ユニ・チャームの面接で「グローバルに成長している企業です」と語る就活生は多いでしょう。しかし2025年12月期の有報を開くと、売上▲4.4%・純利益▲20.3%という減収減益の現実が見えてきます。「成長が止まった会社」なのか、「構造転換の踊り場」なのか。この記事を読めば、数値に裏づけられた自分の見解を面接で語れるようになります。
ユニ・チャームは、紙おむつ・生理用品・大人用排泄ケア・ペットケアの4領域でアジア全域に展開する衛生用品グローバルリーダーです。売上9,452億円、連結従業員16,542人の規模を持ちます(2025年12月期)。

この記事のデータはユニ・チャームの有価証券報告書(2025年12月期)に基づいています。 有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。
ユニ・チャームのビジネスの実態|何で稼いでいるのか
ユニ・チャームはIFRS適用企業であり、セグメント別の売上高・営業利益は開示されていません。代わりに設備投資の配分から、経営資源がどこに集中しているかを読み取ります。

| セグメント | 設備投資 | 構成比 | R&D費 | 主要製品 |
|---|---|---|---|---|
| パーソナルケア | 279億円 | 83.5% | 112億円 | 紙おむつ・生理用品・大人用排泄ケア |
| ペットケア | 51億円 | 15.3% | 23億円 | ペットフード・ペットトイレタリー |
| その他 | 3.8億円 | 1.1% | 0.04億円 | 産業用資材 |
| 合計 | 334億円 | - | 136億円 | - |
出典: ユニ・チャーム 有価証券報告書 2025年12月期
パーソナルケアに設備投資の83.5%、R&D費の82.8%が集中しています。紙おむつ・生理用品の生産増強と合理化が主な投資目的であり、パーソナルケアが事業の圧倒的な中核であることがわかります。
業績推移|5期ぶりの減収と2期連続減益
| 指標 | 4期前 | 3期前 | 2期前 | 前期 | 当期(2025年12月期) |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 7,827億円 | 8,980億円 | 9,417億円 | 9,889億円 | 9,452億円 |
| 親会社帰属純利益 | 727億円 | 676億円 | 860億円 | 818億円 | 652億円 |
| EPS | 40.59円 | 37.87円 | 48.47円 | 46.41円 | 37.30円 |
出典: ユニ・チャーム 有価証券報告書 2025年12月期(IFRS)
4期前から前期まで売上は7,827億円から9,889億円へと4期連続で増収していましたが、当期は9,452億円と前期比▲4.4%で5期ぶりの減収に転じました。純利益は前期818億円から当期652億円へ▲20.3%の大幅減益です。EPSも37.30円と4期前の水準に逆戻りしています。
この減収減益の背景として、有報には新興国での手頃な価格品への需要シフト、eコマース新興チャネルの急成長、ベビーケア対象人口の減少が課題として記載されています。
ユニ・チャームは何に賭けているのか|投資と研究開発の方向性

賭け1: アジア新興国のパーソナルケア|7カ国以上で現地開発体制を構築
パーソナルケア事業に設備投資279億円(全社の83.5%)、R&D費112億円を投入し(2025年12月期)、各国の生活者インサイトに基づく現地開発体制を構築しています。有報に記載されている具体的な製品開発事例は以下のとおりです。
- タイ: 活性炭消臭技術搭載の大人用パンツ、通気穴搭載ベビーおむつ、ショーツ型ナプキン
- ベトナム: 通気口搭載の大人用パンツ
- インドネシア: 大人用パンツタイプおむつ
- インド: Coconut Oil配合ベビーおむつ
