面接前のあなたが立たされているのは、「なぜ航空か」「なぜANAか」という2つの問いに、就活本に載っている『売上2兆円の大手航空会社』という抽象的な枠を超えて答えられるか、という場面です。この記事を押さえれば、ANAを中期経営戦略3本柱(エアライン事業の利益最大化/航空非連動収益ドメインの拡大/ANA経済圏の拡大)のどこに自分を重ねるかという軸で、根拠を持って語れるようになります。
30秒で言うとこんな会社です。ANAホールディングスはANA・Peach・AirJapanの3ブランドで航空事業を展開し、そこで稼いだ利益を航空関連・旅行・商社という非航空3セグメントと、マイル・ANA Mall・ANA Payを軸にした『ANA経済圏』に振り向けている航空持株会社です。面接官に一言で説明するなら「航空で稼いで、その利益で非航空事業とANA経済圏に投資している会社」と言えば輪郭が伝わります。
この記事では、2025年3月期有価証券報告書が示す中期戦略3本柱とMVV(安心と信頼/ワクワクで満たされる世界を)から「求める人材像」を逆算し、ガクチカ・自己PR・志望動機を一貫したストーリーにする方法を解説します。
この記事のデータはANAホールディングスの有価証券報告書(2025年03月期)に基づいています。 有報データの面接活用法の基本は面接で差をつける企業分析|有報データの活用術で押さえておくと、この記事がさらに活きます。
有報が示すANAホールディングスの方向性
ANAが今どこに向かっているのか。2025年3月期有報の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」には、『2023〜2025年度ANAグループ中期経営戦略』の最終年度として事業戦略の3本柱が明記されています。
エアライン事業の利益最大化
有報はこう記しています。「ANA、Peach、AirJapanの3つのブランドで最適なポートフォリオを追求」し、「運賃や品揃え、運航距離等の違いに応じて役割を分担し、航空需要の変化に合わせて収益性を高めていく」。さらにブランド間のマーケティング連携と協業・機能集約を進めると明示しています。貨物事業については旅客機とフレイターのネットワークバランスを最適化する方針に加え、日本郵船が保有する日本貨物航空株式会社の株式全てを取得する株式交換契約を締結済みで、現在は関係当局の認可取得に向けた対応を進めている旨が記載されています(2025年3月期有報 経営方針)。実際の数字としては航空事業セグメントの外部顧客売上は2兆198億円、セグメント利益は1,991億円と、連結の稼ぎ頭であることが裏付けられています(2025年3月期 セグメント情報)。
航空非連動収益ドメインの拡大
2つ目の柱として、有報は「社会の変化に応じた新たな事業の創出と更なる安定した経営に繋げるため、非航空事業における事業分類に応じた適切な経営資源配分により、収益拡大を目指す」と明記し、さらに「航空事業とは一線を画した運営体制の導入、人財育成など、事業拡大を支える仕組みを整備する」と組織設計まで踏み込んでいます。現時点の外部顧客売上は航空関連554億円+旅行558億円+商社1,119億円+その他186億円の合計2,417億円で、連結売上2兆2,618億円の約10.7%にとどまります(2025年3月期 セグメント情報)。つまり金額規模ではなく「これから伸ばす方向性」として位置付けられていると読むのが正確です。
ANA経済圏の拡大
3つ目の柱は、マイルを中心にした顧客プラットフォームの拡大です。有報では「マイルで生活できる世界」の実現を掲げ、ANAマイレージクラブアプリを中核に「ANA Mall」「ANA Pay」等のコンテンツ・決済手段を拡充するとともに、データ活用を進めることで顧客の回遊を促し、ANA経済圏内のサービス・商品の利用を促進すると記載されています(2025年3月期 経営方針)。航空事業セグメント内のソフトウェア開発・購入382億円の投資は、このANA経済圏の基盤づくりにも向けられていると解釈できます(2025年3月期 設備投資等の概要)。ANA経済圏は、3本柱の中でも①エアラインと②非航空を『顧客回遊』でつなぐ接着剤の役割を担っています。
