この記事のデータはコーエーテクモホールディングスの有価証券報告書(2025年3月期)に基づいています。 有報データの面接活用法の基本は面接で差をつける企業分析|有報データの活用術で押さえておくと、この記事がさらに活きます。
コーエーテクモの面接対策で「信長の野望が好き」「歴史ゲームに関心がある」と語る就活生は多いでしょう。しかし2025年3月期有報を開くと、第4次中期経営計画(2026年3月期〜2028年3月期)で3カ年累計営業利益1,000億円・単年度400億円達成への再挑戦を掲げ、2025年6月に社長執行役員CEOを新設するという経営体制の刷新フェーズに入った企業の姿が見えてきます。営業利益率30%以上を維持しながら次の飛躍を狙うこの局面を理解しているかどうかが、面接での評価を分けます。
この記事では、有価証券報告書が示すコーエーテクモの投資方向性とパーパス(「創造と貢献 新しい価値を創造して、社会に貢献する」「Level up your happiness」)から「求める人材像」を逆算し、ガクチカ・自己PR・志望動機を一貫したストーリーにする方法を解説します。
有報が示すコーエーテクモの方向性

コーエーテクモが今どこに向かっているのか。2025年3月期有報のセグメント情報と第4次中期経営計画から、3つの方向性が浮かび上がります。
第4次中期経営計画と新経営体制への移行
最も大きな転換点は、2026年3月期から始まる第4次中期経営計画と新経営体制です。中計のテーマは「成長のための基盤づくり」で、3カ年累計営業利益1,000億円・単年度営業利益400億円再挑戦を目標として掲げています。当期実績は売上831億円・経常利益500億円・純利益376億円・ROE20.7%で、ここから飛躍を狙う構図です(2025年3月期有報)。
ガバナンス面では2025年6月に社長執行役員CEOを新設し、取締役会の独立社外取締役を過半数化することで経営の監督と執行の分離を進めます。経営基盤強化(人的資本・ガバナンス)、事業戦略、キャッシュアロケーション(成長投資・利益還元)の3つを柱に据え、組織と仕組みの両面から中計の達成を目指す方針です。
独自IPと自社エンジンによる超高収益体質の維持
コーエーテクモの核心は、独自IPを軸にした驚異的な高収益体質です。経営目標として営業利益率30%以上を継続して掲げ、当期はROE20.7%を実現しています。エンタテインメント事業はセグメント売上777億円(売上構成比93.5%)、セグメント利益315億円で、前期283億円から+11.2%の増益となりました(2025年3月期有報)。
これを支えるのが自社ゲームエンジン「KATANA ENGINE™」です。当期はR&D費110.9億円を投入し、独自エンジン開発と先端技術研究に集中投資しています。IP創出→シリーズ展開→コラボ→IP許諾の4段階で収益を最大化するモデルが、この収益体質を支えています。
新規IP・ジャンル挑戦×既存IP協業のグローバル展開
第4次中計の事業戦略では「新規IP・ジャンルへのチャレンジによる成長と既存IPと協業による安定的な成長」を両立する方針が明示されました。エンタテインメント事業ではコンソール・PC分野、オンライン・モバイル分野、ゲームIPの多方面展開への積極投資を行います。コーエーテクモのIPを「作る力・売る力・生かす力・支える力」を強化することで、世界中のユーザーへ展開する構造です(2025年3月期有報)。
連結従業員2,684名・持株会社単体113名という少数精鋭体制で、信長の野望・三國志・無双シリーズ等の既存IPと新規ジャンル挑戦を両立させる、機動力の高い組織運営が前提になっています。
見落とせない財務基盤の安定性
当期の自己資本比率は89.9%(前期71.1%から大幅改善)と財務基盤は極めて健全です。総資産2,098億円、ROE20.7%という収益性と財務の安定性を両立しており、第4次中計のキャッシュアロケーション(成長投資・利益還元)を進める余力が確保されています(2025年3月期有報)。
MVVとの接続: 「世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニー」のビジョンと、新パーパス「創造と貢献 新しい価値を創造して、社会に貢献する」「Level up your happiness」が経営の核です。価値観として「クオリティ&サティスファクション」「クリエイティブ&ビジネス」「品質・納期・予算」を掲げ、第4次中計の人材育成方針も「クリエイティブ&ビジネス 新しい面白さを実現するクリエイター&成長性と収益性を実現するビジネスパーソン」として明示されています。
数値の詳細な分析はコーエーテクモの企業分析記事で確認できます。
この方向性が求める人材像

