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SaaS企業5社を有報で比較|freee・サイボウズ・マネフォ・Sansan・オービック

最終更新: 約10分で読了
#SaaS #freee #サイボウズ #マネーフォワード #Sansan #オービック #企業比較 #IT就活
この記事でわかること
1. SaaS5社の売上・利益・従業員データの比較
2. 「成長投資型」と「高収益安定型」のビジネスモデル構造差
3. 各社の投資方向性から読み解くキャリア選択のヒント

「SaaS企業に入りたいけど、どの会社が自分に合うのかわからない」──IT志望の就活生にとって、SaaS企業の選び方は大きな悩みです。就活メディアでは「成長企業」「急成長中」といった言葉が並びますが、有報を読むと、同じSaaS企業でも利益構造や投資方向性がまったく異なることがわかります。

この記事では、freee・サイボウズ・マネーフォワード・Sansan・オービックの5社の有報データを横断比較し、キャリア選択に役立つ構造的な違いを解説します。

この記事のデータは各社の有価証券報告書に基づいています。有報の読み方全体を押さえたい方は有価証券報告書の読み方完全ガイドをご覧ください。

結論|SaaS5社の比較でわかった「成長」と「安定」の構造差

SaaS企業を有報で比較すると、「成長投資型」と「高収益安定型」の2つのグループに分かれることが明確になります。

分類企業名売上高利益連結従業員数平均年収(単体)平均勤続年数
成長投資型freee約332億円経常利益 約4億円1,901名約688万円2.2年
成長投資型マネーフォワード約503億円営業利益 -26億円2,839名約723万円2.9年
成長投資型Sansan約432億円営業利益 約28億円2,235名約780万円3.1年
高収益安定型サイボウズ約296億円営業利益 約48億円1,321名約687万円6.2年
高収益安定型オービック約1,212億円営業利益 約783億円2,189名約1,103万円13.0年

出典: freee 2025年6月期、サイボウズ 2024年12月期、マネーフォワード 2025年11月期、Sansan 2025年5月期、オービック 2025年3月期 各社有価証券報告書

この表から見える構造差は2つです。1つ目は利益率の差です。オービックの営業利益率は約64.6%と圧倒的で、サイボウズも約16.5%と安定的です。一方、freeeは2025年6月期に初の営業黒字化を達成したばかりで(経常利益約4億円)、マネーフォワードはまだ営業赤字が続いています。2つ目は働き方の差です。オービックの平均勤続年数13.0年に対し、freee2.2年・Sansan3.1年と、キャリアの積み方がまったく異なります。

有報データで見る5社の稼ぎ方|売上構造とセグメント

SaaS企業とは、ソフトウェアをクラウド経由で月額課金(サブスクリプション)で提供するビジネスモデルです。ただし、同じSaaSでも「何を」「誰に」売っているかで収益構造は大きく変わります。

xychart-beta
    title "SaaS5社の売上高比較"
    x-axis ["freee", "サイボウズ", "マネーフォワード", "Sansan", "オービック"]
    y-axis "億円" 0 --> 1300
    bar [332, 296, 503, 432, 1212]

オービックの売上高は1,212億円と5社中で突出しています。ただし注目すべきは売上の「中身」の違いです。

freeeは「スモールビジネス向けクラウドERP」を掲げ、プラットフォーム事業の単一セグメントで運営しています。有料課金ユーザー企業数は606,533件(2025年6月期末)と個人事業主から中小企業まで幅広い顧客基盤を持ち、サブスクリプション売上比率は90%超です(2025年6月期有価証券報告書)。

サイボウズも「ソフトウェアの開発・販売」の単一セグメントですが、主力製品「kintone」を中心に、エンタープライズ市場の開拓を進めています。売上高は296億円で、営業利益率約16.5%と安定した収益力を持っています(2024年12月期)。

マネーフォワードは5つのセグメントを展開する多角化型です。主力のBusinessセグメント(マネーフォワード クラウド等)が売上の約71%を占める360億円で、SaaS Marketing、Home(マネーフォワード ME等)、X(金融機関向けDX)、Financeと事業領域を広げています(2025年11月期)。

Sansanは「Sansan/Bill One事業」と「Eight事業」の2セグメント体制です。営業DXサービス「Sansan」に加え、経理DXサービス「Bill One」が急成長しており、Sansan/Bill One事業で377億円、Eight事業で50億円を計上しています(2025年5月期)。

