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IT/通信 2025年3月期期

NTTの将来性|IOWN×グローバルITの強みとリスク

最終更新: 約25分で読了
#NTT #日本電信電話 #有価証券報告書 #就活 #企業分析 #IOWN #通信業界 #NTTグループ
NTTの将来性|IOWN×グローバルITの強みとリスク

NTTを「電話の会社」だと思って面接に臨むと、企業研究の甘さが一目で伝わります。有報を開けば、外部営業収益13兆7,047億円のうち地域通信事業の比率は17.9%に過ぎず、しかもそのセグメント利益は前年比-32.5%と急減、一方でグローバル・ソリューション事業(NTTデータ中心)はNTTグループ唯一の増収増益(外部売上+6.0%・利益+4.6%)であることが読み取れます。あなたが「NTTグループのどの事業会社で、何に賭ける戦略のどの部分に関わりたいか」を語れれば、他の就活生とは明確に差がつきます。

NTT(9432)は、NTTドコモ・NTT東西・NTTデータ・NTTコミュニケーションズ等の事業会社を束ねる連結営業収益13兆7,047億円・連結従業員34.1万人の持株会社グループです。NTTドコモを含む総合ICTが国内最大級のモバイル契約数で稼ぐ「規模型」、ソフトバンクがPayPayやLY Corporationのデジタルエコシステムで稼ぐ「エコシステム型」(他社の事業構造はNTT有報外の各社IRに基づく)と並べると、NTTは持株会社が中期戦略を描き、IOWN関連の基盤研究を担い、4セグメントの事業会社にキャッシュを循環させる「司令塔型」のグループです。就活生が入社するのは持株会社(単体2,554名)ではなく、ほぼすべて事業会社の側になります。

この会社が賭けているもの──1. IOWN構想(研究開発・サービス開発合計5,076億円・電力効率8倍目標)/2. グローバル・ソリューション事業の拡大(外部売上+6.0%・セグメント利益+4.6%)/3. データセンター×グリーンソリューション(その他セグメント+8.7%・2040年カーボンニュートラル目標)

この記事のデータは日本電信電話株式会社の有価証券報告書(2025年3月期)に基づいています。 有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。

連結営業収益(2025年3月期) 13兆7,047億円 前年比+2.5%・海外比率21.6%
研究開発+サービス開発合計 5,076億円 うち基盤的研究開発費1,259億円
連結従業員数 341,321人 うち持株会社単体は2,554人

出典: 日本電信電話株式会社 有価証券報告書 2025年3月期 主要な経営指標等の推移/研究開発活動/従業員の状況

NTTのビジネスの実態|何で稼いでいるのか

結論を先に示すと、NTTは4セグメント体制で総合ICT事業(NTTドコモ等)が利益の約60%を稼ぎ、グローバル・ソリューション事業(NTTデータ等)が唯一の増収増益で成長を牽引し、地域通信事業(NTT東西)が構造的縮小、その他(不動産・エネルギー・研究所)が新領域として育成中、という構造です。「NTT=電話の会社」という古いイメージとは大きく異なる姿が、2025年3月期のセグメント情報から読み取れます(セグメント情報の読み方ガイドも併読すると理解が深まります)。

2025年3月期 NTTのセグメント別利益構成(総合ICT/グローバル・ソリューション/地域通信/その他)

セグメント外部営業収益構成比セグメント利益利益率前年比(利益)
総合ICT事業(NTTドコモ等)5兆9,078億円43.1%1兆205億円16.4%-10.8%
グローバル・ソリューション事業(NTTデータ等)4兆4,260億円32.3%3,239億円7.0%+4.6%
地域通信事業(NTT東西)2兆4,534億円17.9%2,955億円9.5%-32.5%
その他(不動産・エネルギー等)9,175億円6.7%558億円3.2%-6.7%