見落とせない5期のV字回復
3本柱の背景として見落とせないのが、コロナ禍からの回復過程です。4期前の売上7,287億円・純損失4,046億円から、3期前1兆203億円・純損失1,436億円を経て、2期前1兆7,074億円・純利益894億円、前期2兆559億円・純利益1,570億円、当期2兆2,618億円・純利益1,530億円まで戻しました。自己資本比率も4期前31.4%→3期前24.8%と一度下がった後、当期31.2%まで回復しています(2025年3月期 主要な経営指標等の推移)。この「赤字から戻した5期の軌跡」こそが、ANAが求める人材像の基礎を規定しています。
MVVとの接続: 経営理念「安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します」の「安心と信頼」は、有報のリスク欄で最重要リスクとして明記されている『安全』と直結します。経営ビジョン「ワクワクで満たされる世界を」は、3本柱のうち②非航空事業と③ANA経済圏という新しい価値創造の根拠になっています。
数値の詳細な分析はANAホールディングスの企業分析記事で確認できます。
この方向性が求める人材像
ANAの3本柱から、「今どんな人材を求めているか」を逆算します。
| 方向性 | 根拠データ(2025年3月期) | 求める人材像 |
|---|---|---|
| エアライン事業の利益最大化 | 航空事業セグメント利益1,991億円/ANA・Peach・AirJapanの3ブランド運営 | 複数ブランドの役割分担を理解し、顧客セグメントごとに最適なサービスを設計できる人材 |
| 航空非連動収益ドメインの拡大 | 非航空3セグメント+その他の外部顧客売上合計2,417億円(連結の約10.7%) | 航空事業とは一線を画した運営体制をゼロから作り、新しい収益源を立ち上げられる人材 |
| ANA経済圏の拡大 | 航空事業内のソフトウェア投資382億円(2025年3月期 設備投資等の概要) | マイル・アプリ・決済データを使って顧客の回遊を設計できる人材 |
3方向に共通して求められるのは、「外部リスクを所与として前を向く粘り強さ」と「多職種連携の中で自分の役割を果たす力」の2つです。連結従業員数は44,019名(2025年3月期 従業員の状況)。パイロット・客室乗務員・整備士・グランドスタッフ・総合職・非航空事業の運営メンバーなど多職種が連携して一つのフライトと一つの顧客体験を成立させる組織であり、チームワークは前提条件です。さらに、4期前に純損失4,046億円を計上した経験を踏まえると、国際情勢・感染症・為替・原油といった外部環境の振れ幅を『所与の前提』として働ける資質が不可欠であることも読み取れます。
エアライン事業の利益最大化が求める人材
複数ブランドのポートフォリオ思考と、多職種連携の中でサービスを動かす力が重要です。ANAはフルサービスキャリアとしてのANAブランドに加え、LCCのPeach、国際線中距離の新ブランドAirJapanを持ち、運賃帯・運航距離・顧客層の違いに応じて役割を分担しています。そのブランド間のマーケティング連携や機能集約を推進する仕事では、「どの顧客にどのブランドを使うか」というセグメント思考と、ブランドごとに異なる運営体制を束ねる調整力が問われます。日本貨物航空の子会社化手続きが進んでいることもあり、貨物事業との連動まで視野に入る設計感度も武器になります。
航空非連動収益ドメインの拡大が求める人材
