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広告業界の全体像|有報で見る電通×博報堂DYの業界構造

最終更新: 約14分で読了
#広告業界 #電通 #博報堂 #有報 #就活 #業界比較 #企業研究

「電通と博報堂、どっちがいいですか?」──就活生からよく聞かれる質問です。しかし、電通グループは2025年12月期に減損4,026億円を計上して最終赤字3,276億円、一方の博報堂DYホールディングスは黒字108億円を維持という状況を知っている就活生は多くありません。同じ「広告業界」でも、業績局面がまったく異なるのです。

この記事では、広告業界の2大プレイヤーである電通グループと博報堂DYホールディングスを、有価証券報告書で比較します。読み終わる頃には「2社の収益構造とグローバル展開の違い」「電通の再建フェーズと博報堂DYの構造変革フェーズ」「どちらの会社に向いているか」がわかる状態になります

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博報堂DYを深掘りたい博報堂DYの有報分析
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有報の読み方がわからない方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。記事中の専門用語は用語集で確認できます。

Map / 業界の全体像 電通GP1.20兆円・博報堂DY GP3,996億円・両社で連結従業員9.7万人

広告業界とは|数字で見る業界の全体像

広告業界の有報を読む際、最も重要な指標は売上総利益(Gross Profit)です。広告業界の売上高にはメディア費用のパススルー(広告主から預かったメディア枠の代金)が含まれるため、売上高の比較では2社の実力差を正しく反映できません。

比較項目電通グループ博報堂DYホールディングス
売上総利益1兆1,975億円3,996億円
営業利益-2,892億円(IFRS)376億円
調整後営業利益1,725億円―(日本基準)
最終損益-3,276億円108億円
海外比率GP約60%売上約27%
連結従業員数67,454人29,386人
自己資本比率11.7%37.2%
会計基準IFRS(12月決算)日本基準(3月決算)

電通グループ 2025年12月期有報 / 博報堂DYHD 2025年3月期有報に基づく。

売上総利益ベースでは電通が博報堂DYの約3倍の規模ですが、業績局面は対照的です。電通のIFRS営業利益-2,892億円は、のれん減損4,026億円や構造改革費用330億円などの一時的要因を含んだ数値です。これらを除いた調整後営業利益は1,725億円で、事業としての収益力は維持されています。

電通は2025年12月期に「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況」が存在すると有報で開示しています。個別決算が債務超過となったためですが、グループ全体の資金繰りは問題ないとしています。

面接で使うなら: 「広告業界は、電通と博報堂DYで業績局面が大きく異なると認識しています。電通は売上総利益1.20兆円のグローバル企業ですが、海外事業の減損が続き再建フェーズにあります。博報堂DYは売上総利益3,996億円で黒字を維持しながら構造変革を進めています。自分は〇〇な環境で経験を積みたいと考えており、御社の事業環境に惹かれました」

Model / 2社のビジネスモデル 電通:海外GP60%のグローバル企業 / 博報堂DY:国内売上73%の構造変革

広告業界は何で稼いでいるか|2社のビジネスモデル比較

2社のグローバル展開には大きな差があります。

電通グループ|売上総利益の約60%が海外

電通は日本・Americas・EMEA・APACの4地域セグメントで事業を展開しています(2025年12月期有報)。

リージョン売上総利益調整後OPマージン
日本4,956億円1,211億円24.4%
Americas3,157億円723億円22.9%
EMEA2,719億円338億円12.4%
APAC1,073億円27億円2.5%

電通グループ 2025年12月期有報 セグメント情報に基づく。

日本事業のマージンが24.4%と突出して高く、海外事業のマージン改善が全社業績の鍵です。Americas・EMEAでは大規模な減損損失(Americasで3,014億円、EMEAで999億円)を計上しており、過去のM&Aで取得した事業の価値が大幅に毀損しています。

サイトで読む場合: 電通のセグメント詳細・再建戦略は電通グループの有報分析で深掘りしています。

博報堂DYホールディングス|国内売上比率73%

博報堂DYは単一セグメント報告ですが、地域別売上高が開示されています(2025年3月期有報)。

地域売上高構成比
日本6,954億円72.9%
海外2,579億円27.1%

博報堂DYHD 2025年3月期有報に基づく。

海外事業は戦略事業組織kyuを中心に展開していますが、kyu構造改革として機能の統廃合と固定費削減に取り組んでいる段階です。マーケティング領域でのグローバル連携を強化するkyu Pulseを組成し、競争力の再構築を図っています。