出典: 日本電信電話株式会社 有価証券報告書 2025年3月期 セグメント情報

pie title セグメント別利益構成(2025年3月期)
    "総合ICT事業" : 10205
    "グローバル・ソリューション事業" : 3239
    "地域通信事業" : 2955
    "その他" : 558

総合ICT事業の利益シェアは約60%(1兆205億円÷セグメント利益合計1兆6,956億円)で全社の主柱ですが、その利益は前年比-10.8%と減益基調にあります。一方、グローバル・ソリューション事業はNTTグループ唯一の増収増益セグメント(外部売上+6.0%・利益+4.6%)で、4セグメントの中で売上構成比32.3%・利益率7.0%を握る成長エンジンです。地域通信事業の利益が-32.5%と急減した一方で、その他セグメントの外部売上は+8.7%と4セグメント中最高の伸び率──「縮小する固定通信」と「育つ不動産・エネルギー・研究所」が同居する非対称な構造が鮮明です。

ここからは利益シェア上位3つのセグメントを深掘りします。

Segment 01 / 総合ICT事業 外部売上5兆9,078億円・利益1兆205億円(前年比-10.8%)/利益率16.4%

総合ICT事業|NTTドコモ中核のグループ最大利益源

総合ICT事業は、NTTドコモ・NTTコミュニケーションズ等が中核を担うセグメントで、固定音声・移動音声・IP系・パケット通信・通信端末機器販売・SI等を提供しています。セグメント利益1兆205億円はグループ最大の利益源で全社セグメント利益の約60%を占めますが、前年比は-10.8%と減益でした。NTTドコモのモバイルARPU低下と競争激化が主因です。一方で経営方針には「金融・ヘルスケアなどの分野でサービスの拡充・高度化」「データ・ドリブンなアプローチからのパーソナライズ」と明記されており、コンシューマ通信の縮小をスマートライフ・法人ソリューションでカバーする方針が読み取れます。

Segment 02 / グローバル・ソリューション事業 外部売上4兆4,260億円(前年比+6.0%)・利益3,239億円(+4.6%)/4セグメント中唯一の増収増益

グローバル・ソリューション事業|NTTデータ中心の唯一の増収増益エンジン

グローバル・ソリューション事業はNTTデータグループが中核を担うセグメントで、システムインテグレーション・コンサルティング・データセンター・マネージドサービスを国内外で展開しています。2024年4月より北米・EMEA/中南米・APACの3 Regional Unitsと2 Global Unitsの計5Units体制で本格稼働しました。外部営業収益+6.0%・セグメント利益+4.6%でNTTグループ唯一の増収増益セグメントです。設備投資は当セグメントだけで6,757億円(前年比+2.8%)と最大級で、データセンター拡充に資金が集中しています。利益率7.0%はSI業界の構造的課題(労働集約型)を反映しており、中期目標として海外営業利益率10%(2025年度・NTTデータグループ連結)を掲げています。

Segment 03 / 地域通信事業 外部売上2兆4,534億円・利益2,955億円(前年比-32.5%)/利益率9.5%

地域通信事業|NTT東西の構造的縮小と自治体DXへの転換

地域通信事業はNTT東日本・NTT西日本が中核で、固定音声・IP系・パケット通信・通信端末機器販売・SI等を地域密着で提供しています。セグメント利益は前年比-32.5%と大幅減少しました。メタルIP電話への移行(2025年1月完了)に伴うコスト増が主因ですが、固定音声関連サービスの減収は構造的トレンドです。フレッツ光もコラボ光への卸提供が主力で、自社ブランドでの直販力は限定的です。従業員6.5万人を抱えながら利益率は9.5%にまで低下しており、自治体DX・スマートシティといった新領域への転換が進行中ですが、固定通信の縮小は不可逆的なトレンドです。

