この記事のデータは第一生命ホールディングスの有価証券報告書(2025年3月期)に基づいています。 有報データの面接活用法の基本は面接で差をつける企業分析|有報データの活用術で押さえておくと、この記事がさらに活きます。
第一生命の面接で「一生涯のパートナーとして人々の暮らしを支えたい」と語る就活生は少なくありません。しかし面接官が知りたいのは、あなたが第一生命の方向性を理解し、そこに自分を重ねられるかどうかです。
この記事では、有価証券報告書が示す第一生命の投資方向性とValues(We care, We do what’s right, We innovate)から「求める人材像」を逆算し、ガクチカ・自己PR・志望動機を一貫したストーリーにする方法を解説します。
有報が示す第一生命の方向性
第一生命HDは保険料等収入6兆7,959億円、当期純利益4,296億円、総資産約69.6兆円の国内大手生命保険グループです。中期経営計画で「保険サービス業への変革」を掲げる同社が今どこに向かっているのか、有報のセグメント利益とM&A実績から3つの方向性が浮かび上がります。
海外保険事業の利益構成比40%への挑戦
中期経営計画では海外生保事業の利益貢献比率40%を目標に設定しています。2025年3月期時点の海外保険事業セグメント利益は1,831億円で、利益構成比は約19%です。北米Protective LifeはShelterPoint Group買収で団体保険に進出し、豪州TALは大型団体保険を新規獲得して保障性市場で業界首位、ベトナムDai-ichi Life Vietnamは新契約シェア(初年度保険料ベース)で民間生保トップを走っています。海外保険事業の経常収益は3兆6,690億円、のれん残高は1,296億円(前期1,009億円から増加)で、M&Aによる成長路線が加速しています(2025年3月期 セグメント情報・経営方針)。
ベネフィット・ワンによる保険サービス業への変革
2024年にベネフィット・ワンの買収を完了しました。福利厚生プラットフォーム「ベネフィット・ステーション」の会員数が初めて1,000万人を突破し、経営方針で「生命保険業という枠を超えた保険サービス業への変革」を宣言しています。その他事業のセグメント利益は2,210億円(利益構成比約22%)で、海外保険事業(1,831億円)を上回っています。のれん残高はその他事業で1,855億円が新たに計上されました(2025年3月期 セグメント情報・経営方針)。
資本循環経営とDX推進
国内株式を3年間で1.2兆円削減する計画を中期経営計画に織り込み、株式リスクから保険リスク中心のリスクプロファイルへシフトしています。ESR(経済価値ベース資本充足率)210%(ターゲットレンジ170-200%)、修正ROE 10%超(想定資本コスト9%を上回る)と財務規律も健全です。設備投資は合計1,712億円で、国内保険事業1,488億円(87%)、海外保険事業214億円(12%)という構成です。2024年8月にはマイクロソフトとの戦略的グローバルパートナーシップを締結し、Azure基盤のクラウド環境構築やAI・データ分析技術の活用を推進しています(2025年3月期 経営方針・設備投資・資本政策)。
Valuesとの接続: 「We care」は顧客・社会への共感であり海外各国の保険ニーズに寄り添う姿勢、「We do what’s right」は資本循環経営やESR管理に表れる財務規律、「We innovate」はベネフィット・ワンの保険サービス業変革やマイクロソフトとのDX推進そのものです。3つの方向性すべてがValuesと接続しています。
数値の詳細な分析は第一生命の企業分析記事で確認できます。
この方向性が求める人材像
3つの方向性から、第一生命が今どんな人材を求めているかを逆算します。
| 方向性 | 根拠データ | 求める人材像 |
|---|---|---|
| 海外保険事業の拡大 | 海外利益構成比19%→40%目標、のれん1,296億円(2025年3月期) | M&A後のPMIを推進するグローバル人材 |
| 保険サービス業への変革 | ベネフィット・ワン会員1,000万人、その他事業利益2,210億円(2025年3月期) | 保険×非保険のエコシステムを構築する構想力人材 |
| 資本循環経営とDX推進 | 国内株式1.2兆円削減、マイクロソフト戦略パートナーシップ(2025年3月期) | 金融専門性×DXのハイブリッド人材 |