コーエーテクモの3つの方向性から、「今どんな人材を求めているか」を逆算します。
3方向に共通して求められるのが、新パーパス「創造と貢献」と価値観「クリエイティブ&ビジネス」を体現できる人材です。連結2,684名・単体113名の少数精鋭組織では、一人あたりの裁量と責任が大きく、平均年齢38.2歳・勤続9.4年・平均年収794万円という処遇からも、若手のうちから実力で評価される文化が読み取れます(2025年3月期有報)。
第4次中計と新経営体制が求める人材
新経営体制下で第4次中計を推進する変革力が必要です。3カ年累計営業利益1,000億円という目標は、当期の経常利益500億円から飛躍を目指す挑戦的な水準です。社長執行役員CEO新設や独立社外取締役過半数化というガバナンス改革の意味を理解し、新しい仕組みの中で主体的に動ける人材が求められます。経営基盤強化・事業戦略・キャッシュアロケーションの3本柱に貢献できる視野の広さも問われるでしょう。
独自IP・自社エンジンが求める人材
独自IPの長期育成と自社エンジン「KATANA ENGINE™」開発の両輪を理解できる人材が必要です。R&D費110.9億円という投資規模は、外部エンジンに依存しない自社技術力への本気度を示しています。信長の野望や三國志のような長寿IPを「伝統と革新のバランス」で進化させる感覚と、IP創出→シリーズ→コラボ→IP許諾の4段階モデルを横断的に理解する視野の両方が問われます。
新規IP挑戦×既存IP協業が求める人材
コンソール・PC・オンライン・モバイルの多プラットフォームでの開発経験や、新規ジャンル開拓の発想力を持つ人材が求められます。「新規IP・ジャンルへのチャレンジ」と「既存IPと協業による安定的な成長」を両立させるには、新しい挑戦と既存資産の活用を切り替えられる柔軟性が必要です。少数精鋭組織で世界中のユーザーへ展開するには、一人あたり複数領域を担う器用さも武器になります。
ガクチカの切り取り方

ガクチカは「何をしたか」の事実より、「それをどう語るか」の切り取り方で印象が変わります。コーエーテクモの方向性に合わせた切り取りの考え方を整理します。
第4次中計と新経営体制に合わせる
変革期に主体的に動いた経験を中心に語ります。
- 組織改革・新制度立ち上げ | 既存ルールを見直し新しい仕組みを作った経験は、社長執行役員CEO新設や独立社外取締役過半数化というガバナンス改革と接続する
- 数値目標達成プロジェクト | チームで挑戦的な数値目標を設定し達成した経験は、3カ年累計営業利益1,000億円という第4次中計の目標達成姿勢と重なる
- リーダー交代期での貢献 | 新リーダー就任時に主体的に組織を支えた経験は、新経営体制下で第4次中計を推進する役割と通じる
「変化のフェーズで自ら動いた」構造が新中計と新経営体制への適応力を示します。
独自IP・自社エンジンに合わせる
一つのテーマやプロジェクトを長期的に育て、品質を追求した経験を中心に語ります。
- 研究テーマの深掘り | 一つのテーマを2年以上深掘りし多面的に成果を残した経験は、信長の野望シリーズなど長寿IPの育成姿勢と重なる
- チームでのプログラミングプロジェクト | 複数人で品質管理を徹底しプロダクトを完成させた経験は、R&D費110.9億円を投じる自社エンジンKATANA ENGINE™開発の品質基準と接続する
- 趣味の創作活動 | 一つの世界観を複数メディアに展開しファンコミュニティを形成した経験は、IP創出→シリーズ→コラボ→IP許諾の4段階モデルと構造的に一致する
一つのものに情熱を持ち続け、多面的に価値を広げる姿勢がIP戦略と重なります。
新規IP挑戦×既存IP協業に合わせる
新しい領域に挑戦しつつ既存資産を活用した経験を中心に語ります。
- 新規プロジェクトの立ち上げ | ゼロから新しい取り組みを企画・実行した経験は、第4次中計の「新規IP・ジャンルへのチャレンジ」と直結する
- 異分野コラボレーション | 異なる領域の人や組織と協働して新しい価値を生んだ経験は、既存IPと他社IPのコラボレーションビジネスと重なる
- 留学・国際交流 | 異文化メンバーと協業し成果を出した経験は、世界中のユーザーへIPを展開するグローバル戦略の基盤になる
共通ポイント: 3方向のどれを選んでも、「少数精鋭で一人あたりの裁量を担える主体性」と「品質基準を妥協しない姿勢」がコーエーテクモの組織文化と一致します。連結2,684名・単体113名の組織では一人ひとりの貢献が可視化されやすいため、具体的な成果を数字で示すことが重要です。
自己PRの組み立て方
自己PRは「あなたの強み」と「コーエーテクモの方向性」の交差点を見つけることから始まります。
3ステップで組み立てる