5期間の推移を見ると、連結営業収益は2021年3月期の11兆9,440億円から2025年3月期の13兆7,047億円へと約14.7%伸び、当期純利益は9,162億円から1兆16億円に推移しました。ただし営業利益(連結)は2024年3月期の1兆9,229億円から2025年3月期は1兆6,496億円へ前年比-14.2%と縮小しています。「収益は伸びるが利益は縮む」という構図のなかで、グローバル・ソリューション事業とその他セグメントの育成が次の利益源を作る位置づけになっています。

規模の安定と利益率分散はトレードオフ。連結34.1万人・連結営業収益13兆7,047億円という規模が生む安定性の裏側で、利益率は総合ICT 16.4%・地域通信 9.5%・グローバル 7.0%・その他 3.2%と大きくばらつき、地域通信の利益は前年比-32.5%と急減しています。NTTグループは「全体として大きく稼ぐ」会社ですが、内訳は「成熟・縮小・成長」が同時進行しています。あなたがどのセグメントの事業会社に入るかで、見える景色は5年単位で大きく違ってきます。

では、この4セグメントが次の5年で何に賭けて成長を作っていくのか。続く章で投資の中身を見ていきます。

NTTは何に賭けているのか|投資と研究開発の方向性

設備投資・事業投資・研究開発とは、企業が「未来の何に資金を投じているか」を示す情報です。通信会社の場合は通信ネットワーク・データセンターの設備投資と、IOWN等の研究開発が主軸となります(投資セクションの読み方ガイド)。NTTの中期経営戦略「New value creation & Sustainability 2027 powered by IOWN」は、以下3つの賭けとして定量データに現れています。

この会社が賭けているもの──1. IOWN構想(研究開発・サービス開発合計5,076億円・電力効率8倍目標)/2. グローバル・ソリューション事業の拡大(外部売上+6.0%・セグメント利益+4.6%)/3. データセンター×グリーンソリューション(その他セグメント+8.7%・2040年カーボンニュートラル目標)

賭けの領域定量的根拠(2025年3月期)期間全社財務インパクト
IOWN構想連結R&D 2,687億円+サービス開発 2,389億円=合計5,076億円/基盤的研究開発費 1,259億円/IOWN光コンピューティング電力効率8倍目標中長期(IOWN 2030年実現目標/IOWN 2.0 2026年商用化準備中)「その他」セグメント研究開発費1,456億円が利益を圧迫する一方、将来のネットワーク差別化要因
グローバル・ソリューション事業外部売上4兆4,260億円(前年比+6.0%)/セグメント利益3,239億円(+4.6%)/設備投資6,757億円中長期(2024年4月より5Units体制で本格稼働)唯一の増収増益で連結営業利益-14.2%の縮小を緩和
データセンター×グリーン「その他」外部売上9,175億円(前年比+8.7%)/2040年カーボンニュートラル目標中長期(IOWN技術によるDC高度化)DC需要拡大局面で「その他」セグメント外部売上+8.7%(4セグ最高)

出典: 日本電信電話株式会社 有価証券報告書 2025年3月期 セグメント情報・設備投資等の概要・研究開発活動・経営方針

Betting 01 / IOWN構想 研究開発・サービス開発合計5,076億円/基盤的研究開発費1,259億円/電力効率8倍目標

賭け1: IOWN構想で通信の物理層を革新する

IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想は、光電融合技術を核に通信インフラを根本から刷新するプロジェクトです。中期経営戦略の名称に「powered by IOWN」と冠するほど経営の中核に位置づけられています。

数字で見ると、連結研究開発費は2,687億円、サービス開発投資が2,389億円、合計5,076億円という規模です。このうち基盤的研究開発費だけで1,259億円(前期比+1.9%)が計上されており、これは長期視点の基礎研究に充てられる原資です。具体的な研究テーマは、ボード間光接続で電力効率を従来比8倍とするIOWN光コンピューティング、マルチコア光ファイバで既存比10倍超大容量化する次世代光伝送技術、東京大学と共同で従来1,000倍以上の速度に成功した光量子もつれ生成、6G、AIコンステレーションなど多岐にわたります。2025年大阪・関西万博ではIOWN APNを主要施設間に提供し、2026年のIOWN 2.0商用化に向けた準備が進められています。

