この記事のデータはクボタの有価証券報告書(2025年12月期)に基づいています。 有報データの面接活用法の基本は面接で差をつける企業分析|有報データの活用術で押さえておくと、この記事がさらに活きます。
クボタの面接対策で「農業機械の会社」「グローバル展開」といったキーワードを並べる就活生は少なくありません。しかし面接官が知りたいのは、「あなたがクボタの方向性を理解し、そこに自分を重ねられるかどうか」です。
この記事では、有価証券報告書が示すクボタの投資方向性とGMB2030(長期ビジョン「命を支えるプラットフォーマー」)から「求める人材像」を逆算し、ガクチカ・自己PR・志望動機を一貫したストーリーにする方法を解説します。
有報が示すクボタの方向性

クボタが今どこに向かっているのか。有報の設備投資・R&D費の配分と経営方針から、3つの方向性が浮かび上がります。
経営体制改革と「両利きの経営」
2025年12月期の有報で最も注目すべきは、新中期経営計画(2026-2030)の策定です。前中計期間中に営業利益率が低下傾向にあったことを自ら課題と認識し、「物量重視から収益性・資本効率重視への質的改善」を宣言しています(2025年12月期有報 経営方針)。
具体的には、チーフオフィサー制を導入して機械・水環境それぞれの事業特性に合った運営体制へ移行。「両利きの経営」で既存事業の深化と新規事業の探索を両立する方針です。キャッシュの効率的な活用で設備投資を厳格にコントロールし、AI活用・DXによる業務の大幅見直しも推進しています(2025年12月期有報 経営方針)。
機械事業の収益性改善と成長3本柱
設備投資1,798億円のうち機械事業が1,537億円(85.5%)、R&D費1,103億円のうち機械事業が1,035億円(93.8%)と、経営資源の大部分が機械事業に集中しています。成長の3本柱は建設機械事業・インド「発」事業・ライフサイクルサポート事業です。BCP対応・北米増産投資が設備投資の中心を占めています(2025年12月期有報 設備投資等の概要・経営方針)。
売上高は約3兆189億円で前期とほぼ横ばいですが、当期純利益は約1,867億円と前期比19%減少しています。製品・事業の競争力低下と固定費の高止まりが原因であり、ヒット商品の創出が少なくなっていることも有報で認めています(2025年12月期有報 経営方針)。
スマート農業・自動運転・カーボンニュートラル技術
KSAS AIチャット機能(農業経営の質問にAIが回答)、GS直進自動操舵のラインアップ拡充、無人運転水素燃料電池トラクタ(大阪・関西万博出展コンセプトモデル)など、具体的な開発成果が出ています。電動化農機の開発も進めており、カーボンニュートラルに向けた製品化を推進しています(2025年12月期有報 研究開発活動)。
見落とせない水環境事業
設備投資178億円の水・環境セグメントは、カンパニー化により自立運営体制を確立しています。ダクタイル鉄管・環境プラント・ポンプを手がけ、GX形ダクタイル鉄管の大口径化や四足歩行ロボットによる自動巡視点検技術の開発も進めています。「農機の会社」という表面的理解にとどまらず、食料・水・環境を一体で捉える企業であることを理解しているかが面接での差になります(2025年12月期有報 経営方針・研究開発活動)。
MVVとの接続: GMB2030「豊かな社会と自然の循環にコミットする”命を支えるプラットフォーマー”」は、食料(農業機械)・水(水環境事業)・環境(電動化・カーボンニュートラル)の3領域を一体で推進する方向性そのものです。新中計でチーフオフィサー制を導入して機械と水環境を分離しつつも、長期ビジョンでは3領域の統合を掲げている点が、クボタの戦略の核心です。
数値の詳細な分析はクボタの企業分析記事で確認できます。
この方向性が求める人材像

クボタの3つの方向性から、「今どんな人材を求めているか」を逆算します。
3方向に共通して求められるのが、「食料・水・環境の社会課題にテクノロジーで向き合う」姿勢です。クボタは連結52,503人の組織です(2025年12月期有報 従業員の状況)。純利益19%減という踊り場にある今、「物量重視→収益性重視」への質的改善を推進する変革の当事者意識を持てるかが問われます。