航空事業とは一線を画した運営体制をゼロから作る覚悟がある人材です。有報が「航空事業とは一線を画した運営体制の導入、人財育成など、事業拡大を支える仕組みを整備する」と明記しているのは、既存の航空事業の延長線で非航空事業を運営しないという宣言です。航空関連・旅行・商社の3セグメントはまだ連結売上の約10.7%しかなく、むしろ立ち上げ期と捉えた方が実態に近い段階です。既存の枠組みにとらわれず新しい事業を構想し、「航空会社の資産(グローバルネットワーク・ブランド・顧客基盤)を別事業に転用する」発想力が問われます。
ANA経済圏の拡大が求める人材
マイル・アプリ・決済のデータから顧客の動きを読み、回遊施策を設計できる人材です。「マイルで生活できる世界」という表現は、航空利用のマイルを日常の購買・決済にまで浸透させるという強い意志を示しています。ANAマイレージクラブアプリを中核にANA Mall・ANA Payを拡充する方針のもとでは、データ分析とマーケティングの両方を行き来しながら、航空利用者と非航空利用者の間に回遊を生み出す感度が求められます。航空事業内のソフトウェア投資382億円の行き先の一つがここであると考えると、入社後のキャリアイメージも具体化しやすい領域です。
ガクチカの切り取り方
ガクチカは「何をしたか」の事実より、「それをどう語るか」の切り取り方で印象が変わります。ANAの3本柱に合わせた切り取りの考え方を整理します。
エアライン事業の利益最大化に合わせる
複数の顧客層やブランドを使い分けた経験、多職種のメンバーをまとめて一つの体験を成立させた経験を中心に語ります。
- 接客アルバイトでの顧客層別対応 | 常連客と新規客で接客方針を使い分けた経験が、ANA・Peach・AirJapanの3ブランド戦略の「運賃や品揃えの違いに応じて役割を分担」という考え方と重なる
- 留学中の多国籍チームプロジェクト | 異なる価値観のメンバーをまとめて成果を出した経験は、国際線事業や多職種連携で動く航空事業の現場感覚と直結する
- イベント運営での部門横断調整 | 音響・受付・広報など異なる役割を束ねて一つのイベントを成立させた経験が、航空事業の多職種連携による「一つのフライト」という構造に接続する
「相手によってアプローチを変え、チームの中で役割を調整した」プロセスがあれば、エアライン事業の利益最大化という方向性と接続できます。
航空非連動収益ドメインの拡大に合わせる
既存の資源を別の用途に転用した経験、ゼロから新しい仕組みを立ち上げた経験が響きます。
- サークル内の新規プロジェクト立ち上げ | 既存サークルの資源を使って新しい活動を始めた経験は、航空会社の資産を非航空事業に転用する発想と重なる
- ゼミの研究を地域課題に応用 | 学術的な知見を実社会の課題解決に転用した経験が、『航空事業とは一線を画した運営体制』をゼロから作る覚悟に接続する
- アルバイト先の新サービス提案 | 既存の運営体制とは別の仕組みで新しい価値を生み出した経験は、非航空3セグメントの立ち上げ感覚と直結する
「あるものを別の価値に変える」発想と、「既存の延長線ではない動き方」を意識できるエピソードが理想的です。
ANA経済圏の拡大に合わせる
データや行動観察から顧客の動きを読み、施策に落とした経験が有効です。
- マーケティング活動でのデータ分析 | アンケートや売上データから施策を組み立てた過程が、マイル・アプリ・決済データを使った顧客回遊設計と重なる
- SNS運用・コンテンツ企画 | ユーザー動線を意識して投稿やコンテンツを設計した経験は、ANA Mall・ANA Payを中核にした経済圏の拡大構想と接続する
- ビジネスコンテストでのCX提案 | 顧客体験の改善を具体的な施策に落とした経験は、『マイルで生活できる世界』という顧客プラットフォーム発想と直結する
「データや観察から顧客の動きを読み、施策につなげた」構造があれば、ANA経済圏の方向性と接続できます。
共通ポイント: いずれの場合も、チームでの協働と自分の役割を明確に語ることが重要です。連結44,019名の多職種組織では、一人で完結する仕事はほとんどありません。また、4期前の純損失4,046億円という経験を踏まえると、「うまくいかないときにどう立て直したか」という挫折と復元の物語を1つ含めておくと、外部リスクを所与にできる人材像と重なります。
