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男性育休取得率ランキング|ワークライフバランスを数字で測る

最終更新: 約14分で読了
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この記事を読むと: 男性育休取得率を「数字の高さ」だけでなく、「他の人的資本指標とのバランス」「業界構造の本当の姿」まで読み解いて、自分の志向に合うワークライフバランス企業を選べるようになります。

「ワークライフバランスを推進」とHPに書いてあっても、実際にどれだけ取得されているかは有報の数字を見るまでわかりません。2025年3月期の主要12社の有報を横並びで読むと、男性育休取得率は三菱商事163.9%から丸紅66.7%まで約2.5倍の開きがあります。さらに「商社が高くて製造業が低い」という古い構造はすでに崩れ、デンソーは97.7%と商社平均を上回り、5大商社の最下位(丸紅66.7%)はトヨタ自動車67.0%とほぼ同水準です。同じ「ワークライフバランス推進」でも、実態は会社ごとにまったく違います。

あなたの志向まず見るべき企業理由
制度が完全に文化として根付いた職場で働きたい三菱商事/NTTデータグループ取得率100%超は前年度繰越含む積極取得の証拠
製造業で育休を取りやすい会社を選びたいデンソー/トヨタ自動車旧来「製造業は低い」の常識を更新した改善企業
育休だけでなく女性活躍とのバランスを見たいソニーグループ/NTTデータグループ3指標セット(育休×女性管理職×賃金格差)で最もバランスが取れている
ゲーム・クリエイティブ業界の働き方が気になる任天堂/カプコン柔軟な働き方が後押し。ただし女性管理職比率は要確認
商社志望で取得率の差を比較したい三菱商事/伊藤忠商事/丸紅同業内で60〜160%の幅。社風の違いを数字で語れる

このデータは各社の有価証券報告書(2025年3月期・EDINET)に基づいています。

本記事は、就活生の検索・比較ニーズが高い主要12社を対象にした業界横断比較です。全上場企業を網羅したランキングではありません。育児休業取得率は提出会社(単体)ベースの開示で、連結ベースで開示している企業とは数字の前提が異なる場合があります。

有報の人的資本情報の読み方は有報の人的資本情報の読み方ガイドで押さえておくと、この記事がさらに活きます。

12社の分類と代表KPI──三菱商事163.9%/NTTデータ105.0%/デンソー97.7%/伊藤忠96.0%/任天堂91.0%/ソニー79.0%

男性育休取得率は、次の3段階で読むと失敗しにくくなります。

見る順番見るものわかること
1絶対値(取得率%)制度利用がどれだけ浸透しているか
2取得日数(任意開示)数日 vs 数週間 vs 1ヶ月超。本質的な差
3他の人的資本指標との組み合わせ女性管理職比率・賃金格差と合わせた3指標セットで実態を把握

男性育休取得率ランキング|2025年3月期 TOP12

まず、取得率の絶対値で並べます。

順位企業名男性育休取得率業界開示範囲
1三菱商事163.9%総合商社提出会社
2NTTデータグループ105.0%ITサービス提出会社
3デンソー97.7%自動車部品提出会社
4伊藤忠商事96.0%総合商社提出会社
5任天堂91.0%ゲーム提出会社
5三井物産91.0%総合商社提出会社
7カプコン79.7%ゲーム提出会社
8ソニーグループ79.0%エンタメ・テクノロジー提出会社
9住友商事78.6%総合商社提出会社
10キーエンス72.9%FA機器提出会社
11トヨタ自動車67.0%自動車提出会社
12丸紅66.7%総合商社提出会社

出典: 各社 有価証券報告書 2025年03月期 従業員の状況(EDINET)

1位の三菱商事163.9%が突出。一方で12位の丸紅66.7%も、それでも約3分の2が取得している水準。

三菱商事の163.9%は誤記ではなく、前年度に子どもが生まれた従業員が翌年度に取得したケースが分子に含まれる計算式の結果です。NTTデータグループの105.0%も同様で、制度が「使うのが当たり前」のレベルに浸透していることの数字的表現です。一方で、最下位の丸紅66.7%でも対象男性社員の約3分の2が取得しており、5年前と比べれば全企業が高水準に到達しています。

特に注目すべきは、デンソー97.7%が商社の三井物産・伊藤忠商事と並ぶレベルに達している点です。古い記事で繰り返し書かれてきた「製造業は工場の交替勤務が構造的障壁で取得率が低い」という説明は、少なくとも自動車部品大手では当てはまらなくなっています。