経営改革が求める人材
新中計で「両利きの経営」を掲げるクボタでは、既存事業の効率化と新規事業の探索を同時に推進できる人材が求められています。チーフオフィサー制の導入により、機械と水環境がそれぞれ自立運営する中で、事業横断的な視点を持つ力が重要です。AI活用・DXによる業務見直しにも前向きに取り組む姿勢が問われます。
グローバル成長が求める人材
北米・インドを中心に事業を拡大するクボタでは、海外での事業推進力が求められます。建設機械事業・インド「発」事業・ライフサイクルサポート事業の3本柱は、いずれもグローバル展開が前提です。単なる語学力ではなく、現地の商慣習や顧客ニーズを理解し、パートナーシップを構築する力が重要です。
スマート農業・電動化が求める人材
KSAS AIチャット機能や無人運転水素燃料電池トラクタが示すように、クボタは「農業機械メーカー」から「農業テクノロジー企業」への転換を進めています。AI・データ分析・ロボティクスの素養を持ちつつ、農業や建設の現場課題を理解して技術を社会実装できる人材が求められています。
ガクチカの切り取り方

ガクチカは「何をしたか」の事実より、「それをどう語るか」の切り取り方で印象が変わります。クボタの方向性に合わせた切り取りの考え方を整理します。
経営改革に合わせる
既存のやり方を改善し、成果を数字で示した経験が響きます。
- サークル・部活動の運営改革 | 非効率な運営を見直し、コスト削減や参加率向上を実現した経験が、「物量→収益性」の質的改善と接続する
- アルバイト先の業務効率化 | 業務プロセスを分析し、改善提案を実行して成果を出した経験が、AI活用・DXによる業務見直しの姿勢と重なる
- ゼミでの新しい手法の導入 | 従来の研究手法にデータ分析やデジタルツールを導入した経験が、「両利きの経営」の探索活動と接続する
「現状を疑い、データに基づいて改善策を実行した」プロセスがあれば、新中計の変革方針と自然に接続できます。
グローバル成長に合わせる
海外での経験や異文化環境で成果を出した経験を中心に語ります。
- 留学先での共同プロジェクト | 異なる価値観のメンバーと成果を出した経験は、北米・インドでの現地パートナーシップ構築と直接重なる
- 海外インターン・ボランティア | 現地の課題を自ら発見し、解決に動いた経験は、インド「発」事業のような成長市場開拓の姿勢と接続する
- 外国人留学生との協働 | 日常的に異文化環境で動いた経験は、連結52,503人のグローバル組織で働く現場力と結びつく
クボタの海外事業比率は拡大を続けており、「グローバルに働く」が抽象的な憧れではなく具体的な覚悟として語れるかがポイントです。
スマート農業・電動化に合わせる
技術を社会課題に応用した経験が有効です。
- 研究室でのデータ分析・AI開発 | 技術を実際の課題解決に応用した経験は、KSAS AIチャット機能のような「現場で使える技術」を開発する姿勢と重なる
- ハッカソン・プログラミングコンテスト | 限られた時間で技術的な解決策を形にした経験は、スマート農業の社会実装に必要な実行力の証明になる
- 農業・地域課題へのフィールドワーク | 現場に足を運び、技術では見えない課題を理解した経験は、農業機械メーカーの「現場起点」の開発思想と接続する
「技術が好き」だけでなく、「その技術で誰のどんな課題を解決するか」まで語れると、スマート農業の方向性と強く接続します。
共通ポイント: いずれの場合も、「食料・水・環境という社会課題にテクノロジーで向き合う」姿勢を含めることが大切です。クボタは純利益19%減という踊り場にありながら新中計で変革を宣言した企業です。短期の成果だけでなく、「この課題に長く向き合い続けたい」という粘り強さと、「現状を変える当事者意識」の両方が伝わるエピソードを選びましょう。
自己PRの組み立て方
自己PRは「あなたの強み」と「クボタの方向性」の交差点を見つけることから始まります。
3ステップで組み立てる