自己PRの組み立て方
自己PRは「あなたの強み」と「ANAの方向性」の交差点を見つけることから始まります。
3ステップで組み立てる
- 強みを一言で定義する — 例: 「多様なバックグラウンドのメンバーを束ねて、一つの体験として成立させる調整力」
- 裏付けるエピソードを選ぶ — ガクチカと重なってもOK。具体的な数字や変化を含めると説得力が増します
- ANAの方向性と接続する — 中期戦略3本柱と有報のセグメント情報・設備投資を使って「なぜANAで活かせるか」を示す
ステップ3の具体例:
「この力は、御社が中期戦略3本柱の①エアライン事業の利益最大化でANA・Peach・AirJapanの3ブランドを使い分け、多職種連携で一つのフライトを成立させている方向性と接続すると考えています。2025年3月期有報では航空事業セグメント利益が1,991億円と連結の稼ぎ頭で、3ブランドの役割分担とブランド間の回遊性向上が明記されていると読みました。その現場で、私の調整力を活かしたいと考えています。」
ANAの組織文化を理解する
連結従業員数44,019名という大組織の一方で、ANAホールディングス(持株会社単体)の従業員数は276名、平均年齢45.5歳、平均勤続年数2.8年、平均年間給与730万円と有報に記載されています(2025年3月期 従業員の状況)。ここで押さえておきたいのは、平均年齢・勤続年数・平均年収はすべて『ANAホールディングス持株会社単体276名』の数字であり、パイロット・客室乗務員・整備士・グランドスタッフを含む全日本空輸やその他子会社の従業員の数字ではないという点です。持株会社の勤続年数が2.8年と短いのは、持株会社設立後の出向・転籍が多いためと読めます。自己PRの中で「ANAの平均年収は730万円」などと断定してしまうと有報の読み違いが面接官に伝わってしまうので、ここは「持株会社単体の数字」として慎重に扱いましょう。
人的資本の取り組みを活用する
有報のリスク欄では人権尊重への取り組みと人財確保が明記されており、中期戦略でも「非航空事業における人財育成」が掲げられています(2025年3月期 経営方針)。
- 3本柱それぞれに応じた人財配置(エアライン/非航空/ANA経済圏)
- 非航空事業における人財育成の強化(航空事業とは一線を画した運営体制の整備)
- 安全を最優先とする組織文化の徹底(有報で最重要リスクとして明記)
自己PRの中でこうした組織文化への共感を示すことも有効です。特に「安全」と「多職種連携」の2つは、ANAの組織文化の中核にあるキーワードです。
志望動機|なぜANAホールディングスか
志望動機は「なぜ航空か」と「なぜANAか」の2段構えで組み立てます。
「なぜ航空か」の組み立て
グローバルに人とモノをつなぐインフラとしての使命感、国際ビジネスの最前線に立てるスケール感、鉄道や陸上輸送ではカバーできない速度と距離を担う存在意義などを簡潔に述べます。ここは深掘りしすぎず、次の「なぜANAか」に重点を置きます。
「なぜANAか」を他社との違いで示す
ここで他社との違いを有報データで示せるかが勝負どころです。
| 比較対象 | 相手の特徴 | ANAの差別化ポイント |
|---|---|---|
| JAL(日本航空) | 会社更生法を経て再建した後のFSC中心体制 | ANA・Peach・AirJapanの3ブランド運営と『ANA経済圏の拡大』を中期戦略に明示 |
| JR東日本 | 国内鉄道×不動産で安定収益を積み上げる規制型インフラ | 国際線というグローバル市場を直接持ち、外部環境の振れ幅と向き合う |
| 東京ガス | 都市ガスと脱炭素技術による事業転換 | 3本柱のうちANA経済圏という顧客プラットフォーム型の成長戦略 |
| 関西電力 | 原子力と脱炭素を軸にした規制産業 | 規制産業ではなく需要変動に晒される競争産業の中で利益を出す設計 |