3方向に共通して求められるのがValues「We innovate」を体現する変革志向です。2025年4月にジョブ型人事制度を導入したことが示すように、専門性を軸としたキャリア形成を志向する人材が評価されます。連結60,814人の組織をHD単体490人で動かす少数精鋭の経営管理体制であることも押さえておきましょう(2025年3月期 従業員の状況)。
海外保険事業の拡大が求める人材
Protective(北米)・TAL(豪州)・ベトナムの3拠点を軸に海外利益構成比40%を目指す戦略の推進には、M&A後のPMI(経営統合)を現場で実行する力が問われます。各国の保険規制・市場環境を理解する語学力と異文化適応力が基盤です。のれん残高1,296億円(前期1,009億円から増加)が示すように買収路線は今後も続く見通しであり、新規案件のソーシングから統合まで関わる意欲が重要です。
保険サービス業への変革が求める人材
ベネフィット・ワン(会員1,000万人)のプラットフォームを保険×非保険のエコシステムに発展させる構想力が求められます。保険の営業チャネルを活用した法人向け提案活動が始まっており、保険業界の枠にとどまらずテクノロジー・ヘルスケア・福利厚生など異分野を横断するビジネス開発力が鍵です。Values「We innovate」を体現する変革志向の人材像と直結しています。
資本循環経営とDX推進が求める人材
総資産69.6兆円のALM(資産負債管理)や国内株式1.2兆円削減のリスクプロファイル変革を推進できる金融専門人材が求められます。アクチュアリー・リスク管理・ファイナンスの専門性に加え、マイクロソフトとの戦略パートナーシップに基づくDX推進にはデータサイエンス・AI活用の素養も必要です。2025年4月にジョブ型人事制度を導入した背景には、こうした高い専門性を持つ人材の獲得・リテンションという狙いがあります。
ガクチカの切り取り方
ガクチカは「何をしたか」の事実より、「それをどう語るか」の切り取り方で印象が変わります。第一生命の方向性に合わせた切り取りの考え方を整理します。
海外保険事業の拡大に合わせる
グローバル視点と統合推進力を中心に語ります。
- 留学やインターンでの異文化協働経験 | 3拠点(北米・豪州・ベトナム)のPMIで求められる異文化適応力と接続する
- 多国籍チームでのプロジェクト推進 | 買収先との統合を現場で実行する調整力と接続する
- 語学力を活かした海外での活動経験 | 英語圏(Protective・TAL)や東南アジアでの事業展開と接続する
「異なるバックグラウンドのメンバーとどう信頼を築き、成果を出したか」のプロセスが、M&A後のPMIで求められる力と直接重なります。
保険サービス業への変革に合わせる
異分野横断と新規サービス構築を中心に語ります。
- 学園祭やイベントで新しい企画を立案・実行した経験 | 保険の枠を超えた新サービス企画力と接続する
- 複数のサークルや組織を横断した活動 | 保険×福利厚生×ヘルスケアの異分野横断力と接続する
- ITやテクノロジーを活用した課題解決経験 | ベネフィット・ワンのプラットフォーム進化を推進するデジタル活用力と接続する
「既存の枠組みにとどまらず、新しい価値を創り出した」構造があれば、保険サービス業への変革を推進する構想力の証明になります。
資本循環経営とDX推進に合わせる
専門的分析力とデジタルスキルを中心に語ります。
- ゼミや研究で定量的な分析に取り組んだ経験 | 69.6兆円の資産運用を支えるリスク管理の分析力と接続する
- プログラミングやデータ分析の学習・活用経験 | マイクロソフトパートナーシップで求められるDXスキルと接続する
- 論理的な仮説検証を繰り返した研究活動 | ALMやESR管理で求められるPDCAサイクルと接続する
定量的な思考力を示せると、ジョブ型人事制度で専門性を重視する方向に転換した第一生命の人材ニーズと合致します。
共通ポイント: 連結60,814人の組織で変革を推進するHD490人の少数精鋭体制。Values「We innovate」を体現する変革志向を示しつつ、「We care」で顧客やチームへの共感も含めたエピソードにすると、Valuesとの整合性が高まります。
自己PRの組み立て方
自己PRは「あなたの強み」と「第一生命の方向性」の交差点を見つけることから始まります。
3ステップで組み立てる
- 強みを一言で定義する — 例: 「異なる立場の関係者をまとめて一つの方向に導く力」
- 裏付けるエピソードを選ぶ — ガクチカと重なってもOK。具体的な数字や変化を含めると説得力が増します
- 第一生命の方向性と接続する — 有報データを使って「なぜ第一生命で活かせるか」を示す
ステップ3の具体例:
「この力は、御社がベネフィット・ワンの会員1,000万人基盤を活用して保険×非保険のエコシステムを構築していく方向性に通じると考えています。異なる事業領域のステークホルダーを巻き込み、新しい価値を形にしていく場面で、自分の調整力を活かしたいと考えています。」
第一生命の組織文化を理解する
連結60,814人、HD単体490人、平均年齢39.2歳、平均勤続年数11.7年(2025年3月期 従業員の状況)。HD単体は少数精鋭の経営管理組織であり、事業会社の第一生命保険には営業職員を含む大規模な組織があります。2025年4月にジョブ型人事制度を導入し、専門性を重視する人事への転換を進めています。パーパス「共に歩み、未来をひらく」が求めるのは、長期的な視点で顧客や社会と向き合い続ける姿勢です。自己PRでは「専門性」と「長期視点」の両面を意識すると組織文化との整合性が高まります。
人的資本の取り組みを活用する
有報の経営方針から読み取れる人的資本の取り組みは、自己PRで組織文化への共感を示す材料になります。
- ジョブ型人事制度の導入(2025年4月)で専門性を重視する人事への転換を推進。高い専門性を持つ人材の獲得とリテンションが目的
- マイクロソフトとの戦略的グローバルパートナーシップ(2024年8月締結)に基づくIT・DX人材への投資強化。Azure基盤のクラウド環境構築やAI・データ分析技術の活用を推進
- Values「We care, We do what’s right, We innovate」に基づく企業文化の浸透。パーパス「共に歩み、未来をひらく」を行動指針として全社展開
こうした人事施策やValuesへの共感を自己PRに織り込むことで、「この学生は第一生命の方向性を理解している」という印象を与えられます(2025年3月期 経営方針)。
志望動機|なぜ第一生命か
「なぜ保険業界か」の組み立て
保険業界の社会的意義を簡潔に述べます。生命保険は終身・長期の契約を通じて顧客の人生に寄り添うビジネスです。総資産69.6兆円を運用する機関投資家としての経済的影響力も大きく、「保険の営業会社」ではなく「金融機関」として理解するのが出発点です。ここは深掘りしすぎず、次の「なぜ第一生命か」に重点を置きます。
「なぜ第一生命か」を他社との違いで示す
ここが勝負どころです。有報データで他社との投資方向性の違いを示せるかが、志望動機の説得力を決めます。
| 比較対象 | 相手の特徴 | 第一生命の差別化ポイント |
|---|---|---|
| SOMPO | 損保×介護・ヘルスケアの多角化、海外保険利益1,777億円 | 生保×非保険プラットフォーム(ベネフィット・ワン1,000万人)の多角化 |
| 東京海上HD | 海外損保利益比率約50%、北米スペシャルティ保険で成熟段階 | 海外生保利益構成比19%→40%目標の成長加速段階、生保×資産運用の三利源 |
| 三菱UFJ FG | Morgan Stanley提携・規模のグローバル金融、純利益1.86兆円 | 保険料×資産運用の三利源で収益モデルが根本的に異なる、保険サービス業への変革 |
SOMPOとの違いは多角化のアプローチにあります。SOMPOは損保を主力としつつ介護・ヘルスケア(SOMPOウェルビーイング)に進出する「損保×介護」の多角化です。対して第一生命はベネフィット・ワン(会員1,000万人)を核とした「生保×非保険プラットフォーム」の多角化であり、保険の営業チャネルを活用した法人向けエコシステム構築を目指しています。
東京海上HDとの違いは事業モデルの根本にあります。損保は短期1年更新の契約で保険引受利益が中心ですが、生保は長期・終身の契約で資産運用収益(三利源)が利益の柱です。海外展開の成長段階にも差があり、東京海上が海外損保利益比率約50%で成熟段階にあるのに対し、第一生命は19%→40%目標の成長加速段階です。
三菱UFJ FGとの違いは収益モデルの構造にあります。銀行は「貸出×手数料ビジネス」が中心ですが、生保は「保険料×資産運用の三利源」(利差益・費差益・死差益)で収益を生みます。総資産69.6兆円の機関投資家としての運用力が第一生命の強みであり、さらにベネフィット・ワンで保険サービス業への変革を進めている点で、銀行の総合金融グループとは戦略の方向性が異なります。
Valuesと自分の価値観が重なる部分を言語化できると、志望動機に一本の軸が通ります。保険業界の投資方向性をデータで比較したい方は保険業界のキャリア比較が参考になります。ESに有報データを織り込む方法はESの志望動機に差をつける|有報データの活用法もあわせてご覧ください。