- 強みを一言で定義する — 例: 「技術的な知見を現場の課題解決に結びつける力」
- 裏付けるエピソードを選ぶ — ガクチカと重なってもOK。具体的な数字や変化を含めると説得力が増します
- クボタの方向性と接続する — 有報データを使って「なぜクボタで活かせるか」を示す
ステップ3の具体例:
「この力は、御社がR&D費1,103億円のうち93.8%を機械事業に投じ、KSAS AIチャット機能や無人運転水素燃料電池トラクタを実用化している方向性に通じると考えています。技術を研究で終わらせず、農業や建設の現場で使える形にする。その環境で自分の強みを活かしたいと考えています。」
クボタの組織文化を理解する
連結52,503人の組織で、売上高約3兆189億円。しかし当期純利益は約1,867億円で前期比19%減少しています(2025年12月期有報 従業員の状況・経理の状況)。成長の踊り場にある今、新中計で「物量→収益性」への転換を掲げた変革期にあります。「安定した大企業」というイメージだけでなく、組織の変革に前向きに関わる姿勢を示せると、面接官の印象が変わります。
人的資本の取り組みを活用する
クボタは人的資本に関する取り組みを進めています(2025年12月期有報 従業員の状況)。
- チーフオフィサー制の導入による経営体制改革(機械・水環境の自立運営)
- グローバル人材育成体制の強化(海外事業拡大に対応)
- AI活用・DXによる業務見直しの推進(新中計の柱の一つ)
自己PRの中でこうした組織改革への共感を示すことも有効です。特に新中計で掲げた変革に触れることで、クボタの今を理解していることをアピールできます。
志望動機|なぜクボタか
「なぜ機械メーカーか」の組み立て
テクノロジーで社会課題を直接解決できること、ものづくりを通じてグローバルに価値を届けられること、など業界全体の魅力を簡潔に述べます。ここは深掘りしすぎず、次の「なぜクボタか」に重点を置きます。
「なぜクボタか」を他社との違いで示す

ここで他の機械メーカーとの違いを有報データで示せるかが勝負どころです。
コマツとの違い
コマツは建設機械・鉱山機械が主力で、ICT施工・自動化に強みを持ちます。対してクボタは農機+建機+水環境の3領域を一体で展開しており、「食料・水・環境の社会課題を横断的に解決する」点が最大の違いです。クボタのR&D費1,103億円のうち93.8%が機械事業に集中しているのに対し、コマツは建設機械・車両に集中しており、投資先の領域が異なります。コマツの面接対策はコマツの面接対策で確認できます。
ヤンマーとの違い
ヤンマーは非上場で経営情報の公開が限定的ですが、農業機械・建設機械・エネルギーシステムを手がける点でクボタと領域が重なります。クボタは上場企業として有報で経営方針・投資計画を詳細に開示しており、就活生にとってはデータに基づいた企業理解がしやすい環境です。
ディア(John Deere)との違い
ディアは農機世界最大手として大規模農業向けの大型機械と精密農業テクノロジーに強みを持ちます。クボタは小型〜中型機械を中心にアジアや日本の中小規模農業に強く、さらに水環境事業という独自の柱を持っています。「大規模農業のディア、中小規模農業+水環境のクボタ」という構図を理解していることが重要です。
井関農機との違い
井関農機は国内農機専業で田植機・コンバインに強みがありますが、海外展開は限定的です。クボタは売上高約3兆189億円のグローバル企業で、農業機械に加え建設機械・水環境事業を展開しています。「農機の技術を極めたい」なら井関農機、「農機を起点にグローバルで社会課題を解決したい」ならクボタという整理ができます。
最終的に、GMB2030の「命を支えるプラットフォーマー」と自分の価値観が重なる部分を言語化できると、志望動機に一本の軸が通ります。重工・機械メーカーの投資方向性を比較したい方は重工・機械メーカーの有報データ比較が参考になります。ESに有報データを織り込む具体的な方法は、ESの志望動機に差をつける|有報データの活用法もあわせてご覧ください。
クボタの面接で差がつく逆質問
逆質問は「何を聞くか」で企業理解の深さが表れます。有報の記述を具体的に引用した質問は、面接官に強い印象を残します。