JALとの違い
JALは2010年に会社更生法の適用を受けて再建された経緯があり、現在はフルサービスキャリアを中心とした事業構造です。対してANAは、ANA・Peach・AirJapanという3ブランドをグループで運営し、中期経営戦略で『ANA経済圏の拡大』を明確に掲げている点が特徴です。「複数ブランドのポートフォリオで市場全体をカバーしながら、マイル経済圏で顧客を回遊させる」という構想の明示性にANAの独自性があります。同じ航空業界の中でどちらの設計思想に共感するかで志望先を選ぶのが、最も説得力のある語り方です。JALの戦略の詳細はJALの面接対策もあわせてご覧ください。
JR東日本との違い
同じ「移動インフラ」ですが、鉄道は国内の規制型インフラとして安定性が魅力の一方、航空は燃料価格・為替・地政学・感染症など外部変動要因の振れ幅が大きい代わりに、国際線というグローバル市場を直接持っています。ANAの有報リスク欄でも国際情勢の不安定化や大規模感染症の再発が明記されており、「国内の安定インフラ」ではなく「グローバル市場での競争」に身を置きたいという志向が、航空業界を選ぶ理由になります。
東京ガスとの違い
東京ガスは都市ガス事業を中核に、脱炭素技術(水素・アンモニア・CCUS等)による事業転換を進めています。ANAも2050年カーボンニュートラルに向けたSAF導入を有報で課題として挙げていますが、成長戦略の中核は『ANA経済圏の拡大』という顧客プラットフォーム型の構想にあります。「エネルギー転換の技術開発」ではなく「顧客接点とデータを軸にした経済圏づくり」に惹かれるなら、ANAを選ぶ理由になります。
関西電力との違い
関西電力は原子力発電を中核に、規制料金制度の中で安定した事業運営を行っています。対してANAは規制産業ではなく、燃料価格・需要変動・為替に直接晒される競争産業です。4期前に純損失4,046億円を計上した経験がある一方、3年で売上を約3.1倍に戻した『復元力』こそが競争産業としてのANAの特徴です。安定を選ぶか、変動の中で挑戦するかという軸で業界選択の理由を語れます。
最終的に、経営理念「安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します」と経営ビジョン「ワクワクで満たされる世界を」と自分の価値観が重なる部分を言語化できると、志望動機に一本の軸が通ります。ESに有報データを織り込む具体的な方法は、ESの志望動機に差をつける|有報データの活用法が参考になります。航空業界以外の選択肢と比較したい方はインフラ業界の有報比較も参考にしてください。
ANAホールディングスの面接で差がつく逆質問
逆質問は「何を聞くか」で企業理解の深さが表れます。有報の記述を具体的に引用した質問は、面接官に強い印象を残します。
1. 連結設備投資2,559億円の配分方針を問う
「2025年3月期の連結設備投資2,559億円のうち、航空事業が2,468億円(航空機および予備部品等1,915億円、ソフトウェア開発・購入382億円など)と大部分を占めていると有報で確認しました。中期戦略3本柱の②航空非連動収益ドメインの拡大に向けて、今後の設備投資配分をどのように変化させていく方針ですか?」
この質問のポイント: 有報の設備投資の内訳まで把握した上で、中期戦略の整合性に踏み込む質問です。多くの就活生は「機材投資の話」で止まりますが、ここは「非航空への配分」に視点を引き上げることで、戦略を立体的に理解していることを示せます(2025年3月期 設備投資等の概要・経営方針)。
2. 航空非連動収益ドメインの立ち上げ体制を問う
「有報で航空非連動収益ドメインの拡大について『航空事業とは一線を画した運営体制の導入、人財育成など、事業拡大を支える仕組みを整備する』と明記されていました。現時点で、航空事業とは具体的にどのような点で異なる運営体制を志向されているのでしょうか?」