男性育休取得率ランキング|業界別の構造変化

業界別に並べ替えると、「商社が高い、製造業が低い」という古い常識がすでに崩れていることがわかります。

業界対象社取得率の幅業界平均特徴
総合商社(5社)三菱・伊藤忠・三井・住友・丸紅66.7%〜163.9%約99%義務化主導/前年度繰越含む高水準
製造業(3社)デンソー・トヨタ・キーエンス67.0%〜97.7%約79%急速に改善。デンソー97.7%が象徴
IT・エンタメ・ゲーム(4社)NTTデータG・ソニー・任天堂・カプコン79.0%〜105.0%約89%柔軟な働き方が下支え

同じ業界でも「標準」が違う

業界内の差も大きく、たとえば商社では三菱商事163.9%と丸紅66.7%で約2.5倍の開きがあります。

業界高水準企業低水準企業同業内差
総合商社三菱商事 163.9%丸紅 66.7%2.5倍
製造業デンソー 97.7%トヨタ自動車 67.0%1.5倍
IT・エンタメNTTデータG 105.0%ソニーG 79.0%1.3倍

商社の中で三菱商事が突出するのは、女性活躍推進の数値目標と男性育休の取得促進を経営計画でセットで掲げているためです。一方で丸紅66.7%は商社最下位ですが、それでも全業界の下位水準と並ぶレベルであり、「商社は皆同じ」という見方は実態と合いません。

12社×3軸マトリクス──取得率1位三菱商事/女性管理職比率1位ソニーグループ/賃金格差1位NTTデータグループ

取得率の「中身」|数字の裏を見る3つの視点

取得率の数字だけでなく、その背景にある制度設計と実態を見ると、各社の本気度が違って見えてきます。

企業取得率の特徴制度の方向性背景にある経営姿勢
三菱商事163.9%(前年度繰越含む)全社員取得を前提女性管理職12.3%目標とセットでD&I推進
NTTデータG105.0%(前年度繰越含む)リモートワーク中心の構造的取得しやすさ女性管理職19.2%は12社中最高
デンソー97.7%(製造業で異例の高水準)工場勤務でも取得できる制度設計ただし女性管理職2.1%は12社中最低
任天堂91.0%(IT・ゲーム業界でも高水準)「独創・柔軟・誠実」の文化女性管理職5.1%は要改善
ソニーグループ79.0%(中位)グローバルD&I方針に基づく多様な働き方女性管理職20.2%・賃金格差84.4%で3指標バランス
トヨタ自動車67.0%(中位)工場交替勤務での取得促進策規模を考えると改善幅は大きい

出典: 各社 有価証券報告書 2025年03月期 従業員の状況・人的資本情報

注目ポイント: デンソー97.7%が崩した「製造業の常識」

デンソーの97.7%は、これまで多くの就活記事で「製造業は構造的に低い」と説明されてきた構図を直接覆します。工場の交替勤務が多い製造業でも、制度設計と職場文化次第で商社並みの取得率を実現できることが示されています。一方でデンソーの女性管理職比率は2.1%(12社中最低)で、「男性社員には育休を取らせるが、女性社員のキャリアパスは整っていない」というアンバランスを内包しています。取得率の高さだけで「働きやすい会社」と判断するのは危険です。

注目ポイント: ソニーグループの「3指標セット」のバランス

ソニーグループは取得率79.0%と中位ですが、女性管理職比率20.2%・男女賃金格差84.4%(全労働者)と他の指標で12社中突出しています。男女賃金格差84.4%は同職位での比較に近い水準で、「男性も育休が取れて、女性が管理職になりやすく、同じ仕事をしたら同じ給料がもらえる」という3点が揃った状態に最も近い企業です。

注目ポイント: NTTデータグループの105.0%と女性管理職19.2%

NTTデータグループは取得率100%超に加えて、女性管理職比率19.2%が12社中ソニーグループに次ぐ高水準です。リモートワーク・フレックスを核にした働き方が、男性育休と女性キャリア形成の両方を同時に底上げしている構造が読み取れます。ただし男女賃金格差85.3%は同職位比較に近い水準ですが、これは管理職比率の影響を強く受けており、本質的なフラットさかどうかは追加の開示を見る必要があります。

