総合ICTと急成長のグローバル・ソリューション事業に移っている
- 2026年5月に公表された新中期経営戦略『powered by AIOWN』は、旧「powered by IOWN」を「AI×IOWN=AIOWN」へ抜本改訂し、2030年度EBITDA 4兆円・ROIC 5.5%(金融事業除き)が新財務目標。研究開発・サービス開発合計6,389億円・基盤的研究開発費1,306億円(+3.7%)と、2026年7月事業開始のNTTドコモ・フィナンシャルグループが2つの実行装置
- 強みの裏側には3つのリスク──AIOWNロードマップ遅延/NTT法改正・政府株35.83%保有・株式売却議論/金融ビジネスの規制対応と専門人材確保。「NTTに入りたい」ではなく「なぜその事業会社なのか」を、4セグメントと3つの賭けの数字で語れることが面接での差別化につながる
次のアクション →
- 面接対策を一気に深めたい方は → NTTの面接対策記事
- グローバル・ソリューション事業を深掘りしたい方は → NTTデータの有報分析・KDDIの有報分析
- 通信業界全体を俯瞰したい方は → 通信3社の有報データ比較
本記事は有価証券報告書(2026年3月期)に基づく企業分析であり、投資判断を目的としたものではありません。就活におけるキャリアマッチの判断材料としてご活用ください。