この質問のポイント: 有報の記述を逐語的に引用することで、「方針を聞いている」のではなく「実装を聞いている」姿勢を示せます。非航空3セグメントの外部顧客売上合計2,417億円(連結の約10.7%)という現状を踏まえた質問であることも伝わります(2025年3月期 セグメント情報・経営方針)。
3. ANA経済圏のKPIを問う
「ANA経済圏の拡大について、ANAマイレージクラブアプリ・ANA Mall・ANA Payを中核に『マイルで生活できる世界』を実現すると有報に記載されています。社内で『経済圏の拡大度合い』を測るKPIはどのような指標で管理されているのでしょうか?」
この質問のポイント: 「戦略があります」で終わらせず「どう測っているか」にまで踏み込むことで、事業運営の実務感覚を見せられます。データ活用と顧客回遊の設計に対する関心が伝わる質問です(2025年3月期 経営方針)。
4. 日本貨物航空の子会社化手続きの進捗を問う
「有報で、日本郵船株式会社が保有する日本貨物航空株式会社の株式全てを取得する株式交換契約について『関係当局から認可等を取得すべく、必要な対応を実施している』と記載されていました。子会社化が完了した後、貨物事業をエアライン事業の利益最大化の中でどのように位置づける方針ですか?」
この質問のポイント: 多くの就活生が見落としがちな経営事項を具体的に引用することで、「有報を読み込んでいる」という強い印象を残せます。3本柱の①エアライン事業の利益最大化と貨物事業の接続に関心があることも示せる質問です(2025年3月期 経営方針)。
5. 次期中期経営戦略の論点を問う
「2025年3月期は『2023〜2025年度ANAグループ中期経営戦略』の最終年度にあたります。次期中期戦略を構想するうえで、3本柱(エアライン事業の利益最大化/航空非連動収益ドメインの拡大/ANA経済圏の拡大)のうちどの領域の比重や表現が最も変化する想定でしょうか?」
この質問のポイント: 現中計の位置づけを正確に把握した上で、次の構想への関心を示せる質問です。3本柱の各名称を引用することで、戦略フレームワークへの理解の深さが伝わります(2025年3月期 経営方針)。
逆質問のさらに詳しい組み立て方は面接で差をつける企業分析|有報データの活用術で解説しています。
まとめ
ANAホールディングスの面接対策の核心は、2025年3月期有報が示す中期戦略3本柱(①エアライン事業の利益最大化/②航空非連動収益ドメインの拡大/③ANA経済圏の拡大)と、4期前の純損失4,046億円から当期純利益1,530億円まで戻した5期の軌跡から「求める人材像」を逆算し、ガクチカ・自己PR・志望動機を一貫したストーリーにすることです。
「空が好き」「旅行が好き」という消費者目線ではなく、連結設備投資2,559億円のうち航空事業に2,468億円を投下しながら非航空3セグメントとANA経済圏という次の柱を組み立てている、という経営の実像を理解した上で自分の強み・経験との交差点を見つけること。それが、面接官に「この学生はANAを理解している」と思わせる最短ルートです。
次のアクションとして、事業構造をさらに深掘りしたい方はANAホールディングスの企業分析記事で2025年3月期の有報データの詳細を確認してください。同業他社の方向性と比較して「なぜANAか」の答えを磨きたい方はJALの面接対策が参考になります。航空業界にとどまらずインフラ全体の中でANAの位置を整理したい方はインフラ業界の有報比較で俯瞰すると、志望動機の輪郭がさらにはっきりします。
本記事のデータはANAホールディングス株式会社の有価証券報告書(2025年03月期・EDINET)に基づいています。投資判断を目的としたものではありません。企業の将来の業績を保証するものではなく、最新情報は企業の公式IR資料をご確認ください。社風や職場の雰囲気、上司との関係性は有報ではわかりません。OpenWork等の口コミサイトやOB/OG訪問を併用して判断しましょう。