同業他社の面接対策もあわせて確認すると、自分がどの企業の方向性に最もフィットするか見えてきます。東京海上の面接対策、三菱UFJの面接対策もご覧ください。
第一生命の面接で差がつく逆質問
逆質問は「何を聞くか」で企業理解の深さが表れます。有報の記述を具体的に引用した質問は、面接官に強い印象を残します。
1. 海外保険事業の次なるM&A対象
「有報で海外保険事業の利益構成比が現在19%に対して40%を目標とされていますが、Protective・TAL・ベトナム以外に次のM&A対象として注目している地域や保険種目はありますか?」
この質問のポイント: 海外利益構成比の現状と目標を具体的に把握していることを示せます。19%→40%という数字のギャップを理解した上で質問しているため、成長戦略への深い関心が伝わります(2025年3月期 経営方針・セグメント情報)。
2. ベネフィット・ワン基盤での新卒キャリアパス
「ベネフィット・ステーションの会員数が1,000万人を突破したと有報にありますが、保険×非保険のエコシステム構築において新卒にはどのようなキャリアパスが想定されていますか?」
この質問のポイント: 保険サービス業への変革を理解した上で、自分のキャリアを具体的に考えていることを示せます。会員1,000万人という数字を引用することで有報を読み込んでいる姿勢が伝わります(2025年3月期 経営方針)。
3. 国内株式削減後の資産配分
「有報で国内株式を3年間で1.2兆円削減する計画が記載されていますが、削減後の資産配分として重点的に拡大する運用領域を教えていただけますか?」
この質問のポイント: 資本循環経営の具体施策を把握していることを示せます。1.2兆円という具体的な数字を引用することで、生保の資産運用に対する本質的な関心をアピールできます(2025年3月期 資本政策)。
4. ジョブ型人事制度と新卒評価基準
「2025年4月にジョブ型人事制度を導入されたと有報に記載がありますが、新卒採用においても専門性の評価基準は変わりましたか?具体的にどのような専門性が入社時点で評価されますか?」
この質問のポイント: 人事制度の変革を把握した上で自分のキャリア形成を考えていることが伝わります。ジョブ型人事の導入は、専門性を重視する方向への転換を意味しており、入社前から専門性を磨く意欲を示すチャンスです(2025年3月期 経営方針)。
5. マイクロソフトパートナーシップのAI活用領域
「マイクロソフトとの戦略的グローバルパートナーシップを2024年8月に締結されたと有報にありますが、Azure基盤のAI活用は現在どの業務領域で最も効果が出ていますか?」
この質問のポイント: DX推進の具体施策を把握していることを示せます。締結時期まで正確に引用することで、有報を丁寧に読み込んでいる姿勢が際立ちます(2025年3月期 経営方針)。
逆質問のさらに詳しい組み立て方は面接で差をつける企業分析|有報データの活用術で解説しています。
まとめ
第一生命の面接対策の核心は、有報が示す3つの方向性(海外保険事業の利益構成比40%目標、ベネフィット・ワンを核とした保険サービス業への変革、資本循環経営×DX推進)とValues(We care, We do what’s right, We innovate)から「求める人材像」を逆算し、ガクチカ・自己PR・志望動機を一貫したストーリーにすることです。
「国内生保の営業会社」ではなく「海外保険×非保険プラットフォーム×資本循環経営の保険サービスグループ」への転換。この理解を有報の具体的な数字で裏付けて語れることが、面接官に「この学生は第一生命を理解している」と思わせる最短ルートです。
次のアクション:
- 事業構造を深掘りしたい方は → 第一生命の企業分析記事で有報データの詳細を確認できます
- 面接での有報活用の基本を押さえたい方は → 面接で差をつける企業分析|有報データの活用術で汎用テクニックを学べます
- ESに有報データを織り込みたい方は → ESの志望動機に差をつける|有報データの活用法が参考になります
- 同業他社の面接対策と比較したい方は → 東京海上・三菱UFJの面接対策で「なぜ第一生命か」の答えがさらに磨かれます
- 保険業界をデータで比較したい方は → 保険業界のキャリア比較で俯瞰できます
本記事のデータは第一生命ホールディングスの有価証券報告書(2025年3月期・EDINET)に基づいています。投資判断を目的としたものではなく、企業の将来の業績を保証するものではありません。最新情報は企業の公式IR資料をご確認ください。社風や職場の雰囲気、上司との関係性は有報ではわかりません。OpenWork等の口コミサイトやOB/OG訪問を併用して判断しましょう。