1. 新中計の変革の具体像を問う
「新中期経営計画(2026-2030)で『物量重視から収益性・資本効率重視への質的改善』を掲げていますが、現場の若手社員にとって具体的にどのような変化が生じていますか?」
この質問のポイント: 新中計の核心を正確に把握し、変革の当事者として関わる意欲を示せます(2025年12月期有報 経営方針)。
2. KSAS AIチャットとスマート農業を問う
「KSAS AIチャット機能やGS直進自動操舵のラインアップ拡充など具体的な成果が出ていますが、スマート農業のさらなる進化に向けてどのような技術課題に取り組まれていますか?」
この質問のポイント: 具体的な製品名と技術を引用することで、スマート農業への深い関心と技術理解力を示せます(2025年12月期有報 研究開発活動)。
3. インド「発」事業の展望を問う
「成長の3本柱の一つである『インド発事業』について、インド市場でトラクタの新製品投入と小売金融事業を展開されていますが、この事業に新卒が携わる具体的な機会はどのようなものですか?」
この質問のポイント: 成長戦略の具体的な柱を把握し、入社後のキャリアイメージを持っていることを示せます(2025年12月期有報 経営方針)。
4. 純利益19%減の課題認識を問う
「有報で当期純利益が前期比19%減少し、営業利益率の低下傾向を自ら課題と認識されていますが、新中計での具体的な改善施策を教えてください。」
この質問のポイント: 多くの就活生が触れない「課題」に正面から向き合い、有報を読み込んでいることを証明できます。課題を理解した上で入社する姿勢は、面接官に好印象を与えます(2025年12月期有報 経営方針)。
5. 水素燃料電池トラクタの事業化を問う
「大阪・関西万博で出展された無人運転水素燃料電池トラクタについて、コンセプトモデルから商用化までのロードマップをどのように描いていますか?」
この質問のポイント: 技術的な成果だけでなく事業化までの視野を持っていることを示し、カーボンニュートラルへの本気度を感じさせる質問です(2025年12月期有報 研究開発活動)。
逆質問のさらに詳しい組み立て方は面接で差をつける企業分析|有報データの活用術で解説しています。
まとめ
クボタの面接対策の核心は、有報が示す3つの方向性(経営体制改革と「両利きの経営」、機械事業の収益性改善と成長3本柱、スマート農業・自動運転・カーボンニュートラル技術)とGMB2030「命を支えるプラットフォーマー」から「求める人材像」を逆算し、ガクチカ・自己PR・志望動機を一貫したストーリーにすることです。
表面的な「農業機械の会社」というキーワードではなく、純利益19%減の踊り場で新中計の変革を宣言した経営判断、設備投資1,537億円(85.5%)の機械事業への集中投資、KSAS AIチャットや水素燃料電池トラクタといった有報の具体的な数字と事実を使いこなすこと。それが、面接官に「この学生はクボタを理解している」と思わせる最短ルートです。
次のアクション:
- 事業構造を深掘りしたい方は → クボタの企業分析記事で有報データの詳細を確認できます
- 面接での有報活用の基本を押さえたい方は → 面接で差をつける企業分析|有報データの活用術で汎用テクニックを学べます
- ESに有報データを織り込みたい方は → ESの志望動機に差をつける|有報データの活用法が参考になります
- 同業他社の面接対策と比較したい方は → コマツの面接対策・日立の面接対策で「なぜクボタか」の答えがさらに磨かれます
- 重工・機械メーカーをデータで比較したい方は → 重工・機械メーカーの有報データ比較で俯瞰できます
本記事のデータは株式会社クボタの有価証券報告書(2025年12月期・EDINET)に基づいています。投資判断を目的としたものではありません。企業の将来の業績を保証するものではなく、最新情報はクボタの公式IR資料をご確認ください。社風や職場の雰囲気、上司との関係性は有報ではわかりません。OpenWork等の口コミサイトやOB/OG訪問を併用して判断しましょう。