オービックは統合基幹業務システム「OBIC7」を軸に、システムインテグレーション(503億円)、システムサポート(630億円)、OA(78億円)の3セグメントで構成されています。システムサポート事業の利益率が高く、導入後の運用支援・保守サービスが安定収益を生んでいます(2025年3月期)。

5社は何に賭けているのか|投資と成長戦略の方向性

有報のR&D費や設備投資、経営方針を読むと、各社が「何に賭けているか」が見えてきます。

企業名R&D費設備投資主な投資方向性
freee約47億円約39億円AI活用(AIエージェント・AI年末調整)、ERP領域拡大
サイボウズ約12億円約26億円kintoneエンタープライズ認証、グローバル(東南アジア・米国)
マネーフォワード約2億円約94億円Businessセグメント集中投資、中堅企業開拓
Sansan非開示約31億円Bill One拡大、Contract One、生成AI活用
オービック約23億円約20億円OBIC7クラウド対応、業務・業種別システム拡充

出典: 各社有価証券報告書。マネーフォワードのR&D費はMoney Forward Lab等の研究活動費。設備投資にはソフトウェア開発費を含む

freee|AI×ERPで「スモールビジネスの経営OS」を目指す

freeeの有報で注目すべきは、R&D費約47億円(売上高比約14.2%)という高い研究開発投資比率です。AIエージェントや「AI年末調整」など6つのAI新機能を開発しており、単なる会計ソフトではなく「AIが業務を自動化するプラットフォーム」への進化を目指しています。TAM(最大市場規模)を約1.6兆円から約3.6兆円に拡大する構想を描いており、会計・人事労務の枠を超えた事業展開を見据えています(2025年6月期有価証券報告書)。

サイボウズ|kintoneのエンタープライズ×グローバル展開

サイボウズは売上規模こそ5社中最小ですが、安定した利益を出しながらグローバル展開に投資しています。マレーシア、タイに拠点を設立し、リコーとの協業で「RICOH Kintone plus」を中南米・アジアで展開しています。国内では「kintoneエンタープライズ認証」制度を新設し、大規模企業向けの「ワイドコース」を投入するなど、エンタープライズ市場の開拓を進めています(2024年12月期有価証券報告書)。

マネーフォワード|5セグメント体制でBusiness集中投資

マネーフォワードの設備投資約94億円の大部分はソフトウェア開発(約84億円)です。5セグメント体制のうち、Businessセグメントに経営資源を集中させ、中堅企業向けのセールス・マーケティングを強化しています。Businessセグメントの売上高は前期比33.3%増の360億円と高成長を続けていますが、先行投資により同セグメントの営業損益は-12億円です(2025年11月期有価証券報告書)。

Sansan|Bill Oneの急成長と生成AI活用

Sansanは中期財務方針で売上高CAGR22-27%、調整後営業利益率18-23%(2027年5月期)を掲げています。名刺管理の「Sansan」に加え、経理DXの「Bill One」が成長ドライバーで、契約管理の「Contract One」も展開中です。生成AIを活用した機能拡充を各サービスで進めており、アナログ情報のデータ化精度99.9%という独自の強みを持っています(2025年5月期有価証券報告書)。

オービック|自社開発×直販×クラウドの高収益モデル

オービックの営業利益率約64.6%は、SaaS企業としては異例の水準です。この高収益の源泉は、自社開発製品を直接販売する「製販サービス一体体制」にあります。外注に頼らないため利益率が高く、導入後のサポート収益(システムサポート事業630億円)が安定的に積み上がる構造です。R&D費約23億円でOBIC7シリーズの業務・業種別システムやクラウド対応を継続しています(2025年3月期有価証券報告書)。

各社の有報が示す事業リスクも異なります。freee・マネーフォワードは「先行投資が回収できないリスク」、サイボウズは「海外展開リスク」、Sansanは「競合激化リスク」、オービックは「技術革新への対応リスク」をそれぞれ重点的に記載しています。リスクの読み方を詳しく知りたい方は有報のリスク情報の読み方をご覧ください。

キャリアマッチ|自分に合うSaaS企業の選び方

有報の投資方向性と従業員データから、各社で活躍できる人物像が見えてきます。

企業名平均年齢平均勤続年数平均年収連結従業員数
freee33.1歳2.2年約688万円1,901名
サイボウズ35.8歳6.2年約687万円1,321名
マネーフォワード34.3歳2.9年約723万円2,839名
Sansan31.7歳3.1年約780万円2,235名
オービック35.9歳13.0年約1,103万円2,189名