- 強みを一言で定義する — 例: 「一つのテーマに没頭し、長期的に価値を育てる持続力」
- 裏付けるエピソードを選ぶ — ガクチカと重なってもOK。具体的な数字や変化を含めると説得力が増します
- コーエーテクモの方向性と接続する — 有報データを使って「なぜコーエーテクモで活かせるか」を示す
ステップ3の具体例:
「この力は、御社が信長の野望や三國志といったIPを長年育て続け、当期も営業利益率30%以上・ROE20.7%を実現されている方向性に通じると考えています。第4次中期経営計画で3カ年累計営業利益1,000億円・単年度400億円再挑戦を掲げる新フェーズで、長期的に価値を育てる私の強みを、独自IPの磨き込みと新規IP挑戦の両方で活かしたいと思いました。」
コーエーテクモの組織文化を理解する
連結2,684名・持株会社単体113名という組織構成は、少数精鋭で高い利益を生み出す体制です。平均年齢38.2歳、勤続9.4年、平均年収794万円という数字(持株会社単体)からは、中堅の実力者が長く活躍する環境が読み取れます(2025年3月期有報)。
営業利益率30%以上を維持するためには、無駄なコストを発生させない開発効率が不可欠です。自己PRでも「効率を意識しながら高い成果を出す」姿勢を示すと、コーエーテクモの組織文化と合致します。第4次中計の人材育成方針「クリエイティブ&ビジネス」を踏まえれば、創造性とビジネス感覚の両立への意欲を語れると説得力が増します。
人的資本の取り組みを活用する
第4次中計では経営基盤強化の柱として人的資本経営が位置づけられています(2025年3月期有報)。
- 人材育成方針「クリエイティブ&ビジネス」 | 新しい面白さを実現するクリエイターと、成長性・収益性を実現するビジネスパーソンの両立を掲げる
- 自社ゲームエンジン「KATANA ENGINE™」開発・維持 | R&D費110.9億円のクリエイター育成と技術力強化の基盤
- 少数精鋭体制での裁量 | 一人あたりの責任範囲が大きく、若手から経営視点を求められる文化
自己PRの中でこうした組織の特性への理解を示す際には、「少人数だからこそ大きな裁量と責任を担いたい」という主体性が伝わると効果的です。
志望動機|なぜコーエーテクモか
「なぜゲーム業界か」の組み立て
ゲーム業界への志望理由は端的に述べます。デジタルエンタテインメントが世界的に成長する中で、日本企業が国際競争力を持つ数少ない分野であることは、志望の基盤として有効です。
「なぜコーエーテクモか」を他社との違いで示す

ここで他社との違いを有報データで示せるかが勝負どころです。
任天堂との違い
任天堂はSwitchを軸にハード×ソフト一体型のプラットフォーマーで、海外売上比率の高さと自社プラットフォーム戦略が強みです。対してコーエーテクモはハードウェアを持たないソフト専業で、当期営業利益率30%以上を達成しています。歴史・戦略シミュレーションという独自ジャンルと、自社ゲームエンジンKATANA ENGINE™への集中投資(R&D費110.9億円)が、任天堂とは異なる競争軸です。
カプコンとの違い
カプコンはモンスターハンターやバイオハザードなどアクション系IPで高収益を実現し、自社エンジンRE ENGINEを基盤としています。コーエーテクモは歴史・戦略シミュレーション(信長の野望・三國志・無双シリーズ等)に加え、IP創出→シリーズ→コラボ→IP許諾の4段階モデルとコラボレーションビジネスの展開力が独自です。第4次中計では新規IP・ジャンルへの挑戦と既存IPの協業を両立する方針も明示しています。
バンダイナムコホールディングスとの違い
バンダイナムコはガンダム等を中心にIP軸経営で多事業(ゲーム・トイホビー・映像音楽)を展開し、従業員約11,000名超の大規模組織です。対してコーエーテクモは連結2,684名・持株会社単体113名の少数精鋭体制で営業利益率30%以上を維持しています。エンタテインメント事業93.5%の集中戦略で、一人あたりの裁量の大きさが特徴です。
スクウェア・エニックス・ホールディングスとの違い
スクウェア・エニックスはファイナルファンタジーやドラゴンクエスト等の大型RPG IPを保有し、複数事業展開と量から質への転換を進めています。コーエーテクモはエンタテインメント事業93.5%への集中戦略を一貫しており、第4次中計で3カ年累計営業利益1,000億円・単年度400億円再挑戦を掲げ、収益性30%以上を継続追求する点が方向性として明確に異なります。
最終的に、新パーパス「創造と貢献 新しい価値を創造して、社会に貢献する」と価値観「クリエイティブ&ビジネス」と自分の価値観が重なる部分を言語化できると、志望動機に一本の軸が通ります。業界全体の比較はゲーム4社の将来性を有報で比較で確認できます。ESでの表現方法は有報データを使ったESフレーズ集を参照してください。