- 中国: 簡単装着「おしりガイド」搭載テープ、厚み30%削減の薄型パンツ、高月齢パンツ
- ブラジル: 垂れ下がりにくいパンツ、XXXGサイズ新投入
- サウジアラビア: うんちポケット搭載テープ
各国でカテゴリーリーダー(市場シェア1位)の地位確立を経営目標に掲げています。ベビーケアでは「ムーニー」ブランドの低刺激設計や「おしりガイド」搭載製品、フェミニンケアでは「ソフィ」ブランドから着脱可能なショーツ型ナプキンや経血で鉄不足をチェックできるキットなど、社会課題解決型の製品も投入しています。
賭け2: ウェルネスケア|高齢化×RefFリサイクルの両輪
国内ではウェルネスケア(大人用排泄ケア)関連商品への引き合いが強いと有報に記載されています。「ライフリー」ブランドから、オーガニックコットン100%シート搭載のうす型パンツ、おなか周りゴム0設計の「下着の感覚Premium」など、高付加価値製品を相次いで投入しています(2025年12月期)。
注目すべきは「RefFプロジェクト」です。使用済み紙パンツをリサイクルしたパルプを用いた製品をテープタイプにも拡張し、紙パンツの全素材(パルプ・プラスチック・高分子吸収材)をリサイクルする技術を確立しました。環境×事業の両立を追求する姿勢は、サステナビリティに関心のある就活生にとって重要な評価ポイントです。
海外でも、タイで活性炭消臭パンツ、ベトナムで通気口搭載パンツ、中国で簡単装着テープ、ブラジルで垂れ下がりにくいパンツと、各国でウェルネスケア製品のラインアップを拡充しています。日本で培った介護用品のノウハウをアジア・中南米に展開する戦略です。
賭け3: ペットケア|日米中ASEAN横断でプレミアム市場を攻める
ペットケアに設備投資51億円、R&D費23億円を投入しています(2025年12月期)。
国内では猫用システムトイレ「デオトイレ」の飛び散らないねこ型チップ(特許出願中)や、猫用おやつの総合栄養食タイプなど高付加価値製品を投入。RefFリサイクルパルプを活用した猫砂「デオサンド RefF」も発売しています。
海外展開も本格化しています。アメリカでは「Delectables」の新食感おやつを実店舗展開、「Hartz」ブランドで最大38.5kgの大型犬対応マナーベルトを投入。中国では烏骨鶏と鱈を使用した高嗜好性フード、タイでは寿司屋を意味する「OMAKASE」ブランドのスプーンタイプ、インドネシアでは4カ国の味を楽しめる「Deli-Joy Stick」を発売しています。
少子化でベビーケアの対象人口が減少する中、ペット市場は高齢化・プレミアム化トレンドの中で成長が見込まれる分野です。化粧品・日用品業界の他企業との比較は化粧品業界の将来性|有報で見る資生堂・花王の戦略もあわせてご覧ください。
第13次中期経営計画|2030年ROE17%を目指す
2026年より開始する第13次中期経営計画では、2030年のROE17%達成に向け、「事業成長」と「資本政策の再構築(Rebirth)」の両輪で推進する方針を掲げています。継続的な売上高・利益の成長とROEの向上により、グローバル競争に勝ち抜く資本効率の高い経営体質の構築を目指すと記載されています。
ユニ・チャームが自ら語るリスクと課題|PRでは絶対に出ない情報

リスク1: 消費者の変化と低価格シフト|影響度3・発生可能性3
有報のリスク評価で最も深刻度が高い項目の一つです。消費者の価値観・購買行動の急速な変化に対応できない場合、競争優位性の喪失やブランド価値の毀損を招くリスクがあります。特に新興国では、手頃な価格品への需要シフトが加速しており、これが当期の減収の一因と考えられます。
リスク2: 流通チャネルの激変|eコマース新興チャネルの急成長
SNSやライブコマース等のデジタルチャネルを通じた販売手法の多様化が進んでいます。オンライン販売チャネルの急拡大に対し、販売戦略やサプライチェーンの再構築が遅れた場合、成長機会を逸失するリスクがあると有報に記載されています。影響度3・発生可能性3の評価です。