出典: 各社有価証券報告書(単体ベース)。freee 2025年6月期、サイボウズ 2024年12月期、マネーフォワード 2025年11月期、Sansan 2025年5月期、オービック 2025年3月期

成長投資型(freee・マネーフォワード・Sansan)が合う人

  • 変化の速い環境でスピード感を持って働きたい人
  • 新しいプロダクトやサービスの立ち上げに関わりたい人
  • 短期間で幅広い経験を積み、市場価値を高めたい人

freeeのR&D費売上比14.2%やマネーフォワードのソフトウェア開発投資約84億円が示すように、これらの企業はプロダクト開発に大きなリソースを割いています。AI活用やDX推進のスキルを身につけたい人に向いています。freeeが有報で掲げる「原則全日出社」方針やSansanのデータ化技術への注力など、各社の企業文化は異なるため、有報の経営方針セクションを読み比べることをおすすめします。

高収益安定型(サイボウズ・オービック)が合う人

  • 1つの製品を深く理解し、専門性を高めたい人
  • 長期的なキャリアを同じ環境で築きたい人
  • 安定した収益基盤のもとで働きたい人

オービックの勤続年数13.0年・年収約1,103万円が示すように、長期雇用で専門性を高める文化があります。サイボウズは有報で「100人100通りの働き方」を掲げ、チームワークを重視する文化が特徴です。サイボウズのグローバル展開に興味がある方は、海外事業の経験が活かせる可能性があります。

今から学んでおくべきこと

各社の投資方向性から逆算すると、以下のスキルが今後求められると考えられます。

  • freee・Sansan志望: 生成AI・機械学習の基礎知識、プロダクト開発プロセスの理解
  • マネーフォワード志望: バックオフィス業務の知識(会計・人事労務の基本)、法人営業スキル
  • サイボウズ志望: 英語力(グローバル展開加速中)、ノーコード開発やDXコンサルティングの知見
  • オービック志望: 簿記や管理会計の知識(OBIC7は会計中心の統合業務システム)、業種別の業務知識

ただし、有報では社風や日々の働き方の詳細はわかりません。OpenWorkなどの口コミサイトも併用して情報収集することをおすすめします。IT業界全体の年収構造が気になる方はIT業界の年収比較もあわせてご覧ください。

各社の詳細分析

まとめ

SaaS5社の有報を比較すると、同じ「SaaS企業」でも成長フェーズ・利益構造・投資方向性がまったく異なることがわかります。freee・マネーフォワード・Sansanは売上成長と市場開拓に賭ける成長投資型、サイボウズ・オービックは安定した利益を生みながら着実に領域を広げる高収益安定型です。

2025年現在、国内SaaS市場は引き続き拡大基調にあり、各社とも有報でAI活用やDX推進を重点課題に掲げています。SaaS業界は変化が速く、今の収益構造が5年後も同じとは限りません。

気になった企業を深掘りしたい方は、SIer業界との違いが気になる方はSIer5社の比較を、AI・DX投資の全体像を知りたい方はAI・DX投資ランキングをご覧ください。

よくある質問

SaaS企業は赤字でも大丈夫ですか?

SaaSのサブスクリプションモデルは先行投資が必要で、初期は赤字が一般的です。freeeは2025年6月期に営業黒字化を達成し、マネーフォワードも営業赤字を縮小中です。有報で営業キャッシュフローがプラスかどうかが健全性の判断材料になります。

SaaS企業の年収はどのくらいですか?

有報データでは、オービック約1,103万円が突出して高く、Sansan約780万円、マネーフォワード約723万円、freee約688万円、サイボウズ約687万円です。ただし平均勤続年数がオービック13.0年に対しfreee2.2年と大きく異なるため、単純比較には注意が必要です。

SaaS企業で今後求められるスキルは何ですか?

各社の有報の投資方向性から逆算すると、freee・SansanはAI活用スキル、マネーフォワードは中堅企業向けコンサルティング力、サイボウズはグローバルビジネス経験、オービックは業務知識とシステム設計力が今後重視されると読み取れます。

SaaS企業の将来性はありますか?

有報で見る限り、5社とも売上高は成長トレンドにあります。freeeは有料課金ユーザー60万件超、サイボウズのkintoneはエンタープライズ市場開拓中、マネーフォワードはSaaS ARRが加速中です。ただし成長速度や収益化のタイミングは各社で異なるため、有報の投資方向性を見て判断することが重要です。

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