研究志望での行動 → IOWN構想・光電融合デバイス・マルチコア光ファイバ・光量子もつれといったキーワードを技術記事レベルで理解しておきましょう。通信業界他社のR&D投資額は各社の公開IR資料を併読することで規模感が把握でき、R&D費ランキングも参考になります。

Betting 02 / グローバル・ソリューション事業 外部売上4兆4,260億円(+6.0%)/利益3,239億円(+4.6%)/設備投資6,757億円

賭け2: グローバル・ソリューション事業の拡大(NTTデータ中心)

グローバル・ソリューション事業はNTTグループの成長エンジンです。NTTデータグループが中核となり、2024年4月より北米・EMEA/中南米・APACの3 Regional Unitsと2 Global Unitsの計5Units体制でグローバルSI・コンサルティング・データセンター・マネージドサービスを展開しています。2025年3月期はNTTグループ唯一の増収増益セグメントとして外部売上+6.0%・セグメント利益+4.6%を実現しました。

設備投資は6,757億円(前年比+2.8%)でセグメント最大級の規模です。データセンター拡充が中心で、世界的なAI需要拡大に伴うDC需要を取り込む動きと連動しています。中期目標として「海外営業利益率10%(2025年度・NTTデータグループ連結)」を掲げており、買収した海外拠点の利益率改善が次の課題です。

グローバル志望での行動 → グローバル・ソリューション事業の詳細はNTTデータの有報分析で深掘りしています。「NTTの有報でグループ全体を俯瞰→NTTデータの有報で事業の実態を深掘り」の2段階の読み方が効果的です。

Betting 03 / データセンター×グリーン 「その他」外部売上+8.7%/2040年カーボンニュートラル目標/IOWN技術によるDC高度化

賭け3: データセンター×グリーンソリューション

3つ目の賭けはデータセンター事業の拡張とIOWN技術の融合、そして再エネ×ICTのグリーンソリューションです。経営方針には「NTTグループのデータセンター基盤をさらに拡張するとともに、IOWN技術の導入により高度化を推進」「グリーンエネルギーとICTを組み合わせたグリーンソリューションの推進、産業間での廃棄物再利用を促進する循環型ビジネスの創造」が明記されています。

「その他」セグメントの外部営業収益は前年比+8.7%と4セグメント中最高の伸び率を示しました。NTTアノードエナジーの再エネ・電力事業、NTTアーバンソリューションズの都市開発・スマートシティ等が含まれます。連結設備投資は2兆874億円(前年比+1.2%)規模で、グループの基幹インフラ更新と同時にこの新領域へも資金が振り向けられる構造です。2040年度カーボンニュートラル目標と組み合わせることで、AI需要拡大局面で「電力を食わないDC」というIOWNならではの差別化要因が試されます。

環境×ICT志向での行動 → NTTアノードエナジーの再エネ事業、NTTアーバンソリューションズの都市開発・スマートシティ事業を、それぞれの公式IRで確認しましょう。設備投資ランキングで他業界との投資規模も把握しておくと、面接で具体性が出ます。

ただし、これらの賭けには裏側のリスクもあります。次章ではNTT自身が有報で開示しているリスクを見ていきます。

NTTが自ら語るリスクと課題|PRでは絶対に出ない情報

事業等のリスクとは、企業自身が「経営上の脅威」として認識している項目を有報に開示するセクションです。NTTが開示している多数のリスクの中から、就活生のキャリア選択に直結する3つを抽出します。

