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男性育休取得率ランキング|有報で見るワークライフバランス先進企業

最終更新: 約8分で読了
#男性育休 #育児休業取得率 #就活 #企業比較 #ランキング #人的資本 #ワークライフバランス #有報
この記事でわかること
1. 主要企業の男性育休取得率ランキング — ワークライフバランスの実態を数字で比較
2. 業界別の傾向と、取得率の高低を生む構造的な要因
3. 男性育休データを就活(ES・面接)で活用する方法

2023年の有報改正で、上場企業は男性育児休業取得率の開示が義務化されました。「ワークライフバランスを推進しています」という採用HPの言葉が本当かどうか、数字で確認できる時代です。

この記事では、主要12社の男性育休取得率を横断比較し、企業のワークライフバランスへの本気度を読み解きます。

人的資本情報の読み方の基本は有報の人的資本情報の読み方ガイドで押さえておくと、この記事がさらに活きます。

男性育休取得率ランキング

主要企業の男性育児休業取得率を比較します。

順位企業名男性育休取得率業界特徴
1三菱商事163.9%商社前年度出生分の翌年度取得含む。制度利用が極めて活発
2伊藤忠商事96%商社2024年度から義務化。4週間以上の取得を推進
3NTTデータ約90%ITIT業界特有の柔軟な働き方が後押し
4カプコン82.8%ゲームクリエイティブ職中心の職場環境
5任天堂81%ゲーム目標50%を大幅超過。「独創・柔軟・誠実」の文化
6ソニーグループ約80%エンタメ・テクノロジー多様な働き方制度が充実
7キーエンス72.9%FA機器製造業ながらオフィスワーク中心で高水準
8三井物産約60%商社改善傾向が顕著
9丸紅約55%商社制度整備を加速中
10住友商事約55%商社取得促進の取り組みを展開
11トヨタ自動車約45%自動車工場の交替勤務が構造的障壁
12デンソー約40%自動車部品製造業の構造的課題

出典: 各社 有価証券報告書 2025年03月期(三菱商事・伊藤忠・カプコン・任天堂・キーエンスは有報の従業員データから直接取得、その他は人的資本開示情報に基づく)

各社の有報分析: 三菱商事 | 伊藤忠 | カプコン | 任天堂 | キーエンス | ソニー | NTTデータ | 三井物産 | 丸紅 | 住友商事 | トヨタ | デンソー

取得率の読み方|数字の裏を見る

100%を超える理由

三菱商事の163.9%は誤記ではありません。男性育休取得率の計算式は以下の通りです。

男性育休取得率 = 育児休業を取得した男性従業員数 / 配偶者が出産した男性従業員数 × 100

分子には前年度に子どもが生まれた従業員が翌年度に取得したケースも含まれるため、計算上100%を超えることがあります。三菱商事の163.9%は、制度利用が非常に積極的であることの証拠です。

取得率と取得日数は別の話

取得率が高くても、取得日数が数日程度にとどまるケースは少なくありません。有報には取得率の開示は義務ですが、平均取得日数の開示は任意です。

取得率の水準読み方
80%以上育休取得が「当たり前」の文化が根付いている
50〜80%制度は機能しているが、取得しにくい雰囲気が残る部署もある
30〜50%制度はあるが実際の活用はまだ途上
30%未満制度はあっても文化が追いついていない可能性

本当の意味での「育休文化」があるかどうかは、面接の逆質問で「平均取得期間」を聞くことで補完できます。

連結と単体の違いに注意

有報の人的資本データは、原則として提出会社(単体)ベースで開示されます。持株会社の場合、本体従業員が少数のため、事業子会社の実態とは水準が異なることがあります。開示範囲の注記を確認する習慣をつけましょう。

業界別の傾向と構造要因

商社|トップランナーの理由

商社は男性育休取得率で他業界を大きくリードしています。

企業取得率背景
三菱商事163.9%前年度出生分の翌年度取得含む。制度の浸透度が突出
伊藤忠商事96%2024年度から義務化。朝型勤務制度と連動した働き方改革
三井物産約60%海外駐在との両立課題はあるが改善傾向
丸紅約55%制度整備を加速中
住友商事約55%取得促進の取り組みを展開

伊藤忠は2024年度から男性育休を「義務」にまで引き上げました。4週間以上の取得を推進しており、制度を「任意」から「義務」にすることでトップの本気度が数字に表れています。三菱商事も女性管理職比率12.3%(目標: 2027年度末に15%以上)と合わせ、ダイバーシティに積極的な姿勢を示しています。

商社全体の人的資本データは人的資本ランキングで詳しく比較しています。

IT・ゲーム|柔軟な働き方が後押し

IT・ゲーム業界はリモートワークやフレックスタイムなど柔軟な働き方が定着しており、育休取得のハードルが構造的に低い業界です。

企業取得率背景
NTTデータ約90%IT業界特有のリモートワーク環境。女性管理職比率11.9%と合わせ人的資本に注力
カプコン82.8%ただし女性管理職比率5.3%と低く、バランスに課題
任天堂81%目標50%を大幅超過。平均勤続年数14.4年とIT業界では長め
ソニーグループ約80%グローバルD&I方針に基づく多様な働き方制度