サイトで読む場合: 博報堂DYの構造変革戦略は博報堂DYの有報分析で詳述しています。

Strategy / 戦略フェーズの対比 電通:不振事業立て直し+コスト500億円削減 / 博報堂DY:6事業領域展開

戦略の方向性|再建フェーズ vs 構造変革フェーズ

電通グループ|M&A偏重からの転換

電通は新中期経営計画(2025-2027年)で、過去のM&A偏重の成長戦略を明確に転換しました(2025年12月期有報「経営方針」)。

  • 不振ビジネスの立て直し: 赤字マーケットゼロを目標(中国・オーストラリアは黒字転換済み)
  • コスト削減: 2027年度に年間500億円規模の効果見込み(2025年度に140億円実現済み)
  • 定量目標: オーガニック成長率4%、マージン16-17%、ROE10%台中盤(2027年度)
  • 事業フォーカス: IGS(マーケティング×テクノロジー×コンサルティング)とスポーツ&エンタメのグローバル展開
電通の有報には「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在」と記載されています。これは個別決算が債務超過となったためですが、有報では「グループ全体の資金繰り等の観点から継続性に関する懸念はない」と説明しています。就活生としては、この状況を「リスク」と捉えるか「再建に携わる機会」と捉えるかで、志望理由が変わってきます

博報堂DYホールディングス|広告会社からクリエイティビティ・プラットフォームへ

博報堂DYはグローバルパーパス「Aspirations Unleashed」のもと、6つの事業領域への展開を進めています(2025年3月期有報「経営方針」)。

  • デジタル統合: 2024年4月にHakuhodo DY ONE設立(デジタルマーケティング集約)
  • フルファネル化: 博報堂×博報堂DYメディアパートナーズを2025年4月に統合
  • ITコンサル参入: HAKUHODO ITTENI(デマンドチェーン)、HAKUHODO BRIDGE(デジタルサービス)を2025年4月設立
  • 中期目標: 調整後のれん償却前OP成長率+10%/年、GP成長率+5%/年、マージン13%以上

面接で使うなら: 「電通は海外事業の減損が続く中で、不振ビジネスの立て直しとコスト500億円削減という再建フェーズにあると認識しています。博報堂DYは黒字を維持しながら6事業領域への構造変革を進めています。自分は〇〇という環境で働きたいと考えており、御社の戦略フェーズに共感しています」

Risk / 業界共通の構造課題 東京五輪事案/テック・コンサル参入/AI競争の3軸

業界共通のリスク|有報が語る業界全体の課題

共通リスク:東京五輪独禁法事案

2社に共通する経営リスクとして、東京2020オリンピック・パラリンピックに関する独占禁止法違反事案があります。電通は2025年12月に最高裁で上告棄却が確定、博報堂も有罪判決を受け控訴中です(各社有報「事業等のリスク」)。両社とも再発防止策の完了を報告していますが、コンプライアンス改革の定着が引き続き経営課題です。

共通リスク:テック・コンサル企業の参入

両社の有報に共通して記載されているのが、テクノロジー企業・コンサルティング企業による競争激化です。AI等への巨額投資を行う企業との競争で、広告業界の伝統的なポジションが変化しています

電通固有のリスク

項目内容
財務リスク自己資本比率11.7%と低水準。個別決算が債務超過
減損リスクのれん減損が業績を大きく振らす構造。2025年12月期に4,026億円計上
人材リスク海外67,454人の大組織。One dentsuモデルの浸透が課題

博報堂DY固有のリスク

項目内容
資本効率自己資本比率37.2%と安定だがROE 2.8%と資本効率が低い
構造改革kyu構造改革の成否。新設3社の立ち上がりリスク
契約慣行取引慣行上、正式契約書を締結しないことが多いと有報で開示
両社のリスク情報を比較すると、電通は「財務の安定性」がリスク、博報堂DYは「資本効率」がリスクという対照的な構造が見えます。電通は自己資本比率11.7%で財務基盤の回復が急務、博報堂DYはROE 2.8%で収益性の向上が課題です。どちらのリスクを「機会」と捉えるかで、キャリア選択が変わります。
Career / どちらの会社に向いているか グローバル再建 vs 国内構造変革

キャリア選びの軸|どちらの会社に向いているか

有報のデータから見える両社の実態を踏まえ、どちらの会社に向いているかを整理します。

電通グループが合う可能性が高い人

  • グローバルで働きたい人。海外GP比率約60%、Americas・EMEA・APACの4リージョン体制
  • 大きな変革に関わりたい人。グローバル再建フェーズ、コスト500億円削減と事業立て直しの渦中
  • テクノロジー×マーケティングに関心がある人。IGS戦略でマーケティング・テクノロジー・コンサルティングの融合を推進

博報堂DYが合う可能性が高い人

  • 国内で基盤を築きたい人。国内売上比率73%、博報堂の生活者発想が事業の根幹
  • 安定した財務基盤を重視する人。自己資本比率37.2%、電通の11.7%と大きな差
  • 新規事業立ち上げに関心がある人。ITコンサル新会社(HAKUHODO ITTENI・HAKUHODO BRIDGE)を2025年4月設立

両社に共通して学ぶと有利な分野

分野理由
デジタルマーケティング両社ともデジタル・テクノロジー領域への投資を成長の柱に
データ分析・AIテック企業との競争激化、AI活用が競争優位の条件に
英語力電通は海外GP60%、博報堂DYもグローバル展開を拡大中