NTTが有報で開示する3つのリスク──IOWN構想ロードマップ遅延/NTT法改正による規制環境変化/地域通信事業の構造的縮小

Risk 01 / IOWN構想の遅延 研究開発・サービス開発合計5,076億円/IOWN 2030年実現目標/2026年商用化準備

リスク1: IOWN構想のロードマップ遅延・商用化リスク

NTTの有報は「IOWNについては、そのロードマップが計画どおりに進展しないことにより、技術革新によるビジネスが拡大しないことや、IOWNを軸としたエネルギー効率化が図られないことで、NTTグループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります」と自ら明記しています。研究開発・サービス開発合計5,076億円という巨額投資の回収見通しは不確実で、IOWN構想は2030年実現目標の超長期プロジェクトです。

IOWNが計画通りに進まなくても、既存の通信インフラ事業は安定しているため会社が傾くリスクは低いと読めます。ただし、「IOWNの成果が出るまでは国内通信の守りの仕事が中心になる」というキャリア面での影響が大きい点は認識すべきです。IOWNに関わりたいと考えて入社しても、商用化遅延で既存事業の運用が中心になる可能性があります。

Risk 02 / NTT法改正 2025年5月公布/政府保有株式35.28%(保有義務1/3以上)/東西業務範囲規制見直し

リスク2: NTT法改正による事業構造・規制環境の変化

2025年5月に「電気通信事業法及びNTT法の一部を改正する法律」が公布されました。改正の主要内容として、東西地域会社の業務範囲規制の見直し(県間通信の本来業務化等)と、禁止行為規制の強化(役員兼任・従業者兼務の制限追加)があります。附則にはNTT法改廃を含む検討規定があり、現在政府が発行済株式の35.28%を保有していますが(保有義務は1/3以上)、政府株売却・NTT法廃止の可能性も議論されています。

就活生にとっては、NTT東西の業務範囲拡大はキャリアの選択肢を広げる方向に作用する可能性があります。一方、政府株売却が実現すれば経営の自由度が高まる反面、「半官半民」の安定性が変化する可能性もあります。NTT東西を志望する就活生は特にこの動向を注視すべきです。

Risk 03 / 地域通信の縮小 地域通信セグメント利益2,955億円(前年比-32.5%)/利益率9.5%

リスク3: 地域通信事業(NTT東西)の構造的縮小

地域通信事業のセグメント利益は前年比-32.5%の2,955億円と大幅減少しました。メタルIP電話への移行(2025年1月完了)に伴うコスト増が主因ですが、固定音声関連サービスの減収は構造的トレンドです。フレッツ光もコラボ光への卸提供が主力であり、自社ブランドの直販力は限定的です。従業員6.5万人を抱えながら利益率9.5%にまで低下している現実は、NTT東西の今後のキャリアに直結します。「地域のICTソリューション企業」へ転換できるかどうかが方向性を左右します。自治体DX・スマートシティといった新領域への転換が進行中ですが、固定通信の縮小は不可逆的なトレンドです。配属先によっては縮小事業の運用保守が中心になるリスクがあります。

リスクの活用 → リスクを「ネガティブ情報」として避けるのではなく、面接で「なぜそのリスクを受け入れた上で志望するのか」を語れる材料に変えてください。有報のリスク欄の読み方ガイドで、リスク開示の構造を理解しておくと、面接での返答に厚みが出ます。

ここまでの内容を踏まえて、NTTグループがあなたのキャリアにマッチするかを次章で確認します。

あなたのキャリアとマッチするか

本章では、ここまで見てきたNTTの戦略・投資・リスクをあなた自身のキャリア志向と照らし合わせ、噛み合うかを判断します。NTTグループは「どの事業会社を選ぶか」でキャリアの景色が大きく変わるため、まず志向別にどの情報を見るべきかを整理します。

あなたの志向該当するNTTの特徴詳しく見る
最先端基礎研究志向(光・量子・6G)IOWN構想・基盤的研究開発費1,259億円→ 本記事の賭け1
グローバルIT・SI志向グローバル・ソリューション+6.0%・5Units体制→ 本記事の賭け2
環境×ICT・都市開発志向「その他」+8.7%・NTTアノードエナジー・NTTアーバンソリューションズ→ 本記事の賭け3
地方創生・公共DX志向NTT東西の自治体DX・全国拠点→ 本記事のリスク3