任天堂は有報で「独創・柔軟・誠実」を企業DNAとして掲げており、男性育休81%はその文化が実際に機能していることを示しています。一方、カプコンは82.8%と高水準ながら、女性管理職比率5.3%・男女賃金差異54.7%(全労働者)と、ダイバーシティの他指標では課題が残ります。1つの指標だけでは企業の実態は見えません。

製造業|構造的課題と改善の取り組み

製造業は工場の交替勤務やライン作業の特性上、育休取得が構造的に難しい業界です。

企業取得率背景
キーエンス72.9%営業・開発中心のオフィスワーク主体で製造業では突出
トヨタ自動車約45%工場の交替勤務が主な障壁。改善施策を推進中
デンソー約40%製造業の構造的課題。平均勤続年数23.1年と定着率は高い

キーエンスが72.9%と製造業で突出しているのは、工場を持たないファブレスモデルで、従業員の大半がオフィスワーク(営業・開発)であることが背景にあります。一方、トヨタやデンソーは連結で数十万人規模の従業員を工場に抱えており、交替勤務や繁忙期の調整が課題です。

重要な点として、取得率が低い=取り組んでいないではありません。デンソーの平均勤続年数23.1年は全企業の中でもトップクラスの水準であり、別の角度から見れば「長く働ける環境」は整っています。定着率の視点は離職率ランキングで詳しく比較しています。

取得率と他の人的資本指標の関係

男性育休取得率は単独では企業の実態を映しきれません。女性管理職比率や男女賃金格差と合わせた「3指標セット」で見ることで、より立体的な評価ができます。

企業男性育休取得率女性管理職比率男女賃金格差読み方
伊藤忠商事96%9.0%約97%(同職位)育休・賃金は高水準。管理職比率が今後の課題
三菱商事163.9%12.3%62.9%(全労働者)育休率突出。管理職比率の改善目標も明確
カプコン82.8%5.3%54.7%(全労働者)育休率は高いが他2指標に大きな課題
キーエンス72.9%---41.8%(全労働者)育休率は良好だが賃金格差が大きい

出典: 各社 有価証券報告書 2025年03月期

伊藤忠は育休取得率96%に加え、同職位比較での男女賃金格差が約97%とほぼ同等です。一方で女性管理職比率9.0%は、「同じ仕事で同じ給料」は実現できても、管理職へのキャリアパスに構造的な偏りがあることを示しています。

カプコンは育休取得率82.8%と高い一方で、女性管理職比率5.3%・賃金格差54.7%の組み合わせからは、男性が多い開発部門の構造が浮かび上がります。

男女賃金格差の詳しい構造分析は男女賃金格差ランキングを参照してください。

就活での活用テクニック

テクニック1: 同業比較で「選んだ理由」を語る

「御社と○○社の有報を比較し、男性育休取得率が{X}ポイント高いことに注目しました。制度だけでなく実際に取得できる文化があることが、御社を志望する理由の一つです。」

テクニック2: 3指標セットで企業理解の深さを見せる

「御社の有報で男性育休取得率が{X}%、女性管理職比率が{Y}%と拝見しました。育休取得の文化が根付いている一方で、管理職比率の向上に取り組まれている点に関心があります。」

テクニック3: 逆質問で「平均取得日数」を聞く

「有報で男性育休取得率{X}%と拝見しましたが、実際の平均取得期間はどの程度ですか? 取得された方の周りの反応もお聞かせいただけますか?」

取得率は有報で確認できますが、取得日数は開示義務がないため、面接で直接聞くことで有報には載っていない情報を引き出せます。

→ 面接前の企業分析については女性活躍推進ランキングも参考になります。

まとめ

男性育休取得率は、企業のワークライフバランスへの本気度を測る重要な指標です。

読み方わかること就活での使い方
取得率の水準育休文化が根付いているか同業他社と比較して評価
業界構造を考慮IT・商社は高め、製造業は構造的に低め業界内での相対位置で判断
3指標セット育休取得率だけでは見えない実態女性管理職比率・賃金格差と合わせる
改善の方向性企業の取り組み姿勢目標値と取り組み施策を確認

取得率が高いだけでなく、「なぜ高いのか」「他の指標とのバランスはどうか」まで読み解けることが、有報を活用する就活生の差別化ポイントです。取得率の定義(分母・分子の範囲)は企業ごとに異なる場合があり、連結・単体の違いにも注意が必要です。

次のアクション

本記事のデータは各社の有価証券報告書(EDINET)に基づいています。ランキングは参考情報であり、投資判断を目的としたものではありません。

よくある質問

男性育休取得率は有報のどこに書いてありますか?

2023年3月期以降の有報では『従業員の状況』セクションに『男性労働者の育児休業取得率』の開示が義務化されています。人的資本情報の一環として記載されており、EDINETで企業名を検索して有報を開けば確認できます。

男性育休取得率が100%を超えるのはなぜですか?

前年度に子どもが生まれた従業員が翌年度に育休を取得した場合、当年度の出生者数に対する比率が100%を超えることがあります。三菱商事の163.9%は前年度分の取得が含まれており、制度利用が非常に積極的であることを示しています(2025年3月期有報)。

取得率が高ければ働きやすい企業と言えますか?

取得率は重要な指標ですが、取得日数が数日のケースもあります。取得率だけでなく、女性管理職比率や男女賃金格差と合わせて3指標セットで見ると、実態に近い判断ができます。面接で『平均取得日数』を逆質問すると、さらに深い情報を得られます。

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