面接で使うなら: 「電通はグローバル再建フェーズにあり、海外事業の立て直しという大きな変革に携われる環境です。博報堂DYは黒字基盤の上で6事業領域への構造変革を進めています。自分は〇〇を重視しているので、御社のキャリア環境に惹かれました」

Interview / 業界全体を語れるフレーズ 3つのフレームで業界研究の深さを示す

面接で使える業界知識|業界全体を語れるフレーズ集

面接で「広告業界をどう見ていますか?」と聞かれたら、以下のような話ができると差がつきます。

話題1|2社の業績局面の違いを語る

「広告業界は、電通と博報堂DYで業績局面が大きく異なると認識しています。電通は売上総利益1.20兆円のグローバル企業ですが、2025年12月期に4,026億円の減損損失を計上して最終赤字3,276億円となっています。博報堂DYは売上総利益3,996億円で純利益108億円の黒字を維持しています。自分は〇〇という環境で働きたいと考えており、御社の事業環境に惹かれました」

話題2|グローバル展開の違いを語る

「電通は海外売上総利益比率が約60%のグローバル企業で、日本・Americas・EMEA・APACの4リージョン体制を持っています。博報堂DYは国内売上比率が約73%で、kyuを中心とした海外展開を構造改革しながら進めています。自分は〇〇なキャリアを志向しており、御社のグローバル展開に関心を持っています」

話題3|戦略フェーズの違いを語る

「電通は過去のM&A偏重からの転換を掲げ、不振ビジネスの立て直しとコスト500億円削減を進める再建フェーズにあると認識しています。博報堂DYはHakuhodo DY ONEの設立やITコンサル参入など、6事業領域への構造変革フェーズにあります。御社の〇〇という戦略に共感しています」

サイトで読む場合: 個社別の「なぜ御社か」フレーズと面接質問への準備は、電通グループの有報分析博報堂DYの有報分析で詳述しています。

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広告業界の各企業を有報データで個別に深掘りした記事です。気になる企業の記事から読んでみてください。

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まとめ|次のアクション

広告業界の有報を比較すると、同じ「広告業界」でも電通と博報堂DYで業績局面と戦略フェーズが大きく異なることがわかります。本記事のkeyInsightsを再確認します。

  1. 電通は売上総利益1.20兆円・海外GP比率60%のグローバル企業、博報堂DYは売上総利益3,996億円・国内売上比率73%──事業構造が根本的に違う
  2. 電通は減損4,026億円・最終赤字3,276億円で個別決算が債務超過、博報堂DYは営業利益376億円・純利益108億円で黒字維持──業績局面が正反対
  3. 電通は不振ビジネスの立て直しとコスト500億円削減が最優先課題、博報堂DYは6事業領域への構造変革とITコンサル参入を推進──戦略フェーズが異なる

業界全体の俯瞰ができたら、次は自分のフェーズに合わせて深掘りに進んでください。

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広告業界は「華やかなクリエイティブの世界」というイメージで語られがちですが、有報を読むと電通と博報堂DYは異なる業績局面と戦略フェーズにあることがわかります。イメージではなく事実で会社を選ぶ──そのための入口として本記事を使ってください。

本記事のデータは各社の有価証券報告書(EDINET)に基づいています。電通グループはIFRS・2025年12月期、博報堂DYは日本基準・2025年3月期のため、会計基準と決算期の違いにより単純比較には限界があります。投資判断を目的としたものではなく、就職活動の参考情報として提供しています。

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よくある質問

電通と博報堂DYの最大の違いは何ですか?

有報から読み取れる最大の違いはグローバル展開の規模です。電通グループは売上総利益の約60%が海外(Americas・EMEA・APAC)で、4地域セグメント体制のグローバル企業です。一方、博報堂DYは売上高の約73%が国内で、海外事業はkyuを中心に拡大途上です。

広告業界の有報で特に見るべき指標は何ですか?

売上総利益(Gross Profit)が最も重要です。広告業界の売上高にはメディア費用のパススルーが含まれるため、売上高での比較は実力を反映しません。電通は売上総利益1.20兆円、博報堂DYは3,996億円が実態ベースの収益力です。

電通と博報堂DYの年収はどのくらい違いますか?

有報の平均年間給与は電通グループ約1,596万円、博報堂DY約1,092万円ですが、両社とも純粋持株会社であり本社社員数は電通135人・博報堂DY174人と極めて少数です。この数値は広告会社の一般社員の年収を示すものではない点に注意が必要です。

広告業界は今後も成長しますか?

電通は2025年12月期に4,026億円の減損損失を計上し、継続企業の前提に重要な疑義が生じる状況にあります。中期経営計画で不振ビジネスの立て直しとコスト削減を進めています。博報堂DYは黒字を維持しつつ6事業領域への構造変革を推進中です。

広告業界の面接で有報データをどう活かせますか?

電通なら『海外売上総利益比率60%のグローバル企業として、減損4,026億円を乗り越える再建フェーズに関わりたい』、博報堂DYなら『6事業領域への構造変革とITコンサル参入』など、有報の戦略データで志望理由に定量的な根拠を持たせられます。

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