合いそうな人

  • 社会インフラを支える使命感を持ちつつ、グローバル成長領域にも関わりたい人
  • 最先端の基礎研究に関わりたい理系人材(光技術・量子・6G)
  • 大企業の安定基盤の中でIT・DX・SIスキルを磨きたい人
  • 地方創生・公共DXに関心がある人(NTT東西配属)
  • 不動産・エネルギー×ICTのクロス領域に関心がある人

合わないかもしれない人

  • スピード感のあるスタートアップ的な環境を求める人 → 楽天グループの有報分析
  • 入社直後からグローバルに活躍したい人(NTTデータ以外を志望する場合)→ KDDIの有報分析
  • 通信・IT以外の業界で専門性を磨きたい人(金融・メーカー等)
  • 純粋な実力主義評価を強く求める人(34.1万人規模で人事制度変革には時間がかかる)

従業員データ

NTTの従業員データも判断材料になります。連結従業員341,321人のうち持株会社単体は2,554人と、事業会社・海外子会社の比重が圧倒的です。持株会社の平均年齢41.8歳、平均勤続年数16.1年、平均年間給与10,690,766円(約1,069万円)は研究所機能を含む2,554名の数値であり、新卒の多くが入社する事業会社(NTTドコモ・NTT東西・NTTデータ等)はそれぞれ別途有報を開示しています。

持株会社の平均年収1,069万円は『NTTの年収』ではない。この数値はIOWN等の研究所機能を含む2,554名の数値であり、新卒が実際に入社するNTTドコモ・NTT東西・NTTデータ等の事業会社の年収とは別物です。持株会社の高水準を「NTTの年収」と思い込んで入社すると、配属先での給与水準とのギャップで早期に消耗するリスクがあります。「どの事業会社の有報を読むか」を決めて確認することが、入社後の納得感を作る前提条件です。

グループ内の選び分け視点

事業会社主な事業成長フェーズグローバル度注目点
NTTドコモモバイル通信×スマートライフ成熟・利益率16.4%だが減益金融・ヘルスケア等新領域の攻め
NTT東日本・NTT西日本地域密着ICT・固定通信縮小・利益-32.5%なし自治体DX・NTT法改正で事業範囲変化
NTTデータグローバルSI・データセンター成長・唯一の増収増益海外キャリアの可能性最大
NTTアーバンソリューションズ都市開発・スマートシティ成長通信とは異なるキャリアパス
NTTアノードエナジー再エネ×ICT成長(その他+8.7%)環境分野の穴場ポジション

出典: 日本電信電話株式会社 有価証券報告書 2025年3月期 セグメント情報・従業員の状況をもとに整理

今から学ぶべき分野

有報が示す投資方針から、NTTグループで活躍するために今から学ぶべきことを整理しました。

投資方針今から学ぶべきこと具体的なアクション
IOWN・基盤研究光技術・量子コンピューティング・6Gの概念理解「光電融合デバイス」「マルチコア光ファイバ」「光量子もつれ」を技術記事レベルで把握。NTT R&Dフォーラムの公開資料を1本読む
グローバル・ソリューション拡大クラウド・SI・コンサルティングの基礎AWS Cloud Practitioner / Azure Fundamentals取得。NTTデータの有報分析記事で5Units体制を理解
データセンター×グリーンDC設計・再エネ・カーボンニュートラルの基礎エネルギー業界レポートを月1で確認。NTTアノードエナジーのIRリリースを1本読み込む
NTTグループ事業構造の理解持株会社と事業会社の違い・4セグメントの特徴セグメント情報の読み方ガイドを実践し、4セグメントの利益・従業員構成を1分で説明できるようにする