男性育休×女性管理職×賃金格差|3指標セットの相関

男性育休取得率は単独では企業の実態を映しきれません。女性管理職比率・男女賃金格差と合わせた「3指標セット」で見ることで、より立体的な評価ができます。

企業男性育休女性管理職男女賃金格差(全労働者)読み方
三菱商事163.9%12.3%62.9%育休突出。管理職比率の改善目標も明確
NTTデータG105.0%19.2%85.3%3指標が高水準。リモート文化が下支え
デンソー97.7%2.1%67.2%育休は商社並み。一方で女性管理職比率は最低
伊藤忠商事96.0%9.0%58.4%育休・賃金は高水準。管理職比率が課題
任天堂91.0%5.1%69.2%育休は文化として機能。女性管理職比率は要改善
ソニーグループ79.0%20.2%84.4%3指標で最もバランスが取れた状態
キーエンス72.9%非開示41.8%賃金格差は12社最大。女性管理職比率を有報で非開示
トヨタ自動車67.0%4.0%66.2%育休改善中。女性管理職は規模からすると低水準
丸紅66.7%8.2%60.2%商社最下位だがそれでも全業界中位

出典: 各社 有価証券報告書 2025年03月期 従業員の状況・人的資本情報

男性が育休を取れる ≠ 女性が活躍できる。3指標セットで見て初めて『本当のワークライフバランス』が見える。

男女賃金格差は数値が高い(100%に近い)ほど男女が同等です。ソニーグループ84.4%・NTTデータG 85.3%は同職位比較に近い水準で、特定企業は「男性も育休が取れて、女性が管理職になりやすく、同じ仕事をしたら同じ給料」が同時に揃っています。

逆にキーエンスは育休72.9%・賃金格差41.8%と、賃金面では12社中最も男女差が大きい結果です。賃金格差の構造は職位構成(営業職男性中心)も影響するため、これも単独で判断せず男女賃金格差ランキングも合わせて見る必要があります。

キャリア志向から逆算するワークライフバランス企業選び──制度完全浸透型は三菱商事/NTTデータ、3指標バランス型はソニーグループ、製造業の新潮流はデンソー

男性育休データの就活への活かし方

ESの志望動機に使う

男性育休取得率データは「この会社が人的資本にどれだけ本気か」を語る最強の根拠です。志望企業ごとの使い方を整理しました。

志望企業ESで使うなら面接で聞くなら
三菱商事取得率163.9%・女性管理職12.3%目標とセットで進めるD&I戦略に共感した男性育休の平均取得期間と、女性管理職比率15%目標達成への施策はどう連動しているか
NTTデータグループ取得率105.0%・女性管理職19.2%とリモートワーク中心の働き方の関係に注目したリモートを前提とした働き方が、若手のキャリア形成にどう影響しているか
デンソー製造業で取得率97.7%という構造的常識を覆した姿勢に惹かれた工場勤務含めた育休の平均取得期間と、女性管理職比率2.1%改善の取り組みはどう連動するか
ソニーグループ取得率79.0%・女性管理職20.2%・賃金格差84.4%という3指標セットの均衡に惹かれた3指標を同時に高水準にできた背景にある人事制度はどのようなものか
伊藤忠商事取得率96.0%と4週間以上義務化の文化に共感した4週間以上の取得を義務化した後、現場でどんな変化があったか

詳細例(デンソーの場合):

「御社の有報で男性育休取得率97.7%と知り、製造業の構造的制約という従来の通説を御社が更新していることに気づきました。一方で女性管理職比率2.1%という3指標セットでのギャップも認識しており、男性社員のワークライフバランスと女性社員のキャリアパスを両立する次のフェーズに、新卒として関わりたいと考えています。」

面接の逆質問に使う

男性育休取得率の数値を起点にすると、企業ごとに踏み込んだ問いが立てられます。志望度の高さと事前準備の深さが同時に伝わるテンプレートです。

三菱商事の面接──「ワークライフバランスをどう考えるか」と聞かれたとき

「2025年3月期の有報で男性育休取得率163.9%・女性管理職比率12.3%と拝見しました(女性管理職比率の中期目標は同社統合レポート等で確認すべき箇所と理解しています)。男性育休が前年度繰越分まで取得されるレベルに浸透した次のステップとして、女性管理職比率を引き上げるうえで若手・中堅層に求められる役割の変化はどのような点でしょうか。」

デンソーの面接──「なぜ自動車部品業界か」「なぜデンソーか」と聞かれたとき

「製造業=育休が取りにくい、というイメージを持っていましたが、御社の有報で取得率97.7%と知り認識を更新しました。工場勤務を含めた制度の浸透は、若手エンジニアのキャリア観・働き方観にどのような影響を与えているのでしょうか。」