リスク3: ベビーケア・フェミニンケア対象人口の減少
日本・中国をはじめ世界的に出生数が減少しています。パーソナルケアの主力であるベビーケア・フェミニンケアの対象人口減少は構造的な課題であり、ウェルネスケアやペットケアへの転換が間に合うかが中長期の成長を左右します。
リスク4: 為替変動リスク|海外売上比率の高さが両刃の剣
海外売上比率が高いユニ・チャームにとって、為替変動は業績に直結します。円高時には連結業績にマイナス影響が出るほか、原材料の輸入コスト上昇も収益を圧迫する可能性があります(影響度2・発生可能性3)。
あなたのキャリアとマッチするか
ユニ・チャームの方向性に合う人・合わない人
合う人
- アジア・中南米で消費財ブランドのマーケティング・事業開発に携わりたい人
- 少子高齢化という社会課題をビジネスで解決したい人(ウェルネスケア領域)
- 不織布技術・高分子吸収技術など素材技術の研究開発に興味がある人
- ペット関連市場のグローバル展開に関わりたい人
- サステナビリティ(RefFリサイクル技術)に取り組む消費財メーカーで働きたい人
従業員データ
| 項目 | データ |
|---|---|
| 連結従業員数 | 16,542人 |
| 単体従業員数 | 1,429人 |
| 平均年齢 | 40.7歳 |
| 平均勤続年数 | 14.7年 |
| 平均年収 | 875万円 |
出典: ユニ・チャーム 有価証券報告書 2025年12月期
今から学ぶべき分野
- アジア新興国のパーソナルケア市場: タイ・ベトナム・インドネシア・インド・中国など各国の人口動態と消費トレンドの違いを理解することで、ユニ・チャームの地域別戦略が読み解けます
- 不織布技術・高分子吸収技術の基本: R&D費136億円(売上高比1.4%)はこれらの技術改良に充てられています。素材技術がどのように製品の差別化につながるかを把握しておくと面接でも活きます
- IFRS(国際財務報告基準)の基本: ユニ・チャームはIFRS適用企業であり、セグメント情報の開示が日本基準と異なります。利益の定義の違いを知っておくと企業比較の際に役立ちます
- サーキュラーエコノミー: RefFプロジェクトに代表される「使用済み製品の全素材リサイクル」は、今後の消費財メーカーの競争力を左右するテーマです
面接で使える有報ポイント
志望動機での活用
「御社の有報を拝見し、2025年12月期の減収減益の中でも設備投資279億円をパーソナルケアに集中投下し、7カ国以上で現地開発体制を維持している点に注目しました。短期の業績変動ではなく、カテゴリーリーダーの地位を守る長期戦略に共感しています。」
逆質問で使えるネタ
「第13次中期経営計画で掲げている資本政策の再構築(Rebirth)について、新卒にはどのような形で関わる機会がありますか?」
「RefFプロジェクトで使用済み紙パンツの全素材リサイクル技術を確立されたとのことですが、今後この技術をアジアにも展開される計画はありますか?」
まとめ
ユニ・チャームは、売上9,452億円のアジア最大級の衛生用品グローバルリーダーです。2025年12月期は減収減益に転じましたが、設備投資279億円をパーソナルケアに集中し、アジア7カ国以上での現地開発体制を維持しています。第13次中期経営計画(2026年開始)で2030年ROE17%達成を掲げ、事業成長と資本政策の再構築(Rebirth)を推進する方針です。減収減益の背景と構造転換の戦略の両面を理解した上で面接に臨めば、他の就活生と差がつく企業研究になります。
免責事項: 本記事のデータはユニ・チャーム株式会社の有価証券報告書(2025年12月期、EDINET開示、書類管理番号: S100XSEU)に基づいています。記事内の考察・分析は編集部の見解であり、投資判断を目的としたものではありません。最新情報は企業の公式開示資料をご確認ください。