最後に、ここまでの分析を面接で実際に語れる形に落とし込みます。

面接で使える有報ポイント

ここまでの分析を面接の場で実際に使えるフレーズに変換します。「有報を読みました」と伝えるだけでも企業研究の深さは伝わります。さらに、具体的な数値とストーリーを結びつけることで面接官の印象に残るレベルになります。NTTの面接では「NTTに入りたい」ではなく「なぜその事業会社なのか」を有報のセグメントデータに基づいて語ることが最大のポイントです。

NTTグループの面接── 「なぜドコモ・NTTデータではなく、NTT持株会社の戦略から語るのか」と聞かれたとき

持株会社の有報を読むと、NTTグループ全体の戦略が「国内通信の安定キャッシュフローを原資に、IOWNとグローバルITサービスの二段構えで成長する」という構図で設計されていることが分かりました。中期経営戦略「powered by IOWN」が経営の中核にあり、研究開発・サービス開発合計5,076億円・基盤的研究開発費1,259億円という数字でその本気度が裏付けられています。私が志望するNTTデータの5Units体制も、この持株会社の戦略の一部として位置づけられて初めて意味が見えました。だからこそ、まず持株会社の有報を読み、次にNTTデータの有報を読むという順序で企業研究を進めました。

NTTグループの面接── 「NTTグループが今後どこに賭けているか」と聞かれたとき

有報を拝見し、NTTグループは3つの賭けで設計されていると理解しました。1つ目はIOWN構想で、研究開発・サービス開発合計5,076億円の中核に位置し、IOWN光コンピューティングの電力効率8倍目標と2026年IOWN 2.0商用化準備が進んでいます。2つ目はグローバル・ソリューション事業で、外部売上+6.0%・セグメント利益+4.6%とNTTグループ唯一の増収増益、設備投資6,757億円(+2.8%)でデータセンター拡充に資金が集中する成長エンジンです。3つ目はデータセンター×グリーンで、「その他」セグメント外部売上が前年比+8.7%と4セグメント中最高の伸び率を示しています。地域通信事業がセグメント利益-32.5%と縮小する現実と、これら3つの賭けが同時に進んでいる構造を、自分のキャリア選択の前提として理解しています。

面接で伝えるべき3つの軸

  • 志望分野とNTTのセグメント実績を1対1で結びつける。IOWN/グローバルIT/DC×グリーンのどの軸を選んだかを、有報の数値(5,076億円・+6.0%・+8.7%)で裏付けて語る
  • 「powered by IOWN」を電力効率8倍・IOWN 2.0 2026年商用化準備で裏付ける。抽象的なスローガンではなく具体施策で語ると説得力が出る
  • 地域通信-32.5%・連結営業利益-14.2%にも触れる。強みだけでなくグループ全体の縮小局面を同時に語ることで、PRに依存しない判断ができる姿勢を示す

逆質問の例

  • 「IOWN 2.0の2026年商用化に向けた準備を有報で確認しました。商用化後にIOWNがグループの事業にどのようなインパクトをもたらすとお考えですか。新卒社員がIOWN関連プロジェクトに関わる機会はありますか」
  • 「グローバル・ソリューション事業の利益率が7.0%と、総合ICT事業の16.4%に比べて低い構造です。5Units体制での統合運営により、利益率改善に向けてどのような取り組みをされていますか」
  • 「中期経営戦略で『専門性を軸とした人事制度、自律的キャリア形成支援』を掲げていますが、NTTグループ内での事業会社間異動やキャリアチェンジの機会はどの程度ありますか」

避けるべきこと: 「年収が高い」「公共インフラだから安定している」など、有報の数値や戦略を引かない志望理由です。有報の本質は企業の戦略とリスクの開示であり、就活生が読むべきはその会社が何に賭けているかです。