コーエーテクモの面接で差がつく逆質問
逆質問は「何を聞くか」で企業理解の深さが表れます。有報の記述を具体的に引用した質問は、面接官に強い印象を残します。
1. 第4次中計の3カ年累計営業利益1,000億円
「第4次中期経営計画では3カ年累計営業利益1,000億円・単年度400億円再挑戦を掲げていますが、新経営体制(社長執行役員CEO新設・独立社外取締役過半数化)の下で、若手はどのような役割で目標達成に関わりますか?」
この質問のポイント: 第4次中計の定量目標とガバナンス改革を正確に把握していることを示し、入社後の役割イメージを確認できます(2025年3月期有報 経営方針)。
2. 自社ゲームエンジンKATANA ENGINE™の展開
「R&D費110.9億円を投入して開発されている自社ゲームエンジン『KATANA ENGINE™』は、コンソール・PC分野とオンライン・モバイル分野でどのように展開されていく方針ですか?」
この質問のポイント: 自社エンジンの具体名と研究開発費の数値を引用し、技術投資への深い理解を示せます(2025年3月期有報 研究開発活動・経営方針)。
3. 新規IP挑戦と既存IP協業のリソース配分
「第4次中計の事業戦略で『新規IP・ジャンルへのチャレンジによる成長と既存IPと協業による安定的な成長』を両立すると明示されていますが、新規IPの開発体制と既存IP(信長の野望・三國志・無双シリーズ等)のリソース配分はどう設計されていますか?」
この質問のポイント: 中計の事業戦略を具体的に引用し、ポートフォリオ思考を示せます(2025年3月期有報 経営方針)。
4. 営業利益率30%以上を支える仕組み
「営業利益率30%以上を経営目標として継続されていますが、当期の経常利益500億円・ROE20.7%という数字を支える開発プロセスのコスト管理はどのように行われていますか?」
この質問のポイント: 高収益体質の数値を引用し、それを支える仕組みへの関心を示すことで経営視点を伝えられます(2025年3月期有報 経営方針・経営成績)。
5. 少数精鋭体制での若手育成
「連結従業員2,684名・持株会社単体113名という少数精鋭体制で、第4次中計の人材育成方針として掲げられた『クリエイティブ&ビジネス』の体現に向け、新卒社員はどのようなキャリアステップを踏みますか?」
この質問のポイント: 従業員数と人材育成方針を組み合わせて引用し、入社後のキャリアへの具体的な関心を示せます(2025年3月期有報 従業員の状況・経営方針)。
逆質問のさらに詳しい組み立て方は面接で差をつける企業分析|有報データの活用術で解説しています。
まとめ
コーエーテクモの面接対策の核心は、有報が示す3つの方向性(第4次中期経営計画と新経営体制への移行、独自IPと自社エンジンKATANA ENGINE™による超高収益体質の維持、新規IP・ジャンル挑戦×既存IP協業のグローバル展開)と新パーパス「創造と貢献 新しい価値を創造して、社会に貢献する」から「求める人材像」を逆算し、ガクチカ・自己PR・志望動機を一貫したストーリーにすることです。
表面的な「歴史ゲームが好き」というキーワードではなく、3カ年累計営業利益1,000億円・単年度400億円再挑戦という第4次中計の目標、R&D費110.9億円を投じる自社ゲームエンジンKATANA ENGINE™、社長執行役員CEO新設という新経営体制、エンタテインメント事業セグメント利益315億円(前期比+11.2%)といった有報の具体的な数字を使いこなすこと。それが、面接官に「この学生はコーエーテクモを理解している」と思わせる最短ルートです。
次のアクション:
- 事業構造を深掘りしたい方は → コーエーテクモの企業分析記事で有報データの詳細を確認できます
- 面接での有報活用の基本を押さえたい方は → 面接で差をつける企業分析|有報データの活用術で汎用テクニックを学べます
- ESに有報データを織り込みたい方は → 有報データを使ったESフレーズ集が参考になります
- 同業他社の面接対策と比較したい方は → カプコン・任天堂の面接対策で「なぜコーエーテクモか」の答えがさらに磨かれます
- ゲーム業界をデータで比較したい方は → ゲーム4社の将来性を有報で比較で俯瞰できます
本記事のデータは株式会社コーエーテクモホールディングスの有価証券報告書(2025年3月期・EDINET)に基づいています。投資判断を目的としたものではありません。企業の将来の業績を保証するものではなく、最新情報は企業の公式IR資料をご確認ください。社風や職場の雰囲気、上司との関係性は有報ではわかりません。OpenWork等の口コミサイトやOB/OG訪問を併用して判断しましょう。