ソニーグループの面接──「他のIT・エンタメ企業ではなくなぜソニーか」と聞かれたとき

「男性育休79.0%・女性管理職比率20.2%・男女賃金格差84.4%という3指標の組み合わせは12社比較で最もバランスが取れています。多様な事業セグメントを抱える中で、この均衡を全社で実現できている背景にはどのような人事ポリシーがあるのでしょうか。」

NTTデータグループの面接──「リモートワーク中心の働き方をどう捉えているか」と聞かれたとき

「男性育休取得率105.0%・女性管理職比率19.2%という数字は、リモートワークが両立を支えている結果だと理解しています。一方で対面で生まれるチームビルディングや、若手の育成との両立は今後どう設計されていくのでしょうか。」

企業比較のフレームワークとして使う

男性育休の「絶対値」「他指標との組み合わせ」「業界内の位置」の3軸で企業を比較すると、ワークライフバランスへの本気度が立体的に見えてきます。

比較軸わかること
絶対値(取得率%)制度利用が文化として根付いているか
他指標との組み合わせ男性育休だけが目立つアンバランス企業か、3指標が揃った企業か
業界内の位置構造的に取得しやすい/しにくい業界の中での相対水準

まとめ

男性育休取得率ランキングは、企業のワークライフバランスへの本気度を「数字」で測るためのツールです。一方で取得率だけでは見えない実態が3指標セットには隠れています。

企業男性育休女性管理職賃金格差一言要約
三菱商事163.9%12.3%62.9%制度浸透の先頭。D&I戦略全体で本気
NTTデータG105.0%19.2%85.3%リモート文化が育休と女性活躍を両立
デンソー97.7%2.1%67.2%製造業の常識を更新、ただし女性活躍に課題
伊藤忠商事96.0%9.0%58.4%4週間義務化で育休を文化に
ソニーグループ79.0%20.2%84.4%3指標セットが最も均衡
トヨタ自動車67.0%4.0%66.2%改善途上だが伸びしろは大きい
丸紅66.7%8.2%60.2%商社最下位でも全業界中位

「この会社のワークライフバランスは本物か」──その答えは、有報の人的資本データに3指標セットで書いてあります。

なお、男性育休取得率の計算式(分母・分子の範囲)は企業によって異なる場合があり、提出会社(単体)と連結ベースでも数字が変わります。また、有報で「取得率」は開示義務ですが「平均取得期間」は任意開示で、数日と数週間の取得は区別されません。面接で平均取得期間を逆質問することで、有報には載っていない「実質的な育休文化」が見えてきます。

この記事のポイント

  • 「商社が高くて製造業が低い」という古い構造は2025年3月期に崩れた。デンソー97.7%が象徴
  • 取得率だけで判断するのは危険。任天堂・デンソーのように女性管理職比率が低い企業も含まれる
  • ソニーグループの3指標バランス(育休79.0%・女性管理職20.2%・賃金格差84.4%)が最も健全

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よくある質問

男性育休取得率は有報のどこに書いてありますか?

2023年3月期以降の有報では『従業員の状況』セクションに『男性労働者の育児休業取得率』の開示が義務化されています。人的資本情報の一環として記載されており、EDINETで企業名を検索して有報を開けば確認できます。本記事のデータも各社の有報(2025年3月期・提出会社)から取得しています。

男性育休取得率が100%を超えるのはなぜですか?

前年度に子どもが生まれた従業員が翌年度に育休を取得した場合、当年度の出生者数に対する比率が100%を超えることがあります。三菱商事163.9%・NTTデータグループ105.0%は前年度分の取得が含まれており、制度利用が非常に積極的であることを示しています(2025年3月期 有報)。

取得率が高ければ働きやすい企業と言えますか?

取得率は重要な指標ですが、取得日数が数日のケースもあります。取得率だけでなく、女性管理職比率や男女賃金格差と合わせて3指標セットで見ると、実態に近い判断ができます。面接で『平均取得期間』を逆質問すると、有報には載っていない情報を引き出せます。

製造業の取得率は本当に低いのですか?

古い記事では『製造業は構造的に低い』と書かれることが多いですが、2025年3月期の有報で見るとデンソー97.7%・トヨタ自動車67.0%と大きく改善しています。『商社が高くて製造業が低い』という構造は崩れつつあり、企業ごとに最新の数字で確認する必要があります。

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