面接での有報活用法の詳細は有報を面接で活かす方法、ESで使える具体的なフレーズは有報データをESに落とし込む技術もあわせてご覧ください。

まとめ

この記事のポイント3選

  • NTTは4セグメント体制で、総合ICT 16.4%・地域通信 9.5%・グローバル 7.0%・その他 3.2%と利益率が大きくばらつき、地域通信-32.5%とその他+8.7%が同時進行する非対称な構造。「電話の会社」の実態は外部営業収益17.9%の地域通信のみで、グループの主力はモバイル中心の総合ICTと唯一の増収増益セグメントであるグローバル・ソリューション事業に移っている
  • 中期経営戦略「powered by IOWN」のもと、研究開発・サービス開発合計5,076億円・基盤的研究開発費1,259億円・電力効率8倍目標が中核投資。グローバル・ソリューション事業(外部売上+6.0%・利益+4.6%)が唯一の増収増益、データセンター×グリーンが新領域として育成中
  • 強みの裏側には3つのリスク──IOWNロードマップ遅延・NTT法改正・地域通信の構造的縮小。「NTTに入りたい」ではなく「なぜその事業会社なのか」を、4セグメントと3つの賭けの数字で語れることが面接での差別化につながる

次のアクション →

本記事は有価証券報告書(2025年3月期)に基づく企業分析であり、投資判断を目的としたものではありません。就活におけるキャリアマッチの判断材料としてご活用ください。

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よくある質問

NTTの将来性は?今後どうなる?

NTTは中期経営戦略「powered by IOWN」で2027年度に全社EBITDA+20%増・成長分野EBITDA+40%増を目標に掲げています。連結営業収益13兆7,047億円・営業利益1兆6,496億円(2025年3月期)の基盤の上で、IOWN 2.0の2026年商用化、グローバル・ソリューション事業の海外営業利益率10%(2025年度・NTTデータ連結)が中核施策です。国内通信の安定収益を原資にIOWNとグローバルITの二段構えで成長する戦略です。

NTTの強みと課題は?

強みは連結34.1万人・連結営業収益13兆7,047億円という規模の安定性と、研究開発・サービス開発合計5,076億円・基盤的研究開発費1,259億円というIOWN関連の投資規模です。課題は連結営業利益が前年比-14.2%、地域通信事業のセグメント利益が前年比-32.5%と縮小していることと、IOWN構想のロードマップ遅延を有報自身がリスクとして明記している点です。

NTTは何で稼いでいますか?

2025年3月期の有報によると、4セグメント体制で総合ICT事業(NTTドコモ等)が外部営業収益5兆9,078億円・セグメント利益1兆205億円とグループ最大の利益源です。グローバル・ソリューション事業(NTTデータ等)が外部売上4兆4,260億円・セグメント利益3,239億円で唯一の増収増益、地域通信事業(NTT東西)が外部売上2兆4,534億円ですが利益は前年比-32.5%、その他(不動産・エネルギー)が外部売上9,175億円です。

NTTの面接で有報の知識はどう活かせますか?

中期経営戦略『New value creation & Sustainability 2027 powered by IOWN』を引用し、IOWN光コンピューティングの電力効率8倍目標、IOWN APNの大阪・関西万博実装、IOWN 2.0の2026年商用化準備など具体施策を結びつけて語ると効果的です。グローバル・ソリューション事業が唯一の増収増益(外部売上前年比+6.0%・セグメント利益+4.6%)という構造変化に触れると、企業研究の深さが伝わります。

NTTグループのどの会社を選ぶべきですか?

有報のセグメントデータから、グローバルITキャリアならNTTデータ等のグローバル・ソリューション事業(唯一の増収増益)、国内モバイル×新領域なら総合ICT事業(NTTドコモ等・利益率16.4%だが減益基調)、地域密着ICTならNTT東西を含む地域通信事業(ただし固定通信は構造的縮小・利益-32.5%)、都市開発ならNTTアーバンソリューションズ、再エネならNTTアノードエナジーが選択肢です。同じNTTグループでも成長フェーズ・求められるスキル・グローバル度が大きく異なります。

企業名

日本電信電話

業種

情報・通信業

証券コード

9432

対象事業年度

2025年3月期

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